308 【R18】忙しい人のためのゾンビ村【RP村】
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[唸り声を聞いたのは、その直後だった。]
(104) 2020/10/23(Fri) 22時半頃
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[ここはデパートの2階。衣服売り場の一画。 婦人服売り場のあたりから、 血に濡れた声が聞こえて背を震わせた。
さっき、一瞬スマホの画面に映した死体 ――いや、この場合ゾンビか そいつが俺めがけて走ってくるのが見える。
這い上れる場所なんかない。 持っていたスマホをゾンビの顔面に投げた。 そのまま3階まで駆け上がる。
スポーツ用品店から死に物狂いでバットを拝借して、 尚追ってくるゾンビのうめき声に怯えた声をあげた。]
(105) 2020/10/23(Fri) 22時半頃
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死ね、よぉ!
[ひとをころすことが罪なら、 その罪を犯すことになんの躊躇もなくなっている俺は とうに英雄失格って感じなんだろうな。
べこっ、と嫌な音がした。 よろめくそいつを押しのけて俺は再び走り出す。
――どこへ。 ――デパートの外へ。
走っていこうと、して、]
(106) 2020/10/23(Fri) 22時半頃
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ヴィオラ
______________
ああ、そうだな。
お互いに。
生き残って酒を飲もう。
[そう返答を返し。
スマホから一度目を離す。]
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おいおい……
[2階にさっきより多数のゾンビが徘徊している。 降りていけば間違いなく食い殺される。 かといって戻れば、間違いなく男のゾンビに殺される。
冷や汗が背を伝った。 死にたいわけじゃない。 けどそれ以上に、]
あー…………
くそ、
俺は、ゾンビになるのなんか…… ぜってえ、ごめんだからな! [叫びながらバットを振り上げる。]
(107) 2020/10/23(Fri) 22時半頃
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[デパートの大窓を何度か殴りつけ――勢いよく、破った。 襲ってくるゾンビ男の顔面に もう二、三度バットを叩きつけて そのまんま、踵を返して落下する。
夕暮れの空から落ちて、落ちて、落ちて、
何かが折れる音がした。 落下先の木々の枝を巻き込んだのだとだけわかった。 その直後、衝撃がやってくる。
激痛。
左腕の痛みに悶えながら、 俺は落下した先の植え込みの中を転がった。 ぼやけた視界で見上げれば、破ってきた窓の向こうで 音につられたらしいゾンビたちが集まっている。 かと思えば、獲物の姿がなかったからか お互いを食い始めた。]
(108) 2020/10/23(Fri) 22時半頃
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[……ざまあみろ。 てめーらはそうやって、共食いでもしてればいいんだ。
呪詛のような悪態をつこうとして、 直後、進の顔が過り、痛みに顔を歪める。 思考がぼやける。痛い。
でも、俺は噛まれてなんかいないし ゾンビに触ってもいないんだから、 死んだって串谷秋の死体のままでいられるはず。
…………そのはずなんだ。]
(109) 2020/10/23(Fri) 22時半頃
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……はは。はは、…………ざまー、みろ
………………
ごめん、進
(110) 2020/10/23(Fri) 22時半頃
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[悔しさを涙にして 青ざめていく世界で俺は静かに目を閉じる。]
(111) 2020/10/23(Fri) 22時半頃
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[ GAME OVER ? ]
(112) 2020/10/23(Fri) 22時半頃
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[ 植え込みの端、 誰かの影が、じわりと夕焼けに滲んだ。**]
(113) 2020/10/23(Fri) 22時半頃
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[ ―――ッ!!! ]
(114) 2020/10/23(Fri) 22時半頃
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[それは、鼓膜が破れるんじゃないかというような、 ガラスが粉々に割れる音だった。
雨戸を降ろして、ガムテープで目張りをした窓達。 これで安心だと思ったのが、間違いだった。 二階の窓からは入ってこないと、 思い込んでいたのが駄目だったんだ。
二階にあるベランダには、 僕の部屋と、兄貴の部屋から出ることが出来る。 家のすぐ真横にある電柱に上った奴が、 ベランダに飛び移り、窓を割って来たらしい。]
(115) 2020/10/23(Fri) 22時半頃
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[音に飛び起きた僕は、目を疑った。]
[窓を割った際に刺さったのだろう。 頭や両腕から、血をだらだらと垂らしながら、
「 アー………ゥウウ、グォ……? 」
知性の欠片もない言葉を漏らし、 濁った瞳を此方にぐるりと向けた、そいつは。
隣の家に住んでいる、 僕達兄弟にいつも優しくしてくれていた、 兄貴より3つだけ年上の、若いお兄さんだった。]
[この騒動は、日常から遠い世界のように感じていて 身近の。普段から良く知っている人が。 "そう"なるなんて……思っていなかった。]
(116) 2020/10/23(Fri) 23時頃
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ひっ……!!!
[かけ布団を巻き込み、ベッドから転げ落ちる。 一緒に落ちてきた枕を盾にしながら ずりずりと、部屋のドアの方まで後ずさりする間も お隣さん……ゾンビは、ゆっくりと近づいてきていた。]
……ほ、ら、 よく、見てくださ、 僕、縁、です。 ご近所 の、 先週も、出張のお土産、持ってきて、くれて、
[我ながら情けない、引き攣った声だった。 僕の声は、何も聞こえてないのだろうか。 ひょっとしたら、理解できないだけかもしれない。]
(117) 2020/10/23(Fri) 23時頃
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ぅ、ああああっ!!! こ、こ、っち、……くん、な…っ!!
