249 Digital Devil Survivor
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……やられた、盗られた。
泥方ナツメって「悪魔」。
いや、アンドロなんとかって言ってた、か。
ソイツにマガタマ2つ盗っていかれた。
[そこに籠るのは憤りよりも、強い徒労感。]
……そっちは、どうだった?
[そもそも"仲間"は無事なのか。
『チアキセンパイ』と聞こえたから、千明と小鈴と戦って、最後に遥かに助けを求めていた筈だ。]
……ン。
[そういえば、仲間は小鈴と「誰」と戦っていたのだっけ。
ヤタガラスの事を気にしていたから千秋の事が浮かんでしまったが、確か『センパイ』としか聞いていなかった。]
[累の言葉は聞こえていなかった、意識がなかったから。
聞こえていたのならマガタマを持って行った人物の特徴を聞いただろうし、こちらの状況も伝えただろう。
その際にセンパイがチアキセンパイだと伝えたかどうかは分からないが。]
此処は。
……電波塔は嫌だな。
[感情が揺らされる。]
― 朝 ―
遥クン、どーもありがとね。
おかげで助かった。
そーそー、一応累クンにも報告。
チアキセンパイ…えーと、サマナーの一人なんだけどさ。
殺しといた。
マガタマ奪い損ねたけどね。
ま、邪魔者が一人減ったんだからいいよな。
[累とセンパイとの関係を知らないから軽く報告する。
もし、知っていたとしたら多少は申し訳なさそうにしていただろうか。]
[不意に響いた仲間の声。]
……生きてたのか。
返事がないから、死んだかと。
そうか、助けて、貰えたか。
[素直に助けを求め、助けられた彼に対し、僅か過ぎった感情は声音には乗らず。
そのまま"知り合い"の死を告げる報告を聞いて。]
……、…千秋は死んだ、か。
[沈黙の後に確認するように言って。]
……。
仕方ないな。仕方ない。
[軽いため息と共に呟く声はいつもの調子。
どうせはじめから繋げられる"縁"など無いのだから。]
……。
こっちはしくじった。
マガタマを2つ盗られた。
[心なしか普段よりも更に無感情に。
もう一度、報告をしただろう。]
ん、
[累の言葉からもしかしてセンパイと知り合いだったのか、と感じ取る。
が、だからといって何が言えるだろうか。]
他にマガタマ狙ってるヤツいんの。
そりゃ面倒くさい。
[どこか平坦な声。
短い付き合いだからそれが平常なのか、どうなのか判断しかねる。
だがこの仮初の仲間に情は不要だろう。]
……。
[もし千秋との関係を問われていても、たまに仕事をする"知り合い"としか答えなかっただろう。
他に言葉は持たなかったのもあるが。]
どーかな。
狙っているというより遊んでたな、あれは。
"盗む"力が厄介だったな。
[たまたま同じ『仕事』をする事になった仲間と、はじめから割り切っているのだから。]
[ ケイイチと塁の話題に上る「チアキ」なる人物から
脳裏を過るのは、白衣を着た変人であったが
彼らがそれぞれどんな接点を持っていたか
推測すらも困難な為に、聴いてはいても口にはしない
それで、何かの助けになるのなら別とはいえ
多分、この件は違うだろうから* ]
……暴走してる、なんで。
マガタマのせい?
[呆然とした声で呟く。
大切な氏子達が無残に引き裂かれ死んでいっているのに。
何も出来ず、ただ見ていた。]
……どうした?
[普段と違う声に少しだけ、怪訝そうな声を返す。]
[ ケイイチの声が聴こえたのは
どのタイミングだっただろう? ]
何、無茶して…何故そこまで…
[ 彼が、自分同様ただの人間ならば
多少、扱いに長けていたとしても
心身共にごっそり、 何かが持っていかれる
そんな「悪魔」を呼んだらタダで済む筈もなかろう ]
ちょっと、大物が勝手に出てきて暴走してるだけ、なんだけど。
参ったな、これ俺死ぬかも。
[無茶をしたくてしたわけでもなく。
何が切っ掛けなのかも分からないけど。
おそらくはただの自分の力不足のせい。
簡単に言えばキャパオーバー。]
……死ぬ?
[あの仲間が死ぬかもなんていうとは。
彼に千秋に対するような情はないが。]
……。
ほっといて離脱、できないのか?
オレが今此方から行くのは難しい。
もー手遅れ、かな。
[鳴と小鈴を振り切って逃げられる気はしない。
それに。]
カミサマが容赦なくMAG食ってくれるんでね。
このまま衰弱死の未来が見えるよ、俺。
[削れる精神。
後どれ程耐えられるか。]
……ああ、クソ……。
[苛立たしい。
ナツメに爪まで奪われていたのもそうだが。]
慶一。
[諦めた様子の仲間に言う言葉がわからない。
そもそも自分が何故言葉を探そうとしているのかが分からない。]
[ 助け「られ」るのは一度だけ
アリスを使役しての消耗から感覚的に
そう思ったからである ]
ケイイチ、大物って…誰か分かるか?
今、目の前にいるのは誰だ?
[ ニコのいう通りが道理なら、
払えるコストに限界があり自分が感じたものが
もしかしたら、それなのかも知れない
だから、無理は ── もう、出来ない…けれども ]
分かるよ、だってこれはうちの祭神。
俺のカミサマだよ、西廼が護ってきたもの。
あーそのカミサマに食われんのか、俺。
まあ、悪くはねぇな。
[実際の口は苦痛と出血による貧血でまともに動かすのも困難なのに。
こっちだとこんなに饒舌に話す事が出来る、実に滑稽だ。]
鬼は連れて逝く。
ただで死ぬ気はねぇよ、これでも意地ってもんがあるんでね。
[ 聴く事だけが限界の今が恨めしい
しかし、出来る唯一の事が現状それだけも事実 ]
ケイイチは…何を望んで、そこにいる?
協力出来るとはいえないが、教えて欲しい
[ それは、自分がニコへいった
「叶えてもらう」発想では「叶えられない」もの
と、どんな違いがあるのだろうか?
ただ、聴きたかった ── それだけ* ]
俺の望みは、西廼の悲願の為。
この地を統べ、神の御姿を知らしめ、そして。
まー、簡単に言ったら信仰集めたいだけなんだけどね。
日本はダメだよ、このままじゃ。
信仰は衰え、外来の神に侵食されて。
八百万、全てを受け入れて迎合してきた結果がこれ。
それも一つの形なんだろうけど。
西廼はそれを是としない。
そんだけだよ。
…………。
[遥が慶一に言葉を掛けるのを聞くだけ。
実際に話に割く余裕はあまりない。
それ以上にやはり言葉を見つけられなくて。]
そういや。
お互いに目的も何も話さなかったな。
[彼の望みを聞きながら、息を吐く。]
それで、カミサマに喰われるか。
…………慶一?
[何かが途切れたようなそんな予感がした。]
[意識の途切れた身体。
そこにはマガタマは4つ。
氏子達の怨嗟を吸い取ったそのマガタマは黒々と輝き。
誰かの手に渡るのを待っている。]
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