88 吸血鬼の城 殲滅篇
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…アンタなら、 ……センセイを、変えてやれたのか?
[彼も、知りはしないだろう。 ひときれのパンの為に命を売った経験は、己にも数知れずあったのだ。
だが自らの寿命を前に永遠の命を願うことを、 愚かと切って捨てる事は、今の己には出来なかった。
――こんな姿になっても、死を恐れる自分が]
(*0) 2012/05/03(Thu) 01時頃
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――。…
[舐めずる様な歓喜の気配。
今は声をかけても無駄なのだろう。 誰が嬲られているのかなど想像もしたくなかった。
くしゃりと髪を混ぜ、意識を現実へと引き戻す]
(*1) 2012/05/03(Thu) 01時頃
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[錬金術師の、最後の望みは聞こえていた。 だが彼の望みが、真に眷属になることだったかは知らない。 いささかの興味はあったが、その程度だった。]
―――さあな。
[届く問いに、気の無いような声を返す。]
死に損ないが血の変化に耐えられるか、 そいつ次第だったろうよ。
(*2) 2012/05/03(Thu) 01時頃
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それより、ちゃんと片はつけたらしいな。 約束だ。オレの血をやろう。
あとでオレのところに来いよ。
(*3) 2012/05/03(Thu) 01時頃
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……そっか。
[そいつ次第――との答えに、僅か、安堵の息を吐く。 男に断言が出来ないのなら、自分が出来る筈もない]
(*4) 2012/05/03(Thu) 02時頃
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[ゆるりと首を振る気配]
俺はセンセイを殺してない。 ……センセイが、寿命で死んだんだ。
アンタの命令を…、守れてない。
(*5) 2012/05/03(Thu) 02時頃
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―――…そうだな。
[力無い言葉(>>*5)を肯定するのは、酷く優しげな声。]
あれは放っておいても死ぬ奴だった。 おまえが殺したわけではないな。
(*6) 2012/05/03(Thu) 02時頃
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だが、オレは言ったぞ?
『生き残った方に、血をくれてやる』と。
[喉を鳴らす。 機嫌のいい獣の声。]
―――……そろそろ苦しくなってるんだろ?
遠慮すんな。 来いよ。
(*7) 2012/05/03(Thu) 02時頃
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――っ…。
[飢えと貧血に、酷く疲労した脳髄に 『其れ』は毒の様に甘く浸み込む。
ひどく、怠かった。 其れが偽りでも罠でも、構わない気がした。 ……其れがないと、生きられない様な、気がした]
(*8) 2012/05/03(Thu) 02時半頃
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…、…何処、…行けばいい?
[躊躇いを含んだ、暫くの沈黙のあと。
……戦慄く様にゆっくりと息が吐かれ、 のろのろとした、何かを畏れるような答えが返る]
――…今、…何処にいる?
(*9) 2012/05/03(Thu) 02時半頃
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……、南の塔に行く。
ヒュー・ガルデン、おまえも来い。
(*10) 2012/05/03(Thu) 07時半頃
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連中の、最後の場所にしてやるぞ。
[声の後に、喉の奥から零れる笑いが続いた。]
(*11) 2012/05/03(Thu) 07時半頃
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―― [ヒュー・ガルデン。 男の『声』として伝わる名前に瞠目し、 納得がいったと言うように呟いた]
……あの気配。 アイツだったのか。
(*12) 2012/05/03(Thu) 07時半頃
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なんだよ。 ……クレアの想い出でも、語り明かす積もりか?
[城主と、騎士。 それに自分の共通点に気づき、苦く笑って独りごちる]
南の塔だな。 ――わかった。
[獰猛な獣が獲物を前にしたような、気配。 恐らくは其処で狩を始めようとでもいうのだろう。
……どの道ヒトの血を吸いに行くわけではない。 けれど自ら彼を求めることは酷く惨めで
食事に行くのだと思うよりは、 いっそ気が楽だった]
(*13) 2012/05/03(Thu) 08時頃
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お邪魔だったな。 ……手伝えることは?