[持っていた枕を精いっぱいの力で投げたけど 僕の力じゃ、一瞬、怯ませる程度にしかならない。
会社帰りのままのような黒いスーツの下は 血で濡れたシャツを着たまんま、 ぼたぼたと、血混じりの涎を垂らしながら、 そいつの歩みは、止まらない。]
(118) 2020/10/23(Fri) 23時頃
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[立ち上がってドアを開けたいのに、 身体が震えて、立つことすらできない。 恐怖で、歯がかちかちと鳴って。
(―――どうか、兄貴だけでも、)
『兄貴、はやく、家から逃げて』
メッセージを打って送ろうとした時だった。]
[ゾンビの後ろに、兄貴の姿が見えたんだ。]
(119) 2020/10/23(Fri) 23時頃
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[ベランダから僕の部屋に来た兄貴は、 怒りの形相で金属のバットを振りかぶって、 力任せに、お隣さんの首のあたりに振りぬいた。]
『えーくんから……離れろおおお!!!』
[ぐしゃ、と、嫌な音がして、 ゾンビは部屋の隅へと吹っ飛んでいく。
兄貴は暫く呆然としたまま肩で息をしていたけど、 やがて、血まみれのバットを床に降ろすと、 僕を抱きしめて、よかった、よかったと、 何度も言ったんだ。
僕も、良かった、って言いながら 兄貴に抱き着いて……それで。]
(120) 2020/10/23(Fri) 23時頃
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[あぁ、本当に。] [僕は、馬鹿だった。 安全なはずの二階から侵入されて 自分たちの甘さを思い知ったばかりだって言うのにさ。
兄貴の後ろで、ゆらりと立ち上がったそいつに、 すぐに気づくことができたのは、僕だけだったのに。]
(121) 2020/10/23(Fri) 23時頃
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[―――全てが終わってしまってから、 どれだけの時間が経ったんだろう。 SNSを開いたのは、藁にも縋る思いだった。]
(122) 2020/10/23(Fri) 23時頃
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[いつもなら、謎の猫Xの配信は絶対見ただろう。
でも、今は、動画の配信を見ている場合じゃなかった。
前に、彼に頼まれたアイコンは実はもう出来上がってて
あげる機会を見計らっている状態だったけど。
今は―――そんな場合じゃ、ない。]
["対策を練りたい"
……そんな投稿が見えたのに対して。
前の返事のお礼をする事もせず。
震える指先で、打った。]
ミドリ @fate824
噛まれてしまったら、どうすればいいんですか。
[いつも、人に返信するときに書くような
丁寧にと気を使って少し長めの長文とは、
全く様子が違う、投稿だった。]
ミドリ @fate824
噛まれたら、もう、助からないんでしょうか。
兄が、今さっき、目の前で……。
誰か……誰か。対策を知っていたら、教えてください。
[スマホの画面が、涙でぼやけて良く見えなかった。]
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[僕は……何も、できなかった。
ゾンビが背後から兄貴に噛みついたときも、 兄貴がゾンビを引きはがして、 バットを拾って殴り殺すまで。 その場で力が抜けて動けなかった。
兄貴を助けなきゃ、って。 何度も何度も思っても、 腕にも足にも力が入らなかった。]
(123) 2020/10/23(Fri) 23時頃
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[ 走って、隠れて。走って、隠れて。 距離としてはせいぜい町内をグルグル回っている だけなのだが、どうにも、何も、休まらない。]
──はっ、はっ、あ……お、おえっ
[ 逃げ惑いながら、見た光景を反芻してしまい、 その場にびちゃびちゃと嘔吐する。 転んで倒れた老人に、何人もの人が殺到し。]
うぇっ…おえぇ……
[ がり、がり、ぐちゃり。 悲鳴、嗚咽、断末魔。 怒号、呻き声。
一頻り胃の中のものを出し切ったようだ。 吐き気は止まらないが手の甲で唇を拭う。 家があれば、そこに立て籠ることもできたのに。]
(124) 2020/10/23(Fri) 23時半頃
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[ 私はよろよろと立ち上がって、目の前のビルを見た。 その雑居ビルの非常階段は、"あいつら"はいないようだ。 各階の踊り場にはビールの樽やモップ、ゴミ箱がある。 そのビルのテナントが物置に使っているのだろう。
あたりは薄暗くなっている。 体も走り続けてボロボロだ。 私は非常階段を踏み締め、1段ずつ注意深く登った。 **]
(125) 2020/10/23(Fri) 23時半頃
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[僕に出来たことは、 兄貴がうめきながら肩を押さえてしゃがんだ時に やっと我に返って部屋から飛び出して。 兄貴の肩の傷の消毒をし、 全く巻き方の知識もないまま、 包帯をぐるぐると撒いたことぐらいだ。
でも、それが何だって言うんだ。 噛まれたら、もう、終わりなんだろう? 止血も、消毒も、意味なんて……]
(126) 2020/10/23(Fri) 23時半頃
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……うるせえよ。
[バリケードの向こうのドアが、 ギシギシと悲鳴を上げている。 いつまで持ちこたえられるのだろうか。 その前に自分が餓死してしまうのだろうか。
――わからない。
鞄の中に入っていた 唯一の食料であるチョコレートは 数日前に在庫を切らしてしまった。
かろうじて、手洗い場の水道水を飲んで 食いつないでいる]
(127) 2020/10/23(Fri) 23時半頃
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相当にかわいそう、だろうがよ。
[かわいそうとは思わない、という ひとつの投稿に悪態をついた]
どうやって 無事に逃げられるっていうんだよ。
[その声は、震えていた]
(128) 2020/10/23(Fri) 23時半頃
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