『よく我慢したね。ご褒美だ。
私は、この後数日は、仕事でここを留守にするから、
その間は楽にしていると佳いよ。』
[ルーカスのその言葉で、
志乃の腕と胸を拘束していた縄は解放される。
そして、運ばれるまともな食事は和食。
志乃の部屋から退室する前、灰青は透明な壁越しに金色を見詰める。紡がれる言語は独逸語。]
『テッド、君も良く考えるといい。
君たちが、私の手で作品となるのは変えられない事実。
志乃のように大人しくしていれば、ご褒美もあるんだ。
どうせ交換条件を出すのなら、
もっと有意義に使った方が佳いのではないかな?』
[ご褒美――例えば、志乃に独逸語を、テッドに日本語を教えることさえも、作品を仕上げる為にならルーカスは厭うことはない。
コミュニケーションを彼らがとれるようになれば、結託して自身が危なくなる可能性は無くはなかったが、それは男にとって瑣末な問題であるようだ。]
(238) mitsurou 2010/04/18(Sun) 21時半頃