103 善と悪の果実
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―女主人の部屋→廊下へ―
[夕闇伯は長い前髪をかきあげた。オスカーが放った銃弾がさらった部分の黒髪だけ、不自然に短く、歪。低くわらう顔は彼の通り名よりもなお昏い。 ふと、何かに気づいたように伯は笑みを消す。]
……――あぁ、そうだ。
[――溝鼠の“仲間”がまだ残っているではないか。 視線は絨毯の上を点々と落ちる新しい赤へと移った。 蓄えに黄金の林檎がなかったのなら。 本命は“そちら”なのではないか。事実、警官も、あちらへ。
其処まで考えた後、夕闇伯は悠然と女主人の部屋を後にした。 血を辿るのは容易である。 ただ、後を追えば、いい。]
(0) azuma 2012/09/30(Sun) 02時頃
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―廊下― [響く銃声。館に響くのは何度目か。]
――……あちらか
[血の付着した靴で“楽園”を歩く。 大広間へ続く道を辿る途中、 廊下に置かれたままとなった刺青の男の骸に気づき、 立ち止まってから、見下ろす。]
(17) azuma 2012/09/30(Sun) 03時半頃
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……――嗚呼。 しまったな、溝鼠に刺してきてしまった。
[蒐集癖のある夕闇伯には、 初めて抑圧の蓋をこじ開けた感情をぶつけたこの男に対して、抱いているものがあった。]
何故勝手に殺された。 貴様は私が殺してやりたかったのに。
[低い声で告げる、 ひとつの、歪んだ執着である。]
(18) azuma 2012/09/30(Sun) 03時半頃
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[だが、それを露にするは僅かの間。 夕闇伯は歩を進めた。
大広間の扉を開けば、“楽園”の顛末が両の腕を広げて待っている**]
(19) azuma 2012/09/30(Sun) 03時半頃
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ヴェスパタインは、はっ、いってらっしゃいのひとはいってらっしゃ(遅い)
azuma 2012/09/30(Sun) 15時頃
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[――ステンドグラスがとりどりの光を投げかける中。 男と少女が倒れている。 足取りを示すように血の花が咲き、 空耳だろうか、歌声が聞こえた気がした。 そう、それは喩えるならば 籠を自ら破った金糸雀の。]
――……嗚呼、……そんなところにあったのか。 どうして気づかなんだのか……
[夕闇伯は昏く囁き、林檎を抱く 緋と白のまだらを纏う者の側に歩み寄る。]
(37) azuma 2012/09/30(Sun) 21時頃
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[血塗れの林檎は、艶やかさを増し ますます蟲惑的な輝きを放っている。 そして、それを抱く者は――]
……――何を笑っているのだか
[涙を滲ませている。 冷たく、夕闇伯は見下ろした。]
残念だったな。 それは、 貴様のものにはならぬ。
[怨嗟の声届かぬ高慢な暴君は――笑う]
(39) azuma 2012/09/30(Sun) 23時頃
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[塵を見るような眼で笑う有様を 興味もなさそうに視界に入れている。
“見て”いるのは林檎だけである。 血の色も、歪んだ気配を纏う肢体も、 黄金の輝きの前には色を無くしたも同然だ。]
――愚問だな。
[満ちるのは慢心だ。 伯が常の賢明さと冷静さを持っていたならば 何かがおかしいと、感づいたはずなのだ。
裏世界に浸っていた、 その経験から。 分かったはずなのだ。]
(44) azuma 2012/10/01(Mon) 00時頃
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[だが。黄金の果実は その輝きに夕闇を溺れさせた。
蛇の笑みを浮かべた“もの”が繊手を翻す。 硝子越しの夕闇に暮れる光の中、 宙へ放たれる林檎。
宵闇伯の意識は完全にそちらへ奪われる。 手を、伸ばす―――]
(45) azuma 2012/10/01(Mon) 00時半頃
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[黒髪が流れを変える] [ストロベリーブロンドは逆光に輝いた]
[“蛇”は夕闇伯を絡めとる]
[掴む胸元に輝くはアメジスト。 濃紫の眸は見開かれ、 死の口づけの一部始終を映す。
長く伸びる影が、重なった。]
(46) azuma 2012/10/01(Mon) 00時半頃
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―― ッ、……!!!
[突き飛ばすのが一瞬遅い。 あったのは、苦味か。甘みか。果実に似る。]
貴様、何――― ッ……!!
(47) azuma 2012/10/01(Mon) 01時半頃
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――っ、ぐ、……
[口元を押さえ、よ数歩後ろによろめいた。
速効性の毒物は 体を侵食し呼吸を奪う。]
……ッ、屑めが……!!
[毒の量が僅かに少なかったのか 直ぐに倒れるということはないが、 それはただの遅延でしかない。
血を吐き、動かなくなったモノを憎悪の表情で睨みつけながら、ひとつ咳き込む。掌が血で汚れた。]
(68) azuma 2012/10/01(Mon) 12時頃
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ぐっ……、ぅ なる、ものか―――斯様な、ところで……!!
[落ちた果実は偽の林檎。 真なる知恵の実は何処にあるのか。 焦点定まらなくなっていく濃紫の眼が 果実を睨み、黄金を探す。 手で机の上をなぎ払い、艶やかな果実を黄昏色の光の下へとぶちまける。落ちる林檎、滑稽に転がる。]
っ、何処だ、……
[近づく死の足音か、 誰のものとも知れぬさざめきが耳に届く。 呻き、囁き、冷たい歌。 怨霊の声が、大きくなっていく]
(69) azuma 2012/10/01(Mon) 12時頃
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嗚呼、……喧しいぞ……ッ ……っ、ぅ く、……
[死に身を浸したものの呼びかけは生ける者には猛毒だ。 内より外より蝕まれ、机の端に手を付き、ついに夕闇伯の体はずるずると床に崩れ落ちた。艶やかな黒髪が広がる。]
…――ッ、――づ、
[ぼやけていく視界、 見えない、何も見えなくなる。 あざ笑うような金色の光の残滓がちらつくばかり。
床に爪を立て、 そのまま―――]
(70) azuma 2012/10/01(Mon) 12時頃
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[――後に残るは静寂。
偶然にも倒れ臥したその場所で、 黄金の林檎まであと僅かな距離。
夕闇は、太陽に触れることは叶わずに**]
(71) azuma 2012/10/01(Mon) 12時頃
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ヴェスパタインは、ばしばしされてむせた。 いってらっしゃい!
azuma 2012/10/01(Mon) 13時半頃
ヴェスパタインは、ファブリーズを用意した
azuma 2012/10/01(Mon) 19時頃
ヴェスパタインは、もてたいジェフをつついた。
azuma 2012/10/02(Tue) 18時頃
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