191 忘却の箱
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[こつん。コン。こつん。
独特なリズムで、窓を叩きながらゆっくりと歩く。 少し前に散々硝子を殴ったせいか、指の付け根が擦り剥けていて時折痛んだ。
ふいに立ち止まると、青年は血の滲んだそこに、そうと唇を寄せ。 傷の上に敢えて歯を立てる。瞬間走る鋭い痛みに、まるで安堵したかのように。
密やかに、微笑ったのだった。]
(9) 2014/09/05(Fri) 01時頃
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─1F・中庭付近、廊下 ─
[別段アテも無く施設内を歩く。 もうとっくに朝食の時間は過ぎたろうか。時折、他の患者とすれ違った。
サナトリウムに来て長いシーシャにとっては、行き過ぎる誰もが見知った顔だ。しかし進んで話しかけてくる者は稀であった。彼が時折手の付けられない程に暴れる事は、(覚えていられる者なら、だが)施設内の誰もが知るところである。
当然、敬遠される場合もあるし、単に青年の機嫌を計りかねている場合もあり、反応はまちまちで。 しかし当の本人は、素知らぬ顔でその辺を闊歩している。]
(10) 2014/09/05(Fri) 01時頃
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( 腹減ったよーな気がしたけど。なんだろ )
[鳩尾の辺り、拭えない不快感。少し前にサミュエルと別れてから、ざわざわと神経に障る。眉を顰めて無意識に左腕を握った。指先に触れた包帯の感触に、ふいに今朝の医師の声が蘇る。>>1:53 シーシャも食べておいで。そう言った、柔らかい、あの音。]
( ……食べなかった、ら。怒んのかな 。センセイ。)
[例えばそれは、どんな風にだろう。 目を伏せて、脳内に蓄積された情報を引き出してみる。該当しそうなものは見当たらなくて。 それだけで、容易く青年は不機嫌になる。忘れたのではなく、知らないのだという確信が、彼をそうさせる。]
(12) 2014/09/05(Fri) 01時頃
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どーせ、怒りゃしねぇけどな。シゴトだから。…知ってるよんなもん。
[舌打ちひとつして、ポケットからまたひとつ、飴玉を摘まみ取る。包みを開いて、光にかざした。絵の具を溶かし込んだような、とろりとした赤。陽光を飲み込んで、乱反射する。
カシャリ。 きっかり五秒後、同じ色の瞳が眼前の光景を切り取った。 こうして彼の中に「しまわれた」画は、何故か奇病に蝕まれても消えることは無い。
赤い飴玉を口に放り込んだ。 ファインダーを覗いたような世界。瞼のシャッターと、赤いレンズ。脳のフィルムに灼き付いた映像たち。 それが、彼の生きる世界の全て。
やがて、ゆっくりと口内で溶け出した飴玉の味は。 おそらく、随分前から、彼には──分からなかった。]**
(14) 2014/09/05(Fri) 01時半頃
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[味のしない飴玉を口の中で溶かしながら、ぺたぺたと足を鳴らす。 散歩にも少々飽きたが、この施設内で出来る暇潰しは実に少ない。 必要最低限しか部屋には戻らないシーシャは、一日を回遊魚のごとく彷徨いて過ごしていた。
それにも飽きると書庫に篭ったりもするが、注視すれば無作為にシャッターを切る視界では、読んだ本の内容は一度で全て覚えてしまう。 読んだこと自体を忘れる事もあるが、頁をめくれば見覚えがある。 そんな状態のため、ここのところあまり食指が働かないのが正直なところだった。]
(54) 2014/09/06(Sat) 01時半頃
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[眠るのも、食べるのも、決まった場所ではあまりしない。 食堂で食事を摂ること自体稀で、近頃では食事自体の回数が減っていた。
骨の浮いた手で怠そうに髪を掻き散らす。 ぱさ、と流れた色素の薄い髪の隙間から、柔らかな新芽がぱらりと落ちた。
