197 獣ノ國
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――、…俺、は
[ “突き放せば――” 図星を付かれたような感覚に、微かに息を飲み込んだのには気付かれただろうか。硝子箱の向こうで首を擡げるそれが脳裏に過っては、逃げるように視線を落とす。
透明の表面からか、雨粒が地面へと落ちかかるのを見ては。次いで誤摩化すように表情を戻した。 ――示すのには冷えた肩が離れ>>20、言葉をなぞるように鋭い色がこちらを刺す。]
……欲しいなら追いかけるよ。 ――行方不明になっても。
[ やがて腕を絡ませ告げられたのには、押し出すように呟いた。何もしないままに苛立つのは、お伽のそれに対してじゃなく、――ただ己自身へだったなら。 その腕がするりと抜けて、見知らぬどこかへ行くのを拒む様に肩を寄せた。静かに顔を傾ければ、その視線が絡む事はあっただろうか。
掠れた不格好なそれが、僅かに羨望じみた色を含んでいるのには、聡い相手にすれば見通されていたか。 ただ前を向くその顔へ、目を細めたのは習慣からではなく。また先ほどの嫉妬めいた気持ちからでもなかった。]
(29) 2014/10/07(Tue) 07時頃
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…、…ようこそ?
[ 戸惑った、それでも折り目正しい挨拶が>>21 先輩の口から零れれば、小さく表情を崩す。人から受け取った透明傘は、空いたスペースで陰に干しておいた。いずれ乾けばまた、とその場を離れる。]
お菓子? ――、ありがとう。
[ 並べられる数々>>23には脳が回るのを感じながら、ただ相手の好意には頬を緩め、礼を告げる。
お茶くらいは出そうと一旦その場を離れれば、買ってきたばかりのそこと、棚を開いて尋ねかけた。以前相手が言っていた事を思い返せば、慣れない買い出しで手に入れたそれらを示して。]
飲み物。紅茶はある、普通のお茶も。…グレープフルーツジュースも。珈琲とか他もあるけど。
先輩は何が良い?
(30) 2014/10/07(Tue) 07時頃
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[ やがて相手が選んだものを硝子に注ぎ、机上に置いて。 手土産の一つをつままれれ、こちらへ示される>>23のには目を丸める。 相手の顔とそこを一間見比べて、――その手を取っては菓子を口に含み、飲み込んだ。
……手は離さないままに柔く首を傾げ、確かめるように相手の目を見据えながら。口角はいつも通りに緩く上げていれば、相手の揶揄いめいた仕草に。]
……先輩は。俺をどう見てるの? 単なる後輩? 年下の友達? ――“飼われ”に来たなら、今は主人? ――…少なくとも俺は、単なる年上として先輩の事を見てないよ。
[ 尋ねかけたのには意図的に、以前冗談混じりに問われた単語は外して。 ――声には表情ほどの余裕も持てず、不格好に掠れていれば、嘲笑じみた笑いは内心に零しながら。
暫くしてキッチンの場所を尋ねられたなら、立ち上がって位置を示した。自由に使ってもらっていいから、とビニールと冷蔵室を指す。 自ら手は出さないよう努め、邪魔にならない程度にそこに立つ姿を眺めていただろう。先輩料理得意なの、とは投げかけつつ。**]
(31) 2014/10/07(Tue) 07時頃
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――回想>>2:344時点――
[ 獣人について尋ねかけてきた友人の返信>>2:273を見つめれば、僅かな間を置いてそれを開いた。 ……最近知り合った相手が。知り合いが。白い人が。獣人を見たと囁くサイトの文面を過らせる。鳶色の目が緩んでは、交わし合ったそれを思い出しながら。
――手を引き寄せ友人、と名前を重ねた相手の顔は、未だはっきりと想像ができた。 それに安堵とも、背反するそれとも付かない感覚を覚えながら、手早く端末を操作する。]
(35) 2014/10/07(Tue) 09時半頃
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―――――――――――――― 宛先:オズ >>2:273 ―――――――――――――― Re:人はいつもそう言う 20xx年10月2日 xx:yy ―――――――――――――― バレた?
