『……林檎?』
[大人しく飴を含んで転がしたサミュエルの疑問符に、にや、と笑う。手の中に残った包みを摘み上げて、目の前に翳して。]
残念、オマエのは林檎か。
ちび助にやったのは檸檬。真ん中くらいまで舐めないと、甘くならねぇの。
[恐ろしく酸っぱいだけの飴玉は、誰の元へ渡ったのか。
そう言えばズリエルを指名しておいた事を思い出す。とばっちりもいいところだが、まあ後で謝っておこうか。
少なくなった飴玉を手の中で転がしていると、その「新しいヤツ」について質問が飛んでくる。>>132
こういうこと。それが、どれに当てはまるのか心当たりがあり過ぎて曖昧にあー、と唸る。少しだけ首を捻ってから、言った。]
なんも。してねえよ、シャツにラクガキしたくれぇ。
[オマエにもやったっけ、まえに。
少し懐かしそうに笑って、視線は強化硝子の向こう。
中庭に降り注ぐのは、午後の和らいだ光。]
(133) 2014/09/04(Thu) 21時半頃