冷めた視線で散った細い茎を眺め、眉間にこれでもかと言うほど皺を刻んで。]
チッ……、気持ち悪い、んだよ。糞、
[嫌悪感も露わについた悪態と共に、中庭──少し前にクリス達と会ったのとは別の入り口だ──の扉を、カラリと開いた。]
(57) 2014/09/06(Sat) 02時頃
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─午後・中庭─
[和らいだ午後の陽射しが注ぐ中庭に、幾つか設置されたベンチ。 木陰にあるものを選んで、腰掛けた。
背凭れに身体を預けて見上げると、広がった枝葉が重なる隙間で、きらきらと光が踊る。 深く息をすれば、鼻腔に届く新緑の少し苦い匂い。吐いてまた、吸う。]
…なあ、頼むよ…
[さわさわと風か草木を揺らす。 青年の瞼が、ゆっくりと開閉を繰り返した。微睡みの手が伸びてきて、意識はうらうらと霞む。]
(61) 2014/09/06(Sat) 12時頃
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[瞬きの度に、過る映像。居なくなった誰か。知っている筈の場所。白いドレス。赤い背表紙の日記。雨の日曜日。みんなで逃げた。ペンと、シャツと。だいじょうぶって言ったあの人。飴玉。ギラついたたくさんの目。カーテン。弟の、怯えた顔が。でももう、思い出せない。
泥のように重く生温い哀しみが、散らばった記憶の隙間に流れ込んで。いやいやと頭を振るも、その重さに抗えない。
溢れたものが、ひとしずく。頬を伝って落ちて。呼応するみたいに、肌の下を異質のざわめきが這い回る。根を張るように。枝葉を伸ばすように。]
おねがいだから…もう、だれも、つれていかないで…
[おれのなかから。
それっきり、意識は眠りの中に霧散して。 落ちた声音は、愚図る子供のように幼かった。]**
(62) 2014/09/06(Sat) 12時頃
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………、…ン、
[どの程度時間が経ったか。 ざあ、と一際強く吹いた風が、枝を大きく揺らした。刹那、差し込む光に沈んだ意識が引き上げられる。
薄っすらと目を開く。一瞬、自分が何処にいるのかわからず数度瞬きを繰り返した。 外?夢の続きかと見紛う光景。けれど直ぐに気付く。良く手入れのされたここは、サナトリウムの中庭だ。]
────……く、ふあァ…
[欠伸しながら大きく伸びをひとつ。 そこで初めて、揺れる金糸が視界の端に入る。>>65]
…なんだよ、いつから……
[言いかけて、辞めた。 隣に座るクリスが、小さく寝息を立てているのに気付いたからだ。 肩を揺すって起こそうか。少し迷った手が、そのまま自身の頭をぼりぼりと掻く。なんだか、眠る彼女が余りに心地良さそうで。]
(70) 2014/09/06(Sat) 14時頃
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[そのまま、暫く隣り合ってベンチに座っていた。 背を逸らして遥か頭上の晴天を見上げる。白い箱に切り取られてはいても、なお広いその蒼穹を。]
外、出てえなあ……
[ぼやいて、溜め息。隣で身じろぐ気配に、視線だけちら、と向ける。]
…つか、クリス。オマエ日焼けすんぞ、こんなとこで寝てると。 あとさ…
[目覚めていようが無かろうが、お構いなしに。 だから何と言うことは無い、一方的な会話。けれど少しだけ、語尾が詰まる。逡巡。]
…………さっき、ごめんな。怒鳴って。
[滑り落ちた謝罪。 言いたかった「ありがとう」は、結局、声にはならなかった。]
(75) 2014/09/06(Sat) 14時頃
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バーカ。将来どうこうじゃねえよ、ヒリヒリすんだろフツウに。
[寝起きじみたもごもごとした返答を鼻で笑って非難。その内容は間違いなく心配なのに、本人にその自覚は全く無い。
ついで、伸ばした手の人差し指の背で、隣に座るクリスの頬をそろりと撫でた。日に当たっていた肌は、少し火照って熱い。 もう、大丈夫?問われる声に目を細めて>>81。その柔らかな空気に、強がる気も削がれてしまう。]
