235 夏の終わりのプロローグ
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―学生寮・自室―
[ジジジジ、ジジジジ……ジィ 夏の風物詩とも言える、蝉の声。窓越しに聞こえるそれも、子供の頃と比べると随分減ったような気がする。
確か蝉は、一定の温度帯の中でしか鳴けないとか、なんとか。 単純に数を減らしているのか、それとも、異常とも言える暑さのせいか。
エアコンの効いた部屋でも、窓辺に設えられた机に向かっていればじわりと汗ばんでくる。 少しぬるくなったコーラを飲み干し、トレイルは、ノートの上にシャーペンを放り投げた]
(12) 2015/08/13(Thu) 17時頃
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あっつー……。
[額ににじむ汗をぬぐう。 去年の今頃は、稽古場で汗だくになっていたものだけど、その時の汗とは別のもののようだ。 ぎし、 机に脚をかけて椅子にもたれかかる。
頭に過るのは、後輩たちの様子。 そして――]
ん?
[不意にドアがノックされ、背を反らしたままドアを見る。 さかさまに見えるドア。 ぐらりとした浮遊感は、一瞬]
う、わ……!
[椅子ごとひっくり返り、派手な音を立てた]
(13) 2015/08/13(Thu) 17時頃
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[腰を押さえながらドアを開けると、ヒナコの姿があった>>6 開ける前から、そこにいる気がしていた。 椎茸いっぱいの籠も、ヒナコからジュリエットに変わるのも――]
何ですって? 3日前に? ……お願いです。からかわないで下さい。僕は真剣なんだ。
[うるんだ瞳。見つめあう視線。 作り上げたジュリエットのもの――だけではない熱が見える。 何か掴めたのだろうか]
誰です。誰に会ったのです。 嗚呼、もし答えが僕の望み通りであれば。
[ジュリエットの手を取り、抱き寄せ、 ……息がかかるほどの距離で、そっと囁く]
――…どうか、僕の唇をとがめないで欲しい。
(14) 2015/08/13(Thu) 17時頃
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[暑さのせいだろうか。 ジュリエットに入り込んでいる視線のせいだろうか。 そのまま役に飲まれそうになるのを押しとどめ、ヒナコの体を離す]
……ごめん。
[気まずそうに目を反らし、口元をぬぐうとコーラの残り香。
あやうく、芝居を超えて本当にしそうになったなんて。 口が裂けても言えない**]
(15) 2015/08/13(Thu) 17時頃
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/* 青春だなあ(のほほん)
見た目チャラいけど真面目な紳士だよ!! ほんとうだよ!!
(-13) 2015/08/13(Thu) 21時半頃
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[ジュリエットの台詞を準えたヒナコの言葉に>>21、思わずその顔を見る。 真剣な眼差しが自分を捕らえる。 それは、ジュリエットの台詞ではなく、ヒナコ自身の言葉で。
……蝉の声が、どこか遠くに聞こえて 唾を飲む音が、やけに大きく聞こえた]
……ヒナちゃん?
[言わんとすることは、わかる。 ジュリエットの瞳の奥に見えた熱、その意味も。 今更、理解した]
(39) 2015/08/13(Thu) 22時頃
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[返事が出来ないまま、過ぎた時間はそれほど長いものではないだろう。 手を引きながら、何事もなかったかのように微笑む>>22
先を行くヒナコの後ろ姿。 台詞合わせの最中、抱き寄せた体は細く、華奢で。
それでいて、瞳に宿る意思は強く、真剣で――。 自分だけに見せてくれた、ジュリエットの顔だった。
そして―― ロミオとしてではなく、トレイルとして ジュリエットにではなく、ヒナコに
知らず知らず、想いを重ねていた]
(40) 2015/08/13(Thu) 22時頃
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[しかし、それでも 返す言葉は見つけられないまま――
お互いに何食わぬ顔をして、団欒室に向かうのだ。 今は*]
(41) 2015/08/13(Thu) 22時頃
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/* 甘酸っぱくて、てれる!! てれる!!
