213 舞鶴草の村
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……ねぇ、えぇもんあげようか。 お口、あーんしてご覧。
[手にした袋に入ったものは、昨日あの異人の薬師から貰った星の菓子。 甘い甘ぁいこの菓子が、少しでもその喉を潤してくれれば良いのだけれど、と。 一粒取り出したその菓子を彼女の口の前へと持って行けば、彼女は果たして口を開けてはくれただろうか。
開けてくれないのなら、残念そうに自分の口へ。 そしてもしも開けてくれたのなら、そのままぽいと彼女の口へと放ってみせ、手にある封のあいていない文へと視線を落とす。 ひとつ、ふたつ。視線を辺りに揺らしたのなら、こうして話し込んでいるからか、人もまばらになってはきていただろうか。 其れを確認したのなら、ほんの少しだけ身体を寄せて、文を開け。 ――予想通りの言葉達に小さく鼻を鳴らしたのなら、彼女のその耳へと顔を寄せ、何とか届くくらいの小さな声で読み上げる。]
(91) 2015/01/23(Fri) 03時頃
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『 思い出すだけじゃつまらないかな? そうだ、鬼ごっこをしよう。
私を捕まえてごらん? 捕まえられたら賞金千両とキミが欲しいものを盗んできてあげるよ。 』
――……流石の鼠小僧も、こんな"センス"の無い文じゃあ振られてしもうてもしゃあないね。
[この国の言葉には直せなかった言葉はそのまま、母国の言葉で伝えてしまったけれど…意味くらいは、察して貰えたと期待して。 文を畳み、彼女の手へと返しながら。 "そうは思わへん?"――なんて戯けて聞いてみせたのならば、彼女の反応はどうだっただろう。]
(92) 2015/01/23(Fri) 03時頃
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薬売り 芙蓉は、メモを貼った。
2015/01/23(Fri) 03時頃
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[スティーブンと名乗った薬師を見ながら、心の中で反芻する。…渡された紙にもそのように書いてあったのだろうか。生憎紙に名前を書いて渡す、という習慣が無いために注意深く見ていなかったのが祟ったのだろう。
"探していた"という言葉を聞き、そうですか、とにこりと笑う。探されるような覚えもなければ、彼の言葉の先を待つ。…そして、彼の取り出した手紙を見て思わず息を飲んだ。]
……なるほど。異人狙いの悪戯、ということですか…。…その手紙なら、僕も。
[この髪色だ。異人狙いの悪戯なら、僕宛てに手紙が来てもおかしくないだろう。そう思い、僕も袂から手紙を取り出し彼の前に広げた。そして、二つめの手紙は?と尋ねた。]
(93) 2015/01/23(Fri) 11時頃
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座敷守 亀吉は、メモを貼った。
2015/01/23(Fri) 11時頃
薬売り 芙蓉は、メモを貼った。
2015/01/23(Fri) 11時半頃
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[彼の手に在る手紙>>93を見れば、きゅうと目を細め。やはり異人を狙っているのだろうか、なんて。舌を打ちそうになるのを必死で堪える。流石に客の前でそんな真似をする程、余裕を失ってはいない。
二通目の所在を尋ねられれば、一つ肩を竦め。手にした手紙を再び仕舞いながら口を開く]
来ていましたが、捨ててしまいまして。 巫山戯た内容でしたし、ついつい。
[流石に破り捨てたとまでは明かさず、二通目の手紙の内容を思い出せば、不快そうに眉を寄せ]
……手紙の差出人は誰なんでしょうね? 心当たりでもありませんか。
["まさか本当に鼠小僧が居るわけでもあるまいに" 冷たい、潜めた声でそう続けて、彼の表情を見る。自分には心当たりは無いが、彼はどうだろう、と。そういう意図で投げた問いには、どんな答えが返ってきただろう]
(94) 2015/01/23(Fri) 12時頃
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――手紙の内容が内容ですし、往来でする話ではありませんね。 何処かこの話をするのに、具合の良い場所を知りません?
