297 湿っぽい古風和ホラーRP村「紫陽花奇譚」
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[ 蹲る子供の姿はこの目には見えず。
ただ聞こえる声に、その紫陽花へと視線を送る。]
心配、いらんの?
たえちゃん、居るん?
これ 誰の声やろか。
……夕ちゃん?
[ 朝夕の区別がつくつかない、という以前に。なんだろうか、少しだけ、雰囲気が、…]
ゆうちゃん?
[ 違うような気がして、]
…
[ 昔、出会った、誰かに似てる気がする。
紫陽花へと送っていた視線は、夕顔へと向けられ、少しの間視線を留めた。]
[少女と本当に視線が絡んだのは一瞬。
けれど、少女がまた家の中へと視線を戻してからも、その眼差しは彼女をとらえて離さない。
見えない眼差しが、“笑みを浮かべた”。
その“笑み”は、どう見積もっても年端のいかぬ少女の浮かべられるそれではなく、
もっと言えば、18の年頃の娘が浮かべたそれで、
更に言えば、娘は“緋色の婚礼衣装を纏っていた”。
そんな姿はどこにもないのに、何故かその眼差しは、“そんな娘の浮かべた笑み”を幻想させた。
そんな娘は、どこにもいない。
どこにも。]
[とたとたとた。
裸足の子供が室内を走るような音がする。
足音は、飴のそばでいったん止まってから、また走り出す。
家の、中ほどへ、向かうように。
開いた戸の前で、立ち止まる。
『みぃつけた!』
『次はおねぇちゃんの番!』
とたとたとた。
家の中を、裸足の子供が走り回るような音がする。
何度か襖や戸を開け閉めする音がして、それから、静かになった。]
[ ほんの一瞬。すぐに表情を変えてしまったから、その視線に捉えられたのも一瞬、の、はずだ。
笑みが見えた。
夕顔にはおおよそ浮かべる事に出来ない類いの笑み。
ぞわ、じわ、じとり、
ぺたりと背筋に張り付くような感覚は、まだ雨も降りはじめていないのにはやい気がする。
今のあたしよりも少し年下、
だけど、ずっと昔はずっと年上、
緋色の花嫁の笑みは、笑みが、
心を捉えて離さない。
息が詰まるような心地に目を瞠る。
きれいなきれいな、およめさん。
ここにいるのは夕顔だ。
夕顔、夕ちゃんのはずなのに、
ここにいない姿なのに、あの娘は、 ]
[ いない――…?
表情が夕顔に戻って、漸く解放された気になる、いや、されていない。囚われている。]
おねえちゃん?
[ 自分に勿論姉はいない。だがなんとなく、そう口が動いた。]
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[そこは沈黙の薄暗闇(>>104)。 人の気配がない、よそよそしい部屋だった。 いつも少女の顔をみるなり笑顔になる、たえの姿はない。
ぴしゃり。音を立てて少女は戸を閉める。 不自然なほどに、その音が廊下に響いたように感じた。]
うちや…。うちのせいや…。うちが…
(124) 2019/07/05(Fri) 23時頃
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『もう いいかい』
『まぁだだよ』
『もう いいかい』
『もう い い か い』
────め か く し
お に さ ん
て の
な
る
ほ
う
へ────
[ 視覚と聴覚が、何かに囚われ、
少しだけ下を向いて、ぐるぐると頭の中で渦巻く 声を 姿を
反芻している。
紫陽花へ向かうような視線は、
少しの間、どこにも向いていない。]
[ 綺麗な、およめさん。
紫陽花の季節に輿入れしたならば、
彼女は幸せになれたのだろうか。]
[ 耳に幽かに届く、沁みるような声。]
[ ぱん、と軽く小さく、聞こえないくらいの音で、手を打ち合わせた。]
|
旦那はん…… うち…うちは……(>>136)
[壁伝いに、暗い廊下を辿ってくる足音が聞こえる。 それが雷門だということに、少女は疑いようもなかった。やがて立ち尽くしていた自身に声を掛けられて、少女は声にならない告白(>>34)をなんとか口にしようとあえいだ。
ようやく、せめて謝りに来たのだと、自分がこの雷門の家まで来た理由を知る。そう悟りながら、その口の端をついて出ようとする別の感情の存在を、少女は感じていた。**]
(139) 2019/07/06(Sat) 00時半頃
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子守り 日向は、メモを貼った。
2019/07/06(Sat) 00時半頃
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[少女は首を横に振りながら、一歩後ずさる(>>140) 心底心配そうな雷門の表情と気遣いに、少女の良心はなお呵責されるようだった。それなのに、むしろそれだからなのか、湧き上がる暗い感情を抑えられなくなった。]
嘘や… もうたえちゃんは居らん! うちが…うちが山に返したもん!!
