人狼議事


191 忘却の箱

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【人】 お針子 ジリヤ

[その晩、中庭に若い林檎の木が増えた
 人の姿の頃の名残りを探すなら
 両腕を伸ばした姿に見えなくもない

 その左手と思わしき枝の先には
 宿り木とはまた違う紫苑が生い咲いて
 まるでアメジストの婚約指輪のごとく>>5:86

 それから程なく屋上からひとり
 花を咲かせて、羽ばたいた

 その宿主がかつて原書の「雪の女王」を
 差し出したのを>>5:71>>5:72覚えているのは
 書庫に飾られた絵の花たちだけ*]

(4) Arianrhod 2014/09/13(Sat) 02時頃

【人】 お針子 ジリヤ

[その時は、突然訪れた
 朝、目覚めてすぐに机の上に活けていた花を
 書き終えた日記のページにしっかり挟んだ

 その足は、迷うことなく階段へ
 最上階に作られた、天窓のあるペントハウスへ

 白く塗られた金属の螺旋階段を登って目指す
 ぐるりと円を描いて上へ上へと向かう様は
 さながら、天へ伸びゆく蔓のごとく]

(5) Arianrhod 2014/09/13(Sat) 04時頃

シーシャは、お喋りの続きはまた明日。おやすみ。**

roki 2014/09/13(Sat) 04時頃


【人】 お針子 ジリヤ

 ご機嫌よう…気紛れな蝶々さん

[天窓の部屋についたなら、ふわりとほほ笑み
 ひらりと舞う蝶へ手を延ばす

 翡翠に似た碧の羽をはためかせ
 宙に舞っていた蝶は、その指先に留まった

 指先には棘のある蔓が螺旋を描いて絡まって
 葉と、いくつもの蕾が現れて
 天へ向かって伸びてゆく

 陽の光を浴びて、葉は広がり
 蕾は膨らみ色づき開いてゆく

 その色は、目が覚めるような深い青]

(6) Arianrhod 2014/09/13(Sat) 04時頃

【人】 お針子 ジリヤ

 …夢が叶う?

[初めて咲いた、青い薔薇は空のような色だった
 その花が咲いた時
 ひととして生きる希望がなくなった

 母や自分や飼っていた黒猫の名前すら
 それぞれ、混ざり平然と呼び間違う父親

 彼にとって自分以外は全て同じ
 自分の望みを叶える道具、ただ家にいて
 彼の望むがままに笑えばいいだけのお人形

 そうあれと、自分や母の言葉などないのだと
 心身への暴力を与えていい聞かせていた日常は
 この病で、皮肉な崩壊を迎えた]

(7) Arianrhod 2014/09/13(Sat) 04時半頃

【人】 お針子 ジリヤ

[母は吹雪の夜に白い薔薇となった
 それを看取ってすぐのこと
 青い薔薇は咲き、花弁は風に散っていった

 次に咲いた薄桃色の薔薇は
 何がきっかけで咲いて枯れたか
 すでに、誰にも分からない]

(8) Arianrhod 2014/09/13(Sat) 05時頃

【人】 お針子 ジリヤ

[その次に咲いた黒い薔薇は
 父を手にかけたと同時に根腐れを起こして消えた

 自分が生まれた時から死んでいるのだと
 自分は生を受けたことから
 その家で生きていくのに必要なものは全て
 自身が与えたもの
 故に生きていない、生きる権利すらないお人形

 だから、心すらも持つ権利などないのだといい放ち
 従わない母や自分へ、平然と暴力でねじ伏せていた

 どこかの誰かの借り物の論理で自身を纏い
 価値観すらも、お仕着せだけの身勝手な

 ──すでに記憶からも葬り去った男と共に]

(9) Arianrhod 2014/09/13(Sat) 05時頃

【人】 お針子 ジリヤ

[その後に赤い薔薇が芽吹き咲いたのは
 ここに来る少し前

 憂い、嘆き、憎悪、怒り、それから絶望
 黒い薔薇と共にそれらも失って
 年老いた黒猫と穏やかな日々が訪れてから

 しかし、母はとうに亡くしていたし
 父親からは、それを受け取れなかった故に
 それを知ることは出来ず、与えることも出来ず

 花は咲き切ることが叶わず
 芽生えるその時を待つしかなかった]

