296 ゴールイン・フライデー
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[仕事で多少なりとも人に関わるとはいえ、基本は孤独な職人作業だ。人とのおしゃべりに飢えて、納品や注文時に客との雑談が自然と増えていく。
"こんな言い方しちゃいけないんでしょうけど、あなたはずいぶん愛想が良くなりましたね。いいことでもあったんですか?"
"腕をふるえる機会にたくさん巡り合えているからですかね、ええ、おかげさまで忙しくさせてもらってます。今後とも宜しくお願いします。"
なんでもない雑談でいいから、人と話して暗い気分を払拭したかった。けれど表面的な当たり障りのない話題ばかりで、自分の一番吐き出したい気持ちは結局隠して埋めているばかりだ。]
(45) 2019/05/17(Fri) 00時頃
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[場所さえ知ってれば、一夜の相手を探すことなど、造作無い。
例えば命の危険を感じた日の夜には、甘ったるい割にクソ重たい煙を口に含み、咀嚼して吐き出すなんてことをする。 肺まで入れりゃ、もっとトべるのかしれんが、その分肺を潰すんだろう。 若気の至りでふかした紫煙は、この仕事を始めてから数を減らした。
例えば助けた命が少し欠けた日の夜には、ほんの少し酒を舐めたりする。 翌日が仕事のない日ならショットグラス何杯か空けることを己に許した。 幼い少女の顔に火傷を残してしまった日。 山で見つけた少年の脚が凍傷で、どうしても切り落とさざるを得なかった日。 己の無力を、痛いほどに突きつけられた日。
それから。
腕に抱えた命が温度を失った日の夜は、誰でもいいから人肌を欲した。]
(46) 2019/05/17(Fri) 00時頃
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/* >>41 ここのおじちゃん可愛すぎて死んだ。 転んだらどうするんですか!めっ!
(-27) 2019/05/17(Fri) 00時頃
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/* みんなの幸せを願い過ぎて既に心がしんどい。
(-28) 2019/05/17(Fri) 00時頃
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[こんなにも誰かと関わりたいと欲するのも、今までの自分にはなかったことだから驚くし、関わりすぎてまたひどい傷を広げるのもあまりしたくはなかった。
望んでいるのは浅く当たり障りのない、こちらの触れてほしくない部分を避けてくれるような、そんな関係で…… ……こういった申し出に誰かが乗るとも思えないから、新しいパートナーをあえて探して作る気にもならなかった。
それでもどうしようもない人恋しさに、ふらふら、あちらこちらの店に顔を出す。すっかり萎れてる自分に呆れながら。]**
(47) 2019/05/17(Fri) 00時頃
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[バカみてぇな感傷だなんて、笑いたきゃ笑え。 実際バカみてぇな話だった。
人の命を取りこぼした日、生の営みの真似事をする。 勝手に作った傷を、勝手に舐め合う気になって、そのくせ相手にそんなこと背負わせる気も、ないもんで。 一夜の相手を適当に見繕っては、一夜一夜を乗り越えてきた。 今更、変える気もない。]
よぉ。 待たせたな?
[あらかじめ決めた紙幣を手渡せば、一晩の温もりは保障された。
金は、払う方でも受け取る方でもよかった。 ただ、ある程度の範囲内の金額をやりとりすれば、余計な詮索もなければ後腐れもない、とんでもないプレイにも発展しづらい、なんてセーフティバーにしているだけ。
不健全だろうか。 俺はそうは思わなかった。]
(48) 2019/05/17(Fri) 00時頃
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山師 グスタフは、メモを貼った。
2019/05/17(Fri) 00時頃
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[求めていたのは、ただの人肌。
生きてる、って、実感できればそれでよかった。
あとは、生きているからこその、なにやらドロっとしたものを、そこに載せれば。
だから、本当は誰かにドロドロに甘やかされてみたいなんて願望を胸の奥底に抱えつつ、需要は甘やかす側だった故に、人肌の代わりに相手を甘やかしてばかりいる。
まぁ…悪くはないのだが。]
(49) 2019/05/17(Fri) 00時頃
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[マーマ、美味いもん食わせてよ、って、金曜日の夜に例の店に行ったのは、なにやら甘ったれた気持ちがあったからだったりする。
人肌に飢えていた。 だから、仕方ないのだが。
俺は多分、ちょっとだけ、疲れてたのだ。 格好つけてるにはちょっとだけ、疲れちゃってたんだ。**]
(50) 2019/05/17(Fri) 00時頃
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/* ウツギさんの絵って、ゆうきまさみ先生の漫画に出てくる、ちょっと色っぽい男性キャラみたいじゃありません?