[賞金と欲しい物をと書かれた手紙は、他の者から見たら魅力的に映るかもしれない。薬師はその存在を信じてやいないが、事実大名まで盗まれているのだから、信じる者も居るのだろう。 であれば、こんな話はもっと声を潜めてするべきだ。そう、考えて。それでも、此処で良いと言われたなら、素直にそれに従っただろうけれど]
(95) 2015/01/23(Fri) 12時頃
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[僕が手紙を取り出すと、薬師は忌々しそうに目を細めた>>94。…僕はといえば、このような面白半分な扱いは慣れているため特に何も感じていなかった。…悪戯ならば楼主に報告し辛いな、くらいは考えて少し苛々してしまったが。 手紙を捨てたという彼を見て、くすり、と笑った。]
私も捨ててしまいたいのですがね…。まあ手掛かりは多い方がよし、ということで。
…差出人の心当たり…。最初は遊女の悪戯かと思っていたくらいなので。…ああ、字が上手に書けるならそれなりに学のある人でしょうね。
["まさか本当に鼠小僧かいるわけでもあるまいに"と彼が呟けば、その冷たい声に一瞬どきりとする。…内容に関しては同意見だったので、にこりと微笑んだ後に、"義賊、ね…。信じたい気持ちも分からなくないけど。"の呟く。彼に聞こえてようが聞こえてなかろうが、また笑顔を通すだろう。]
(96) 2015/01/23(Fri) 13時頃
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ああ、それもそうですね。……ならばあちらの茶屋に入りましょう。…江戸の茶は平気ですか?
[薬師の問いに、普段こうして自由に過ごす時間などないので、少し戸惑いながら人の少ない茶屋に手を向ける。彼が同意したのならば、店の前に立つ若い娘に会釈をして店の中に入っただろう。…もっとも若い娘に良い顔をされたかは知らないが。もし断られたならば、少し先の年明きした遊女のやっている酒屋でも目指すだろうが、さてはて彼はどんな反応をしただろうか。]
(97) 2015/01/23(Fri) 13時頃
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座敷守 亀吉は、メモを貼った。
2015/01/23(Fri) 13時頃
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[彼の笑み>>96を見れば、此方も口の端を上げる。実際の所、破って捨ててしまったのは確かに早計だったのだろう。 ただ他に苛立ちをぶつける場所が見付からなかったものだから、仕方のない事。 どうせ知り合いの女の元にも届いたのだろうし、どうしても必要なら彼女を頼れば良いというのもあった]
……やはり、手掛かりらしい手掛かりはありませんか。 学のある者がこんな馬鹿げた真似をするかというと、また微妙な処ですがね。
[そう答える途中、聞こえてきた呟きには僅かに興味を引かれる。それでも、それを口にする事は無く、ただ微笑む彼を見た。 ――こんな眉唾ものの存在に縋る程、彼は欲しい物があるのだろうか。 だとしたら、薬師とは正反対の価値観を持っているらしい。薬師は、欲しい物は自分で手に入れる主義だから。……まあそれも、持つ者の傲慢というやつかもしれないが]
(98) 2015/01/23(Fri) 14時頃
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ええ、構いません。 此方のお茶も、嫌いではありませんから。
[本当なら、紅茶の方がずっと好きだけれど。思いつつも口には出さず。何やら戸惑っているらしい彼>>97に一つ肯き、先行されたならそれに着いて行く。 そうして店内に入ったのなら、店の奥、話の邪魔をされない席へと腰を降ろしただろうか]
…………その。 恥ずかしながら、こういった店に入るのは初めてで。 ……注文は、お任せしてもよろしいでしょうか。
[躊躇いがちにそう告げれば、彼はどんな表情をしただろう。下に向け逸らした視線では、それを見る事は叶わなかっただろうけれど。
茶等態々店で飲もうとも思わないし、甘味も嫌いだ。料理は自分で出来るから、こういった所に来る意味も無い。 だから仕方ないじゃないか、なんて。心の中でだけ言い訳して]
(99) 2015/01/23(Fri) 14時頃