(10) Arianrhod 2014/09/13(Sat) 05時半頃

【人】 お針子 ジリヤ

 今日はとても気分がいいの

[指先の蝶に語りかける]

 空は青いし、気持ちいいわ

[天窓から降り注ぐ陽射しを浴びて
 伸びをする猫のように、あくびをひとつ]

 ふふっ、お行儀悪いけど

[腰を下ろしてから、ころんと横になる
 指先から離れた蝶は見下ろすように飛ぶ]

(11) Arianrhod 2014/09/13(Sat) 05時半頃

【人】 お針子 ジリヤ

[蝶を見つめたのは、ほんの一瞬
 そっと目を閉じて口ずさむのは書庫で歌った恋の唄]

 Parsley, sage, rosemary and thyme…

[唄は少しずつ、記憶から薄れてゆき
 螺子の切れたオルゴールのように旋律は緩やかに
 それも途切れた頃合いに、ぽつりとつぶやいた

 そのつぶやきを聞いていたのは──碧い蝶々だけ*]

(12) Arianrhod 2014/09/13(Sat) 05時半頃

【人】 お針子 ジリヤ

[左手に赤い花、右手には藍の花
 心臓の位置から紫の花を咲かせた蔓薔薇が
 ペントハウスに現れた日

 『ご機嫌よう、私の青い鳥』

 最後にそう書かれ
 紫のスイトピーが挟まれた日記帳が
 宿主の部屋から発見される

 その日記帳は、今は書庫で眠る
 誰かに、読まれるのを*待つ「物語」として*]

(13) Arianrhod 2014/09/13(Sat) 06時頃

【人】 見習い医師 スティーブン

-ざわめき-

[診察室へ、数名のスタッフが駆け込んでくる。
その表情は険しく、言葉は鋭い。]

――クリスと、シーシャが……

[スタッフが口々に言葉を発する。

曰く、近隣住民の評判が。
曰く、何かあった場合遺族へどう説明すれば。
曰く、管理体制への指摘が。

その一つ一つを聞きながら、スタッフである彼らの考えを、男は感じていた。

勿忘草病は感染するものではない。
だが知識があり身近で世話をしている彼らですら、それは忌むべきもので人々の目に晒すものでないと考えているのだ。
それは。]

(14) sainos 2014/09/14(Sun) 13時頃

【人】 見習い医師 スティーブン

君たちは―――どうすべきだと思ってるんだい?

[内心の反吐がでそうな感覚を抑え込み、男はスタッフに問いかける。]


出先での急変は確かに心配だ。
―――だが、彼らだって外出する権利があるんだ。


[そうして目の前の人間に対して、静かに、しかし血のにじむ声で告げる。]



彼らは人間だ。

(15) sainos 2014/09/14(Sun) 13時頃

【人】 見習い医師 スティーブン

[二人が帰ってきたのは、すっかり夜の青い闇が手を伸ばしたころだった。

帰宅を告げるスタッフの声に診察室を出る。]


おかえり。


[医師はそう言って、微笑みながら二人の頭をなでた。
謝罪の言葉を聞きながらくすくす笑う。]

―――どこに行ったんだい?よければ……僕にも聞かせてくれないかな。

[久しぶりに青年の目に灯っていた光に少しだけ、驚きと喜びを感じながら。]**

(16) sainos 2014/09/14(Sun) 13時頃

村の更新日が延長されました。


【人】 見習い医師 スティーブン

-その夜更け-

[細く開けた窓からは、少しだけさやさやと風が入っていた。

窓をそろそろ閉めようか。
寝床についたものの体のおさまりは悪く、寝返りを打った瞬間、ざあ、と風が大きくレースのカーテンを膨らませた。]

―――……?

[身を起こし窓に手をかけ―――またざぁっと風が、花びらを乗せて吹き込む。>>87


――――花びら?誰の?]


