199 Halloween † rose
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― 夜・城下街 ―
[ドナルドの手を引き、城下へ向かう。 買い取った時はただの廃屋とも呼べる居抜きの1軒。 店の看板には、「Curcubeu」と刻まれている。 雨が流れた後には必ず虹が注す。
ドアを開ければ、そこはきちんと「酒場」になっていた 酒のリキュールに業務用の冷蔵庫。 踊り場には、端にグランドピアノが、 そして緋色の絨毯が敷かれたダンスフロア。]
憶えてますか…? 私は、君に宿題を出しました。
(306) motimoti 2014/11/03(Mon) 21時頃
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もうけして、陽のあたる処で仕事をさせてやれないけれど、 ………ニンゲンのように、
[ニンゲンのように当たり前に、恋をして、 ニンゲンのように当たり前に、彼を愛して。 ニンゲンのように、愛しい人と生活をする。]
吸血鬼がニンゲンのように生きたいだなんて、 おかしいでしょうか。
[指を滑らせても埃が触れないカウンターを撫ぜ、 苦笑を浮かべ、ドナルドに手を伸ばす。
取り上げてしまったものの代わりに、 新しい何かを与えたい、だなんて。]
―――屋根の上、登ってみる……?
(307) motimoti 2014/11/03(Mon) 21時頃
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許婚 ニコラスは、メモを貼った。
motimoti 2014/11/03(Mon) 21時頃
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― 手紙の話 ―
[魔女の家に送る手紙は、返事がないと分かっていても 頻度を変えることはなく。
かえって来たものといえば、一通だけ返事があった。 もう金狼は出ていってしまったという事。 揃いの時計は、彼が壊したという話。]
――そう……か。
[ベネットの筆跡で綴られたそれを封筒の中へ戻す。 あの日金狼と会った城を囲む森の中を歩み。 この辺りだろうかという処で足を留め、満月を見上げる。]
(313) motimoti 2014/11/03(Mon) 21時半頃
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……私は、変わらず君の友人だよ。 何が変わろうと、変わらなろうと。 ねぇジェレミー。 だから、――…いつか店に遊びにおいで 虹の架かる橋の下で、待っているよ。
[虹を冠る店は、あの街にはもう無い。 あるのはただの、空き地のみ。
店に訪れた住人は首を傾げる 此処には雑貨屋があったはずなのに、と。]
(*22) motimoti 2014/11/03(Mon) 22時頃
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[同じ名前を酒場にもつけたのは、 大事な友人を訪れを、待つ為に。*]
(314) motimoti 2014/11/03(Mon) 22時頃
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― Curcubeuにて ―
………君は実直な人だ。 私との約束をひとつも破らなかった。
[>>323離れていた間学んだという話を聞き、 傍らで柔らかく微笑み。
広い城で一人で過ごす人生を棄てて、 彼と共に過ごす人生を望む。 この箱庭を作る間、ずっとドナルドの事を考えていた。
けれど、どんな店になるのか どんな時間を此処で過ごすのか。 そういう未来のことは、想像がつかず。
きっと其れは、彼と二人で築くものだから 一人では、探せなかったのだろう。]
(327) motimoti 2014/11/03(Mon) 23時半頃
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[尋ねる声に微笑み、緩く首を縦に振る。 引き寄せる力に抗わず、寄り添って もう離れることの無い倖せに、また頷く。 緋色を闇に隠しても、もう恐ろしくはない。]
ええ……、――吸血鬼なのにニンゲンのように生きて 君との出会いを、千年経っても忘れないように、
[>>324唇に触れる暖かさにまた眸を開き。 礼を預かる代わりに、絡めた指に力を籠めて。
準備賃は、彼の存在が此処にあるだけで良かった。 此処に存在しているだけで、良かった。]
ええ、行こう。 ……私もまだ見たことないから、この上で見る街を。
[互いが見たことのない未来を見据える為に。 宵闇に包まれた住処を、彼と共に。]
(328) motimoti 2014/11/03(Mon) 23時半頃
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― 屋根の上にて ―
此処が一番北にあるのでね。
ニンゲンである君の眼には灯りのある処までしか 視えないかも知れないが、
[>>325闇の中浮かぶ光は、命の数。 男の緋色は、闇を友人として抱えている。 光無き通りも、その先にある深い森も、古城をも。 この眼は見通し、全景を捉えていた。
握が篭れば景色から傍らの彼へ目線を移ろがせ。
向けられた望みに、彼の持ち合わせる唯一すら 奪わなければならないという罪深さに 震える唇が、虞れと希望を同時に孕む息を零すのだった]
(329) motimoti 2014/11/03(Mon) 23時半頃
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……―――もう二度と釈けぬ魔法を君に、
[0時を迎えても、もう二度と消えない魔法を。]
(330) motimoti 2014/11/03(Mon) 23時半頃
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[私という赫い檻に、君を閉込める為に。 預かる重心を>>326、そっと座らせるべく促して。
シャツを捲くりあげる間、春といえど 宵の温度が彼の腹部を擽るだろう。
爪を覆う鋭さは、結晶が為し。 皮膚を抉り、逆さ十字を刻む。]
………君の人生を、
[私の生涯を、]
全部、私におくれ。
[全部君にあげるから。]
(331) motimoti 2014/11/03(Mon) 23時半頃
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[唇を合わせ、彼の血を啜り上げる。 命の灯火が消える代わりに 己の指を傷つけ、新たな血液を腹部から注ぐ。
緋色の絨毯が赫い屋根を一層緋く。 二人の緋色を刻みつけて。]
(332) motimoti 2014/11/03(Mon) 23時半頃
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一曲踊ろうか。 君が生まれた、お祝いに
[もう、時計の針は動かないから。 時間が私達を邪魔することはない]
(*24) motimoti 2014/11/03(Mon) 23時半頃
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[屋根から降りる時は、共に宙を揺蕩って。
店に敷かれた赫い絨毯の上。 亡霊が奏でるピアノの演奏の中、 二つの足音だけが、楽しげにリズムを刻んで**]
(333) motimoti 2014/11/03(Mon) 23時半頃
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