56 いつか、どこかで――狼と弓のワルツ――
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おい、どうした。
何があったんだ!
答えろ!おい!!
[いくら話しかけても、もう、何も聞こえない。]
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神父殿、フィリップ君…。 せめて、安らかに。
[神父とフィリップの目を閉じ、自分に出来る祈りをささげた。]
せめて、安らかに。 う、く、んく、はぁ…。
[とうに涙は流れている。 それとは別に、井戸の奥底から水が湧き上がるように、心に噴出していく何かがあった。]
(7) 2011/07/02(Sat) 01時頃
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――…ッ馬鹿!んなよわっちい声で鳴くんじゃねえよ!
[彼の瞳を視ることは、叶わなかった。
雪崩れ落ちた自分へ、敵兵は容赦無く剣を、槍を繰り出した。
無情にも、彼のか細い声だけが響き渡る。]
[自分の所為で、彼が死ぬなんて冗談でも笑えなかった。]
…ッんで、
俺を、
[涙を流すわけにはいかない。
視界が歪めば、その場で息絶える。]
[俺は、夢の続きなんて信じない。
死ねば、何もかも朽ち果てて終わり。
だから、二度と会うことなんて、出来なくなる。]
分かってんの、かよ… !!
[神様の存在も、
夢の続きがあることも、
ベネットの声が、段々小さくなることも]
[俺だって、『ありがとう』って言いたかったんだ。]
―――…ベネット。
[彼の言葉を、信じてみたくなった。]
[搾り出すような狼の囁きは、意識を手放す彼に 届いたか**]
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あの、後は、お願いします。
[>>11駆けつけた看護士に二人を任せるつもりで。 立ち上がると最後に彼らの冥福を祈り、よろめきつつ中庭に向かいふらふらと歩いていく。]
誰が彼らを殺めたのか…か。
(15) 2011/07/02(Sat) 02時頃
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― 中庭 ―
なんだ、これ…。 [目の前にある光景もまた、初めての景色だった。傷つき倒れている騎士、励ます看護士、鉄臭い臭い、真っ赤な赤。]
そ ん な 。
[湧き出たものの正体が何であるかはっきりした。見送って歓迎するだけの視線からは、見えないもの。文字でなら知っている、その行為の結果。]
神父殿、これが戦、ですか。 外からは―憧れてるだけでは見えない現実ですか。 [血のように急速に巡っていく死の感覚。それに気圧されたか、足が竦んでその場にへたり込み、見届けた死に教えを乞うた。]
(19) 2011/07/02(Sat) 03時頃
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おい、どこに居る。
治療を手伝っているのか?
[己とは違う戦場で、忙しさのあまり返事が出来ないのだろうと思いたかった。
苦手だったあの格好をした神父の姿を探す。]
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…はっ! あ、ああ、はい、いえ。だ、大丈夫です。
[>>21声をかけられるまで放心状態だったようで、目の先にはヤニクの姿が認識できた。
反射的に立ち上がってみたものの、足の震えが微妙に残っていた。]
あの、ヤニク殿、でしたか。 実は神父君とフィリップ殿が、何者かにで、死んで…。
[言いたい事はあるのにきちんと言葉が紡げない。 泳ぐ視線に若干の錯乱が残っていた。]
(22) 2011/07/02(Sat) 03時半頃
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そだ、こいうときは話し方…。
[>>23ヤニクの真っ直ぐな視線が、遠くに見えた幻を消し去ってくれた。思考が若干回復したようだと自覚を持った。涙を服の裾で拭う。]
先ほど、本当に先ほどですが。 従軍―神父殿と、馬の世話をしていたフィリップ君が。
[そこで言葉を切り、一呼吸置いて。]
亡くなり…ました。 見つかけた時にあ、二人とも血が流れてて、目の前で事切れて。
しかも、何者かに、殺された、と。
[裾でもう一度、涙を拭った。 看護士の言葉から、殺された事は想像がついた。]
(24) 2011/07/02(Sat) 03時半頃
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>>25そ、です。 あっち―牢屋があったとこの近くです。 そこで二人とも倒れてました。
倒れたとこに、たくさんの血があったので、恐らくは同じ場所です。
[言葉の中には少し繰り返しがあっただろう。 力無く握られた拳は、感情の入り混じりを表現していた。]
(26) 2011/07/02(Sat) 04時頃
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[バーナードと話している間、表には出さずにムパムピスへ必死に声を掛け続けていた。]
なんで、だよ……。嘘だろ。
死んだとか許さねぇ。
何で此処に居るお前が先に殺されるんだよ。
先に逝くのは俺の方だろ?
なぁ、おい。
返事しろよぉぉぉ!!!
[しかし――いくら叫んでも、返事が聞こえることはなかった。]
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>>27無論、行かせて…もらいますよ。 砦の中でこういうことが何度も起こったら大変な事になってしまうんで。
ましてや他人事じゃないですし、それに…。
[最後の言葉は徐々に言葉は小さくなり、ついに途切れた。
問われれば、いや何でもないんです、と首を振りながら返しただろう。]**
(28) 2011/07/02(Sat) 04時半頃
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還るぞ。
[血で染まる大地に横たわる狼に小さく鳴いて。
血に汚れた手袋を外し、その狼の頬と額を撫でてやる。]
[目の前が赤に染まる。
頬と額を撫でられ、どこか穏やかな気分になる が]
俺は、…
ッ ――――――… !!!!!
[続きの言葉を紡ぐ代わりに、
出てきたのは、怒りとも、悲しさとも、形容しがたい咆哮。]
落ち着け。
[ベネットの死を前にして、自身を乱している様に見えるイアンにも、ベネットと同じように安心させるように頬に触れて。
続く彼の咆哮は、ひどく胸に響いた。]
…ああ。
[咆哮は収まり、息を大きく吐き出す。
赤みを帯びた瞳が、ブラウンに戻っていく。
それは静かに、静かに怒りを胸の内に溜め込むように。]
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[>>46ヤニクの言葉に頷き、半歩後ろから付いていく。 途中、彼に届いた言葉は自分も聞こえて。]
>>48あの…赤の副団長殿が、ですか。
[見張り台の情景が甦ってくる。腫らした視線にある柔らかさ、副団長になると意を決した言葉、騎士の佇まい。]
ヤニク殿…。
[止めた緑の騎士殿の足は、早くなっていた。彼に言葉を自身からかけようとは思えず、そのまま慌ててついていった。]
(49) 2011/07/02(Sat) 16時半頃
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バーナバスは、周囲を見回しながらヤニクについていく。**
2011/07/02(Sat) 17時頃
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副長殿…。
[>>53参謀殿に報告に向かう途中、緑の副長殿と出くわした。甲冑に付着した血を見れば、何かを理解できたような感じになる。]
と、砦内の地下牢近くにて、人死に、が出ました。
やられたのは神父殿と、馬の世話をしていたフィリップ君です。駆けつけたときには行きはありあしたが、直ぐに事切れて―。
[副長に使っていた何時もの軽口が、上手くでない。]
…看護士の話ですと何者かに殺されたのだろうと、言う事です。
(59) 2011/07/02(Sat) 22時頃
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