132 lapis ad die post cras
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―木陰―
[『ティソ』は息を潜め、貝の様に存在していた。相手との神経接続が遮断していれば、何ら影響はないと知ったから。
八並は幼い頃の病気で失明した。 記憶に残る風景は朧気で、視線の低いものばかり。 世界は宇宙はこんなにも広いのだと知って貰う為に、視界を共有した。
宿代とも言えるだろう。
助け合うことが出来るからこそ、共に生きていけるのだと。]
………
[触れる手が在った。初めての手だったが、名前を呼ばれている気がして。『ティソ』の耳が動いた。>>169]
(194) k_karura 2013/08/05(Mon) 23時半頃
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―――…では。 貴方は私に、再び光を失え――と?
[思いがけぬ譲渡の話に八並は驚き。 けれど視線を曲げず。 口にしたのは自分可愛さ。
光を知ったからこそ、失う事への恐れ。執着。]
(195) k_karura 2013/08/06(Tue) 00時頃
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………ト?
[不意に、八並の瞳に涙が浮かび、瞬きせぬ涙袋に溜まる。
ふるふると『ティソ』の身が震えていた。トルドウィンは何を言ったのか。]
……受け入れるなど、何を今更。 私は知っているんですよ。ラッシードさんが亡くなった後、あなたがどうしていたのかも。
[八並の言葉は責めるよう。 けれど、涙は別に溢れるのだ。『ティソ』が流しているものだから。]**
(196) k_karura 2013/08/06(Tue) 00時頃
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測量士 ティソは、メモを貼った。
k_karura 2013/08/06(Tue) 00時頃
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―その頃―
……
[もぞと身を反転させ、胸元にそっと手を差し入れる。 ころりと小さな胸の尖り。指の腹でつんと突く。
トルドヴィンに与えられた感触とは異なるも、思い出して顔が熱くなった。 やがて。僅かに指先に着いた白を口元へと運び――…舐めた。]
(206) k_karura 2013/08/06(Tue) 01時頃
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[トルドヴィンは意地悪だ。 好きにしてとか、もっとしてほしい>>115とか、求めて>>135とは言ったけれど。 容赦ない気がする。最後に扱くのを忘れないところも。>>152
ティと短く呼んで。愛してる。その言葉は今も鼓膜の奥に残っている。
もっと私の名を。求められ、吐息すら名の音に変えて呼んだ。 トドメの様に口移された蜜は、随分と甘く身を溶かしたのに。]
あ、れ……?
[同郷の異性だけではなく、異郷の同性にも如何なく効果を発揮した白蜜は――>>151]
(207) k_karura 2013/08/06(Tue) 01時頃
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――あまく、ない。
[じんと疼く熱さも感じられなかった。]*
(208) k_karura 2013/08/06(Tue) 01時頃
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ティソは、モナリザの頭を撫でた。
k_karura 2013/08/06(Tue) 01時半頃
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幸福に決まっていましょう。
[男は口を挟み。 『ティソ』は――考え。ティソと一緒に自由で伸び伸びと過ごした日々を振り返る。 散々ティソを泣かせてしまっていたけれど。それでも、「幸福」だと呼べたのではないか。 それをかけがえのない記憶と呼んでくれるトルドヴィンは。
記憶の中の、どんな彼の姿よりも、今は優しく。>>210]
『……きゅるぅ』
[撫でる指に、耳が触れた。 幸福ジャナイ――とばかりに、鳴く。]
(211) k_karura 2013/08/06(Tue) 01時半頃
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申し訳無いとしてもですよ? これは私のものであり結局お譲り出来るかどうかは――ぁ
『きゅっぷる!』
[最後にティソから貰ったものは、強い拒絶だった。否定だった。 思い出すのは辛いことだけれど。
強くならなければならないと、思っていたけれど。
一緒に、生きてと望まれて。手を差し出されて。 受けないという選択肢は、なかった。]
(214) k_karura 2013/08/06(Tue) 02時頃
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[牙を外し、トルドヴィンの掌へとぴょいんと飛び移る。ずるりと頭から長い紐状のものが抜け出て縮み。
――と、同時に八並が後ろに倒れた。
再び光が失われるも、戻っただけとも言える。 『ティソ』に関わる全てを忘れ、目を回していた。]
(215) k_karura 2013/08/06(Tue) 02時頃
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[飛び乗る身は、どんな時よりも軽やかだった。 ありがとうを言うのは『ティソ』の方なのに。
もそもそと動いて見ていると、何やら難しい文字の羅列が見えて。すぐに見るのを止めてしまった。]
『きゅるっぷ?』
[車の中ではティソが寝ていた。 先程よりも近くで見ると、涙の痕など無く。
ほっとしているとトルドヴィンがキスをした。 びっくり。]
(218) k_karura 2013/08/06(Tue) 03時頃
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『モウ、誰カガ悲シク思ウノハ嫌ダカラ。 とハ、とノママデ居ラレルヨウニ……
アリガトウ。 一緒ニ 生キテ クレルナンテ』
[導かれたその場所へぽとんと落ち。 痛みが少ないようにと遠慮を持って。
そっとキスのように噛み付き、根を張った。]*
(219) k_karura 2013/08/06(Tue) 03時頃
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[トルドヴィンは泣かない人だと思っていた。 内面の弱さを出そうとしない人だと思っていた。
だから、どんな理由であれ頬を濡らすものの正体が彼の涙だと知った時には驚いたのだ。>>222]
とる……? どうしたの? 俺に話してよ。
[頬を拭ってくれる手も、嬉し涙だと語る声も穏やかで優しく。 眦に残る涙粒を掬い取ってあげようと指を伸ばし。]
……何、ソレ。
[頭に着いている見慣れないものを前に訝しみ、指を止めて眉を寄せた。]
(231) k_karura 2013/08/06(Tue) 14時頃
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わっ!