おまかせチェック、大丈夫です。よかった。
(-29) 2019/05/17(Fri) 00時頃
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[サービス業に土日休みなんてものはなく、 むしろ土日こそが稼ぎ時の出勤日。 曜日感覚は忙しさを基準とするため狂いがちで、 生活改善に取り入れたのが酒場通いという 客観的には健康的とは言い難い本末転倒ぶり。
しかし、タヴェルナでのディナーは絶品なのだ。 開店と同時に滑り込めば温かみの残るパンもあり、 パンをおかずにパンを摘める程の美味しさ。
生ハム乗せ、生ハムチーズ乗せをしたり、 行儀は悪いが料理のソースを絡めて口に運べば天国。 肉汁とソースを吸ったパンは美味という暴力。 ここの料理で5kgは太った、という自覚もあるが ヤニで食事を抜いた時期より健康的な体型だろう。]
(51) 2019/05/17(Fri) 00時頃
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[酒場、タヴェルナ。 ある時期から毎週金曜欠かさずに通い、 別の曜日でもここの料理食べたさに赴いていた。
たまに遅出の時は昼飯として 仕入れ先だという三軒隣のパンをかじり、 夜に何を飲み食いするか夢想するのが 趣味の乏しい自分の唯一の楽しみだった。
───もとい。 また会えるだろうか、という、 歳不相応な期待を抱いているだけともいう。]
(52) 2019/05/17(Fri) 00時半頃
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……………思春期か。
[仕事の合間を縫っての休憩中、 バックヤードで紫煙と自嘲を吐き出していた。
アニスの甘さを舌の上で転がし、 壁掛けの時計を見て残りの勤務時間を計算。 頬を指先で叩いて現実を引き戻せども、 特等席の窓際から眺める酒場に意識が飛びがち。]
(53) 2019/05/17(Fri) 00時半頃
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/* みんな突発村なのにキャラメイク深くないか…? ぐぅ好きな人しかいないんですが…。 なんで恋矢は一本なのか…!!
(-30) 2019/05/17(Fri) 00時半頃
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[煙草を始めたのは付き合っていた男に教わった、 というのはありがちな馴れ初め。 他人と違うのは、勧められた煙草の種類だ。
まず匂いからして甘く、しかも独特。 香水を付けているのかとたまに聞かれる程で、 火を点けずに吸っても味を感じるという異質。 一度これに慣れてしまったら、 他の煙草は苦く、噎せて吸えたものではない。
それでも煙草は煙草。 揺らめく煙を嫌う者も多いのが現実。 何度か禁煙を考えても気付けば咥えており、 タヴェルナが完全禁煙になる前には、と猶予の延長。
どうしても輪の中に加わりたい時だけは、 煙草を揉み消す忍耐力はまだ、あるけれど。]
(54) 2019/05/17(Fri) 00時半頃
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/* ウツギくんお色気担当なのか。セクシィー…。
(-31) 2019/05/17(Fri) 00時半頃
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焼きナスの生ハム巻き……は、もう少し先か。 早くあれで酒を飲みたいな。
日替わりのアヒージョでも頼んで、 エビのオリーブオイル煮、フリッタータ。
パルミジャーノとアンチョビのポテトフライ、 自家製スモークチーズと自家製ピクルス……。
[おひとついかがですか、なんて。 気軽に勧められるだろうという下心の滲んだ、 それでいて好物でもある料理の選択だった。]**
(55) 2019/05/17(Fri) 00時半頃
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/* どこから生えた。この珍煙草。 イタリアンアニスです。 レビューブログが大変熱烈だったもので、つい。
ウツギの顔見続けてるとセクシーでつらい。
キュートおじちゃんは靴からいけて、 ヌヴィルとホレーショーは煙草からいけそう。 こんなの一本どうですとか絶対怒られる。
(-32) 2019/05/17(Fri) 01時頃
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/* Rustはドイツ圏の姓だけど、 Lustは(性的な)楽しみ。 そら、発音違うけど色欲と同じ綴りですし。
(-33) 2019/05/17(Fri) 01時頃
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[恋愛なんざ面倒くさいなんて言いつつも まったく恋愛をしてこなかったわけじゃぁない。 恋をした事があるからこそ恋をしたくない、なんて
「そりゃ、よっぽどたちの悪い女に出会ったんだな」
慰めるような言葉に、そんなとこだと肩を竦めて見せるが そっちの方がきっと何倍も気が楽だろうさ、だって共感してくれる奴と話して気を紛らわす事が出来るだろう?
同性相手に恋をして、受け入れられずに悶々としたり 手酷い目にあって離れたり 「やっぱり女の子の方がいいわ」なんて言われるならまだいいほうで 露骨に気味悪がられて避けられるなんて事だって経験済みだ。
ああまったく、好きになるのが女だったら、まだ笑い話に出来ただろうに 変な噂が立つ事さえ恐れて、あれもこれも全部俺の腹の中で澱んでる。
恋愛なんざ面倒くさい どうせ惚れても報われない。ああそれなのに 落ちちまうのが、恋、って奴なんだよなぁ。]
(56) 2019/05/17(Fri) 01時頃
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[最初にそれを意識したのはいつだったか。 きっかけがなんだったか、そんなことはもう忘れちまった。
ただ、酷く厄介な感情が久しぶりに根付いた事だけは確かで
恋に至る落とし穴は何処に転がってるかわからないもんだと 人知れず溜め息をついたもんだった。]
(57) 2019/05/17(Fri) 01時頃
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[週末。一週間の仕事を終えて、やれやれと大きく伸びをする。]
お疲れさん。 そっちも、特に急ぐ事案じゃないから切り上げて上がっていいぞ。
[ちゃっちゃと部下に指示を出して、俺も周囲を片付ける。 飲みに行きませんか、と誘う若い部下の声を、いつものようにさらりとかわし]
週末は先約があるんだって。 恋人ぉ? はは、野暮なことは聞きっこなしだ。 それに、お前さんの目当てはどっちかっていうと俺の財布だろ?