ありがとう。ちょっと待たせるかもしれないから、先どこか回っててくれても。 用事あればそっち行ってくれても大丈夫、 今度、あるなら。 そこそことは言った。迷ったら連絡は入れる。
度胸はないよ。
――――――――――――――
[ 流石にあそこまでは迷えないだろう、と思いながらも。文章に間まで置かれて心配されるのには小さく頬を緩ませて、義理堅い相手の態度を思った。それだけと終えられたメールには必要そうな連絡のみを打ち終える。 ――最後の一文は消すか迷って結局、そのまま送信を押した。*]
(36) 2014/10/07(Tue) 09時半頃
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――回想・自宅――
[ 一度零された声>>38 は鼓膜を打たず、改めて聞き返そうと顔を上げれば、色を落とした表情を視界に捉えた。――それでもすぐにその陰りも失せれば、ただ頷くだけに留める。
――カップに浮かぶ表面に、揺らぐ室内が映っている。二つ並ぶそれは以前のように淡いものでなく、色濃く現実のそこを反射していた。それでも意識は相手へ向き、自らの有様に愉快さを催す>>38 相手の瞳と視線が重なる。 やがて息を飲むその一瞬には緩い視線を送り、手頸を掴む力は緩められずにいれば。]
――、…
[ “君は”のその先は閉じたままに、強い力でそれを振り払われる。 視線を落とされ此方を見る事も無ければ、奥の真意を探ることも出来なかった。 何であれ逸らされたそれに――乾き切らないシャツの奥が、それでもかさついた音を立てる。ややあって静かに手を下ろしかければ、 ――カップに口を付け顔を歪める相手が、また一口とそれを含み。*]
(74) 2014/10/07(Tue) 14時頃
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せ、…ッ、――
[ 今度は下げ損ねた手を引かれ、顔が近づけば声が塞がれる。 間を割り入るそれに、舌先に走る液体に肩を震わせ、受け入れるままに咽喉奥へとそれを流し込んだ。 ――苦い、と――久々の感覚に顔を歪める。現実の味。目の前の相手と確かに息を重ねたと思い知らされるそれ。
やがて“甘い夢”とひんやりとした温度で、しかし乞う声色>>41が耳に届けば、平生の表情は未だ取り戻せないままに。逃げる、と現実のそれを求める言葉には小さく息を潜めた。
――名前を呼ばれ、髪を撫ぜられるのには緩く昇る熱に身を硬くしては。 送り狼、と揶揄うような声を聞きながら腰を上げ、頬辺りに落ちかかる髪の下へと手を伸ばした。 そのまま口端へと同じ苦味を残すそれを掠らせて、その耳朶へと口元を移らせる。]
……また、後で。――牽制どうも、先輩。
[ 余裕もなければ、思うまま浅く声を落とす。避けられるようならただ静かに、体を離しただろうが。]
(75) 2014/10/07(Tue) 14時頃
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グラタン…? ああ、
[ 投げられた言葉>>42を繰り返すままに次ぎかけ、途中で気付けば抵抗無く頷く。冷蔵室から食材を取り出しては、キッチンに立って、手際も確かに進める姿を黙って見つめた。 体が冷えるから、と先のそれに加えスープも目の前で出来上がって行くのには、その背に小さく感嘆じみた息を吐く。]
……そう。独り占めできたらいいね。
[ 調子も軽く言われたのには揶揄う口調を取り戻し、緩い視界に投げた。 スープの味見を、と言われればやや戸惑ったような視線を向けて、それでも大人しく従っては。――舌への塩気には、素直に頷いてはおいしい、と拙く告げただろう。 久々の“きちんとした”晩ご飯が卓に並べば、軽薄に固めた表情に僅かに色を落とす。礼をして口に含めば、やがて夕食の皿は全て片付いたのだったか。
――改めて此方を窺い見た相手と視線が交われば、緩く首を擡げる。]
(76) 2014/10/07(Tue) 14時半頃
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――… 俺は、先輩に触れたいよ。
……先輩は、“ここ”で。ホントに夢見たい?…俺と。
[ ――壁時計の音が、室内に響いて定時を告げている。
向かいのソファに腰掛ける相手の前へと立てば、膝を相手の腿の脇へ寄り掛からせ、その背もたれ部分へと片手を置いた。 顔を傾け、自らの暗灰色を促すように覗き込ませる。 僅かでも過ごした、既知の時間を思い返しながら。 喫茶店で告げられた掠れた声色を。 先ほどの乞うような冷たい声を意識に反芻しては、小さく低く呟いた。