さァ? ……もうとっくに、駄目かもな。
[言って、立ち上がった。 暗い瞳が揺れる。何故だろう。何故こんな、やさしい、普通の、やさしい人が。自ら幸せを棄てなければいけなかったんだろう。
ごほ、と咳をして、クリスから目を逸らす。 穏やかな哀しみが滲んで、目頭が眩む。そうしてまた、短い咳。またあとでな。お決まりの挨拶で、歩き出した。
その足跡に、はらはらと散る、白い花びらを残して。]
(97) 2014/09/06(Sat) 17時頃
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─再び廊下─
[カリ。カリ。カリ。カリ。カリ。
爪を噛む音が静まり返った廊下に反響する。 上背のある痩せた青年が、少し背中を丸めて歩く、その口元で。
カリ。カリ。…ギチ。
下がった前髪の隙間から覗く瞳は、今朝のようにどこか虚ろ。時折短い咳をして、煩わしげに肩や腕に服の上から爪を立てる。まるで何かを必死で擦り落とすように。]
……せぇ…るせえ、煩ぇ煩ぇ煩ぇ……
[両の腕で自分を抱き締める。その手は小刻みに震えていた。]
だれか…だれかいねえの…、………センセイ、
[焦燥しきった声音で。柔らかな物腰の医師の姿を思い浮かべた。 一瞬だけ、廊下の奥の階段を睨み付けて。ゆっくりと踵を返したその足は、診察室へと向かっていた。]
(119) 2014/09/06(Sat) 22時半頃
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[ガリ。 爪を噛む。爪? 口引き抜いた指先に、微かに這う根のようなもの。唇の隙間からは、はらり。白い何かが舞って。
──その時、その場に医師はいただろうか。 互いに廊下の角を曲がった直線上。確かに一瞬、目が合った。
瞬間、背筋を這い回る悪寒じみたものに、シーシャの肩がびくりと揺れる。 昼前だったか。別れた時から、続く不快感。どことなく、常と違うその様子に。]
────サミ、ィ。
[震えた音が、その名を呼んだ。]
(124) 2014/09/06(Sat) 22時半頃
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『 誰、その人 』
[前方から投げ付けらた言葉に、青年の表情が凍り付く。 見開いた瞳が、ずっと奥の方で。勝手に、無作為に、シャッターを切った。]
…オマエ…冗談、程々にしろよ、ピーマン野郎…
[声が。声が。震えて。やっとで吐いた息だけが熱くて、どうしようもない。 奥歯が鳴る。噛み締めたのに気付いた頃には、足は勝手に距離を詰めていた。勢いを殺さず掴みかかる。襟元掴んで乱暴に引き寄せた。 身長差で息が詰まるやもしれないが、相手からの抵抗は殆ど感じない。
それが、余計に苛ついて。 花が。彼に芽吹いた新しいその花が。]
────けんな、ふざけんなよ……ッ! 今朝まで、なんとも無かったじゃねえかよ、ふざけんな…返せよ…ッ
[サミィ。呼んだ名前と一緒に手が滑り落ちる。 縋るみたいに肩を掴んだまま、返せと叫ぶ意味は。 目の前の彼には、伝わらないのかもしれない。]
(139) 2014/09/06(Sat) 23時半頃
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『 あんたのなまえは 』
(いやだ いやだ )
『 なんていうの? 』
(いやだ ききたくない ききたくない)
[何回だって、教えるから。
震える手が頬を挟んで。 それは、いつかどこかで、繰り返された光景。
泣き笑いみたいな声が、告げる。シーシャ。]
(142) 2014/09/06(Sat) 23時半頃
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……呼べよ、もっかい、……サミィ。
[開きかけた蕾の、芳香までもが脳に焼き付いて。
どうやったって失う恐怖は、哀しみは、目頭から滲んで落ちた。]
(144) 2014/09/06(Sat) 23時半頃
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