―― 警備テント・回想 ――
すみません、落とし物をしたのですが……
[そういって警備テントを尋ねる。
だが、無くしたのは俺ではない。後ろで半べその妹二人だ。
しばらく色々屋台を回ったりして遊んでいたのだが、急に灯火が叫んだのがきっかけ]
――ない! やだ、ない!!どうしよう、やだ……大事なのに
[髪に手を当てて、ない、ないと口にする。
何が無いのかと問えば、小夜とお揃いで揃えた色違いの椿の髪飾りがないのだという。
今にも泣き出さんばかりに目尻に涙を溜める。その様子に頭を抱えた。祭りの中での遺失物は見つかることが少ない。
財布などの貴重品ならばともかく、髪飾りくらいでは…。
……そう思っていれば、今度はもう片方からも声が上がる]
嘘!!! ちょっと、私もない!!
[――――――勘弁してくれ…
心底そう思った。]
(115) gig 2014/10/15(Wed) 00時頃