青春爆発ファイヤー!!!(ふるい)
(-18) 2015/08/13(Thu) 22時頃
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/* 高校3年ってもっと馬鹿DKだと思う
(-19) 2015/08/13(Thu) 22時頃
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/* ただ、一人だけ年上だから、意識して年上っぽく演じているのはあるね!
(-20) 2015/08/13(Thu) 22時頃
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/* ファイヤーじゃなくてファイアーだったわ
(-21) 2015/08/13(Thu) 22時半頃
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―団欒室―
[団欒室に行けば、ヒナコは台所へと向かい、トレイルは一人になる。 壁の日めくりカレンダーは、8月7日のままだった>>10 誰も捲っていないのか、と1枚めくろうとして]
……あれ。 今日って、8日、だよな。
[違和感。 破り取らずに、2枚、3枚と捲っていく。 9日。10日。11日……?]
8日、だよな?
[指を離すと、ぱらぱらとカレンダーの日付が戻る。 まるで、巻き戻るように]
(48) 2015/08/13(Thu) 23時頃
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―裏庭―
乾杯
[炭の用意をした後。 じわりとする汗も気になってはいたけれど、部屋に戻る気にはなれず、裏庭に留まる。 じりじりと焦がすような陽の光はオレンジ色に変わり、幾分、暑さも和らいで。
カナカナカナ、カナカナカナ。 ヒグラシの鳴き始めた夕暮れ時。 皆と共に乾杯の音頭が取れた事が妙に嬉しい]
(56) 2015/08/13(Thu) 23時半頃
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[それは何故かマドカも同じようで>>50、笑顔で振舞われる焼きマシュマロを頬張った]
へぇ、こういう食べ方もあるんだ。
[ふにゃふにゃのマシュマロが熱で柔らかくなり、ふんわりとろとろと。 香ばしい香りと共に、口の中で溶けていく]
(57) 2015/08/13(Thu) 23時半頃
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[ふわりと柔らかいマシュマロは、なぜか、いつもへにゃりと笑っている後輩を思わせる。 不意に、部屋の前でのひと時を思い出し、煩悩を追い払おうとするも]
ひ、ヒナちゃん?
[当の本人に椎茸を投下され>>59、あからさまに動揺。 うす暗くなってきた空と、バーベキューの火のせいで、顔色の変化は誤魔化せたかどうか。
もぐ、 紛らわせるように、椎茸を口に運んだ*]
(66) 2015/08/14(Fri) 00時頃
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―スイカ割り―
[部室から調達されてきた模造刀。 それを構えるヒナコの姿は、いつもよりも凛々しく見えた。
刃を潰した刀身がマドカの頭を打つような気がして、少しだけ下がるように注意を促したが、果たしてどうなったか。
彼女がスケッチしたヒナコの絵を、そしてヒナコ自身を、交互に眺めて、 知らず知らずのうちに、目元に口元に笑みが浮かんでいた*]
(67) 2015/08/14(Fri) 00時頃
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―花火の終わりに―
[コンロを片づけていると、ヒナコが傍にやってきた>>62 火薬と炭の匂いが残る、宴の余韻]
……ヒナちゃんは
[コンロを一度地面に下し、足を止める。 夏の日の余韻に乗せて、ぽつりと語り掛けて―― しかし、二の句が続かないまま]
うん、見に行くよ。 絶対、だから――
(71) 2015/08/14(Fri) 00時頃
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[いつも真面目に、真っすぐに、舞台に打ち込んでいた。 才能はあるのに、気負いすぎるきらいがあって、上手いのに、どこか表面的で。 その彼女がようやく射止めたヒロインの座。 ヒナコだけのジュリエットを魅せてくれると信じていた。
そして、 それは、確信になった]
『俺』に、見せてよ。 ヒナちゃんだけのジュリエットを。 ロミオの代わりじゃない、俺に。
[指先を、ヒナコの指に伸ばし―― 繋ごうとして、……留まり、行き場なく拳を握りしめた]
(72) 2015/08/14(Fri) 00時頃
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[すっかり暗くなった辺りには、虫の声が響く。 空には満天に輝く、夏の星**]
(73) 2015/08/14(Fri) 00時頃
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