[大樹の森を焼いた大火―――
美しく常緑の楽園であったと語られるその森も、その森を焼いた大火も、目にしてはいない。
珍しく感情を滲ませる声の語る言葉を、黙って聞く。
幻霧の森へと話が及び、共存、と聞けば、僅かに口を開き]
森人は―――幻霧の森に残った森人は…籠り外界を拒絶した彼らこそ
その長い生にまかせて緩やかに滅びゆく道を選んだ。僅かに残された森を自らの墓に選び。
繁殖力の強い種ではありません。血を残すためには混血は避けられないでしょう。
未来を諦めた彼らを…賢いなどと、私には思えない。
[自分と瓜ふたつの容姿をした祖母は、祖父の死と共に森に消えた。その後の消息は知らない。
>>341獣人が戦乱によって滅ぶ、というのを聞き、僅かに睫毛を伏せる]
諦めぬ限り。
滅びるべき種族など―――ありません。
諦めぬ限り、生き方は必ずあります。
決して楽な、平坦な道では、ありませんが。
[しっかりと琥珀と空蒼の双眸を見返して、告げた。]
(350) 2011/03/24(Thu) 22時半頃