[男を最も苦しめるであろう聖術。 その使い手が此処で消えるのは望ましいことだ。
歪んで飢えた思考がそう訴える。 憎悪に絡め取られた男への思慕が 酷く甘くヒトとしての己を侵食してゆく。
苦笑した。 ――彼を護ってやりたいと思った記憶は、 未だ鮮やかなままだというのに、と]
(*14) 2012/05/03(Thu) 09時半頃
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気にするな。 おまえを待つ間の暇つぶしだ。
[殊勝にも手伝いを言い出すさまに笑みを浮かべたが、 真のお愉しみはその先にある。]
まだちゃんとした褒美を受け取ってないだろう? そら。こんどは遠慮するなよ。
(*15) 2012/05/03(Thu) 11時頃
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[男の傷に、目が吸い寄せられる。
くるしい。 ひどく、唇が乾く。 生々しく濃厚な葡萄色の其れは、 尚一層薔薇の様に、鮮やかな芳香を放って] ……後、じゃ、ダメか? 今……?
[小さく喉を鳴らしながら、『声』で懇願する。 ムパムピスに聞かれたくはなかった。
欲に声を掠れさせた己への羞恥に、 僅か、喉を震わせる*]
(*16) 2012/05/03(Thu) 13時半頃
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おまえは「隻眼の男」── なのか?
[思念を向けてみる。]
(*17) 2012/05/03(Thu) 13時半頃
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(……ああ、俺、なんで、ずっと)
(*18) 2012/05/03(Thu) 15時頃
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(こんなに、きもちよかったのに、) (……こんなに、…)
[唇を離し、犬のように喘ぐ。 煮えたぎる熱を呑み込んだような感覚。 鉄錆の匂いはあたかも薔薇の噎せるような芳香]
(*19) 2012/05/03(Thu) 15時頃
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美味かったか?
[唇を離した"子"に、声を掛ける。 これ以上の濃い血は毒だとばかりに身を離し、 傷口を手で覆う。]
次は自分で狩ってみろ。 それができたら、また褒美をやるからな。
(*20) 2012/05/03(Thu) 16時頃
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[揺蕩う闇の奥から洩れ伝わるのは、明瞭な言葉ではなく耽溺の陶酔。
同調して解き放ちたい衝動が迫り上がって呼気が浅くなる。]
(*21) 2012/05/03(Thu) 16時頃
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[美味かったか、と尋ねる声に酷いいたたまれなさが襲う。
震える唇が開かれ── 紡ごうとした其れは声にならず、消える。]
(*22) 2012/05/03(Thu) 17時半頃
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[隻眼の男か―― と、 そう声を掛けられた事には気づいていた。
酩酊して返せなかった返答を、 酷く気まずげに年の近い『弟』に向けて響かせる]
……悪ィ。 もしかして、聞いてたか?
(*23) 2012/05/03(Thu) 18時頃
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……ああ。 アンタにとっては仇になるんだろうな。
[なのに、何故こんなことになっているのか まるでわからないと言いたげな、苦笑]
アンタは『ヒュー・ガルデン』―― クレアの騎士だろ?
クレア姉ちゃんを、……護ってくれてた奴だ。
[最初から、この騎士に悪感情はない。 アヴァロン伯が『クレア』であると理解した今は尚更]
(*24) 2012/05/03(Thu) 18時頃
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いいぞ。 一段と可愛くなった。
[低い笑いに、嘲る色はない。]
(*25) 2012/05/03(Thu) 18時半頃
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…な。
俺が相手して、いいのか?
