人狼議事


310 【R18】拗らせ病にチョコレヱト【片恋RP】

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地下軌道 エフは、メモを貼った。

2021/02/16(Tue) 00時半頃


【人】 地下軌道 エフ

[冬の朝は遠い。満足いくまで文字に溺れ、キーボードの音が止まったのは、まだ日が顔を出す前だった。ディスプレイの光だけが部屋の中を照らしている。

 簡易キッチンの足元には蓋の空いた段ボールが我が物顔で居座っており、向かい側には山になり始めた洗濯カゴがある。ベッドは起きた時のまま左角だけ捲れていて、コートハンガーは主不在のまま、枝の全容を晒していた。
 丸めたティッシュをゴミ箱へ放ると、適当なファイルに二度触れた。

 文字を辿る男は、きっと満たされた表情をしている。しかしそれは誰にも、男自身でさえ目にすることのないものだ。

 今回開いたファイルの冒頭には、こう書かれていた。]

(33) 2021/02/16(Tue) 06時半頃

【人】 地下軌道 エフ


  彼の舌を射止めたものがいるらしい。
 

(34) 2021/02/16(Tue) 06時半頃

【人】 地下軌道 エフ

― 回想:客達の世間話 ―

[『軌道』を書き始めて暫くは展開に詰まることが多かった。登場人物の特徴をまだ掴みきれておらず、場面ごとの心情の舵取りを迷っていたからだ。
 特にライバルが登場した場面では、担当に何度も修正を依頼された。

 お互いに想いを伝えることなく過ごしてきたふたりの前に、ヒロインへ想いを寄せる男が現れる。彼は想いを伝える言葉を惜しまなかった。結果、ヒロインは主人公の傍を一時離れることになる。
 その後、ヒロインは結局主人公の元へ戻るのだが、どうしてもその流れが上手く作れなかったのだ。
 プロットに取りかかる前に観た演劇>>1:308の影響もあるのかもしれない。

 声を持たない娘は、劇中一度も声を発さない。
 青年は言葉を有するも、微かに残る疑念へ口を閉ざした。
 女性だけが自分を素直に表現することで、彼女自身の魅力に青年が気づくきっかけを得る。

 想いは、朧のようなものだ。
 そこに在るだけでは輪郭を捉えることはできない。
 望みがひとりでは叶えられないことなら、形にして相手に差し出す必要がある。
 言葉でも、それ以外でも。目に見える形で。]

(35) 2021/02/16(Tue) 06時半頃

【人】 地下軌道 エフ

[今回は団員の台本ではないからか>>1:20、大田から評価を求められることはなかったか。ただ、いつかの世間話の合間に「アレって悲恋なんだね」と零したことがある。

 望みが叶えられなかったから悲恋なのだろう。
 しかし、捻くれた心は結ばれなければ悲劇なのかと囁く。
 あの声>>0:16がした。

 『軌道』もまた、最後は主人公とヒロインが結ばれることは執筆当初から決まっていた。
 大きく逸れてしまうことはあっても、最後は決まったレールへと戻ってくる。

 運命は、大多数の考える幸福によって定められていた。]

(36) 2021/02/16(Tue) 06時半頃

【人】 地下軌道 エフ

[そういった経緯で『COFFEE NARUMI』を利用することが増えた結果、大田>>1:289と顔を合わせる機会も多くなった。
 視線が合えば目礼くらいはするが、視線が合わなければ挨拶さえしない。帰りの時間もバラバラだ。あの場所での彼と己の時間は、完全に断たれていた。
 だから彼からその話題が上がったのは、正直少し意外だった。]

  ……好きなの。コーヒー。

[大田との会話の中で、彼が食事に対して関心が薄いことは見て取れたか。そんな彼が好むコーヒーを思い浮かべる。]

  そーね。
  気づいたらなくなってる。

[あの店のコーヒーには、嫌な角や棘がないのだ。苦味に手が止まることも、酸味で思考がブレることもない。
 まるで店主の人柄のような優しさが、コーヒー本来の深い味わいを教えてくれるような気がする。
 残念ながらできた客ではないので、集中している間に空になっていることが多い。そのため味自体を覚えている訳ではないのだが、それくらい馴染んだ美味しさなのだろう。
 素直に同意を示した。]*