[躯が浮き、別の腕で後ろから抱き締められる。>>223 見上げるとトルドヴィンが其処に居て。 くしゃみ1つで何かあったか、トリックは何だと狼狽し。]
と、トルーが二人? え、双子 だった??
[声を揃えた2人から、両頬へキスを受け。>>224 4つの翡翠に見つめられる。 『より愛する』。その意味にぼふりと赤くなった顔を両手で覆った。]
(232) k_karura 2013/08/06(Tue) 14時頃
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[寝ていても良いと言われたが、眠れる訳がなかった。 恐る恐るという風に体を触れて確かめようとしてくる彼の、好きな様にさせ。 バギーを走らせている方のトルドヴィンに説明を求める。]
へぇ、さっきの人にも着いてたそれは飾りじゃなくて生き物で。 ……俺が記憶を失くしていた――出航直後に戻っていた理由って、その『ティソ』にあるんだ?
(233) k_karura 2013/08/06(Tue) 14時頃
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[ゆっくりと語られる『ティソ』のこと。 ラッシードが死んでから発覚した、15人目の乗組員の存在。
ティソが宿主として手を差し伸べたこと。 くしゃみで性別変換していたこと。]
あぁ、それでジャックが男かって確かめてたのか。
[泣き虫の自分と、強がりの自分と。そんな一面も確かに存在しているから否定出来やしない。 運転席で揺れる白い薔薇。これを渡してくれたモナリザも、会えて良かったと言ってくれた玖休も。違うティソが居たことを知っていたのだ。 今また会えれば、話す言葉も変わってこよう。 仲間と会う事への恐れ、疎外感は薄れつつある。]
(234) k_karura 2013/08/06(Tue) 14時半頃
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[別れた理由は少しはぐらかされた感じがしたものの、問い質し。追い詰められていた自分に苦笑を浮かべ、円盤を撫でた。]
……俺も、いっぱいいっぱいだったんだと思う。 全ての原因を押し付けて、一方的に―――ごめん。
[不意に円盤から耳のようなものがぴょこりと動き、それに合わせてトルドヴィンも嬉しそうにしているから。 不思議な感覚だ。持ち上げられた顎先、唇を塞がれ。 小さく笑って目を伏せ受け入れる。]
これから も、 また宜しくな。 『ティソ』。
[金の髪ごと、『ティソ』を撫でた。]*
(235) k_karura 2013/08/06(Tue) 14時半頃
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ティソは、トルドヴィンを純白(Ultra-Violet)のハリセンで殴った。
k_karura 2013/08/06(Tue) 15時半頃
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―翡翠の海とアリスブルーの空と―
[海に程近い場所に、観測所兼自宅を建てた。二人暮らしをするには広く、家具も大きく。
潮の干満を調べ、星を観測し、空に飛ばした観測機のデータを集め。単純作業の「仕事」。他にも、新しくレストランオーナーになったのはラッシードの願いでもあったから。
新天地での新しい生活も、トルドウィンとなら不安などなく。 頼りっきりな面も多々あり。冷たく突き放されたり喧嘩もするけれど、それもティソの成長の為。 愛も恋も、辛さも、生きる術も教わって。
ティソの毎日は幸福に満ちていた。]
(239) k_karura 2013/08/06(Tue) 15時半頃
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[ざざんと波の音を聞きながら。 顔に当たる陽光が眩しく、寝返りを打つ。寝ている間にくしゃみをしたのだろうトルドウィンは今はひとり。緩んだばかりの後孔がひくついている。 枕にしていた彼の胸を撫で、首を伸ばしてキスを贈る。]
トルー。ティア。おはよう。
[徹夜続きの仕事から解放された夜。お疲れのキスから、互いの寂しさを埋める様に愛し合い。 結果、声は掠れ、肌には鬱血の華を咲かせ、汗と体液とにまみれ、躯のあちこちが悲鳴をあげていた。]
(240) k_karura 2013/08/06(Tue) 15時半頃
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……ん、ばぁか。変態。出しましょうねって、出しすぎだって、の。
[まだ夢のなかなのであろう顔を睨み、たゆむ下腹を掌で押しながら股がり直した。腰をゆっくり前後に動かして、裡にあるのを感じ、軽く達した。濡れた茎が抜けていく感覚に背中を震わせ。]
ぁ、にやにやするなって!
