261 甘き死よ、来たれ
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[>>26 通りかかった包帯だらけの少女。 当初は落ち込んだ表情をしていたが、どうやら芸を見るうちに明るくなったようだった。 拍手までしてもらえたことに喜び、追加でジャグリングのボールを飲み込む手品まで見せてしまう。]
ホホホ、お褒めに与り光栄です! ……あら?
[おひねりまでもらってしまった。 ネイサンの手の中には、災害用羊羹。 パッケージの裏にはもう役に立たない災害用伝言ダイヤルの表示まであった。]
ありがとうございます! ……お嬢さん、何か悲しいことでもありましたか? よろしければ、このピエロめに話してみては。
(40) 2016/12/17(Sat) 22時頃
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[もし会話が続けば一緒に道連れとして共に少女の目的地へ。 断られればその場で芸の披露を続けるだろう。]
[オンボロ一輪車がキリキリと音を鳴らす。 手元のボールは、手に糸で吊られているかのように正確に掌へ。 時折手品を交えながら、ピエロは芸を続ける。]
[それは、日が暮れて手元が見えなくなるまで続くだろう。*]
(41) 2016/12/17(Sat) 22時頃
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―回想:廃墟>>36>>37― [彼女は諦めていない。はっきりと確信した。 血の混ざる咳を見て不安にはなるが、明確に生を示したのは知ってる限り彼女だけだろうか
最後に気になる一言を呟いたものの、聞きたい言葉はそれで十分だった。だからここから言う台詞は躊躇わない。]
お前がそう思ってるなら・・・
そのときじゃなくてもいつでも東シェルターに来るといい。 その度に、食事を出してやろう。
・・・俺は一度諦めた。しかし最近になってまたわからなくなってきてる…。 ただ、何もしなければ死に絶えるだけだとも考えてる。
戻るといいな。何もかも。
[不思議な気がした。少しだけ本来の戻りたいという希望を思い出したような。 それから俺はノコギリを手に持ち彼女から離れていく。 切り替えは風呂。長期に渡ってシェルターを住みやすくするために。*]
(42) 2016/12/17(Sat) 22時半頃
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[ 一度目は堪えながら姉妹を慰めた 二度目はただただ生き残りと抱き合っていた 三度目に初めて泣いた 四度目は狂ったように泣き喚き続けた 五度目はぼんやりと宙を眺めていた その後は、さて
何にしろ戸川は全て覚えていないのだ。 家族だけじゃない。かつての友らも、将来を誓った女も見送らなければならなかった事実も。]
(43) 2016/12/17(Sat) 22時半頃
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皆だけずるいよ。 どうして連れて行ってくれないの?
[一歩、一歩と歩みは着実に]
(44) 2016/12/17(Sat) 22時半頃
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[ 記憶喪失とは本当に全てを無くしたのではない。 ただ、引き出しにしまい込んだだけ その鍵を見つけられなくなってしまっただけだという。 切っ掛けがあれば戻るという。
戸川の記憶障害も類似したものだった。 喪った者の名前、共に過ごした思い出、関係性への実感。 それらをしまい込む必要があった。 忘れることで心を守ろうとしていた。 生きようとしていた。]
(45) 2016/12/17(Sat) 22時半頃
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もう、いいよね?
[ね、いいでしょう。どうせ何も無い空っぽなんだから。 本当に一人だけ遺される前に。
ぼくはいきます ひとりでいきます。
独りで、逝きます。]
(46) 2016/12/17(Sat) 22時半頃
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[ そして悲しみと恐怖を忘れ、亡骸を前にしても揺れ動かない感情を持つことが出来た。 けれどそれは、自分の心を虫食いの穴だらけにするということ。
生きる為の忘却で、結局は死ぬのだ。 これが病の症状ならば、自ら選択する必要は無かったのだろうが。]
(47) 2016/12/17(Sat) 22時半頃
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[ もう何も聴きたくないな。 なら、耳を塞ぎましょう。 こんな空は見たくないな。 ほら、目を閉じましょう。
訪れる浮遊感 でも、ほら。何も見なければ空を飛んでいるみたい。 ねえ、ほら。見えるんだぼくには。とっても綺麗な青空だよ。]
(48) 2016/12/17(Sat) 22時半頃
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[ 望まなければ切っ掛けはもたらされず、 戸川の記憶の引き出しには厳重に鍵が掛けられたまま。
何もかもから逃げながら、 墜ちていく。 ]
(49) 2016/12/17(Sat) 22時半頃
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ああ、 ……
[母さん、俺は 最期に飛べたよ。]
(50) 2016/12/17(Sat) 22時半頃
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[ 波間に漂うは、誰かの思い出の写真* ]
(51) 2016/12/17(Sat) 23時頃
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かなしいこと?悲しそうに、見えた? そんな顔、できたんだ。
[ピエロの人にはわからないだろう。ともかく、姉と慕う人の死を伝え、その人の事伝を伝えに行くのだと告げる。 一緒に来るなら道すがらマジックを見せて貰ったりして、西のシェルターに向かっただろう。]
(52) 2016/12/17(Sat) 23時頃
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[ 赤い血が彼のことを汚してしまう。 駄目だと思うのに、身体からは急速に力が抜けていって。 今まで何ともなかったくせに、悪化するときはまるで坂道を転がり落ちるようだ。
ふるり、目蓋が震える。 ]
…………そう、いえば。私も。 ひさしぶりに、誰かと食事が出来て――
……嬉しかった、です。
[ >>39彼の優しい言葉に微笑んで、幽かな声を紡ぐ。 握らせてくれたハンカチを持つ指に、ほとんど力が入らない。 揺れる視界を精一杯繋ぎ止めた。
次に目を開ければ、本当は全部夢で。 私はなんにも病に苦しむことなく生きていけるんじゃないだろうか。 でも、そんなことを思うのは先に死んだ人への冒涜だろうから。 ]
(53) 2016/12/17(Sat) 23時頃
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全部、してもらうなんて……だめです。 私ももう少し、マシになったら、 なにかお手伝いを――――、ッ!