(37) 2021/02/16(Tue) 06時半頃

【人】 地下軌道 エフ

― バレンタイン5日前・早朝 ―

[あの頃詰まっていた話も乗り越え、『軌道』はもうすぐ完結を迎える。レールからは結局外れられないまま、望まれた幸福に引き寄せられて。
 想定外の記憶まで引っ張り出しそうになり、慌ててウィンドウを閉じた。顔でも洗おうと部屋を出る。

 階段の下から、隠れる気のない匂い>>1:281がした。一晩中頭で燃やしたカロリーが腹を鳴らす。辺りを見渡しても誰の姿も見えない。足は自然と階下へと向かった。]

(38) 2021/02/16(Tue) 06時半頃

【人】 地下軌道 エフ

[寸胴いっぱいのカレーと付箋付きの皿>>1:285
 ざっと見渡した中では、『曙』>>1:298と『綿津見』>>16、『待雪』>>22が見当たらなかったか。『凪』もなかったが、その理由は張り紙の端>>1:286を見れば理解できた。

 付箋を手の甲に貼りつけ、ご飯とカレーをよそう。冷やしてあったナマコとワカメの酢の物には手をつけなかった。
 別に食材自体が苦手な訳じゃない。推測される入手経路が気に食わないだけだ。潜って獲っただろ。
 あの冷たさが思い起こされて鼻を何度か鳴らした。

 ふたり飲み会>>19は既に解散、もしくは別会場という名の205号室へ移動している頃だろうか。耳鳴りが聞こえる程の静けさに、遠くから波の音が届く。椅子にかけられたコートとマフラー>>282を見ていた。

 男が去った後には、まっさらな椅子だけがあった。]

(39) 2021/02/16(Tue) 07時頃

【人】 地下軌道 エフ

― 207号室前 ―

[ここ数日のコンビニとは違い、目的地にはすぐ到着した。

 手には昨日部屋番号に使った原稿用紙の片割れが握られている。何か包んでいるようだ。手の甲の付箋を原稿用紙に貼り、207号室の戸にテープで固定する。

 中身はのど飴3つ。昨日届いた段ボールの一部だ。紙一枚ではない分落ちやすいだろうが、扉が動くまでくらいは保ってくれるだろう。
 部屋の前を去る時、『朧』の付箋が弱々しく揺れた。]*

(40) 2021/02/16(Tue) 07時頃

【人】 地下軌道 エフ

― 202号室前 ―

[目的を果たし、カレーの待つ自室の引き戸に手をかけ――そこが限界だった。]

  ?

[急に力が入らなくなる。咄嗟に壁へ寄りかかり、ずるずると座りこんだ。
 ざらつく喉に息が引っかかる。息が荒い。指先も震えた。脳の奥が熱い。どれも昨日から身に覚えのある症状だ。
 鈍った頭が結論を出す前に瞼が閉じていった。

 もし早朝に2階廊下を通る者がいたなら、大の男がぐったり座りこんでいる姿を目撃することになるかもしれない。]

(41) 2021/02/16(Tue) 07時頃

【人】 地下軌道 エフ

[診断、風邪。

 海に足先だけ浸かったと話したら、
 いい大人がこっぴどく叱られた。
 いい大人なので告げ口はしなかった。

 むしろ全身氷水の方が何カレー作ってんの。寝ろ。
 主張はすべて咳に掻き消されていく。]*

(42) 2021/02/16(Tue) 07時頃

【人】 地下軌道 エフ

― バレンタイン前日朝・ランドリールーム ―

[2台の洗濯機が並んだ部屋。元々は1台だけだったのだろう。片方だけ明らかに古い。
 白いマスクをした男が新しい洗濯機の前に立っていた。微動だにしない。唯一、眼鏡のレンズだけが呼吸の度に曇っている。

