60 ─昨夜、薔薇の木の下で。
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「…ううん、もう僕のものなんだ。 ちゃんと薔薇の精の言うとおり、甘い毒で狂わせて、蔦に絡めて、根を生やして… もう、逃がさない。ずっと一緒にいるんだもん。」
[薔薇の蔦に囚われたまま、うっとりとヨーランディスは語る。]
「なんで君まで混ざってくるの? 君が来なければ、二人でずっと幸せな夢を見られたのにさ。」
(+1) 2011/08/09(Tue) 00時頃
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『そう、ダメだよ…』
[ざわりと風渡るように聞こえるのは、人ならぬ声。]
『まだ、足りない。もっと集めなきゃ。』
『だから…。解放させるわけにはいかないんだよ。』
[ヨーランディスの狂おしい恋慕も、 ヴェスパタインの胸の中に積み重なった痛みも、 全て上質な養分になるから。
深く絡まった太い蔓は、 心の鎧を失って脆く剥き出しになったヴェスパタインの魂を、 深い深い奥底へと更に引きずり込もうとする。]
『側に居たいというのなら、その代償が欲しいかな。』
[望むのは精気。魂だけでも交わり犯せと。]
(+3) 2011/08/09(Tue) 00時半頃
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「だって、応えてくれたもん。 好きな人じゃなきゃ、抱かないでしょう?」
[愚かな少年は、未だ甘い夢から覚めきらぬ。 心などそこにはなかったなんて、気づいてはいなかった。
抱いてくれた。それだけが、愛の証と信じ切っている。]
(+4) 2011/08/09(Tue) 00時半頃
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「それとも…ディーン先輩。 …僕の先輩は好きでもない人を抱けるようなひどい人なの?」
[空の色を写したような、ヨーランディスの瞳が揺らいで潤む。 ざわりと赤いバラの蔦が蠢いた。]
(+5) 2011/08/09(Tue) 00時半頃
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ヴェスパタインは、薔薇の精的には、セルフ以外なら手段を問わない…みたい。
2011/08/09(Tue) 00時半頃
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「嘘だ!そんなことないもん!ちゃんと愛してくれたんだもんっ! そうじゃなきゃ、僕…何のためにこんなこと…っ!!」
[信頼は揺らいでも、それでも認めたくなくて、 恋に狂った哀れな下級生は泣きながら走り去る。
医務室で眠る少女のように可憐な姿も、ポロポロと涙をこぼしていたとか…]
(+8) 2011/08/09(Tue) 01時頃
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…いや、酷いさ。
[下級生の悲痛な叫びを聞いていなかったわけじゃない。]
結果はどうあれ、あの子の思いを踏みにじったのは、事実だ。 …自分と同じ目に遭えばいいと、確かにそう思ってたから……
[ぽつりと告悔する苦悩。 胸の奥は、痛むばかり。]
(+10) 2011/08/09(Tue) 01時半頃
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だから、そんなに優しくしないでくれ。 …場違いな気がして、居心地が悪いんだ。
そんなものをもらえる資格なんて無い。
いっそ罰を報いを受けたほうが、気が楽だと思うのは。 贖罪なんかじゃなく自分勝手な自己満足だと…わかってはいるんだ…けど……。
…すまん、なんか…どうすればいいのか…わからない。
[戸惑い隠せぬまま、動けずにいた。]
(+11) 2011/08/09(Tue) 01時半頃
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ヴェスパタインは、ルーカスの件が出てきたおかげで、ますますフクザツな心境……
2011/08/09(Tue) 01時半頃
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…愛され……?
[戸惑う。 腕の中でおずおずと上げる視線は、野良猫のように怯えていて。 どうしていいのか分からないと眉を下げた。
ふわりと薫る薔薇色の風が通りすぎる。 妖精の囁きに、瞳は熱帯びて潤み…]
…ディー……… [薔薇の香りに酔わされて、強請るように縋り付く。 淡く色づいた唇から、綻ぶように吐息が零れた。**]
(+14) 2011/08/09(Tue) 07時半頃
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[唇が微かに触れ合うかどうかで、ふっと顔を背け目を伏せた。]
…好きな人が、居たんだ。
[ぽつりと零れるのは、 深い傷の奥底に、それでも捨て切れずに抱えていた思い。]
周りとは何処か違う輝きを持っていて、ぶっきらぼうで何処か危うくて…でもなんだかほっとけなくてさ…。 悪い噂もあったけど、そんなの…信じないようにしてた。
…手紙貰ったんだ。とても嬉しかった。 中庭の、薔薇の木の下で…って。
(+18) 2011/08/09(Tue) 20時半頃
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…どうして、来てくれなかったんだろう。 俺の事なんか、なんとも思ってなかったのかな? 勝手に思い込んでのぼせ上がってた俺が馬鹿だったんだよね?
きっと…ホイホイ騙されて来ちゃった俺を、どっかで嘲笑ってたんだよね。
俺ってば…ホント馬鹿……。 [眉下げた、情けない泣き笑い。 思いは絶望に変わり、薔薇の毒に囚われてドス黒くそまってしまった。 その傷ついた心はきっと、さらなる花を咲かせる養分に…]
(+21) 2011/08/09(Tue) 21時頃
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多分、特大のグリーフシード持ってるよね。
(-68) 2011/08/09(Tue) 21時頃
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[一人ぼっちじゃない、そう呼んでくれる腕の中に身を預けて…]
…狡いよな。 優しくしてくれるからって、こうやって縋っちゃったりとかして…
きっと、甘えられるってわかったから、いいように利用してるだけ。 …それでも、いいの?
心地いいからって頼っちゃうとか…かっこ悪いなぁ…ほんと。
[なんだかとても、自分が情けなく思えた。]
(+23) 2011/08/09(Tue) 22時頃
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…交換条件?
[その言葉に瞬き、ディーンの瞳をじっと見る。 痛い思いをしすぎてきて臆病になった魂は、不安そうに揺らいだ。]
(+25) 2011/08/09(Tue) 23時頃
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…え、
[出された交換条件は、あまりに予想外で。 思わず両目を見開いたまま暫くぽかんとしていた。]
こ…こう……か?
[虚を突かれたせいか、姿はいつの間にか普段通りの猫背気味の長身。 おずおずと長い腕を背中へと回す。
肩へそっと顔を埋めて、しっかりと身を抱き寄せれば、 胸郭越しに伝わる鼓動は、戸惑いと高揚と羞恥とを掻き混ぜたような、動揺のリズム。]
(+27) 2011/08/09(Tue) 23時半頃
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[温もりも、呼吸も、心音も、全て伝わって溶け合いそうで…
聞こえたその言葉に、顔を上げられなくなってしまう。]
……あぁ…、うん……。
[今はまだ、上手に返答できないけれど。 自分の知る人々の中では、一番信じて大丈夫そうな、そんな気がした。]
(+29) 2011/08/10(Wed) 00時頃
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