[この能力、気付かれにくいという利点は欠点に直結し、
効果が出てるか分かりにくいのが難点のひとつ。
派手なリアクションを取ってくれるやつは少ないのである。
過去に計測したタイム順に測定するらしく、>>25
だとすると敬太か啓壱あたりと並んで走ることになるのか。
自分と妹以外どうでも良い節があり、よく覚えていないけど。
隣の誰かに適当に挨拶して、さぁ走るか、というタイミングで
ふわりとした生温い風を額に感じた。
……額? 俺の髪は癖がなくて、伸ばさないと額が出ないのに。
誰かの力で九と一の領域に分けられた髪。>>28
違和感から前髪に手を伸ばしてもなかなか直らないし、
無情にもスタートを告げるピストル音がグラウンドに響く。
頑張れば最初の25mくらいは敬太の前を走れはしても、
徐々にスピードは落ちて行くし、ゴールは二番目か三番目。
変な髪形を見てくすくす笑ってる声は耳に届いて来るわ、
分かっていても一番を取れない悔しさで前髪に指を差し込んだ。]
(62) 2016/06/19(Sun) 21時頃