― 道に灯がともった日 ―
[採用の報せに気づいたのは、丸一日寝通した後の夜だった。普段なら寝すぎで頭痛を抱えるような時間だが、身体がやられている時はむしろ効果的らしい。頭の中心にすり潰したミントでも刷いたように、視界も思考もやけに晴れていた。
日程表は事前に提示されていたものから大幅に短縮されていた。収録まで既に1週間を切っている。
メンバー>>177に交渉中の記載があることからも分かるが、急ピッチで作業が進められているようだ。そこにはもう、あの声を持つ子>>74のデータはない。残念がる執着はないが、いないと認識できるだけの興味はここ数日で育んだものだ。
公開予定日が2月14日ならば、急ぐ理由は明快である。
あまりにも減らないものせいで時に部屋番号のベース、届け物の梱包、果てはひとりぼっちの紙飛行機。
最近、活躍の幅を広げている原稿用紙を一枚引き抜き、いくつかの丸を描いた。]
(193) 2021/02/17(Wed) 20時半頃