191 忘却の箱
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[時刻はいつだっただろうか。 夜の廊下を歩く誰かに声をかけられれば、言葉を交わしたであろう。
だが既に彼の頭にはもう、覆い隠す様なタオルは無い。 顔を晒したまま、ゆったりとしたテンポで自室に向かった]*
(27) 2014/09/10(Wed) 01時頃
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[スティーブンから、昨日のことを告げられる
ギターが身近だった青年、書庫にも絵を残していた老人 「疑い」を失って幸せを感じながら眠った少女
さらに、紫のブーケと青い鳥を咲かした元研究者
彼らが立て続けに花で満ちて 根づいてしまったらしいと聞いて、ぽつりと]
…紫のブーケ?
[昨日のページにそんなことがあったような 机の上の瓶に活けたスイトピーの送り主だったはず]
(28) 2014/09/10(Wed) 01時頃
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[二人の様子を、再び背中から見守る。 広葉樹の下に歩み寄る、男の靴の音だけが響く。 いつもと異なる手品の呼び方に男は道化になりきって、節を付けながら唄い出した。]
Brutti ma buoni! そう、僕の『魔法』だ。 今日のは、12時になっても解けないとびきりの。 ……そのビスケットをもう一回叩けば、増えるのは明日の朝食の後だけどね。
[ベンチに腰掛ける二人>>21の姿。 その様子を見て、ようやく男はまともに微笑む。]
木の下のベンチに座ってもいいのは、男性と女性の二人だけ。 演者は舞台袖で互いの空気を繋いで––––…え?
[二人きりにさせようとしたところにビスケットの欠片を押し付けられる>>22。 戸惑っているうちに口の中に押し込めらられば、口を動かしながらおとなしくシーシャの隣に並んだだろう。
ビスケットって、こんな味だったっけ。 それは思ったよりも味がしなかった。]
(29) 2014/09/10(Wed) 01時頃
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[沈黙。 重苦しいとは感じない。 男も相手>>23>>24も前を見据えて、時折手持ち無沙汰に箱のベルトを弄っていた。
開いた口から出てくる言葉は、何処か重い。 心臓が拍を打つ準備をしている。
しかし、机の上に並べるような語り口から単に自分を見たかもしれないと言うだけで。 なんだ、そんなの何時でも言ってくれて良かったのに、なんて
『フリーク・ショー』
思った瞬間 の 一言。 長い沈黙。]
………知ってるよ。 でも、どうして突然?
(30) 2014/09/10(Wed) 01時頃
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[思い出そうとする。 覚えているのか、教えてもらったのか定かではない何かを。
左腕に、別れを告げる前のこと。 まだ僕が、自分をよく分かっていた頃。
拍手。 観客の笑顔。笑顔。笑顔。
笑顔………だっただろう?
だって、そのために、僕は、 歌を 歌 っ て ]
……………そろそろ、演奏しなきゃ…
[フラリ。立ち上がる。 空気のような声が漏れる。]
(31) 2014/09/10(Wed) 01時頃
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──『まだ』、あんのかな、って。…今でも。
[戸惑うようなヤニクの答え。サーカスの一団に居たのなら、なおさらソレ≠ノ好い響きは感じなかったかもしれない。
芸とは違う、浅ましい見世物小屋。 ひとかけらの自由も与えられず、泣き暮らしながら、それでも憧れた。外の世界に。]
あ──…悪ぃ、やっぱあんま面白いハナシじゃねぇな。そもそもあんま覚えてねえし。無し。いまのナシな。
[ゆるく首を振って、ヤニクを見る。 ふらふらと立ち上がった男の声は、どことなく夢の中をさまようようで。>>31 中庭を染めぬいた金色の夕日の中、その横顔に、いまより少し幼さの残る彼の姿が重なった。
雨の日曜日。サーカス。テント。きらきらと、眩しいくらいに煌びやかな照明と。アコーディオンの音。赤いフード。鮮烈な、一枚の記憶。 青年は目を細める。哀しげに、少し、いとおしそうに。]
ずっとな。オマエのシャツに名前書いたあの日から。ずっと。 ──オマエが、ここに、来なけりゃ良かったのにって。思ってたよ。
(32) 2014/09/10(Wed) 01時半頃
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[スティーブンから問いかけられ 少し考えながら]
…書庫でよく見た、先生かしら
[昨日、何について話したか 日記を見た限りでは、いつも通りに花の話題 それくらいしか記述はなかったのだが、そう答える]
花言葉に詳しくて… 確か、昨日はスイトピーを下さった けど…どうしてだったかしら?