ここ、と自分たちの立つ部屋を、現実を。指し示したなら、相手はどう反応したのだったか。]
(77) 2014/10/07(Tue) 14時半頃
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――朝→午前頃・住宅街路地→本屋――
[ ――朝頃だったか、自宅から先輩を途中まで送り届ければ。開く事無く鞄にしまい込んだままだった端末を取り出しては、僅かに表情を強張らせる。
――オズ、と呟いてその連絡先>>2:273 を辿れば。視界の端、画面に映る時間には焦った仕草で連絡を入れた。辺りはまだ迷いようもない場所であれば、本屋への足取りを進めて行く。]
―――――――――――――― 宛先:オズ >>2:273 ―――――――――――――― Re:ごめん 20xx年10月3日 xx:yy ―――――――――――――― 朝って言ったのに遅れた。待ってる?よな、ごめん。 今から急いで本屋行く。
オズ今どこにいる? ――――――――――――――
[ 送信を押して、ただ道なりに向かうのみのそこへと歩を進めれば。――やがて馴染みの>>0:11本屋が見えてきただろうか。]
(79) 2014/10/07(Tue) 14時半頃
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シメオンは、ヤニク(名前も知らない彼)の赤フード姿をふと思い出しつつ*
2014/10/07(Tue) 15時頃
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――昼頃・→本屋前――
[ ――過ぎ行く景色を。見慣れた光景を。やがては緩んだ表情を取り戻しながらも視界へ流して、足を進めている。 目へ口へ縫い止められた軽薄さは、それでも昨日の、現状の目紛しいまでの“変化”に確かに波立ちを見せながら。 手に持つ薄い鞄に、課題の1、2科目程度は入っていただろうか。 単なる口実として上げたそれらの、それでも義理深く安否を訝しんだ>>2:273 相手の反応を思えば。――端末を幾度か確認して。]
、……
[ 丁度本屋へ向かう路地を曲がらず――曲がりかけた頃だったろうか。 通知音を立てるそれ>>107 を開けば、画面に新着を表示させる。本屋の前、黒のコートにマフラー、キャスケット。単語じみた文章を小さく反芻しながら。 下文には>>1:44 出会ったころ交わした鳶色を過らせ、文面から滲むそれに僅かに目元を緩ませた。*]
(164) 2014/10/07(Tue) 23時半頃
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――、…
[ やがて本屋の前に立つ、文面通りの相手の姿と>>106、目が合ったか。つばを上げたキャスケットの奥から覗く変わらない鳶色に、歩幅を伸ばし近づいて行く。 ――店前に>>88 傘を借りた少女の姿があるのには気付かないまま。しかし陰干しにして室内に閉じ置いたままであれば、その時点返せることもなかったが。
互いに向き合って軽い挨拶に一間を留めれば、マフラーに覆われていないそこが問いを投げるのには小さく頷いて。 その視線が自らの襟元から地へと落ち着く>>107のには、首を傾げたままその線を追いかけている。
――2人で、と。先を示すように、友人へと手を伸ばしかけて。
“どうする”と己を呼び語尾を上げた相手が、キャスケットを外せばその頭には、
黒く硬く伸びた――角、だろうか。
現実味が無い、とどこか遠くに思いながら。友人の顳かみ辺りから生えるそれに、小さく暗灰色を移ろがせる。]
(165) 2014/10/07(Tue) 23時半頃
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――、…オズ?
[ 緩んだ思考は声を大きく上げて驚く事もなく。ただ目の前の光景へと、首を擡げた。 獣人、と幾度となく見聞きした単語が胸中に落ちては、 ――だから、と以前受けた唐突な問いを思い返す。 口元を引き締め、眉は寄せたまま落とされた鳶色はただ交わることもない。ぴんと張った糸のような空気に、つられるようにこちらもただ微かな息を零した。 目の前の彼は、動かない。
獣。
触るか見るか聞くか、――逃げるか。 革靴が地面に掠れれば、小さくざらついた音が鳴った。乾いたシャツの衣擦れが、互いの間に落ちる。]
(166) 2014/10/07(Tue) 23時半頃
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……、オズ。…それ痛いの?