………ああ。君か―――

[窓の外を見れば、中庭の淡い光の中、林檎の木がさやさやと揺れていた。

しばらく男は、その木をただ見つめていた。]

(17) sainos 2014/09/15(Mon) 20時頃

【人】 見習い医師 スティーブン

-昼下がり-

[男はすでに「咲いてしまった」みんなのカルテを一つ一つ机に並べていた。
今までも、一気にみんな咲いていくことはあった。
季節の変わり目は、特に顕著な気がする。

――かつて自分が書きつけた文字をゆるゆると指でなぞる。

これらのカルテは、一部のコピーを外部の研究機関からの依頼で渡す以外は、ほとんどが書庫の鍵付き書架にしまわれる。


今まで、様々な患者たちがここで暮らし、そして―――]

(18) sainos 2014/09/15(Mon) 21時頃

【人】 見習い医師 スティーブン

[追憶はドアのノックで途切れる。

開けばそこには賄い婦がいた。
少し怪訝そうな顔をして、屋上から花が降ってくる、と彼にドライフラワーを手渡す。]


………!!!


[見た瞬間、彼は跳ね上がるような勢いで屋上への階段を駆け上がり始めた。]

(19) sainos 2014/09/15(Mon) 21時半頃

【人】 見習い医師 スティーブン

-屋上-

[屋上の扉を開けた瞬間、まさに彼は、そのフェンスを乗り越えたところだった。>>81]


やめろ―――!!



[男は珍しく声を張り上げる。
目の前の青年の、広げた両腕に広がる、花、花、花。


花が記憶を吸って咲くなら、彼の花は、いったい何を吸って。]

(20) sainos 2014/09/15(Mon) 22時頃

【人】 見習い医師 スティーブン

[羽根みたいだろ>>82、と問いかける声に、くしゃりと顔をゆがめる。]


―――覚えてるよ、覚えてる。


[彼は、他の患者よりも長くここにいた。
―――いや、他の患者に取り残されて、ここにいる。

何度も何度も傷つき、時には自分を傷つけて、ここに。]

(21) sainos 2014/09/15(Mon) 22時頃

【人】 見習い医師 スティーブン

[男に何が言えるだろう。

何が言えただろう。

忘れることを忌み嫌う青年と、忘れることのできない男。

対鏡のように向き合った二人は真逆のはずなのに、抱える悲しみは何故か似ていた。]

(22) sainos 2014/09/15(Mon) 22時頃

【人】 見習い医師 スティーブン

―――シーシャ、待て―――待ってくれ、まだ―――

[まだ、君は、人間だ。

その言葉を最後まで言う前に、ふわりと白い羽が宙を舞う。

はじかれたように金網に、体をぶつけんばかりに走りこめば、宙を舞う白い花の中で、シーシャの唇が、かすかに言葉を形作った。]


―――僕は、何もしてない―――


[救われていたのは、僕のほうだったのに。]

(23) sainos 2014/09/15(Mon) 22時頃

【人】 見習い医師 スティーブン

[糸が切れたようにがくりと膝をつけば、下から喧騒が薄く聞こえてくる。


金網越しに舞い込んできた白い花びらが手のひらに触れ、男はかつて彼がそうやっていたのと同じように、くしゃりと握りつぶした。]*

(24) sainos 2014/09/15(Mon) 22時半頃

【人】 見習い医師 スティーブン

-いつか-

[早朝、中庭の花々に男はホースで水を与える。]


おはよう。

今日はいくつ実をつけたんだい?

ずいぶんたくさん咲いてたね。

今日も元気だね。


[掛ける声の先の花が、雫に揺れる。
一通り水遣りが終わったころ、スタッフが男に声をかけた。]

―――ああ、新しい患者だね。わかった。

(25) sainos 2014/09/15(Mon) 23時頃

【人】 見習い医師 スティーブン

[診察室に座っていた患者が、少しおびえたような顔でこちらを見る。]

緊張しないでいいよ。少しだけ話をしよう。

[そう言ってカルテにペンを走らせる。]


この花は、いつから咲いたんだい?