 初日はさすがに寝て過ごしたが、翌日には冷蔵庫行きだったカレーも無事味わうことができた。
 数日経った今、症状はほとんど残っていない。〆切を終えた後だったのも幸運だったのだろう。そもそもの話は置いておくことにする。

 寝ている間は、三度折り目のついた紙>>1:107を頼りに何人かのアーカイブをラジオ代わりに聞いていた。
 中でもみぃめろ姫>>0:9は名前の印象とは裏腹に低めの声で聞きやすく、最後は彼女ばかり選んでいた気がする。

 弱った身体に、少しハスキーな声>>1:128が響いた。]

(43) 2021/02/16(Tue) 07時頃

【人】 地下軌道 エフ

[いくら音が小さくなったとはいえ、共同生活の場において夜間に洗濯機を回すことは憚られる。結果、また朝から活動を強いられている訳だ。
 元々量が溜まっていた上に風邪のコンボ。これは2回だなと早々に諦め、今は1回目の終了を待ち構えているところ。

 手持ち無沙汰は思考を持て余す。
 頭に浮かぶのはチョコレート……ではなく、未だ何者にもなれないままの白紙>>1:109だ。
 迫る提出期限を思い、ため息が零れた。]**

(44) 2021/02/16(Tue) 07時頃

地下軌道 エフは、メモを貼った。

2021/02/16(Tue) 07時頃


【人】 地下軌道 エフ

― バレンタイン5日前:早朝・2階廊下 ―

[閉じた瞼の裏で目玉が回っているような気がする。脳の中で熱が飽和して、巨大なグミになったようだった。
 たぶん酩酊に少し似ている。酒はあれからとんと飲まなくなったから、遠い記憶から引っ張ってきた印象に過ぎないのだが。

 押し寄せ続ける波が首の後ろへ重しを乗せる。これをやり過ごせば、どこかで息つぎみたいに楽な瞬間が来るはずだ。
 息を押し殺して機を待つ。]

  ……あ?

[膜を通したような声>>45が頭上から降ってきたのは、波が僅かに和らいだ頃だった。それでもまだ顔を上げることさえ難しく、ぼやけた声の主を特定できない。]

(97) 2021/02/16(Tue) 21時半頃

【人】 地下軌道 エフ

[伏せた顔、額に何かが触れる感触がした。冷たい。あるいは己が熱いのか。
 他者の温度が刺激になったのか、引き上げられるタイミングになると辛うじて足に力を入れることができた。

 立ち上がった勢いで顔が後ろに傾く。視界に入るのは引き戸の上、『朧の間』と書かれた札一枚。漆のような黒が彫りにそって塗られ、夜が明ける前の廊下でてらてらと黒づいていた。]

  ハ、

[肩を借りた傍らで笑みを零した。ざらつく喉では音という程のものにすらなれず、空気に微かな違和感だけを残して霧散する。
 室内はタバコの匂い。あちこちに目立つ生活跡>>33の先、ベッドに近づく頃には預ける体重も減っていた。パイプを軋ませながらマットに身を寄せていく。]

(98) 2021/02/16(Tue) 21時半頃

【人】 地下軌道 エフ

[薄ぼんやり開いた目で相手の形を見ていた。それは人間が行う注目より、カメラが全体を映す感覚に似ていたかもしれない。焦点が合っている訳ではない。ただ室内にある見知らぬ形を見逃さぬよう、捉えているだけだ。

 いつか、その影が部屋を離れる時、口にするつもりはなかったのだろう。あやふやな声が余韻の上に散らばった。]


                ―― にいさん。*

(99) 2021/02/16(Tue) 21時半頃

【人】 地下軌道 エフ


 [あの日、
    きっと出会いはふたつ>>1:224>>1:242あった。]
 

(101) 2021/02/16(Tue) 21時半頃

【人】 地下軌道 エフ

― 2年前・冬 ―

[それから間もなく、名も知らぬ男は隣室へ越してきた。大田と名乗った男は役者をしているらしい。
 バイトの時は夜勤が多いらしく、執筆を終えた己が顔を洗いに行くタイミングでよく遭遇することがあった。