[昨日、話した言葉は記憶の隙間から いとも容易く、こぼれ落ちていた故に その理由も、もちろん分かるはずもなく
ただ、首を傾げるだけであった]
(33) 2014/09/10(Wed) 01時半頃
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––何処かのファイルの隙間––
[カルテ添付資料/治療上の注意事項
花に向かって、怒鳴る。吼える。 逃げる気か、俺が俺という理由を奪う気か、等と叫び 誰彼構わず掴み掛かる為、他患者と隔離する事。 激昂し、奪い返そうと攻撃的反応を見せるため、 花弁の採取・掃除を行ってはならない。 感情が昂れば昂る程、花が多量に発生し それだけ人体が損傷する。 一定間隔で鎮静剤等を使用する。 耐性が早々と付かない様、量に注意。]
[––––施設に運ばれてきた時、その患者は。 名前を聞いても、答えられずに。 車のルームミラーに映る、自分の顔に怯えていたのだけれど。]
(34) 2014/09/10(Wed) 02時頃
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[片腕の垂れ下がったパーカーを見るたびに。 器用に片手で食事をする彼を見るたびに。憧れたサーカスの、その象徴のような、赤いフードを見るたびに。
サナトリウムに来る前の青年が憧れた、『外の世界』の、それ。なぜそれが、この箱の中にあるのだろうと。理不尽な怒りが、切なさが、どうにもぶり返して。 毛嫌いというわけでは無いけれど、男へのアタリはキツかった自覚がある。]
(八つ当たり。だよなぁ。…だっせぇ。)
[それでも。それでも、彼の演奏を聴くのは。低い声が、唄うのを聴くのは。]
なあ。 弾いてくれよ。唄っててくれ。オレは、前のオマエも今のオマエも──、
[忘れないから。
言って、願う。どうか彼の花が、今以上に咲かないように、と。今も鮮明に残るあのサーカスが、ずっと途切れないように、と──叶う筈のない願いを。]*
(35) 2014/09/10(Wed) 02時頃
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[『謎掛けをしよう。』 頭に響くのは自分の声。
ステージの上のスポットライトは橙色だったか? 溶け入りそうな橙色は夕日だったか? 聴いた気がしたギターの音色は 紫色の暗幕の向こう側は 濃紺の影に潜む青年は誰だったか?
……シーシャの声>>32は、少女から仄かに薫る花の匂いに紛れて消えた。 フラリと立ち上がる。 所在の無い左袖が 揺れて。
立ち去る際、相手の言葉>>35を背中で受け止める。
"来なけりゃ良かったのに、って" 僕もそう思うよ。 でも、もう此処に居ない未来なんて想像出来ない。 彼と出会わず、彼女の開花を見届けない、そんな時間が訪れない世界は、過去の何処かに置き去りにしてしまった。]
(36) 2014/09/10(Wed) 03時頃
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["弾いててくれ"
目を開いて、ゆっくりと振り返る。 陽光を挟んだ向こう側にいる彼らは、広葉樹が影になって顔がよく見えなかった。]
鳥が棲家に帰るまでの演奏は、ペラジー…君の為に。 その後の演奏は、…………、
[上手く言葉が出てこなかった。 口上だけは得意なつもりだったのに、可笑しいな。
言葉にしないまま、彼に向かって微笑んだ。 その顔が、診察室で見たシーシャのものと似ている事には気がつかない。
そうして踵を返すと、男は箱の中へと消えていった。*]
(37) 2014/09/10(Wed) 03時頃
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[送り主について 他に覚えていることはあっただろうか?