[揶揄するように言うと、正直に「奢ってくださいよー、金欠なんですよー」なんて言うもんだから、後で返せよの言葉と共に、数枚の札を手渡した。 もっとも、後から取り立てたことなんか一度もないが。 こいつも、俺の恋愛対象が同性と知ったらこんな風に懐いちゃ来ないんだろう。 だからこそ、隠しておかなきゃいけなかった。何より円滑な仕事のために。]
(58) 2019/05/17(Fri) 01時頃
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[職場を出て、足は真っ直ぐいつもと同じ方へと向かう。 かなり前に偶然見つけたその店は、びっくりするほど味がよくて 以来、こまめに足を向けてはいたけれど、それが毎週金曜に固定されたのはここ暫くの事。
一週間の自分を労うって理由付けにも適うこの店で 俺が目当てにしているのは、美味い料理と美味い酒。 それから……――]
まったく、ガキじゃあるまいし……
[なんて言いながら、浮き足立つ気持ちを押さえ込む。 毎週金曜に固定したのは、顔を見られる確率が他より高いからだ。 確率が高いだけで、毎回会えるとは限らなかったが。]
(59) 2019/05/17(Fri) 01時半頃
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まったく、面倒くさい。
[小さな溜め息と共に言葉と苦笑を吐き出す。 報われないだろうと思いながら、それでも抑えきれないもの それを「恋」と呼ぶのなら。
俺はまさに、名前も知らない誰かに「恋」をしているんだろう。]
(60) 2019/05/17(Fri) 01時半頃
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さて、今日は何を食べようか……
[ハーブの使い方が絶妙なアクアパッツァもいいけれど、日替わりで饗されるアヒージョも捨て難い。 パスタはどれも美味しいし、パルマハムのサラダは外せないだろう。 とりあえず本日のお勧めと日替わりメニューを聞いてから考えるのが一番か。
つらつら考えながら歩けば、目的の店は目の前だ。 タヴェルナ、と掲げられた看板を見遣ってドアに手をかける。 毎週金曜に足を運ぶ目的は、美味い料理と美味い酒
だけど、一番の目的は……――**]
(61) 2019/05/17(Fri) 01時半頃
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[恋は麻薬のようだ。 脳髄を侵す毒のようだと告げた――等
有り触れた一文を包めて、破いた]
(62) 2019/05/17(Fri) 01時半頃
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[食のこだわりは強い方だった。 芳醇な香り漂う赤ワインに ミモレットやゴルゴンゾーラの盛り合わせ これをアテに永遠と愉しんでいたい。
食欲はなくとも美味しいものを求め 彷徨う中で見つけたのがタヴェルナだった>>4
初めて通った際、あまりの美味しさに 暫くナイフとフォークを動かす指を止めた。 また必ず訪れるなんて夢中になっていた。 それまでは幸福で幸運な出会いだった]
(63) 2019/05/17(Fri) 01時半頃
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[その中に増えたのは一つの小さな芽。 金曜の夜。週末の数刻だけ共有する空間。 小綺麗な格好で食事をしていた男も 溜息が増えてしまった原因。
着飾った所で苦労が報われる事は少ない。 ならば自己満足にしか過ぎないというのに それなりに質のいい格好を選んだ。
だがツメが甘い為に靴磨きは苦手なようで かつ隠せない指は職業柄ペンだこが一つ。
格好をつける必要など無いというのに 良い子のふりは未だに剥がれる事を知らず 己の自己満足に繋がっていると自覚しつつ
冷えたトマトとモッツァレラチーズを 同時に食べる想像に意識を逸らした]
(64) 2019/05/17(Fri) 01時半頃
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今日はどれを食べようかな。 メニューが多過ぎて……決められない。
[白身魚のアクアパッツァも美味しそうだが それはスパークリングと同時に戴きたい。 ならば仔牛の煮込み料理を頼むのも捨て難い] 一層誰かにシェアを頼む? んー……。
[ぽつりと独り言を呟くも想いを馳せるのは ワイングラスが照明に反射した際見せた奇跡。 あっと思ったの束の間うっすら照らし出される横顔。
しまったと思っても遅過ぎた瞬間]
(65) 2019/05/17(Fri) 01時半頃
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