69 La Bataille Royale.
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誰を殺す?
誰を殺したら、私が生き延びられる?
誰が死にそう?
すぐ死ぬ子から殺していかなきゃ。
うるさいだって?
誰に向かって口を利いてるの?
堀井ごときが!!!
馬鹿の一員ごときが!!!
死ね死ねしねしねしねしね、
皆死ね!
馬鹿なクラスメイトども、皆死んでしまえ!!
こんなボタン、全部押してやる。
全員死……、、、
……落ちつけ。
……落ちつけ、落ちつけ、私。
私は南野詩絵流。
私が南野詩絵流。
人生の勝者はいつも私。
そう、私はいつも勝つんだ。
ちーちゃんの腕輪には、ついてない……。
なんで? 私だけ?
どうして? 何のため?
ねえ、私……、
おち、落ちつこう。
本当に集音マイクだったとしても、聞いてるのが、この中の誰かとは限らない。
実行委員かもしれない。
そう……そうだ。私の助けを聞き逃さないためかもしれない。
それに、もし、この中の誰かに、私の腕輪から、私の独り言が漏れてるとしても……。
聞いてるとは限らない、し。
他の会話に夢中で、聞き逃したりしてるかもしれないし。
大丈夫、……大丈夫。
でも……。
……聞いてるのだとしたら。
ねえ。
答えなさいよ。
ねえ。
ねえ。
聞いてるんでしょ。
聞いたんでしょ。
言いなさいよ。
私が、表は品行方正な委員長。
でも、裏では誰を殺してでも生き残ろうと思ってるって。
言えないよね?
盗み聞きなんて、恥知らずなことをしておいて。
プライドがあれば言えないよね?
それに、誰でも思ってることを、私も思ってるだけだよ。
誰だって自分が一番可愛い。
そうでしょ?
締め切りがあるって分かってて宿題をしてこない。
頭が悪いって分かってて改善しようとしない。
部屋にこもって勉強は出来ても、外での運動はからっきし。
……ねえ、皆どこかどうしようもないね。
この中で、生きる価値のある人間は、私ひとりだよ。
私以外に誰がいるっていうんだ!!!!!!!
これで軽部くんが片付くんだね。
いい気味だ。
フフッ。
後はこれを繰り返して……、、、、
1人以上、死ぬこともありえる?
……軽部くんを殺しても、まだ安全じゃない可能性が……ある?
軽部くんでも、堀井さんでもどっちでもいい。
私じゃなければ、どっちでもいい。
……ううん、早くたくさん殺すためには、軽部くんの方がいいな。
やっぱり投票は軽部くんのままでいい……。
ただ……気になるのは……。
堀井さんが投票以外で死ぬことを義務づけられていたように。
投票以外で死ぬ人が出るように、そんなギミックがしかけられてるのかもしれない。
……私……だったらどうしよう。
いや、そんなはずない。私が死ぬはずがない。
でも、私、私……。
生き残るべき人間だから、殺されるかもしれない。
誰かが生き残るためには、私を殺さなければいけないから、殺されるかもしれない。
いやだ……死にたくない、死にたくない!!
好都合すぎて
笑っ ちゃ い そ う。
あはっ。
あはははっ!
こういう風に聞くってことは、私の腕輪が本当にマイクだとしても、聞いてるのはちーちゃんじゃないね……。
利用できるものは、利用しなきゃね。
織部さんが何か言いだした時は、もしかしてと思ったけど。
結局、アナタも同情引きの仲間だよ。
嫌われるのが怖い臆病者。
私は違う。
私は本気で、このバカでクズのクラスメイトなんか、大嫌い。
こいつらに嫌われることなんか、怖くもなんともない。
尊敬され、好かれている方が便利だからそうしてるだけ。
ばーかみたい。
軽部くんを今日殺して。
もし出来る事なら、軽部くんの腕輪で、堀井さんも殺したいな。
出来なくても、別にいいや。
堀井さんが軽部くんから銃を受け取ったとしても、あのキモチワルイ色の左手はもう使えないだろうし。だったら、片手で撃ったって当たるハズないよ。
後は……真田くん。
真田くんを、どうにかこっちに引き込めないかな……。
男子なんてバカだから、ちょっと色仕掛けしたらすぐ転ぶハズ。後は、真田くんに皆をどうにかさせれば……。
聞いてる?
聞いてるんでしょ?
そこにいるんでしょ?
私に協力しなさいよ。
私についてきたら、生き残れる。
見たでしょ? 私が押せって言ったら、皆軽部くんに投票する。堀井さんには見抜かれてたけど、大丈夫、その堀井さんだって、次かその次には殺してやる。
ねえ。
私は誰でも殺せるんだよ。
……。
……本当に邪魔な、堀井さん。
はやくしんだらいいのに。
なにやってるの、皆。
バカなのは最初から分かってるけど、本当にどうしようもないくらいバカすぎるでしょ。
状況を理解してるのは、軽部くん本人。そして、堀井さんくらいか。
現在このヒエラルキーの形は、ピラミッドなんていう生易しいものじゃない。閉じた傘のような形だ。
軽部くんは突出して危険だ。可及的速やかに、それも本人が喜んで死にたいって言ってる間に、殺さなきゃいけないんだよ。
それがどうして分からないの?
絹衣くんが、武器を持ってたからって言って、それが何?
銃だろうとナイフだろうと、絹衣くんが獲物を前に、ガタガタ膝を震わせてる姿は容易に想像つくよ。
「人殺しができる」というのは、武器を持ってるか持ってないかの違いじゃない。「禁忌を犯す覚悟を、どのくらいの速さで出来るかどうか」だ。
軽部くんは「咄嗟の判断で、即座に実行に移せた」
これがどのくらい異常で、そして強すぎることか……。
どうして分からないの?
感情を論理で抑制することはできないよ、若林くん。
貴方が論理派だってとこは、ちょっと意外だったけど。
友達ごっこ。
どうせ殺すのに。
戦略として友情を演出してる私の方が、ずっとマシね。
少なくとも、主旨一貫はしてるわ。
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