なけなしの記憶を 手繰り寄せようとしてみれば 左手首に痛みの警鐘が鳴り響く
それに驚き手首に視線を移すと 蔓は伸び、棘が肌に食い込み、花はより深く赤く 強い香りを放って、艶やかに咲き誇っていて
その姿に思わず顔を強張らせる スティーブンは何かをいったのならば]
(38) 2014/09/10(Wed) 04時半頃
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…大丈夫、すぐに治ります
[と、答えてしばらく痛みを堪えていたか
大丈夫、じきに忘れる 通り過ぎ行く嵐と同じようなもの 過ぎてしまえば、なかったことになるのだから
これも、きっと多分 いつも通りのことなのだろうから
そして、その通りになった後 スティーブンから問われてこう返してから どこかへふらりと向かって行く]
…ほら、なんともないでしょ?**
(39) 2014/09/10(Wed) 04時半頃
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お針子 ジリヤは、メモを貼った。
2014/09/10(Wed) 04時半頃
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[ヤニクが出て行った中庭に、暫しそのまま佇んでいた。 去り際の男の顔が、泣き笑いみたいで。>>37 押し付けに近い願いが叶うことが無いのは、彼も自分も百も承知だ。明日も、明後日も。そんな保証はひとつもないのに、いつもいつも、本当に言いたいことは上手く伝えられない。]
──…憧れてたんだ。 オマエは、俺にとって、外の風景だったから。
[今更落ちた言葉は、砂を噛むようで。 瞼の裏では、あの夜のサーカスが、今も躍る。]
(40) 2014/09/10(Wed) 08時半頃
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…ん。冷えるよな。部屋、戻るか。
[沈んだ日に少し身震いして。 もう一度、隣の少女を抱き上げた。ゆっくり中庭を一周まわり、それから彼女の部屋へと向かう。]
おやすみ。……チビ助。
[ベッドに寝かせたペラジーの頬を、名残り惜しげに一度撫でる。 纏い付くように咲いた彼女の花を、そうっと、一輪だけ摘んだ。 傍を離れて、また廊下を歩く。
途中、すれ違ったスタッフに、少女を頼むと医師への伝言をして。 ──何処かで唄は、楽器の音は、鳴っていただろうか。自室へと向かう青年の足取りは、まるで幽鬼のようだった。]**
(41) 2014/09/10(Wed) 08時半頃
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―中庭―
[しゃり、と齧ったリンゴの味を、忘れないうちに。 対価に失った記憶が、分からなくならない内に。 記録を、残さなくては。 そんな使命感に似た気持ちから、立ち上がり>>3:114。 誰かがやって来る足音>>12に、ぼんやりと視線を向ける。
何故だかそこに、いてはいけない気がして。 たっと駆けて、その場を後にする。 彼らが入ってくる別の扉から、中庭を出て、その扉を閉め。 預けた背中の向こう側、何かの気配を感じて。]
…おやすみ。
[誰にともなく呟いたのだった。
きっと、誰かが永眠りについたのだと、察して。]
(42) 2014/09/10(Wed) 10時半頃
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――… 涙流れて どこどこ行くの… 愛も流れて どこどこ行くの… そんな流れを この内に… 花として 花として 迎えてあげたい…――
[口をついて出た歌を、密やかに静かに、口ずさみ。 あの扉の向こうで、花となったのは誰だろうと、ぼんやりと思う。
廊下を進み、自室へと帰ると、まっすぐにコルクボードへと向かい、増やせない写真の代わりに、減らすことになるのだろう写真を眺めて。 ため息を一つ着く。]
(43) 2014/09/10(Wed) 10時半頃
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[人は、彼女を優しいというのかもしれない。 けれど実の所、あんな言葉は、あんなことは、誰にでもできるようなことだと、彼女自身は思っている。 性格故か、幼いころは敵を作りがちだった彼女の身に着けた、処世術。 ただ、それだけだった。
忘れたくない、失う記憶を手放したくないから。そんな言葉の裏腹で。 その処世術の一環として、共に生活する人たちの名前が呼べないと困るから作ったのがこのコルクボード。 本当に忘れたくないのか、と言われると、厳密には違うと思う。 そんな、純粋な、ものじゃない。
ただ、ここで、生きていくため。 必要だから、やることだった。]
…忘れられるのは、辛いもの…
(44) 2014/09/10(Wed) 10時半頃
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[枕元のノートを広げ、ぱらぱらとめくって行く。 赤の入っていないページは、あと僅か。 探すのも大分、楽になってしまった。
最初は、無くした記憶を探すのにも、苦労したものだけど。]
…あぁ。
[止まった先のページを眺め、彼女は目元を緩める。 あの人に、手料理をふるまった時の話だ。 それは何度目だったかはもう、分からないけれど。
一生懸命に料理本とにらめっこして、作ったのに、どうしても写真の通りにならなくて。 泣く泣くそれを出したけれど、一口食べたあの人は、見てくれの割に味はまともなんだよなぁ、と。 撫でてくれた指先の感触を、もう、思い出せない。]
(45) 2014/09/10(Wed) 10時半頃
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…ッ…!
