― 酒場 偃月亭 ―
[ 日はわずかに傾き、茨の町にゆっくりと影を落としていく。
>>20 ビアンカのチップは既に回収し、ルーカスが席を立ったのも確認した。
……と、隙を見てフローラに声をかける。照りつける西日が、時刻を告げている。 ]
……嬢ちゃん、ステージは見に行かなくていいのかい?
[ どこかで、踊り子の友人の話を小耳に挟んでいた。
あれほど楽しそうに話すのだから、よほど仲がいいんだろう、と、記憶の片隅にとどめていた話題。 ]
踊りとなりゃ、たいてい夕方か夜だろ?
もし夕方なら、そろそろ出ねぇと間に合わねぇぞ。
[ 友達の晴れ舞台なら、と。いつもなら仕事を増やすだけだ……と歯牙にもかけないだろうに。
ささやかな気配りは、酒場の居心地のせいか、それとも賑やかさに酔わされたのか。あるいは、射るように眩いばかりの光が、熱が、覚めた生を蜜蝋のように溶かしたか……。 *]
(26) palemoon 2018/08/13(Mon) 23時頃