[ 本当に灼けているのではと疑う程の熱と、痛み。 世界が歪む。彼に凭れ掛かっていた身体は完全に力が抜けて、 指先からハンカチの抜け落ちる感覚がした。
たくさんの人を弔った。子ども達は、皆いなくなって。 次第にひとりになっていく自分の目に、 唯一人。彼だけが、途切れることなく映っていて。 ]
( 先に置いて行くのは、私の方? )
[ 期待して、失いたくなかった。 だから何にも言えずに、残せずに死んでいくのだろうか。 ]
(54) 2016/12/17(Sat) 23時頃
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[ ここにいるのは、恐怖に怯えて動けなくなった少女のすがた。 祈りも救いを説く一節を読み上げる声でさえ、 いつの間にか空っぽになってしまった。
瓦礫の下に埋めたのは、かつての幸せな日々。 忘れてくれて構わない。私がそうしてきたように。 ]
ごめん、 なさい、
[ あなたの役に立ちたかったのに、 謝ることしか出来ない。なんにも、もう。 ]
(55) 2016/12/17(Sat) 23時頃
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―――――― ぁ、 ?
[ どくん。 ]
[ 一際大きく、異常なほどに跳ね上がった心音は 身体を預けていた分彼にも伝わっただろうか。
ぽたぽたと零れ落ちる涙と同時に、目蓋が緩やかに降りていく。 だめ、だめ。 まだ 言ってないことが、
……ぷつん、 ]
(56) 2016/12/17(Sat) 23時頃
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[ 糸を断ち切られたように崩れ落ちる身体はもう、 いのちの抜け落ちた抜け殻だ。
それは憐れな少女の亡骸。 荒廃した世界では珍しくも無い最期を迎えただけの、 ありふれたがらくた。
カラン、と音が鳴って 少女のロザリオが滑り落ちた。* ]
(57) 2016/12/17(Sat) 23時頃
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[西のシェルターについた頃には暗くなっていただろう。 母が亡くなった時とその前後の記憶が、中に声をかけることを躊躇わせた。
仕方なく、出来るだけ大声で呼びかけることにした。]
みょんこさんが、来れなくてゴメンネと言ってました。
[聞こえていないかもしれないが、約束は果たした、 ため息をついて、その場を、離れた。]
(58) 2016/12/17(Sat) 23時頃
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>>52 おや……ワタクシの見間違いだったかもしれません。 これはこれは出過ぎた真似を。
[そして語られる、少女の身近な人間の死。 それを報告するために、西のシェルターに向かっていることを。]
―――それは……
[悲しい。それは、悲しくあるべきだ。 正常な人間の魂なら、悲しみを負うべき出来事だ。 だが、目の前の人物は悲しい顔が分からないと言う。 そんな表情ができたのか、と。自分自身をそう評した。]
………ワタクシも同行しましょう。 道中、退屈などさせませぬとも。ええ。
[出来合いの一輪車をキコキコ漕ぎながら、ピエロは一緒に西のシェルターへ。]
(59) 2016/12/17(Sat) 23時頃
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[>>58ソファに座ったまま焦点の定まらぬ虚ろな目。 ときおり頭を掻きむしるようなしぐさをしては上を見上げてまたうな垂れる。 そんなことの繰り返し。 外から聴こえてきた声にはピクリと反応したが。]
誰だよ……。 みょんこって誰だよ……。
[その名に覚えもなく、声の主にも覚えはなく。 立ち上がる労力よりも気怠さが勝って座したまま動かない。]
(60) 2016/12/17(Sat) 23時半頃
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逃亡者 メルヤは、メモを貼った。
2016/12/17(Sat) 23時半頃
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-西シェルター・夕暮れ-
[あまり良い噂を聞かない西シェルター。 エフなる人物が支配する王国体勢の土地。
と、ネイサンがその場所についての知識を思い出していると、隣からそれなりに大きな声が飛ぶ。]
……そ、それでいいのですか? 中に入って言った方が…?