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貴様だって知っているだろう 俺が客として来る事は絶対にあり得ない
[冷たくそう断言すれば勿体振らずにとっとと話せ、と促して しかし続けられた情報には大体予想が出来ていた事と、相手も同じような手紙を持っていた事に少し目を開かせる]
俺の従兄弟にも同じ物が届いていた 二通目は見ていないが恐らくあいつにも来てるだろう
[鬼ごっこを楽しめるだけの人数に手紙を、と言われれば、なるほど確かに。役者全員に配っても悪戯で終わらされてしまい鬼ごっこは成り立たない 知ってるだけで4通。鬼ごっこをするには一体どれだけ人数を集めるのか]
ふん、俺も劇に必要な物は全て揃っていた 金でも物でも無い。奴の言う宝が貴様にもわからないのか
[金しか知らない、とでも言うような女が金を盗まれていないのなら、鼠小僧の言う宝は金だけではないのだろう 貴様に金より大切な物があると言えるのか。なんて茶化そうとしたが、後に続けられた言葉ではやはり沈黙する他無かった]
(100) 2015/01/23(Fri) 14時半頃
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…あり得ない
[知識、時間、人、建物。そんなものが盗めるだなんて、やはり信じられない 信じられないが、信じる他無いのだろう。出ない言葉からようやく出したものは、たったその一言で。それは本当に信じない、というよりは信じたくない。と思い込むようで]
……あぁ、それなりの情報は得たようだ すまないがここで失礼する。鏡が心配でな
[本当に人が盗めるのなら、きっとこのまま終わる事は無い どうにも抑えきれない胸騒ぎを感じて、適当に挨拶をすればおもんから離れ、壱区を出て行くだろう**]
(101) 2015/01/23(Fri) 14時半頃
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学がある人ならば、尚更存在が真実味を帯びてきますけどね。
[…ふと手紙に書かれた"欲しいもの"という単語を見て眉を寄せる。…欲しいもの。昨晩の楼主の姿を思い浮かべて、強欲な人間には反吐が出る、と心底思った。…ああ、もしも鼠小僧を捕まえたのならば"自由"が欲しいとでも言ってみようか。もっとも、手に入れられなくても良いものだけれど。
此処の茶も嫌いでない、という彼に思わず頬が緩むのを感じた。僕は、江戸の文化の中で茶が一番好きだ。…逆に言えばこれ以外には興味がなかった。 店内へ入ると奥の席へ腰を下ろした。]
…構いませんよ。…といっても、甘味は苦手なので茶のみですが。
[躊躇いがちに任せる、と告げた彼を見る。下を向いた彼の表情が分からなくて、少し残念だなと思いながら茶汲み女に茶を二つ頼む。其の後、ああ、甘味頼まれますか?と一言添えれば彼はなんと答えただろうか。]
…ああ、そういえば。遠い異国には綺麗な赤い色の茶があるそうですね。茶と言えば此処では緑ですが、いつか嗜んでみたいものです。
(102) 2015/01/23(Fri) 15時半頃
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座敷守 亀吉は、メモを貼った。
2015/01/23(Fri) 15時半頃
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[――男二人で茶屋というのもどうなのだろうか。 席に着いてからそう考えたけれど、今更どうする事も出来ず。注文は彼に任せると言えば、返って来た答え>>102に視線を上げ。 向かった彼のする、少しだけ残念そうな表情には、内心首を傾げつつ]
……おや、気が合いますね。 僕も甘い物は苦手なんです。遠慮しておきましょう。
[もし彼が甘味を口にするのなら、付き合いで少しくらい食べた方が良いかと思ったものの。彼も苦手とあらば、そんな事をする必要も無い。返す口調にはほんの少しの安堵を乗せて。
紅茶の話題が出れば、彼はお茶が好きなのだろうかと当たりをつけた。先に薬師がお茶でも良いと言った時も、何やら頬を緩めていた様だし]
嗚呼、紅茶の事ですね。 故国から幾らか持って来ているので、お分けしましょうか。
[故国の物へと興味を持たれたれば、少しだけ口の端を上げる。此方のお茶よりずっと美味しいですよ、という言葉はどうにか飲み込んだ。自国の物を下に見られて嬉しいわけがない]
