― 陸区 ・ 路上 ―
[商店街よりも土の匂いの強い道を、ざり ざり 音を立てて歩く。
次第に大きくなるのは、興奮混じりに交わされる会話の群れ。その喧騒。]
鼠小僧?
[>>3漏れ聞いた会話の中、知らぬ間に耳に馴染んでいた言葉に、笠の下でぴくりと眉を上げた。
思い返すのは、昨日も終始 奏でては唄った 旋律。
権威も裁きも恐れない 義賊を自称する男の話。]
…やい、そのへんの。
こいつぁ何の騒ぎだい。
[人の声の集まる方へ杖を鳴らして近付きながら、誰にともなく問い掛ける。
けれど、距離感を計るのは苦手だ。
>>3いっとう近くに立っていた少年が、喧騒の他にも意識を向けていたならば。
騒ぎ立てる誰よりも先に 彼に向けて。問い掛けた声は届くかもしれない。
――少年の、どこか冷めた眼差しを 此方が見て取ることだけはできないまま。]
(6) 2015/01/20(Tue) 00時頃