[ヘクターが彼に向ける波動が、 恐らく気に入りの獲物に対するものであることには 気づいていた]
(*26) 2012/05/03(Thu) 18時半頃
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構わん。しばらく相手してやれ。
―――そいつがどうするか、見たい。
(*27) 2012/05/03(Thu) 18時半頃
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[闇を揺らして届く声は気弱な──否、これは相手を思いやる響きだ。 今、その相手の姿を認める。]
名を 知りたい。
(*28) 2012/05/03(Thu) 18時半頃
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>>*28 ――ドナルド・ジャンニ。
[短い答えと、肩を竦める様な可笑しげな気配。]
そっか、名乗ってなかったな。
(*29) 2012/05/03(Thu) 19時頃
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[ドナルド・ジャンニ。 クラリッサを「クレア姉ちゃん」と呼ぶ男。 そして今は──血の兄弟。
そのドナルドが、金髪の剣士と舞っているのが見える。
かつて絶妙のコンピネーションでヒューの動きを妨げたふたり。]
(*30) 2012/05/03(Thu) 19時頃
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オレがおまえにくれてやったのは呪いじゃねぇ。
[修道士に語るドナルドへ、確たる響きを送る。]
" 祝福 " だ。
[ 闇の。
人間が、忌む。
眷属にとっては喜ばしい、 それ。]
(*31) 2012/05/03(Thu) 19時半頃
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……嘘、吐いてんじゃねえよ。
[苦笑を届ける。
この力も。思慕も。渇きも。 ――全ては祝福であるのだと
そう届ける彼の其れは、 恐らく本心ではあるのだろう。
だが自分だけは、 それが欺瞞であることを知っている。]
(*32) 2012/05/03(Thu) 19時半頃
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――祝福なら、 アンタは、俺に与えない。
絶対に。
(*33) 2012/05/03(Thu) 19時半頃
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[名を求めた相手。 そして、クラリッサに血を捧げて魔に堕ちた男だ。 「認めて」いる。]
おまえの名誉のため──呼ばれぬ限りは、介入せぬ。
(*34) 2012/05/03(Thu) 20時半頃
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[チラと、ヘクターの反応を伺う。]
(*35) 2012/05/03(Thu) 20時半頃
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[酷く乱れた息と、忌々しげに歯を食い縛る音。]
……やれる限りはやるさ。 アイツの、御所望なんでな。
[だが彼は己を気遣ってくれているのだろう。 それに思い当たり、付け加える。]
……サンキュ。
(*36) 2012/05/03(Thu) 20時半頃
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――――――。
[ドナルドの声に、 その、揺るぎない言葉に、 最初は沈黙が落ちる。]
…………… く。
[続いてこみ上げるのは、笑いの波動。]
くく、………く、ぁ、ハハッ……
(*37) 2012/05/03(Thu) 20時半頃
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ドナルド、助かった。
(*38) 2012/05/03(Thu) 22時半頃
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いや…、間に合って良かった。
悪ィ、ワイヤー駄目になっちまった。 ちょい武器調達するわ。
[ヒューが無事だったことに安堵の息をついて、 その間頼む、と軽い笑みをむける]
(*39) 2012/05/03(Thu) 23時頃
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動けるか、ドナルド。
ああ── 護衛は任せろ。
[それこそ本領発揮だと奮起する。]
(*40) 2012/05/03(Thu) 23時頃
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……ん。 俺もアンタは、誰かを護ってる姿が似合うと思うよ。
[やわらかく喉を鳴らす気配。]
ま、俺は護らなくても大丈夫だけどな。 当座のものは出来た。
(*41) 2012/05/03(Thu) 23時半頃
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隙を見てラルフのレイピアを拾いにいくが、 ……それまで、ジェフリーが持つかは…、…
[主らの戦いに目を向け―― 息を、呑む。]
っ、おい…!
[最後の声は、貫かれた主にむけてのもの。]
(*42) 2012/05/03(Thu) 23時半頃
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後ろは、構うな。
[ヘクターであろうと自分であろうと、と含みを持たせて送り出す。]
(*43) 2012/05/03(Thu) 23時半頃
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[声を向けられて、言葉でこたえることはしなかった。
ただ、笑みの気配を届ける。
血に飢えて、獰猛な、 狩りに昂奮している、獣の笑みを。]
(*44) 2012/05/03(Thu) 23時半頃
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