(103) 2015/01/23(Fri) 17時頃
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それとも、一度試してからにしますか。 うちに来てくだされば、いつでもお出ししますよ。
["その時は是非薬も買って行って下さいね"、と。 意地の悪い笑みを浮かべながら、そんな言葉を。旨い紅茶を淹れるというのは、中々手間がかかるものだ。労働の対価を求めてもいいだろう]
……そうだ。 貴方は何か盗まれましたか。"鼠小僧"に。
[茶が来るまでどのくらいかかるだろう。本題に入るには少々早いかとは思ったが、そんな問を投げて。 そうしたら、彼の反応はどうだったろうか。……問の答えは、分かりきっていたけれど]
(104) 2015/01/23(Fri) 17時頃
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ー参区ー
[結局、俺ぁあの後前に行った団子屋で、みたらし団子を食べながら、前の仕事の事をゆっくりと考えてみた。まあ、店じまいで追い出されちまったが… でも、収穫はあった。]
…っぷはぁ。
[参区…この町のお偉いさん達が住む家がある。 ここを、俺はよく知っていて、前はよく来ていた。けれど、なぜ来ていたのかは覚えていない。 つまり、これは前の仕事に関すること。それから、これはこの事を思い出してから気づいた事だが…俺の盗まれたものってのは、その前の仕事に関係しているってことだ。 ここなら、何かきっかけをつかめるかもしれねぇ。]
…うし。
[嫌な気分だ。それほど俺ぁここに来たくなかったのか。でもまぁ、堪えて歩いてみるか。]
(105) 2015/01/23(Fri) 19時頃
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喧嘩屋 辰次は、メモを貼った。
2015/01/23(Fri) 19時頃
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--志乃と茶屋前で--
そお 役者で女形やっとるねん この声と話し方は 職業病みたいなもんで
[>>77道理で――と 途切れた言葉は 此方はそう取り違えて 苦笑まじりに伝える こちらの姿が見えない彼女にはきっと 妙に高いこの声は違和感となっていただろうかと
誘いに対して濁すような返事>>78には ウンウンと相槌を打ちながら]
――"鼠小僧"の件やね ひとを脅かしては 惹きつけて えらい人気者や
[騒ぎ と聞いては 困ったような含みをもたせて笑いながら零す 確かにいまは 誰も彼もが鼠小僧に夢中だ そのお蔭で唄も芝居も上々であるのは 皮肉なものだけれど
暫くはこの街に居る との知らせには よかった と]
(106) 2015/01/23(Fri) 19時半頃
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わかりました ほなまた落ち着いたころに お姉さんの三味線の音とお唄 探しに来ますね
変なことゆうて お邪魔してもてごめんなさいね
[話かけてから どこか心地悪そうにしていた 彼女の心の内の正体は知ることはなく ただ一度 演奏を中断させる素振りもみていたものだから 申し訳なさげに 一言わびて去る
目が見えずとも 誰に依ることもなさげに一人立ちして 凛と生きている彼女は気丈で立派だと そう思う 思えど口には出来なかったのは――少しの劣等感 けれど 背中で聴くうたごえはやはり 悲しくはないのに 心を締め付けるような 何かがあるように思えて 留まって聴いていたかったけれど 名残惜しげにその場を離れていく
いつか舞台で 彼女の三味線と自分の篠笛で共演できんかなぁ そんな思いを馳せながら 買出しを済ませるため 通りを歩いては市場のほうへ*]
(107) 2015/01/23(Fri) 19時半頃
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役者 鏡花は、メモを貼った。
2015/01/23(Fri) 20時頃
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[>>88呆れ目化した言葉に対して抗議を受けたところで、悪びれもせずに鼻を鳴らすのみ。 存外に付き合いも悪くない女だと 緩んだ表情は、態とらしい咳と共に払って。
