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もう、来たらあかんよって。
言ったやんか。
[幼子の、泥に濡れたすべらかな頬を、そうと指先で撫でる。
桃色に染めて輝いていたそれは、白く冷たく濡れている。
危ないから、あかんよって。
そもそもそん花は、お見舞いには向かんよ、って。
言うたのに。
あと少し、年が行っていたならば。
幼子にはその花が見えなかったろう。
あと少し、幼かったなら、こちらの声が聞こえたろう。
あと少し……
口惜しさは何の代わりにもならぬ。
私は、泥に足を取られて滑り落ちる子どもに、何もしてあげられなかった。]
あぁ、泣かんで、泣かんで。
[空が泣き出すような雨を降らせる。
これは、誰の涙だろうか。
この子のものか、家族のものか。
この子の家族は、誰やろう。
お見舞いと言っていたのだから、きっと病に臥せった家族がおるんやろう。]
泣かんで…な?
今、綺麗にしたるからな?
[幼子の亡骸に掌をかざす。
白銀の光に包まれて、物言わぬ子供は姿を消した。
代わりにその場に遺るのは、月明かりを写した銀竜草のような、仄かな輝きを帯びた紫陽花一株。]
そうら、綺麗やろ?
あなたが、綺麗て喜んだ、お花や……
あぁなんで。
なんで、まだ泣くん?
[開いたばかりの紫陽花に、ぽつりぽつりと雫が落ちる。
それはまるで、花そのものが泣いているようで。]
あぁ、あぁ、そうやんな。
ひとりぼっちは、さみしいな。
おねぇちゃんにも、分かるから。
[ひとりでに花束のようになる、花手毬を両手に包み、口付ける。
それはまるで、むずかって中々眠らない子供を寝かしつけるような仕草で。]
可哀想やな、可愛いな。
せやな、ちゃぁんと、帰してあげるからな。
[ぽつ、ぽつと、村への道を辿るように、紫陽花の花びらが、姿を見せる。
例えばそれは、紫陽花の花束を抱えた子供が、いち早く家へ帰ろうと、走り抜け様花を散らしていったような。
それを見守り、“わたし”は微笑う。]
ふふ、元気やな、可愛いな。
**もあの位ん頃は、
よう走っとったっけ…
[“わたし”は、遠い記憶に想いを馳せる。
誰からも、“わたし”自身からも、忘れ去られた記憶に。
『どうして、どうして…おねぇちゃん!』
誰かの泣き顔が記憶にひらめいた瞬間、私は────、**]
【人】 薬売り 芙蓉― 村の道にて ― (15) 2019/07/04(Thu) 11時頃 |
【人】 薬売り 芙蓉[ じいちゃんの笑顔>>8は安心する。 (16) 2019/07/04(Thu) 11時頃 |
たえちゃん…?
【人】 薬売り 芙蓉
(19) 2019/07/04(Thu) 11時頃 |
【人】 薬売り 芙蓉―― 閑話 (20) 2019/07/04(Thu) 11時頃 |
[ 昔に食べた、 ――― 食べようとした紫陽花
[ 小さい頃から山が大好きだった。色んな所に行く前に、山の知識を教えてもらって、でもそれでも、こっそりと色んな所へ行った。
一度足を滑らせたこともあったが、持ち前の丈夫さでなんとかなった。 その時の光景や見たものは、思い出せないけれど。
運が良かった。
あたしはきっと、運が良かったのだ。]
[ 見た事がないはずの透明な紫陽花。
どうしても目が行ってしまう。あれは、…あれは。なんだっけ。]
…たえちゃん?
[ そう語りかけるのは頭の中でだけだ。
そう、それは、その透明な紫陽花に向かって。
泣き声が聞こえる。良く知っている気がする。だけど確信には至らなくて、声には…言葉には、できなかった。]*
【人】 薬売り 芙蓉
(21) 2019/07/04(Thu) 11時半頃 |
────とぉりゃんせ、とぉりゃんせ。
此処は何処の細道じゃ?
天神様の細道じゃ。
ちょぉっと通して、くだしゃんせ────
よかったねぇ、おたえちゃん。
無事、辿り着いたんやねぇ。
知っとるよ。
わたしたちの見分け、つかんこと。
どっちでもおんなじやって、
きっと言うんやろね。
[少女には、紫陽花の株のそばでうずくまる子どもが、見えていたのだが。
ここにおるのに、とべそをかく子どもが。
寂しいと、袖を濡らす、たえが。]
可哀想やな、可愛いな。
そうやね、気づいてもらえんのは、寂しいな。
大好きな、じいちゃんやもんね。
ねぇ、おたえちゃん。
心配、
いらんよぅ?
【人】 薬売り 芙蓉
(105) 2019/07/05(Fri) 20時頃 |
【人】 薬売り 芙蓉―雷門の家、庭― (107) 2019/07/05(Fri) 20時頃 |
[ 蹲る子供の姿はこの目には見えず。
ただ聞こえる声に、その紫陽花へと視線を送る。]
心配、いらんの?