[椅子に座ったまま、男に対して言葉を一つ一つ選びながら、自らについて語る。
それを一言一句逃さぬよう書き留める。
男の仕事は、救うことではなく、覚え続けることなのだ。

そのために、ただひたすらに、記録を続ける。]

(26) sainos 2014/09/15(Mon) 23時頃

【人】 見習い医師 スティーブン

[彼の記憶の中には、たくさんの花が詰まっていた。]

(27) sainos 2014/09/15(Mon) 23時頃

【人】 対面販売 クリスマス

―脱走後―

[おかえり、と言ってくれた先生>>16
ただいま、と少し後ろめたそうに答えるが、暖かい様子の先生にそっと胸をなでおろし。]

 うん、あのねー丘の上から、海を見てきたのー!

[気持ち良かったぁ、と繋げては、満足そうな顔を見せる。
それからふと、思い出した様に手元のリンゴに目をやり。]

 あのねぇ、せんせ、これ、あげるー

[黄金のリンゴを差し出せば、先生はそれが何であるかを悟っただろうか。問われば、彼女は少しだけ、首をかしげた。]

 うーん、あのねぇ。
 多分それ、もう、いらないんだぁ。

[彼女自身も自分が何を言っているのかよくわかっていないのだろう。少し不思議そうに答える。
しかしその様子からは、朝のどこか思いつめたような様子は消え、穏やかな気配が感じられたことだろう…*] 

(28) だいち 2014/09/15(Mon) 23時半頃

【人】 露店巡り シーシャ

[つま先がコンクリートの地面を離れる。身体が傾く。
フェンスから手を離した瞬間、駆け寄ったその人の指先が、ほんの一瞬だけ、触れた気がした。


いつも髪を撫でてくれた、あの、やさしい手。



────それだけで、もう、全部。満足してしまった。]

(29) roki 2014/09/16(Tue) 00時頃

【人】 露店巡り シーシャ

─エピローグ・208号室の患者─

(30) roki 2014/09/16(Tue) 00時頃

【人】 露店巡り シーシャ

[丘の上では、白い風が吹いている。
緩やかな傾斜の坂道を、背の高い青年がゆっくりと登っていく。手元のメモから顔を上げると、道の上に小さく白い建物が見えた。
まるで箱のようなその建物の周りには、色とりどりの花が咲いている。

坂を登りきると、一度辺りを見回してから。細身の体は、玄関へと吸い込まれていった。空は高く、突き抜けるような晴天。蝉の声はもう、無い。]

──そう、ですか。

[サナトリウムの応接室。向かい合って座る医師が話し終えると、青年は静かな声で言った。手にしたコーヒーカップの中、満たされた液体が小さな波を立てる。
ソーサーの上にカップを戻し、両手で目元を覆った。事前の電話で知っていたことではあるけれど。吐いた息が、震える。]

やっと…やっと見つけることが出来たんですが…
そうですか…兄は、死んだのですね……

[うつむいた顔を、黒い髪が隠す。
チョコレート色の瞳が見詰める、デスクに広げられたカルテには。

アルセーニー・ナルギレ

それは、かつての、208号室の患者の名前。]

(31) roki 2014/09/16(Tue) 00時頃

【人】 露店巡り シーシャ

…すみません。──部屋を、見せてもらっても…?

[目元を拭った青年が、泣き笑いの顔で医師に問う。了承を貰えば、礼を述べ連れ立って歩きだした。]

……父が、兄を金のために売ったのを知ってから。
オ…僕は家を出て、自分なりに行方を捜していたんです。あの人の髪と瞳の色はとても目立ちますから、きっと見付けてあげられると思っていたんですが…
少し、…遅かったんですね……

[青年は歩きながら、ぽつぽつと話す。依然潤んだ目のまま、時折、リノリウムの床を見つめて。]

ここに居る事を教えてくれたのは、サーカス団員の方でした…
かつて兄と同じ場所から一緒に逃げた方の、一人で。

[手紙をくれたんです。
呟いて、視線を上げた。そこは208号室の部屋の前で。
青年は、一度だけ大きく息を吸って。その扉を開けた。]

(32) roki 2014/09/16(Tue) 00時頃

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スティーブン
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