>>89周囲の喧騒は聞こえてはおれど 注目されてこその商売、人の目を憚るという点においては些か疎い。 だから、後にと回された手紙の事であったり、――または さらりと聞き流された文句であったり。 変わらず不満げな表情は崩さないままであったから、“敵わない” などと、そんな言葉にも 今度は勝ち誇る事もなく。
ただ、その侭すんなりと受け入れてしまうのだけは それこそ以前、遣り手の彼女――おもんが口にしていたように、“掌で転がされている”かのようで、心地が好くは無かったから。 髪に触れる手を半ば無理やり取り上げて、再び髪飾りの元へ運んで。そしてにやりと笑ってみせる。]
商売もへったくれも有ったもんか。 あんたの為に着けんだから あんたに見て貰わなけりゃ、意味がない。
[それは大層な責任転嫁であっただろうけれど、今は突然の贈り物を喜ぶ気持ちより 遣り込められた気持ちの方が優った物だから。]
(108) 2015/01/23(Fri) 20時頃
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あたしだって、考えたくは無いよ。 もしも そうだとしたら、奴さんをとっちめて取り返さにゃあいけない。
[>>90自身の考えに、彼女が驚く様子を見せたのも無理はない。 喉の不調は未だ自身でも把握できない程不定に、不意に やってくるのだから。
取り繕うような何方ともつかぬ応えは、自身の想定していた物とは違ったものだから、さてどうしたものかと 曖昧に濁しては唇を閉じる。 それから万に一つ、この考えが当たっていたとしたら などと、そんな事 自身でも考えたくはない。]
(109) 2015/01/23(Fri) 20時半頃
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……なにさ。
[>>91かさり と空気の動く音と共に掛けられた声には 首を傾げながらも、薄く唇を開いて従った。 普段ならば何かと疑って掛かっては そう従う事も無かっただろうけれど――先の会話や、言葉を交わす居心地の良さや。それから子供に掛けるような 早くに家を出た自身には “焦がれど馴染みのない” 言葉も相俟って するりと開いた、口内に。 ころりと転がり込んでは、確かめようと噛み合わせた歯の下で 崩れて広がる甘さ。]
…金平糖、かね。 これで喉が善くなるって?
[まるで子供騙しめいた施しに、眉間に寄せた皺を解いては く、と笑う。 突拍子は無くとも、悪意こそ感じられない行為と その甘ったるさに、文句こそ言う気にはなれずに。 先の髪飾りと云い “あんたは慈善ごっこが趣味かい” などと、皮肉の一つは落としたけれど。]
(110) 2015/01/23(Fri) 20時半頃
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[そうして漸く彼女の手に渡った未読の文と、寄せて吹き込まれた言葉。 急な接近に反射的に引き掛けた体は、その文字列にぴたりと止まった。
>>92それはなんとも巫山戯ていて、挑発的な “宣戦布告” 。 無駄な欲を持つ暇さえも与えぬ人生は、目先にちらつく耳触りの良い言葉にも、早々揺らがされたりはしない。 はあ と息を吐き捨てながら、手の内に返された文は 用済みとばかりに懐へ押し込んで。]
…あたしの耳にはしっくり来ねえ。 あんたも、愛想は尽かしちまったのかね。
[聞き慣れぬ単語に首を傾げたのも、束の間。砕けた砂糖菓子の欠片を飲み込んで、次いでにと近付いた彼女の体、その鼻先をするりと撫ぜ。 “意外と鼻筋が通ってるじゃぁないか” などと 些か逸れた事を呟いては。]
ただ、…盗まれた侭ってのは具合が悪い。 姉さんが何を盗まれたか、何を持ってるかも知らねぇあたしには知り様が無いけどさ。 仕置きとやらは、あんたがするつもりかね。
[不安げな言葉を掛けてくる割に、そう焦る様子も見えない彼女は 果たして自身の身に起きた事を理解してはいるのだろうかと 先の問いへの意趣返しも含めて首を傾げて見せただろう。]
(111) 2015/01/23(Fri) 20時半頃
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[返答がどうであれ。不意に ぱ、 と手を離せば、指を揃えてしっし と振ってみせる。
