……ありがとう、ございます。
[頭を撫でる手が優しい。
父にすら頭を撫でられた記憶がないのだから、自分の頭を撫でたことがある男性はきっとハンスだけなのかもしれない]
貴方は……私を守ってくれますか。
ならば私も、貴方を失わなくて済むように。
――この国の王女で、そして次代の女王であり続けます。
[再び上げた顔。まだ不安は残るものの、王女としての覚悟を再び思い出したような表情をしていた]
…………私は王女です。それ以外の何者にもなれません。
私の周りにあるものは、皆私が王女だから持ちえるもので。
私が王女でなくなれば、何もかも私の手から消えてしまう。
[それは、ハンスも例外でなく。
……だから王女であること、そして戴冠の儀を終え女王になること。偽りであろうとも夫を持ち、娘を成すこと。ハッピーエンドのその日が来るまで、女王であり続けること。
それこそが自分がすべきことなのだと、思い出したように]
(1) 2012/01/15(Sun) 02時頃