[きゅう、と痛む胸を強く抑え、固く目をつぶる。 思い出せない。 それがどれだけ苦しい事か、もう十分に知っている。 今更、そう、今更よ。]
…分かってる…ッ
[忘れた分の思い出を、新たに継ぎ足せればどんなに良いか。 そう願っても、あの家を捨てた日に、そんなことはとうに覚悟していたはずで、 だって、あの人が、忘れられてしまった時にどんな顔をするか、容易に想像できてしまって、 そんな顔、させたくなくて、 だって、それは、とっても辛いから、 だから
あぁでももう思い出は、たったの2ページしかない…!]
(46) 2014/09/10(Wed) 10時半頃
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やだ、やだよ 私、あなたのこと忘れたくないよ 他の全部捨てても良い あなたのこと、あなたの事だけは まだ、まだ忘れたくない…!
[部屋の外へ聞こえないよう、押し殺された嗚咽は、彼女の胸を更に押しつぶす。 彼女の症状が割合軽いのは、病気の初期段階から真面目に治療を受けていたから。 それは、あの人との約束でもあったし、一日でも長くあの人を胸の内に残しておきたかったから。 けれど、それが、叶わないなら。]
…お花になったのは、誰かしら。 大切な記憶を失って尚、生き延びるくらいなら、いっそ…
(47) 2014/09/10(Wed) 11時頃
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―朝―
[自室で目覚め、まずは新たなリンゴが無いことに、安堵する。 しかし代わりなのだろうか、花びらで埋め尽くされたベッドに気付き、何とも言えない心持になった。 立ち上がり、目に留まるコルクボードを、じっくりと隅から隅まで眺め。 やはりというかなんというか、随分と色々忘れていることに気付く。]
…クラリス、愛称クリス。私。勿忘草病。 …スティーブン先生。おくすり、貰う… …サミュくん。ピーマン苦手… …まぁさん。絵描きさん…日向ぼっこ… …ペラジーちゃん… …シーシャさん…時々機嫌悪い。お局(と言ったら怒られた)… …セシル…(`ε´#)…おこ…? あと…は…?
[貼り付けられたメモを、飛ばし飛ばしで読んで。]
(48) 2014/09/10(Wed) 11時頃
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[つきんと痛んだこめかみを、指先で抑えた。 無理矢理記録として記憶とつなげていた糸が、切れかけている。 一枚の写真を元に、その表情を想像するのが難しい。 それは、記憶のピースが多く失われたことを意味していた。]
…まいったな…
[困ったように、へらりと笑って。 彼女はそっと呟く。 後で、先生の所へ行こう、と心に決めた。
身支度を終え、部屋を後にする彼女の髪の隙間から、緑の葉が顔を出し。 するすると、つるを伸ばして彼女の髪に絡みつく。 それは、見る人が見れば、蔦の葉であると、一目瞭然であったことだろう。]
(49) 2014/09/10(Wed) 11時半頃
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––朝、廊下––
[ガラスとガラスがぶつかり合う小さな音。 手提げの中身、そして片腕に抱えるのは窓際に鎮座していた容器達。 片足だけにスリッパを履いて。もう片足は靴のまま。 少し皺の多いシャツも昨日のまま、ZURIEL、の文字が風に靡く。腹に踊る。
男は進む。 食堂とは全く別の方向に。 上階へと繋がる、階段の方角。]
っ、と と とととっ……すんま、せんっ。
[ずり落ちかけた片腕のガラス容器達に意識が奪われた刹那 逆方向から進んで来た人物に気付かず、衝突しかける。 避けられただろうか。軽く掠めてしまっただろうか。 相手が転んでいないか、無事かどうか確かめようと。首を伸ばしてその人間の方を見る。
(50) 2014/09/10(Wed) 11時半頃
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[赤で包まれた頭…だが、左袖は空では無く 棘の付いた蔓と赤が絡んでいる。 振り向いた顔は女性のもの。 身長は近かったが、魔法使いの彼では無かった。]
……おはようござい、ます。 …えと、大丈夫、です?