 時間が重なれば言葉も交わす。引っ越しの理由を尋ねた>>1:245のは、彼のことが知りたかった訳でも、あの絵に言及してほしかった訳でもない。
 あくまで世間話の延長として投げた、温度のない言葉だった。]

(102) 2021/02/16(Tue) 21時半頃

【人】 地下軌道 エフ

[一瞬の間の後に帰ってきた答えはよくある響きを持っている。しかし、脳裏には窓の向こうに広がる青より、もっと白くて暗い、薄氷の海が広がっていた。
 眼鏡の奥、瞳の内側で千々に爆ぜる火花を隠すように、青より黒い冬の海に逃げる。]

  俺も――――、

[俺も、の先は、インクが切れてしまったように続かない。絵心は正しい価値観と共にどこかに落としてしまったようだが、白に黒を投じればどうなってしまうのかくらいは分かっているつもりだ。
 雪の黒点は覆い隠せるが、水面の黒滴は止める前にすべてを濁らせてしまうのだから。]

  望みが叶って、よかったね。

[音を溶かした分濃くなった息を吐き出す。それは白い靄となって、周囲に紛れて見えなくなった。]*

(103) 2021/02/16(Tue) 21時半頃

【人】 地下軌道 エフ

― バレンタイン前日・ランドリールーム ―

[いつの間にか、ため息>>44が多くの理由を抱えていた。

 口を滑らせたくなかったから酒をきっぱりやめたのに、詰めの甘い己はどこぞで何かを溢れさせてしまう。
 自身の心はすべて朧なまま、形を見るのは自分だけでいいのに。無価値なものを晒す度に純度の高い嫌悪が募る。]

  どうしたもんかなァ。

[不毛な忌避は隅へ払い、目下の議題を思考に広げた。

 やや朦朧としていたとはいえ、記憶が飛ぶほどの状態ではなかった。所詮風邪だ。つまりは己がしでかしたことも、相手が誰だったかも、熱を排した脳にはしっかり残っているということだ。

 ほとんどまともに話したことのない相手に、随分と迷惑をかけてしまった。1回目の洗濯物取り出し、2回戦に備え、残りを放る。
 今度はただ立っているのが面倒になったという理由だけでしゃがみ込み、水の中で振り回される布を眺めた。]*

(104) 2021/02/16(Tue) 21時半頃

地下軌道 エフは、メモを貼った。

2021/02/16(Tue) 21時半頃


エフは、レイに話の続きを促した。

2021/02/16(Tue) 22時半頃


地下軌道 エフは、メモを貼った。

2021/02/17(Wed) 00時半頃


【人】 地下軌道 エフ

― バレンタイン前日・ランドリールーム ―

[ここ数日、何度か耳にしたかもしれない文言が耳に届き、顔を渦から引き離す。思った通りの鉄面皮>>139がそこにあり、想定よりも意図的に覗き込まれていた。]

  お かえり……っと。

[たまにしか口にしない出迎えの言葉を生贄に、ごく自然な動作で視線を外した。見つめられればさりげなく視線を逸らすのは、昔>>136も今も変わらない。
 伏せた瞼は立ち上がるための力に変換された。やや停滞していた血液が再び巡り出したのだろう。足の裏がじんじんと痺れていた。]

(147) 2021/02/17(Wed) 07時半頃

【人】 地下軌道 エフ


  悪いけど、急ぐなら隣使って。
  あと……まァ、そこまではかからないから。

[洗濯機に表示される数字は一桁にはギリギリ届かない程度か。古い方の洗濯機も当然現役ではあるので、彼の作業スペースを与えるように半歩奥へ逸れた。
 ようやく普段通り適度に遠く冷えた線引きの外へ戻れた気がして、無意識に短い息を吐く。未だ寒さ厳しい朝だが、この程度の熱では白い靄は現れなかった。]

  本当にもう大丈夫。
  これも念のためみたいなものだしね。

[だから、その瞳を己のためだけに定めないでほしい。とは、口にできないけれど。
 悲恋の舞台に立つ男女>>132のように望みへ必要な形を手渡さないが、それでもこれは決して悲恋ではなかった。性癖とも違う。この停滞は、己のただひとつの恋だ。