たえちゃん、居るん?
これ 誰の声やろか。
……夕ちゃん?
[ 朝夕の区別がつくつかない、という以前に。なんだろうか、少しだけ、雰囲気が、…]
ゆうちゃん?
[ 違うような気がして、]
…
[ 昔、出会った、誰かに似てる気がする。
紫陽花へと送っていた視線は、夕顔へと向けられ、少しの間視線を留めた。]
【人】 薬売り 芙蓉[ 見渡せど、変わったものは透明な紫陽花のみで。] (110) 2019/07/05(Fri) 20時半頃 |
【人】 薬売り 芙蓉
(113) 2019/07/05(Fri) 20時半頃 |
[少女と本当に視線が絡んだのは一瞬。
けれど、少女がまた家の中へと視線を戻してからも、その眼差しは彼女をとらえて離さない。
見えない眼差しが、“笑みを浮かべた”。
その“笑み”は、どう見積もっても年端のいかぬ少女の浮かべられるそれではなく、
もっと言えば、18の年頃の娘が浮かべたそれで、
更に言えば、娘は“緋色の婚礼衣装を纏っていた”。
そんな姿はどこにもないのに、何故かその眼差しは、“そんな娘の浮かべた笑み”を幻想させた。
そんな娘は、どこにもいない。
どこにも。]
[とたとたとた。
裸足の子供が室内を走るような音がする。
足音は、飴のそばでいったん止まってから、また走り出す。
家の、中ほどへ、向かうように。
開いた戸
『みぃつけた!』
『次はおねぇちゃんの番!』
とたとたとた。
家の中を、裸足の子供が走り回るような音がする。
何度か襖や戸を開け閉めする音がして、それから、静かになった。]
[ ほんの一瞬。すぐに表情を変えてしまったから、その視線に捉えられたのも一瞬、の、はずだ。
笑みが見えた。
夕顔にはおおよそ浮かべる事に出来ない類いの笑み。
ぞわ、じわ、じとり、
ぺたりと背筋に張り付くような感覚は、まだ雨も降りはじめていないのにはやい気がする。
今のあたしよりも少し年下、
だけど、ずっと昔はずっと年上、
緋色の花嫁の笑みは、笑みが、
心を捉えて離さない。
息が詰まるような心地に目を瞠る。
きれいなきれいな、およめさん。
ここにいるのは夕顔だ。
夕顔、夕ちゃんのはずなのに、
ここにいない姿なのに、あの娘は、 ]
[ いない――…?
表情が夕顔に戻って、漸く解放された気になる、いや、されていない。囚われている。]
おねえちゃん?
[ 自分に勿論姉はいない。だがなんとなく、そう口が動いた。]
【人】 薬売り 芙蓉
(123) 2019/07/05(Fri) 22時半頃 |
『もう いいかい』
『まぁだだよ』
『もう いいかい』
『もう い い か い』
『も う い い よ 』
────め か く し
お に さ ん
て の
な
る
ほ
う
へ────
[ 視覚と聴覚が、何かに囚われ、
少しだけ下を向いて、ぐるぐると頭の中で渦巻く 声を 姿を
反芻している。
紫陽花へ向かうような視線は、
少しの間、どこにも向いていない。]
[ 綺麗な、およめさん。
紫陽花の季節に輿入れしたならば、
彼女は幸せになれたのだろうか。]
[ 耳に幽かに届く、沁みるような声。]
[ ぱん、と軽く小さく、聞こえないくらいの音で、手を打ち合わせた。]
【人】 薬売り 芙蓉―雷門の家― (133) 2019/07/06(Sat) 00時頃 |
『 お
に さ
ん
こ
ち ら
て
の
な る
ほ
う へ 』
[転がった琥珀色を、幼い子供が攫って行った。]
寂しいな、寂しいな。
ここにおるのにな。
おたえちゃん、ちゃぁんといい子で、帰って来たんにな。
[そもそもお山の神様なんて、
人の子なんぞに興味なんてないんやけどな。]
なぁ?
よかったねぇ、おたえちゃん。
じぃちゃんも、おたえちゃんに。
会いたい、って。
『もう いいかい』
『もう いいよ』
『も う い い よ』
『も う い い よ』
雷門じぃちゃんのこと、
呼んどるよ。
【人】 薬売り 芙蓉―雷門宅― (208) 2019/07/07(Sun) 00時頃 |
( 山に、返した… )
[ 紫陽花を脳裏に浮かべる。]
[ 視覚と、聴覚と、嗅覚まで。
異常を感じている。
お嫁さんの笑顔、聞こえる声、香る藤、
妙な感覚だ、けれど、不快ではない。
ぼんやりと、するだけだ。]
【人】 薬売り 芙蓉
(213) 2019/07/07(Sun) 00時頃 |
かわいそうや…。
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