[伸ばされた腕>>193に、蝶──否、蛾の群れが食らいつく。
吸血をする蝙蝠のように、獲物を待ち受けていた喰虫花のように。
猫の腕から生気をじわじわと吸い取りながら、そしてその腕に纏った炎に焼かれながら、それでも尚その腕は目前へと伸びる。
そして闇が辺りを舞い散る中、その手は、炎を失いながらも──届いた。]
……あ、
[眼前に広がる、風で巻き上がった少年の髪が揺れ、少女は目を見開く。思い出すのは、いつかの、どこかの世界線での、あの会話。>>141
足元でぐしゃりと鳴る、枯れた雛罌粟。
わかっている、わかっているのだ。バルメロスが既に死んでいることなど。ただ、ただひたすらに、約束≪ギアス≫が少女を縛りつけていることなど。]
…ねこちゃん、あなた、うそつきだったのね。
[柔く、緩く微笑むと、少女の周りから蝶が霧散した。
そして広がるのは世界樹の枝。約束≪ギアス≫から逃れられぬ運命を共にした世界樹。]
(199) 2016/12/05(Mon) 01時半頃