[ 引き締められた表情に、小さく軽く、視界は斜にしたままに声をかける。 向き合った距離を緩慢に詰めて、伸ばしかけていた腕をそっとその腕へと向けた。戸惑うようならただ静かに手を下ろし。それ、と角に目を向ければ、獣人だったんだねと、流石に掠れた声を漏らす。
――やがて暗灰色を鳶色へと落とせば、“獣人って単語、出来る?” と先の約束を軽口めいて付け足した。]
(167) 2014/10/07(Tue) 23時半頃
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――回想・自宅――
[ ――“シメオンくんが”
その先も中途で相手の咽喉奥へと途絶えてしまえば、また改めて聞き返すこともなく。以前の語>>125に含まれた意味を辿れば、自惚れじみた思いが過った。小さく眉を顰めて薄笑いに息を零しては、
――他の誰かに独り占めされるぐらいなら、と腹の底深い部分が緩くぐらつくのには、声を殺す。
やがて胸を張る相手に笑い返しては。机上に皿を並べるその背を眺め、出来上がった暖かい食事を口に含む間も。 癖付いた笑みはそのままに、ただやわに滲む感覚は暗灰色に映しながら。*]
(168) 2014/10/07(Tue) 23時半頃
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[ そうして、壁時計が深夜の入りを伝える。 小雨が窓硝子を打つ音を微かに聞きながら、ソファに座る相手を黙ったまま見つめていた。口元が、伏せられた睫が揺らぐ動きを擡げた視界に捉える。 ――微かな瞬きを終えれば、その視線が絡んだ。小さく咽喉奥が鳴れば、声が鼓膜を叩く。]
……失望、――
[ 自分だけに、と告げられたのには僅かに体を硬くする。 失望、の言葉の真意は分からずとも、手のひらを微かに戦慄かせる姿を見やれば、思わず名前を呼びかけて。 ――開いた襟元近くを縋り付くように掴まれれば、自然体が相手へと傾く。]
…――恥ずかしい?
[ 胸元へと沈められる顔を見下ろせば、宥める様にその背へと手を回した。くぐもった声が“君が”と告げれば、シャツが強く握り込まれる。 ――薄笑いも緩い口調を保つ余裕もないまま、回した手を静かにその頬へと動かし、耳元へと顔を寄せた。]
(169) 2014/10/07(Tue) 23時半頃
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好きだよ、先輩。…何があっても。俺だけは。
だから、――俺には全部見せてよ。
[ ――背凭れへと相手の体にゆっくりと体重を掛けては、耳朶へ、首筋の横へと幾度か口を近付けた。 途中その顔が上を向いたなら、真っ直ぐに視線を絡めながら。今度は自分から深く唇を合わせ、自らのそれを口内に割り入らせる。
服の上からその腰元へと手を滑らせ、抵抗を見せるようなら静かに手を下し。 受け入れられたなら緩く撫ぜ、その先を求めただろう。]
(170) 2014/10/07(Tue) 23時半頃
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[ 擡げた視界に映る僅かな動揺>>204 には、ただ緩い姿勢は変えずに歩み寄る。声に出さず首が振られるのには、小さくそう、とだけ頷いた。“じゃあ何でそんな顔してるの?”とは心中の疑問に留めたまま。顳かみ付近から伸びる黒角と、鳶色を交互に見やりながら。]
…ッ、……?
[ ――キャスケットが地面に音を立て、落ちる。
その間に伸ばした腕を掴まれるのには、寸暇呆気に取られながら。 取ったその手が震えていれば、咎める事も振り払う仕草も見せずただ従った。怯え切ったようなそれに、暗灰色は静かに、微かに――緩んでは。
――まるで獣に出会ったヒトみたいだな、と心中で喩えては、逆の立場になったような錯覚に陥る。 獣から見ればヒトは、皆同じ様に見えるんだろうかと揺れる思考のままに巡らせつつ。
……しゃがみ込むのには腕は取られたまま、友人を見下ろしていた。絡む鳶色は微かに揺らいでいたのだったか。 問いには応えず、ただ伏せられるそれを追う様に、自らもその場に腰を下ろす。*]
(205) 2014/10/08(Wed) 07時半頃
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……怖い。 俺が? ――どうして?
[ こわい、と。まるで幼い子供が告げるようなそれ>>204には、柔く斜にした視線を落とした。 交わした鳶色の奥と、合わせた掌を思い返すように脳裏に過らせつつ――問いかける口調はただ軽薄に。力なく握られた腕は、抵抗無いままにだらしなく垂れ下がったまま。やがて耳にした軽い声色には、黒い鹿角の生え際をただ一度見据える。 硬く伸びた、人のものではないそれ。人とは違うオズ。――獣の。]
……呼ぶよ。 ねえオズ。――オズの目から、俺は何に見えるの?