[少女、メルヤがそのままその場を離れるようであれば、 ネイサンは中に入って様子を伺うだろう。]
(61) 2016/12/17(Sat) 23時半頃
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そうか・・
ならこれからは毎日嬉しい日になるな。
[涙を溜めながら必死に話す歌瀬。微笑み向けられるとそのままでずっといてほしくて、不安にならないよう、死の恐怖から忘れられるように髪を撫で上げた。]
(62) 2016/12/17(Sat) 23時半頃
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風呂とか色々作ろうと思う。 元気になったらじゃあお前に火の管理や掃除を頼もう・・・。
[ずっと俺を見つめ続ける。その手はもう・・ハンカチを握る力残っていないのか・・・ 落ちたハンカチを拾い、だらりと落ちた手に重ねて握る。そこに力が残っていないのはもうそこまで死神が来ているのか。]
(63) 2016/12/17(Sat) 23時半頃
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謝るな・・・・・・これからだろう。 歌瀬・・・?
―――!!
[容態の悪化、必死に呼びかける。]
おい・・・。歌瀬、待て・・・逝くな!!
[腕の中に感じる鼓動は激しさを増して、一度大きく身体ごと跳ねると糸が切れた人形のように静かになっていく。
ずしりと重たくなる彼女の身体、まだ温かかさは残してると言うのに。]
(64) 2016/12/17(Sat) 23時半頃
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・・・・・・。
[熱くなる目頭からこれまで流したことなど無かった雫がポタリポタリと彼女の頬を伝っていく。 俺の身体が今度は震えているだろう。
抜け殻となってしまった彼女の身体を強く、強く痣が残るくらいに強く抱きしめた。 魂が抜け去っていく前に彼女に届けばかりに。]
(65) 2016/12/17(Sat) 23時半頃
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- →西シェルター内部-
お、お邪魔しますよー……ホホホ……?
[シェルター内はしんとした空気に包まれていた。 何個か扉を開くも空振りに終わり、暗闇の中ネイサンは途方にくれる。
だが、静かな場所こそこの道化の真骨頂。]
Ladies and Gentlemen! Here is the Circus show of Silly Crown!!!
[シェルター内に響き渡るように大声を張り上げる。 本当に無人なのかを確かめるために。 メルヤから聞いた、『みょんこ』なる人物が亡くなったことを。 キチンと伝えるべき相手に伝えなくてはという、それだけの思いで。]
[誰も止める者がいなければ、一晩中無人のシェルターをたった一人のサーカステントに仕立て上げ、延々とワンマンショウを繰り広げただろう。*]
(66) 2016/12/17(Sat) 23時半頃
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>>66 ……誰だお前。
[窓から差し込んだ僅かな月灯りがソファに座るエフの姿を浮かび上がらせる。 闇に溶けるように静かに座ったまま顔だけを上げて見つめる先には道化師。 その声が妙に耳障りで癪に障る。]
猫の化け物の次はピエロ。 どこぞのホラー映画かよ。
[これがバッドトリップなのかそれとも現実なのか。 男にはその境界の見分けがつかない。]
何の用だ。 食料か?水か?それともクスリか?
好きなもんを持ってけよ。
[そう告げて視線は床へと落ちる。]
(67) 2016/12/18(Sun) 00時頃
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―夜 教会―
おやすみなさい・・・ ゆっくり・・・休むといい。 起きたらきっと・・・幸せな日に戻れてるさ・・
[しばらくして雨が降り始めれば、歌瀬を背負ってシェルターまで歩いていく 彼女の言っていた箱は明日回収しにこよう
そして改めて彼女を埋めようか。 ゆっくりと彼女を降ろし。少しでシェルターに戻るとゆっくりと彼女を降ろして寒くならないように自分の上着を着せていく。]
雨は夜更けすぎに雪へと変わったか。*]
(68) 2016/12/18(Sun) 00時頃
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>>67 オホホホ……!食料ならもう持っているので。
[ババーン!とオノマトペの付きそうなくらい高らかに災害用ようかんを月明かりに掲げる。]
貴方が……"エフ"さんで?
[災害用ようかんとその辺の本二冊をクルクルとジャグリングしながら、ソファで気だるそうにしている男へと話しかける。]
ワタクシ、直接会ったわけではないのであまり内情は存じ上げませんが… メルヤちゃんという、包帯を巻いた女性と一緒にここへやってきました。 その子が云うに、みょんこさんという眼鏡の女性が亡くなったとか…… 貴方、ご存じありません?伝言を頼まれてたみたいなのですが。
[暗い部屋で、男の表情は読めない。**]
(69) 2016/12/18(Sun) 00時頃
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