だけれど彼女を去らせる前に 思いも寄らぬ施しを受けてしまったのだからと 礼の一つも告げようとした唇は、そのまま喉の絞まる感覚に はく と息を漏らすのみ。 嗚呼、また始まった と。もはや言葉を出す事は早早に諦めながら、其れは今度こそ彼女を追い払う理由には十分。
そうして三味線を構えては、巡らせた思考の中で見つけ出した旋律を引っ張り出そうとしただろう。 ・・・べん、と弾いた音色は、やはり何よりも高く響いた。]
(112) 2015/01/23(Fri) 20時半頃
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琴弾き 志乃は、メモを貼った。
2015/01/23(Fri) 20時半頃
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[…もしかしたら、一番知っている区かもしれない。そう思いそうなほど、俺ぁどこもかしこも見覚えがあった。 ここに住んでる、なんてこたぁねぇ。俺ぁそんな地位なんざもってねぇからな。 …何故、こんなにも、記憶にある。それから、何故俺ぁここに嫌悪感を持っている。]
……ここは。
[数ある家の、うち一つに目が止まった。…ここは、確か…。]
………ッ!?
[瞬間。俺の脳裏に、一瞬風景が過った。 首を撥ねられ転がっているここの家主。大量に流れる、血。 そして、紅く染まった、俺の手と…。]
………。
[この時、俺ぁどんな顔してたんだろうなぁ。少なくとも、いい顔はしてなかったと思う。 もやっとしていた俺の仕事の記憶。それははっきりした。が、すっきりはしなかった。]
(113) 2015/01/23(Fri) 21時半頃
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[彼が顔を上げれば、どうしたのだろうか、と彼の顔を見る。 甘味を遠慮する、という言葉に少し混ざった安堵の声に真面目な人だと感じる。大方、こちらが食べるとするならば付き合うつもりだったのだろう。]
こうちゃ、ですか。そうですね…淹れ方などもあるでしょうし、それなら今度伺った時に頂きたいものです。
["紅茶"という聞きなれぬ言葉に、少し心躍らせる。今後薬を求めに伺う機会も多そうだから、その時に頂こう。…紅茶の話題を出して少し口の端を上げる薬師を見て、この人は祖国が好きなのだな、感じる。と同時に、彼の祖国に思いを馳せた。…きっと素晴らしい国なのだろう。]
……確認してみたけれど、何も盗られていません。そもそも僕な荷物が盗るほどないんですよ。…そういう貴方は?
[もし同じような手口ならば恐らく彼も盗られていないだろう、そうは思いながらも一度確認してみる。そして予想と同じ答えならば、溜息一つついて、一体何を盗んだというんでしょうかね、とでも言うだろう。思い出してごらん、という言葉を見る限り僕らはそれを忘れているようだから。]
(114) 2015/01/23(Fri) 22時半頃
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座敷守 亀吉は、メモを貼った。
2015/01/23(Fri) 22時半頃
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― 街のどこか ―
くそッ、どこだ…
[弐区の楽屋へ行けばまだ鏡は帰っていないと言う 日は暮れていて、辺りは夜の明かりが灯っていただろう。公演は終わり、明日も朝が早いと言うのに関わらず、どうにも抑えきれない胸騒ぎを抱えて男は小走りで駆けていた]
人も、時間も、建物も…
[もしかしたら、心も じゃあ自分が盗まれた物はなんだ?劇に必要な能力も、ここしばらくの公演も何も問題が無かった 自分の生き甲斐である演劇が、公演が全て自分の“宝”だとしなかったのなら]
『一座の宝』、か…
[足の疲れと、体力の意味と。駆ける速さを緩めればふと、言われた言葉を思い出す]
(115) 2015/01/23(Fri) 22時半頃
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馬鹿が…。そんなの、俺も同じ事を――
[ふと、そこまで言ってから気が付く 彼が盗まれて居ないのなら、自分にとっての宝は彼では無かったのか。演劇よりも、人よりも大切な物とは?]