… うちだけなんで…もう無理や。 おとうもおかあも、なんで出稼ぎから帰ってこんの… うちだけで田んぼやって、奉公やって、子守やなんて…
せやし……… 村から子供が居らんようなったらええ… 山に返したらええんや!
そしたら…そしたら…… **
(154) 2019/07/06(Sat) 07時頃
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子守り 日向は、メモを貼った。
2019/07/06(Sat) 07時頃
『 お
に さ
ん
こ
ち ら
て
の
な る
ほ
う へ 』
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朧はん…(>>169)
[継いで吐きそうなった毒は、雷門が夕顔を求めて視線を外したことと、朧の言葉で威圧感で飲み込んでしまった。けれど一度出し始めたものは、やはり止まらないのだろう。怯えたように、また一歩後ずさりながら。]
知らんもん… 山なんか…山なんかどこにでもあるやろ…
[そうだ。こうやって、もう自分を受け入れる村人は居なくなったのだ。少女は先の思い(>>103)を思い出す。霜が降りたような寒さを心に感じながら、同時に反発心がたかぶる。]
どこでもええやろ!
(172) 2019/07/06(Sat) 19時半頃
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子守り 日向は、メモを貼った。
2019/07/06(Sat) 19時半頃
寂しいな、寂しいな。
ここにおるのにな。
おたえちゃん、ちゃぁんといい子で、帰って来たんにな。
[そもそもお山の神様なんて、
人の子なんぞに興味なんてないんやけどな。]
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[少女がたえを唆した先は、朧が言う通り村の山だった。正直に言うのならばきっと今なのだろう。少女にまだ残る冷静な部分がそう告げていた。けれど。]
知らん…
あの山や思うんなら…はよう探しにいったええ。 はげ山なるまで草も木も、アレも刈ったらええんや。
(185) 2019/07/06(Sat) 21時頃
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[挑むような表情で、少女は朧を見上げた。 見上げなければ、俯いていては、我慢していた涙が溢れてしまいそうだった。]
なんでや…。 うちのおとうもおかあも、誰も探してくれへんのに… たえちゃんならなんで……
みんな寂しなったらええ。 みんな悲しなって…
みんなうちと同じになったら…ええんや……。
(186) 2019/07/06(Sat) 21時頃
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子守り 日向は、メモを貼った。
2019/07/06(Sat) 21時頃
よかったねぇ、おたえちゃん。
じぃちゃんも、おたえちゃんに。
会いたい、って。
『もう いいかい』
『もう いいよ』
『も う い い よ』
『も う い い よ』
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言うだけや… みんな言うだけなんや…(>>196,>>200)
[雷門や朧への恨み言には、すましたように雷門の袖を引く夕顔への何かも含んでいたかもしれない。冷静な頃の少女なら、夕顔が雷門の元へ、たえを連れてこない事そのものに、何か違和感を感じたかもしれなかった。]
嫌いや。
旦那はんも… 朧はんも…幸せそうなひとはみんな…嫌いや!
[言いながら、いまだ朧を見上げるその目からは、朧の言葉(>>201)が切った堰のように、とめどない涙が流れこぼれ落ちていた。**]
(203) 2019/07/06(Sat) 23時半頃
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子守り 日向は、メモを貼った。
2019/07/06(Sat) 23時半頃
( 山に、返した… )
[ 紫陽花を脳裏に浮かべる。]
[ 視覚と、聴覚と、嗅覚まで。
異常を感じている。
お嫁さんの笑顔、聞こえる声、香る藤、
妙な感覚だ、けれど、不快ではない。
ぼんやりと、するだけだ。]
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