[ ――掌は取られず、それでも逃げる事もなく。 落ちたキャスケットを空いた手で拾い上げ、砂埃を払いながら。その鳶色を掴もうと、顔を傾けては尋ねかけた。]
(206) 2014/10/08(Wed) 07時半頃
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シメオンは、トレイルに話の続きを促した。
2014/10/08(Wed) 07時半頃
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――回想・自宅――
[ 背から手を離せば名を呼びかけられ、僅かに惜しむような瞳とかち合い、 ――低く咽喉が鳴る。誘われるように頬に触れ、その耳元へと息の篭る声を流し込んだ。鴉色が自らの頬に触れかかれば、じり、と背筋に熱が走る。]
――、…俺もだよ。
[ 途切れかかって、それでもこちらに応える言葉>>194には暗灰色を細めて。 その声を更に求めるようにして、背凭れへと押し付ける力を強くする。 耳朶から首元へと擦るようなそれに微かな声が上がれば、抑えが効かなくなる感覚に口角を歪めた。 ……やがて絡んだ視線に尚それが煽られれば、探る舌を深く咥内へ這わせる。相手のそれが絡むのに柔く応えつつ、途中漏れる息には、自身の芯へと熱が昇るのを感じながら。*]
…ッ、は、……
[ 耳奥で鳴るのが相手の、または己の拍動なのかも分からないまま。 重なった手がシャツをたくし上げ、誘導するのに任せ、その中へと手を滑り込ませる。
――腰から上へ辿り撫ぜながら、付いていた膝をその両足の奥へと割り込ませた。スカートが自然ずり上がれば、露わになった大腿へ布地を擦り付ける。]
(207) 2014/10/08(Wed) 07時半頃
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――責任取るから、乗っていいよ。
[ 先輩がナルシストになっても、と口頭に乗せれば、首元へと>>195息が近づく。 まるで食事じみたその行為には、上がりかける声を抑えた。――鎖骨に歯を立てられるのにはびくりと体を震わせて、眇めた視線を熱い息ともに相手へ落とす。]
…ッ…、先輩…―
[ 腰に回る手を感じながら、体ごと割り入り相手の膝裏へと手を掛けた。緩くそれを持ち上げながら、ソファへ横になるよう促す。 従ったのならそのまま再度シャツの中へ手を這わせて。もう片手の甲を何度か内股に滑らせ、その奥へと触れかかりつつ。 先ほどへ返す様に首元へ顔を近付け、白いそこに何度か吸い付いて跡を残しながら、弱い皮膚へ歯を立てる。]
――脱いで、
[ 顔を寄せたまま、熱に上擦った声色でシャツを示し告げては、また緩く口付けた。**]
(208) 2014/10/08(Wed) 07時半頃
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――回想・自宅――
[ こちらを窺うような視線>>238 を感じながらも、強い抵抗は見せなければ、ソファに押し倒す。 その中にまた柔い力で入り込めば、腰から胸元へ緩く線をなぞる様に辿った。しかしやはり釦が締められていれば、もどかしさに眉を顰める。 ――内股の奥へ追うように掠らせた片手を掴まれれば、戸惑うそれには大人しく手を止めた。頭に血が昇る感覚を抑えつつ、けれど離されれば再度緩慢な所作で、今度は足先へと辿るように触れながら。*]
……見たいから。
[ 汚れるし、と緩い口付け混じりに息を落とす。“シャツだけで”と途切れたのには、脱ぐなら下も、と短く返した。太腿の内側へと滑らせていた手を僅かに持ち上げれば、スカートがやわに皺を作る。]
(251) 2014/10/08(Wed) 17時頃
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――、先輩。
[ シャツを肩から下ろしたところで、視界が塞がれる>>239のには動きを止めて。一瞬前見えた引き攣ったような笑みと、耳に届いた熱の篭った声には、芯から背筋へ欲が走った。
視覚が掌に奪われたまま、口元へ触れかかる湿った感触には体を震わせる。合わせたそこを何度か擦らせ、開いてはまた咥内へと舌を差し込んだ。暗い視界に確かめるように息を重ねては。 ――サスペンダーを下し、シャツを脱がした手が胸元へ撫ぜ這う感覚に、詰めた息を零す。]
――ッ…ずるい、って。…そっちこそ、
[ 弄る手には、嘆息じみた声色で小さく反駁する。鋭敏になった感覚へのそれに脳芯まで溶けかかるのを、唇を噛み締めて堪えた。
――やがて片手を塞ぐ手を取れば、ソファの端へ縫い止める様に手頸を押さえつける。もう片手でインナーの端を掴めば、ずりと上へ引き上げかけながら。]
(252) 2014/10/08(Wed) 17時頃
