─ 回想:車中 ─ >>214>>224
[納得できないと、宇津木が言った。しかし攻芸には納得させてやれるほどの材料が手元にない。
どんなものを使おうとしているのかは、ヤマモトしか知らず、ヤマモトですらも、実験台が足りずどうなるか分からないと言っていた。
ヤマモトの説明に、頭いいなとつぶやいた。]
……俺は……吸血鬼として生きる気がない。
俺の家はみんな、俺と同じで、吸血鬼を狩る。
自分の家から出た吸血鬼なんて
生かしておかんはずだし、俺も俺を生かしておけん。
[それから迷いながら次の言葉を探しては]
九生屋にもああした。
俺だけ例外だとは、俺すら思わん。
[たどたどしく自分について話すが、納得させてやるための返事にも、優しい気休めにもならなかった。
宇津木の不機嫌を治す手立てが攻芸には見当たらず、前を向いた。]
(228) 2019/05/03(Fri) 17時頃