 マスクの縁に指をかけるフリをしながら、視線は自室の方へ向く。まるで壁を透視でもできるかのように、ふ、と。目元がほんの僅かに和らいだ。]

(148) 2021/02/17(Wed) 07時半頃

【人】 地下軌道 エフ

― ここ数日の話 ―

[寝ている間に額から剥がれかけた冷却シートに、逆に端まで綺麗にかけられた布団。テーブルには風邪薬と追加の冷却シート、レトルトのお粥が並んでいた。
 「お大事に」とメモに書かれた文字>>126はどことなく力の抜ける柔らかさがある。
 それが彼女らしいのかどうかを判断できるほどの関わりは手元になかったが、風邪を治すために必要なものは明らかに充実していた。
 数日休むだけで完治したのは、間違いなく柊の助力あってこそだろう。]

  さすがにのど飴はなァ……。

[礼というよりお詫びの意味合いが強い。三上の時も管理人の如月に焼き菓子を渡した。今回もそういった何かを準備すべきだろう。

 生憎この部屋には、のど飴にレトルトカレーや魚の缶詰、レンジで温められるご飯くらいしかない。
 タバコは吸うが、酒も飲まなければ甘いものも基本食べない。彼女の好みを把握している訳ではないが、それでも備蓄と柊の嗜好が噛み合うとは思えなかった。]

(149) 2021/02/17(Wed) 07時半頃

【人】 地下軌道 エフ

[備蓄ののど飴を贈呈品として押しつけられた全身氷水の方は、おそらく体調を崩すこともなかった>>120ようだった。
 毎朝似たような時間にヒールが木の床を叩く音が聞こえる。歩調は常と変わらぬように感じられ、あの背筋の伸びた堂々とした足取りを思わせた。

 それとは別にもうひとつ、早朝に響く足音があった。
 音だけでは誰のものか判別がつかないが、この部屋より右側の扉を開けるのはたったひとりしかいない。
 いつもなら世間話の増える時期>>102だ。しかし、今回は己が部屋を出ることがほぼなくなってしまったため、顔を合わせる機会はあっという間にゼロになった。]

(150) 2021/02/17(Wed) 07時半頃

【人】 地下軌道 エフ

[――焦がれる。飢えていた。
 今すぐにでも扉を開けて、その姿を視界に収めたい。そうして溢れた感情を、誰にも見えない深層に埋め立ててしまいたい。
 横たわる身体に熱が籠っていく。自ら望んで関わりを最小限に留めている癖に、己以外に阻まれた途端、簡単に崩れそうになる。まるで子どもの癇癪だ。

 触れたい。けれど、近づきたくない。
 見つめていたい。けれど、振り返らないでほしい。
 恋を味わうのは己だが、その恋に己は一番邪魔だった。

 雁字搦めだった。それでいい。
 身動きが取れぬよう繋がれた方が線引きを越えずに済む。
 恋を永遠に舌の上で蕩かしていられる。

 だって、あの絵画はこれからもロビーに佇むのだ。
 寒色の海が白い飛沫を上げ続ける限り、冷々たる景色の中で白い外套の青年が肌を灯し続ける限り、青年の瞳が海より深い色を湛えつづける限り、大田竜海は何度だって同じ場所からあの絵に熱の見えない視線を注ぐのだろう。]

(151) 2021/02/17(Wed) 08時頃

【人】 地下軌道 エフ

[それを、一歩引いて見ている。それこそがひとつの作品であるかのようだ。
 であればこそ、作家は作品に介入しない。立ち入り禁止のテープを跨ぐようなことは、決してない。

 完成した世界の前の停滞の、なんと甘露な味わいか。
 本来物語として許されない一瞬>>133を永遠にする。それは、いつだって何より男を興奮させた。

 ――まぁ、今回の飢えはスポーツドリンク>>139ひとつで簡単に和らいだのだが。
 バイト帰りなのだろう。彼の姿を見るのは普段すれ違う時と変わらず、夜か朝が多かったか。
 柊といい、大田といい、普段は宅配員くらいしか迎え入れない『朧の間』の戸が何度も開かれる珍しい事態となった。

