56 いつか、どこかで――狼と弓のワルツ――
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『まってるから――…』
[ 鮮明に聴こえた あの時の言葉に ]
[遠い昔 とても大切な約束を交わした――
白昼夢の様な、記憶に無い微睡の夢。
大切とだけ理解できる、漠然とし過ぎた夢]
[ 廻って 廻って 待って 待って 待って 漸く ]
[ あぁ その言葉で 何となく解った
僕はずっと 彼の事を待ってたんだなって ]
お互い、腹は括れてるかな?
[笑いながら 意思を確かめる翠の視線も 嘗てあった様に]
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― 赤国首都・自宅の庭 ―
[ただ只管に働いた時代は過去の事。仕事は終わり、伴侶は先に旅立ち、子も成長し家を出ている。
残された老人は真昼間から小さな体を大きな椅子に乗せてビーフジャーキーを齧っている。ジャーキーをかめなくなる程、歯は脆くなっていない。]
いくつになってもジャーキーだけはやめられんわ。 酒はなくともジャーキーは要るんじゃ。 仕事をやめても死ぬまで食わせてもらうぞ。
[空に決意表明を投げ入れて。]
(179) 10347 2011/07/07(Thu) 01時半頃
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しかし…いつか誰かのお世話をたのまんといかんのかね。今はまだまだ体は動くんじゃが。
[今のところ自炊や掃除は出来ているが、年が来ればいつかは出来なくなるかもしれない。]
寝たきり孤独死は勘弁じゃが、知らん者に世話されるのもこれまた勘弁じゃ。今はあんま考えとうないわ。
(180) 10347 2011/07/07(Thu) 01時半頃
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御者 バーナバスは、メモを貼った。
10347 2011/07/07(Thu) 01時半頃
夢、だよな。
[夢の中で、どんなに話しかけても返事のなかったことを思い出して小さく笑う。
また、話したいと。夢から覚めてもその思いだけが残っていた、相手。]
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[静かにゆったりしていれば、近所の人が尋ねてきた。 作りすぎた料理やらを持ってきたらしい。]
はいはい…こりゃどーもすいませんね。 ええ、ええそのうちお仕事のお話でもしますんでね。 面白いかどうかわかりませんがね。
[時折近所の子供に仕事の話をすることが、最近の楽しみになってきていた。]
仕事で方々に出ていたときには考えられなかったことではあるのだが、如何せん面白い話かのう―。
極端な話、きついルールのあって息苦しさを覚える事もあるし、規則守らないと最悪命落としてしまう。下っ端なら尚更だ。そのうえ必要に寄っちゃむさ苦しい中でドンパチやって、運悪ければ命を落としかねないって仕事なのにのう。
だがの、国のために働きたい―そんな子供にゃそんなことを聞かせられんか。**
(186) 10347 2011/07/07(Thu) 03時頃
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御者 バーナバスは、メモを貼った。
10347 2011/07/07(Thu) 03時半頃
御者 バーナバスは、メモを貼った。
10347 2011/07/07(Thu) 03時半頃
[ 狼がまた 牙を剥く必要の無い
穏やかな日を もう暫くでも長く――** ]
はは、 今更だな?
[覚悟なんて、とうの昔に出来ていたのだから。]
[確か、まだ名前も聞いてはいないような気がした。
それとも、名乗っていたのを聞き逃しただろうか。
連れている猫。
飄々とした笑顔。
じい。
しばらく眺めてみた。]
[騒ぐその様子に、呆れながらふと気付く視線。
見つめ返してみた。]
[目が合って、きょとんとした]
うーん……どこかでお会いした事がありましたっけ?
言われてみればそんな気もしますし、
違うと言えば違う気もしますね……
済まない―――…
[そう漏れた呟きは、かつての自分が最後まで傍に居られなかったことへの懺悔か。
其れとも、何の力も持たずに生まれ変わったことへの懺悔か。]
[聞こえて来た声にピクリと固まり。]
声、あんた、か?
[恐る恐る聞いてみた。]
パーティーですか。
赤と緑が、そんな風に自由に行き交うことができる、
いつか、そんな時代がまた来るでしょうか?
[彼らと敵ではなく隣人になる。
そんな未来を思い浮かべていた]
……?
[再び目が合い、首を傾げた。
聴こえているのかどうかは、定かでない]
最期まで、傍にいる。
お前らの傍に、ずっと――――― **
…有難う。
[彼の言葉に返す彼女の声は、今までに無い程、穏やかなもので。]
[目が合い首を傾げる様子に、きっと聞こえているのだろうと、確信めいたものを感じた。
否、声が聞こえていても聞こえていなくても良かった。]
あん時の約束。
守れたら良いな。
[違う服でまた逢えた。
次は、祝勝会――今は和平となった祝いのパーティー。]
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― 自宅の庭 ―
…っていう話だったのだよ。 おお、もうこんな時間か今日はおしまいだ。
[子供達に聞かせるのは、自身が勤務していたときのこと―。]
文句を言いなさんな。 また今度聞かせてやるからさあ早くお家にお帰り。 あまりわがまま言うと次は―そうそう、それでいい。
[まだ聞かせろという子供達を宥めれば、元気な姿で帰っていく。その姿が心地よい眩しさを放っていて目を細めた。]
―子供の相手は楽しいが疲れるわい。 やれやれ、よっこらしょっと。
(235) 10347 2011/07/08(Fri) 00時半頃
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[子供に話をするのは、唯の昔話に多少―いや多々―脚色をしてあるもの。]
英雄というのものに、子供は何時の時代だろうと憧れるものだろうな。おいぼれには、たとえ何があろうと、若者には前を向いていってほしいものじゃよ…。
[現場たたき上げの一般兵卒では、長年勤めても国を救うような活躍などはそうそう出来ない。民にまで名が残るのは将校などであり、例え兵卒が英雄たる結果を残せばその時点で将校などとして迎えられるのもある種流れである。]
さすればこそ、夢を壊すような真似を老いぼれがしちゃいかんのだよ。其れが例え、華やかな裏ではどんな苦労や現実が待ちうけていようと、の。
(236) 10347 2011/07/08(Fri) 00時半頃
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明日を担う彼らなら、それを見たとて、それでも前に進めるじゃろ。何時の時代も憧憬に勝る意欲は無かろうに。
…老いぼれも嘗てそうじゃったからの。
[椅子を揺らしながら、遠い空を見る。今は有事一歩手前と見るが自身は既に蚊帳の外。折角の英雄になりそこねたかな残念な思いをすることもあった。しかし、確かに何事も無かったが―無事に役目を果たした事を今は誇りに思っていた。
それは正式な手順での入隊、下とはいえ並ぶ立場、勤勉な勤務、家庭、巣立ち、引継ぎ、退職。 何時か手にいられなかった、小さな小さなもの―]**
(237) 10347 2011/07/08(Fri) 00時半頃
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何時までも、こうあれば…。
[3人で、こうしていられる幸せを、今はただ噛みしめて。**]
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