296 ゴールイン・フライデー
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[ずきずきと痛む頭に最悪な目覚めを迎えた土曜の朝。 昨晩はどうやって帰ってきたのか、なかなかどうして思い出せない。
覚えているのは…。]
なぁ、ウイスキーのミルク割り、作ってくれよ
[酔いどれが思い出した、いつか誰かに奢られたカクテルもどき。 なんというカクテルかは知らなかったが、やたら美味く感じて、時々作ったり頼んだりして呑んでいた。 快諾はされなかったかもしれないが、そこは酔っ払いの気の強さ、どうにかこうにかごねて作ってもらったそれを、舐める。
既にショットグラスを何度か開けた後のことである、酔いも回って良い心地。 白く濁った液体の満たされたグラスは、かざしたところで誰の姿も映しやしない。]
(61) 2019/05/22(Wed) 20時半頃
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[俺は人を好きになるのが壊滅的に下手くそだった。
誰かを好きでいること自体が、己の首を絞めるのだ。 脳みそがまともに働かなくなる。
若い頃ならそれでもまだまともな余地は残せたかもしれない。 だが、もうダメだ。 とっぷりと粘度の高い液体に沈むように、重たいそれを掻き分け掻き分け酸素を求めても、遠くて、息がうまくできなくて。 息苦しくてかなわなかった。
酸欠の脳みそが、まともに回るわけがない。
喉にごろごろと詰まった塊を流し込むように、白濁とした液体を吞み下す。一瞬の呼吸を求めて。 白い汚れを内側に残した湾曲したガラス面の向こうに、彼の姿を見た。]
(62) 2019/05/22(Wed) 20時半頃
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[夢か、現か。 あの音を、幻聴に聞く。 俺は思わず笑った。 ほら、また息が止まる。
ひどい酔っ払いだ。
いっそ、彼からの嫌悪の眼差しでも得られれば、俺はもしかしたらこの重しから解放されるんだろうか。 ……多分、そんなこともないのだろう。]
(63) 2019/05/22(Wed) 20時半頃
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マーマ。 あの兄さんにさ、これとおんなじの、あげて。 ちがうちがう、あっちじゃなくて、 そっちの兄さん。 うん、そう。
[俺は正しく彼を示せてただろうか。 二日酔いの頭でも、どうにも思い出せなかった。 そもそも俺は一体彼に何を奢ろうとしたのか、その酒の名も知らないのに、愚にもほどがある。 奢られた方だって始末に困ったことだろう。
多分俺は、言うだけ言ってすぐに店を後にしたはずだった。 彼に一杯奢ってみたかったが、口説く勇気も持ち合わせちゃいなかったのだ。 臆病な俺は、恐れていた。]
(64) 2019/05/22(Wed) 20時半頃
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[フラれることをじゃない。 万が一にも、受け入れられることをだ。
そんなことはあり得ないと知りつつ、万一そんなことになったら、多分俺の息は本当に止まってしまうだろう。 息も忘れて相手のことばかり考えてしまうだろう。 それが間違ったことだと知りながら、文字通り彼に命を捧げてしまうに違いない。
それはいけない。 絶対に、いけない。
俺は、人を好きになるのが壊滅的に下手くそだった。
誰か一人を愛しながら、その他大勢の為に命を張るなんて、できないから。 今度こそ、火事場から飛び損なって、取り返しのつかないことになる。]
(65) 2019/05/22(Wed) 20時半頃
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[だから、万が一にもそんな未来のないように。
この恋を、己の内で、綺麗さっぱり片付けなければ、いけない。
あり得ない未来を、己の手で、完膚なきまでに叩き壊さなくては。
殺し、尽くさねば。
そう、思うのに。]
あーーーー、くそ、
[ズキズキ痛む頭では、何も考えられなくて。 かろうじて帰ってきていた自宅ベッドに再度沈む。
ただひたすらに、苦しかった。 火事場で煙に囲まれている方が、まだマシか知れなかった。]
(66) 2019/05/22(Wed) 20時半頃
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[二度寝から目覚めた頭は、いやにスッキリしていた。 多分その瞬間に、俺の中で答えは出ていた。
はじめから、簡単な話だったのだ。 その結論を、見ないようにしていただけの話で。]
(106) 2019/05/23(Thu) 06時頃
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[日曜日、今度はおとなしく杖をついて出勤する。 とうに飽きた書類仕事も、黙々とこなす。
火曜日、仕事の合間に病院へ。 怪我は順調に回復しているらしい。 現場復帰はまだ先だが、この調子ならリハビリさえしっかりやれば戻れるでしょうと。 元々しっかり筋肉を育てているので回復もほどほどに早いでしょう、と。
四十路になりかけの俺が現場に立てるのは、あと何年だろう。 けれど、その数年を、俺は切望する。 今更手放せるような、シロモノではない。 せめて、あのガキが一人前になるまでを導かなくては。]
(107) 2019/05/23(Thu) 06時頃
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[俺が、俺である為に。 片方の皿に恋を、もう片方に俺を構成するあらゆるものを。 そんな結果のわかりきった天秤を、もう一度測る。
若ければ、まだ俺が完成していなければ。 恋は何よりも重くなり得たかも知れない。
けれど、今の俺にとっては。 「俺」という個をとうに完成させ、今更書換えようもない、俺は。
──────見えぬ天秤は静かに傾いて静止した。]
(108) 2019/05/23(Thu) 06時頃
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[もしも、これが数年前の出会いだったなら。 あるいは数週間前、怪我をする前だったなら。 歳を明確に自覚する前だったなら。
あらゆることに、無謀に欲張りになれる青さをまだ、持ち合わせていたならば。
たらればの結末は、白く濁ったグラスの向こう側。]
(109) 2019/05/23(Thu) 06時頃
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[木曜の夜、出す宛のない手紙を書いた。 チラシの裏側に書きなぐった、たった一言のメッセージ。
『あなたのことが すきでした』
好きでした。 好きでした。 好き…“でした”。
とかく、人の心はままならない。 持っていれば、息ができないほどに苦しいのに。 手放すとなると、泣きたいくらいに痛い。]
(110) 2019/05/23(Thu) 06時頃
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[必要なのは、たったひとつ。 向かい合うだけの、勇気だった。 捨てるだけの、覚悟だった。
俺は心のひとかけらを、長く掃除してないコンロに灯したガスの青い火の中に放り込む。 薄っぺらい紙に投射したソレは、ものの数秒で灰になり、その灰すらあっという間に消えた。
多分その想いは、俺の心臓にケロイドみたいにこびりついて、長く俺を苛むだろう。 だが、それでいい。 それで、いいのだ。]
(111) 2019/05/23(Thu) 06時頃
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[金曜の夜、タヴェルナへ向かう。 君を、見納めるため。
君を最後に一目見て、そして。 君がこの街のどこかで平和に穏やかに暮らす未来を夢見て、その未来に己が身を捧げる自己満足に酔いながら。
この莫迦みたいな恋に、幕を引くのだ。
金曜の夜、最後のタヴェルナへ、俺は行く。]
(112) 2019/05/23(Thu) 06時頃
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