 特に避けていた訳ではない。しかし男の部屋にわざわざ訪れるような者はいなかった。
 故に”ここ”にいたのは、兄>>99だけだったのだ。]*

(152) 2021/02/17(Wed) 08時頃

【人】 地下軌道 エフ

― 『朧の間』 ―

[自身の成人祝いだった。兄弟水入らずで訪れた『朧の間』には、料理が一品ずつ運び込まれる。
 酒は兄が選んだ地物の日本酒だ。海老真薯に蟹の餡をかけたものは口内の何もかもが優しい口当たりで、柚子の香りが心地よい。里芋は芯までねっとりと甘く、季節の野菜は目にも鮮やかだ。カワハギの薄造りと鱧の湯引きが到着する頃には、ふたりともすっかり酔って、普段より饒舌に話をした。

 孫には案外甘かった祖父の話、近所の犬にこっそりお手を仕込んだこと、学生時代に好きだったお弁当の具材に、お互いに読んでみてほしい本の紹介。ここには兄に後継としての期待をかける者も、己に与えられる自由を羨ましがる者も蔑む者もいない。世界で一番尊敬する兄とふたりきりだった。

 既に父が跡を継いだ会社に就職した兄は、確実にキャリアアップを重ねている。今後またこうしてふたりで出かける機会があるかどうか分からない。]

(153) 2021/02/17(Wed) 08時頃

【人】 地下軌道 エフ

 
[原因は緊張と酩酊。それから、どうしようもない油断。
 兄にあの時>>1:212>>1:213の話を、した。]
 

(154) 2021/02/17(Wed) 08時頃

【人】 地下軌道 エフ

[兄>>0:16は相手を思って一言嗜めたものの、それ以上己を責めることはなかった。酒でいつもより緩んだ口調で告げる言葉は軽い。過去のこととはいえ、弟が必要以上に塞ぐことを避けようとしてくれているのだろう。慣れ親しんだ、優しい兄だった。酒気と経年で表情や声音が掠れてしまっても、それだけは分かる。

 だからこそ、普通>>134の感性がそれを恋と認めてくれないことを理解してしまった。


   *


 ――それから暫くして、あの旅館がシェアハウスとして生まれ変わることを知った。料理もサービスもよく繁盛していたと思ったのだが、理由に興味はなかった。重要なのは、あの『朧の間』が『朧の間』でなくなってしまうことだけだ。
 大学の卒業を待たずに家を出て、すぐに入居を決めた。部屋の名前だけは残してほしいと願った結果できたのが、あの部屋だ。]

(155) 2021/02/17(Wed) 08時頃

【人】 地下軌道 エフ


[賀東荘2階、端から2番目。そこは『朧の間』。
 誰にも認められなかった恋の埋葬地である。]*

(156) 2021/02/17(Wed) 08時頃

【人】 地下軌道 エフ

― ランドリールーム ―

[それから10年以上の時が過ぎた。あれから何度も恋に落ちて、何度も終幕を迎えた。相手と想う先が人間である以上、心は移り行くものだ。一瞬の熱を忘れぬよう、何度も火花に似た音を立て文字を連ねた。
 ふと、隣人へ視線を落とす。]

  ――。

[遠い昔のことを思い出していたせいで、もし途中何か話しかけられていたとしても反応できなかった。未だ夢の中にいる心地のせいか、目元の和らぎが拭いきれていない。大田がこちらを見ていようがいまいが、普段より温度のある瞳が彼に注がれ、柔く笑んだ。

 だから、彼は特別なのだ。
 不変の想いを注ぐ彼は、己に永遠の恋を与えてくれる。
 これまで幾度も重ねた恋とは一線を画す、

 ただひとつの、恋なのだ。

 朧は朧のまま言葉を得ない。静寂の視線だけがある。]

(157) 2021/02/17(Wed) 08時頃

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