[歯を見せず、緩く会釈をしてから、確認するように。 大丈夫、と問う男の首元には、項には、 砂色の蕾が今まさに。あくびをする様に、ゆっくりと花開こうとしていたのだけれど。]
(51) 2014/09/10(Wed) 11時半頃
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─208号室の患者─
[自室。締め切ったカーテンの隙間から、月明かりが零れ落ちる。 青年は結局、食事を取りには行かず、医師の元にも戻らなかった。
ベッドの上で薄い毛布を頭から被り、子供のように膝を抱える。 傍には、中庭の前で拾った鴇色の花びらと。少女から手折った、まだ新しい花。
翳の落ちた瞳はいつかよりもずっと虚ろで、薄い唇は音に成らない音を紡ぐ。 何度も何度も落ちる浅い微睡みの中で細切れに夢を見た。
居なくなった誰か。知っている筈の場所。白いドレス。赤い背表紙の日記。雨の日曜日。みんなで逃げた。ペンと、シャツと。だいじょうぶって言ったあの人。飴玉。ギラついたたくさんの目。カーテン。弟の、怯えた顔。でも、もう。]
……おもい、だせない……
[噎せ返るような甘い薫り。月明かりが忍び込む。スティーブンすら立ち入らせないその部屋の中は。
壁も天井も床もベッドの上さえも。おびただしい「誰かの花」で埋め尽くされていた。]
(52) 2014/09/10(Wed) 15時頃
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[青年は、ここに来る前のことは、あまり覚えていない。 途切れ途切れの音と鮮明な映像が残るのみで、感情や経緯はそのほとんどがとっくの昔に咲いて、散ってしまった。 けれども、写真のフィルムのように焼き付いた映像を並べてしまえば、それは無声映画のように編み上げられたストーリーになって。 知りたくもない現実は、『記憶』として彼を苛んでいた。 奇形の獣や人間を集めた見世物小屋。 向けられる好奇の目。泣けば花が咲くからと、随分手酷い扱いを受けた事。 雨の日曜日に、街へ来た大きなサーカスの一団。喧騒に紛れて、みんなで逃げた。一緒にいたのは皆、ささやかな金で親に売り飛ばされた者達ばかり。 赤いフードの誰かを見掛けたのは、おそらくその逃亡劇の途中で。人に紛れるために忍び込んだサーカスのテント。同じ見世物の筈なに、こんなにも鮮やかな世界があるのかと。
逃げ出した興奮とあいまって、その日はなかなか寝付けなかったのは、まだ憶えている。]
(53) 2014/09/10(Wed) 15時頃
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[追われているのか、どうなのか。 それすら分からないまま、皆で、出来るだけ、出来るだけ遠くへ。そうやって渡ってきた。 けれど、もうずっと長いこと奇病を患っていた彼は、さまざまな事を取り零してしまう。仲間の名前。これから何処に向かうのか。自分を呼ぶ声。人間らしい生活の、根本的な事まで。
大丈夫。そう言ったのは、誰だったか。シーシャ、お前が憶えていられるように。そう言って、互いのシャツに名前を書く。皆がみんな、笑顔だった。 声を名前を忘れても、その切り取った一枚なら。お前、憶えていられるだろう?だから、大丈夫だと。]
……だれ、だったっけ……
[そう言った彼の。仲間の。顔が。切り取った筈のその映像が。もう。]**
(54) 2014/09/10(Wed) 15時頃
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―日が沈んだ頃―
[シーシャとペラジーと別れた後の事。 何処かの誰かが眠りにつくまで、静かなリズムで蛇腹を伸ばす。
彼との約束が果たせない事
紫色のブーケが咲いた事
当たり前のように、明日に先延ばしにする予定。 花が咲いても急ぐ事はない。 だってこれが今男が持っている、愛すべき日常。]
(55) 2014/09/10(Wed) 17時頃
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[風に踊らされる花々が、夕日が差し込む、四角く切り取られた壁の内側。]
––––– Con te partirò Paesi che non ho mai –––…
[閑散とした廊下に響き渡るアコーディオンの音色。横長のベンチに腰掛けて……忘れてしまった歌詞を、雑に広げた楽譜で埋め合わせながら
男は、歌うことを やめない]
(56) 2014/09/10(Wed) 17時頃
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