[四つん這いの姿勢で顔をのぞきこみ、頬をぺちりと叩く。]
(241) k_karura 2013/08/06(Tue) 16時頃
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[黄金の草原で告白されてから。
今日まで。
一緒に生きてきた。明日からも変わらないだろう。 死ぬまで。死んでも。――永遠に。]
とるー。 大好きなトルドウィン。
俺を愛してくれてありがとう。
俺は、トルドウィンのこと、愛せているかな?
[ふにゃんと柔らかく笑み。]
(242) k_karura 2013/08/06(Tue) 16時頃
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[今日は記念日。
囀ずるように愛を求め、キスをねだる。]**
(243) k_karura 2013/08/06(Tue) 16時頃
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―消えた涙の痕―
[パラディソを降りる間際。『ティソ』はティソの望み通りにした。何か脳に障害が出るだろうと知っていても、離れる事を選択した。
自分が居ないこと。
それが、ティソにとっての幸せだと思ったから。
けれど。離れてみて分かった。 『ティソ』にとっての幸せを手放していたということに。
腕の中にティソを抱き締めて、触れる。>>236 思い出すのは初めの出会い。
機械体以外では、ティソだけが唯一、理解を示してくれた。 良いよと受け入れてくれた。
その時から。 恋というものに落ちたのかも知れない。]
(256) k_karura 2013/08/06(Tue) 23時頃
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[もう会えないと思っていた。会えるはずがないと、思っていた。 何ソレ、と冷たくあしらわれた時は悲しみに打ち震えそうになったけれど。 懸念していた脳への障害が記憶喪失であると知り。
また、一から始められる事にも喜んだのだ。]
(257) k_karura 2013/08/06(Tue) 23時頃
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[ティソは思っていた。 寄生というのは例えば栄養素を全部吸い取ってしまうような、全部を支配してしまうような、恐ろしい風に。
けれどトルドヴィンは寄生前とは変わらぬ様に思えるし、喜びだとも例えていた。 だから、自分が寄生されていたとはいえ>>236]
ちゃんと話してくれてありがとう。 辛い――…だけじゃなかった、よ。
[そう、嫌なだけじゃなかった。 胸に残る郷愁が何処から来るものだったのか。
知る事もできたから。]*
(258) k_karura 2013/08/06(Tue) 23時頃
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―金色の―
[草原というものはこのような色合いであったか。>>237 停まったバギーが異物のようにも思えてきた。
誰かの膝の上というのは落ち着かない。 静かに甘える様なのも、トルドヴィンであり。ティソであり。
名前を呼ばれ、ゆるり視線をトルドヴィンへと向けた。
幸福だと語る彼の、頬を撫でる手。 もう一方の頬には頬が寄り。]
(269) k_karura 2013/08/07(Wed) 00時頃
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…俺は、とるーに出会い、愛されることの喜びを知ったんだ。 愛してって、言うだけでは――伝わらないから。
[正面から、後ろから。 右から、左から。
願いと愛が告げられ、じんわりと胸が熱くなり。 嬉しさに涙が溢れる。>>238]
(270) k_karura 2013/08/07(Wed) 00時頃
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ちょ、同時にキスは出来な…っ
ふふ、ははっ
[もぅ何をしているの。 笑った拍子に涙が零れた。拭って、また笑う。
ごめんと謝り、深呼吸。]
(275) k_karura 2013/08/07(Wed) 00時頃
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ねぇ、ねぇ。……トルドヴィン。
[腹を抑え。くしゃみに顔を上げて腕を伸ばす。 近い距離。吐息が混じる。]
俺も、独りじゃ生きていけない。 そんな事、出来ない。
とるーが居なけりゃ、俺は息をするのも苦しくなる。
だから、俺は 一緒に 生きるよ。 トルドヴィンと、『ティソ』と。
そうでしょう?
(276) k_karura 2013/08/07(Wed) 00時頃
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愛して。狂おしい程の愛を教えて。
一緒に生きよう。
どんな時でも、喜びも悲しみも苦しみも分かち合って…。
……愛して る。
[そっと合わせられた唇は、誓いのように深いものへと変わり。 背中から肩へと腕を回し、愛しい人をぎゅうと抱き締めた。]
(277) k_karura 2013/08/07(Wed) 00時頃
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[今日という日を記念日にしよう。>>243
過ぎた1年を振り返り、そしてまた次の1年を共に生きていこうと誓い合う日に。]**
(278) k_karura 2013/08/07(Wed) 00時頃
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ティソは、トルドヴィンにたっくるー!
k_karura 2013/08/07(Wed) 00時頃
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