思い、出せない のか……
[ゆるゆると歩く速度は止まり、一度俯いてから空を見上げる 満点の星空は嫌というほど輝いていて。ふと辺りを見回せば暗がりで自分に気がつかないのか人の視線は感じなかった]
――懐かしいな
[過去の話 誰も自分の事を見ていなくて。劇に出ても脇役だった頃。生まれから励んでいても実らなかった才能。それがいつからか、人気になり、街を歩けば人が振り向くような。それに慣れてしまって]
しかし、よく続いたものだ いくら生まれが役者でも、道はあったのにな
[どこかで見た小僧のように、どこかで見た酔っぱらいのように。それから、もしかしたら誰かのように、金にうるさく そんな生活だってあったかもしれないのに。自分の根気で続くような仕事でも無いのに]
(116) 2015/01/23(Fri) 22時半頃
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――不思議だ
[不思議、だろうか ふと、胸が苦しくなる。空いた穴が塞がらない。抜けた何かが埋まらない。一体どうして、自分はこんな事を続けていたのだろうか]
盗まれたもの、か 思い出せないのに思い出せだなんて、一休でも無理だろう
[ふっ、と呆れたように溜息を吐いて 鏡は大丈夫だろうか。おもんから貰った情報を教えてやらないと。なんて心配をするが、いつの間にか道に迷ってしまっていたようだった]
帰るか…
[今日は、久しぶりに手作りの飯が食えるんだ。どうせ帰れば待ってましたとばかりにあいつも居るだろうと 暗くなった道を、明日の演目はなんだったか。どんな役だったかと思い出しながら帰ろうとして――]
…なん、だ?
[ふと、懐に手をやれば見た事の無い櫛。それは女性のもので、女形をする鏡が使っているのを見たことも無い それに、自分が使うにしてはやけに古びていて、少し欠けている部分もあった]
(117) 2015/01/23(Fri) 22時半頃
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これは、一体――
[そう、思考を巡らせてからものの数秒。意識は暗転する 何が起こったのか、それを男に理解する事は出来なかっただろうし、周りの者が偶然にも自分を見ていない時で、“気が付いたら居なくなっていた”だろう**]
(118) 2015/01/23(Fri) 22時半頃
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― 回想/壱区 ―
あァ、従姉弟……、 話には聞くけれど――、中々の“綺麗どころ”だとか。
[女と見間違えてしまうほどの美形となりゃァ、見世に置いても金になりそうだ、と目を細め。 江戸の女を虜にする美形は――従姉弟に御執心となりゃァ叶わないねェ。]
残念ながら。 何が盗まれたか分からないし、検討もつかないのさ。
思い出せってェくらいだし、 何か忘れているのかもしれないが、心当たりがない、
[そもそも忘れているものをどうやって思い出せ、っていうのか。いや、優先順位は鼠を捕まえる方が先だ。 奴を捕まえて千両を頂戴した上で盗まれたものを何か口を割らせてやればいい。 相手が満足したようであれば口元を緩め、またご贔屓に、と。
その背中を視線で追ってはくるり、と壱区の外れの川の方へ。]
(119) 2015/01/23(Fri) 23時頃
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ちっ…!どこにいやがる…!
[鼠小僧を探して、辺りを走り回る。 この近くにいるはずだ、全部が本当なら。 あの、あの一瞬の記憶。そこから、まるで広がるように。 きっかけの記憶は、より鮮明になって。 ……あれは、俺の最後の仕事だった。報酬のない最後の仕事。 俺ぁあの家の家主を殺した。家主は俺の雇い主だった。 そいつを、俺ぁ殺したんだ。 そして、そこから思い出した。俺の大事なもの。 人気のない路地で、俺ぁ叫ぶ。]
鼠!出てこい!俺ぁ思い出したぞ!
[俺の、誓いの証。それこそが。]
さあ返せ!俺の刀ぁ!!!
(120) 2015/01/23(Fri) 23時頃
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