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見せて、先輩。
[ 全部、と。やや強引なそれを咎められても、思うまま顔を寄せては耳朶へと息を落とし込んだ。
――失望したりしないから、と以前の言葉を思い出し、声を重ねる。 間に割り入った体を、微かにその足の内側へ擦り付けるようにしながら、欲の篭った暗灰色を相手へと落とした。**]
(253) 2014/10/08(Wed) 17時頃
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――午前・本屋前――
[僅かに俯くように彼が顎を引けば、一層鳶色はかかる前髪に陰を落とす。鹿角がこちらへ傾くのを、緩く視界の端に映しつつ。先端から根元までを追い、――自分には無いそれに、微かに目を細めて。
相手の胸中へ落ちた声>>254は聞く事もなければ、ただ落とされる問い(>>204)には問いを重ねた。 伏せられた鳶色から溢れるものを見れば、やはり目元が緩むのは堪え切れないまま*]
――、へえ。
[ “分からない”、と返されたのには緩い視界を更に、傾げた。覚えを含んだ目の前の友人に、見慣れない両角に。添えるようなそれを手向ければ、手頸を掴んだままのそこへ目を移す。
次いだ、途切れては矯正を繰り返す言葉には眉を寄せながら。 ――腕に微かに力が篭ったのには、丁度手を放した相手には気付かれていただろうか。これ以上は、と冷めた声が遠くで嘯いては、蚕が首を擡げる。
下ろされるままになれば、それは友人の頬へと一度向けられ、――やがて静かに落ちかけて。]
(291) 2014/10/08(Wed) 22時半頃
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……――、なら、なってよ。友達。 …友達って、何するのか知ってる? オズ。
[ 逃がされた鳶色を歪めた暗灰色で追いながら。汚れを払ったキャスケットを手渡せばそのまま、その手首を掴んだ。 “ともだち”と、殆ど拙いまでのその声色>>256に、今度は微かに、――薄く上げた口角を震わせながら。]
……今日は良いよ、課題。また“今度”で。
[ それでもすぐにいつもの軽薄さを取り戻して、マフラーに鼻先を埋めた友人へ再度、緩く暗灰色を傾けた。]
(292) 2014/10/08(Wed) 22時半頃
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――回想・自宅――
―― ……ッ
[ 手を外さないままでいれば、詰まる息のまま添えられた声>>281に、背筋が粟立つ。顔は寄せたまま、片手でインナーを首もとまで引き上げれば、露わになった胸に掌を這わせ、その先を緩く弄った。 ……相手がスカートのチャックを下げれば、雨か汗か、湿り気を帯びた濃紺色をその足から引き抜く。 そうして抑えた手首に加わる力へ、静かにそこから手を離した。*]
ッ、 ……先輩、
[ 下着を片足に掛けたままに、相手の下部が体を擦れば、自身と同じ熱さを持つそれに息を飲む。腰を揺らすさまに、ただ合わせるように緩く体を上下させながら。
――それでも自慰じみて動くそれには手を触れないまま、はだけさせた胸元へ顔を寄せる。 柔く芯のある先を口に含み、舌先で突き軽く歯を立てては、口先に挟み吸い付くのを繰り返しながら。]
(312) 2014/10/09(Thu) 00時頃
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――、……俺、も好きだよ。
[ 舌足らずに、息に紛れて聞こえた声>>282には、もとからねじの飛んだそこから理性すら失せかけるのを感じながら、ただ同じ言葉を重ねた。手を重ねられるのには任せたまま。掠れた懇願には暗灰色に熱を滲ませ、未だ擦り付けられるそれへと手を伸ばした。“それとも私が”と腿が体に触れるのには、緩く口角を上げては。 ――自身も下半身の衣を下げれば、同じ様に屹立したそこへ、相手の手を取って添えさせる。]
……触って、先輩。
[ 余裕無く乾いた咽喉が、息混じりの声を落とす。 ……改めて相手の硬いそれに手を移し、何度か掌でしごき上げながら。添えさせた手を離せば、相手の薄い腹から腰の付け根へと、促すように撫ぜ這わせた。**]
(313) 2014/10/09(Thu) 00時頃
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シメオンは、錠(名前も知らない和装の男)はどんな本を書くのだろうと*
2014/10/09(Thu) 00時半頃
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