103 善と悪の果実
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捜査官 ジェフは、メモを貼った。
SILENT 2012/09/30(Sun) 02時半頃
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[銃声が、重なって聞こえたのも、幻聴か──。
血膜に覆われた視界は、赤ではなく、ただ、暗い薄闇の中で。 爆音の余韻が消えた後は、どこまでも黒く、深い闇がある。
男の身体は、床の上に崩れ落ちる。]
(27) SILENT 2012/09/30(Sun) 09時半頃
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『どこまでも、一緒よ』
[遠い、過去に聞いた声は、誘うように。優しくあやすように。 見せた笑みもその言葉も、偽りだったが。 あのとき、男は信じていた。
死さえ、共にすると頷いてくれた女を。
優しく、くすぐるような甘い笑い声。 遠退いていく。 もう、何も。 この手に、残された物は、もう無い──。**]
(28) SILENT 2012/09/30(Sun) 10時頃
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[男は、銃を握りしめていた。
揺らめく、視界。
ふと、血に濡れた目を瞬かせ、顔を上げる。 澱んだ目の前の光景が遠退き、ステンドグラスの前に立つ自分。
静まり返った廊下は、見回しても誰もいない。 頭の痛みも、顔の前をとめどなく伝い落ちていた血も、いつの間にか引いていた。]
(48) SILENT 2012/10/01(Mon) 02時頃
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[ふと、気がつくと足元にうずくまる小さな影がある。 その姿に、どこか、見覚えがある気がした。
──遠くから、微かに漂う焼けた瓦礫の臭い。 煙草を咥えたまま、制帽の陰から見下ろした、小さな痩せた身体。
──ああ。 確か、その子は。
遠い、記憶。
警官は、静かに手を伸ばす。]
(49) SILENT 2012/10/01(Mon) 02時頃
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[一時、躊躇ったが。 静かに小さな頭に手を置くと。 声を落とした。]
どうした?お前。
[ゆっくりと上げられた顔。 大きな、黒い目。 それが、きょろりと動いたのを見ると。
警官は制帽の下で笑みを浮かべた。
古い記憶の断片と、そして、魂だけの世界で。 警官は、少年の目を覗きこむ。
死んだ男の目には。 おそらく、見たいものしか、束の間しか、もう見えない。]
(50) SILENT 2012/10/01(Mon) 02時頃
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[ ──来るか? お前も、1人なら。
声とはならず。 だが、少年に問い掛ける。 差し伸べた手。
どこにも、行く所がない事は解っている。 だが、他にかけるような、優しい言葉や、慰めは。 自分自身への、救いとなるものも、見つかりはしない。
俺は──、何が、欲しかったんだろう?
やがて、男の周りに見えていた物が、闇に沈んでいくように消え始める。
少年の姿も、霞んで行く。
男は、弱々しく、だが静かに笑って。 もう、見る事を止めようと。 目を閉じた。**]
(51) SILENT 2012/10/01(Mon) 02時頃
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