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っっ…!
[悲鳴こそ上げなかったものの、鋭い牙による激痛は身を走る。
未だ甘い香りも取り巻いて、余四朗の視界は二重に揺れるようになっていた]
っんだ、こりゃ……!
[視界が揺れるせいで足も覚束無い。
ふらつく間にも残りの朱蛇が余四朗へと迫っていて、それもまた倍の数と認識しながら太刀を握り直そうとした。
それでも対処は遅れ、朱蛇の牙が余四朗の喉元へと迫る]
《─────轟!!》
[朱蛇が余四朗の喉を喰い千切らんとした時。
余四朗に添っていた風が取り巻くものを吹き飛ばさんと荒れた。
荒れたのは数瞬ではあったが、それにより余四朗を取り巻いていた香りが薄くなる]
っは、……だん、な
あんが、てぇ…!
[声を届けるものだと聞いていたが、護りの効果も僅かながらにあったらしい。
接近していた朱蛇も軌道を逸らされ、余四朗の後方へと通り抜けていた]
…くっそ、他ん妖ん干渉されとぉか。
[まだ少し頭がくらりとする。
それでも先程よりは改善し、対峙している妖が二人に見えることはなかった]
ぅらっ!!
[右肩と左腕に噛み付いた朱蛇を毟り取り、血を流しながらそれらを相手へと投げつける。
直後、太刀を右上へと構え、もう一度雷刃を相手へと放った*]
うそ、つき。
あれは、とりだ。
あやかしじゃ、ない。
[
だがここまでの擦違いが、彼の言葉を嘘だと切り捨てる。
沙耶と約束をしておいて居なくなってしまった村の人間への不満も相まって、思考は短絡なものに代わり]
─── いけ。
[自ら広げた傷口から流す血を蛇に変えて、男へと嗾ける。
衝撃を受ければ崩れるそれは、太刀に一掃されて地に血溜まりを作りあげるだけに終わるはず、だったが]
【人】 薬売り 芙蓉― 岩場/結界の外 ― (70) 2015/02/11(Wed) 22時頃 |
こ、れ…?
[
沙耶にはただ良き香りでしかないが、その香りに気付いた前後から
沙耶自身の牙も突立ててやろうとしゅるり、尾を地に滑らせて距離を縮めたその、刹那]
……、っ…!?
【人】 薬売り 芙蓉《─────轟!!》 (71) 2015/02/11(Wed) 22時頃 |
[
それどころか、血を流し過ぎた身体は煽る風に耐え切れず平衡を失い体勢を崩す。
自分の蛇が弾き飛ばされただけでなく鼻を擽っていた香りも薄れたと気付いたのは、分身を投げ返されたと同時で]
…っ、あ、あああ…!!!
[再度放たれた雷、避けようも無く撃ち抜かれて痛みと痺れに叫びを上げる。
耐え切れぬ苦痛にのたうち左右乱雑に振り回す尾は、男の接近を防ぐことが出来るか**]
【人】 薬売り 芙蓉[姿が見えぬということは、事前に力による護りを与えていたという所だろう。 (72) 2015/02/11(Wed) 22時頃 |
【人】 旅籠 おもん― 廃村→ ― (73) 2015/02/11(Wed) 22時頃 |
【人】 座敷守 亀吉─ 神社 → 岬へ続く道 ─ (74) 2015/02/11(Wed) 22時半頃 |
[聞く耳持たぬ様子
祓えば良いだけのこと──と思っていたのだが。
この妖、思いの外手強い]
[放った雷刃は妖に届いたものの、追撃へと移行するには難しかった。
未だ視界が揺れることもさることながら、狙いが定まらないながらに撓り振られる妖の尾が余四朗を近付けない]
ほぃなぁ……こげんしたるぁ!
[狙いを振り回される妖の尾へと変え、上段に構えた太刀を振り下ろす*]
【人】 真剣師 鬼丞[視界に捉えた鴉の妖は、何かをめがけて舞い降りては数を減らし、遂に空からその姿を消す] (76) 2015/02/11(Wed) 22時半頃 |
【人】 真剣師 鬼丞[離れた場所からでは、細かい援護は出来ないが、それでも役には立ったのか、余四朗の声が届いて、僅か安堵の表情を浮かべる] (77) 2015/02/11(Wed) 22時半頃 |
【人】 半の目 丁助―砂浜― (78) 2015/02/11(Wed) 22時半頃 |
【人】 半の目 丁助[一対一の闘いであれば、男は手出しをしない方がよいだろうか。 (79) 2015/02/11(Wed) 22時半頃 |
【人】 半の目 丁助[結界に送り込んだのは幻惑の術か。 (80) 2015/02/11(Wed) 22時半頃 |
[痛い、いたい、イタイ。
ただでさえ雷は脅威、加えて動き鈍らぬようにと纏わせた湯気が伝導の役割果たし。
余四朗の放った以上痛みを受けた沙耶は、苦しさに身を捩らせる。
きぃ、あ、あああああ!!!!
[周りに気を配る余裕などある訳が無い。
当然、振り下ろされた太刀を避ける事など出来もせず。
刃を受けた尾、脱皮を済ませたばかりの柔い皮が簡単に斬り裂かれる。
更なる痛みに叫びはより高く、大きなものに変わり。
のた打ちは、そのまま害加える相手を振り払う動きへと変わった*]
[振り下ろした太刀は弾かれること無く妖の尾
その手応えは柔く、妖の幼さを際立たせるよう]
っ、
[斬り裂かれて上がる、高く大きな悲鳴。
耳がきぃん、と鳴るようだった。
それに顔を顰めた刹那、尾の動きが変わり、余四朗を弾かんとうねる]
ぐあ!
[予測が出来ぬ動きに対処しきれず、余四朗は左腕と胴を同時に打たれた。
打撃に朱蛇に喰らわれた傷から血が噴出すように飛び散り、辺りを朱に染める。
跳ね飛ばされた先には大岩が一つ。
右側面も打ちつけ、右肩から更に血が散った]
──くっそぁ……
[悪態が口から零れ出る。
打ち付けられた大岩に身を預けるようにしながら、体の向きだけは妖へと直して。
力が入りにくくなってきた腕に力を込めて太刀を握る]
…おらぁ、どげんした。
わしぃ喰ろうたるんじゃあねぇんけぇ?
[目を細め妖を見据えながら、挑発するように言って口端を持ち上げた*]
【人】 真剣師 鬼丞― 沼へと向かう道 ― (84) 2015/02/11(Wed) 23時頃 |
[右腕だけでなく、尾からも血が溢れ、流れ出る。
鋭い痛みに反射で跳ねた動きが男を打ちつけ、朱が地と空に弧を描く。
…あ、ああ、あ…
[痛みは変わらずあるものの、流れ出る血が徐々に麻痺させていく。
このまま放っておけば失血で動けなくなるも時間の問題、だが男が放っておいてくれる訳もなく。
沙耶もまた、男を放って逃げることなど出来なくなっていた]
[
喰うとは言った、確かに言った。けれど沙耶は、約束をした。
人は食わないと、約束をした相手はいなくなってしまった。沙耶を置いて。
約束したのに、沙耶はずっと、約束を守っていたのに]
やく、そく。
さきに、やぶった。
にんげん、なんか。
しんじなきゃ、よかった。
[対峙している男は村の者じゃない。
それは解っていたはずなのに、元より幼く狭い視野は怒りで更に狭まる]
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