21 潮騒人狼伝説
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[気がついた時には、希薄な存在となって。
男は”其処”に佇んでいた。
ふわり、と。
望めば身体は宙へと浮かぶ]
―――…そうか。
俺は……死んだのか。
[痛みも苦しみも。何も感じなかった。
ただ血に濡れる身体が熱くて、冷たかった。
それはあっけなく訪れた、独りの終わり――]
[希薄な存在のまま、ゆらゆらと佇んでいれば、
ぴたりと。足にしがみ付く”なにか”に気づく]
……ゾーイ、か?
[金色の髪を持つ少女が、こくりと頷く]
そうか。
大分待たせちまった、な。
[節くれだった男の指先は、頷く金へと伸ばされ。
くしゃりと撫ぜた]
[そう謂えば。
いつかもこうして、金の髪を撫ぜたなと。
少女を撫でながら、男は追憶に意識を飛ばす]
ああ、そうだ……。
俺は。
お前の頭を撫ぜるのが、好きだったんだ。
[脳裏に浮かぶのは、ヤニ臭いと顔を顰めた金色]
俺は風見に……、
ゾーイの姿を重ねていたから。
[気遣わしげに見上げる少女を、
なんでもないよと撫ぜて。その幼い身体を抱き上げる]
赤い髪のお姉ちゃんが先に来ていただろう?
[抱きかかえた稚い顔が、こくりと頷く]
お前を喪って。
死んだようになってた父さんを、慰めてくれた人なんだ。
何処にいるか、教えてくれるか?
[あっち…と指差す幼い手]
良い子だ……。
[ぽんぽんと、背中を撫ぜて。
男は指差す方向へ、ふわりと舞う。
その先にいる赤い蝶は、きっと男を待っているだろうから]
― おそらくは現実と虚構の狭間 ―
……ここは?
[周りを見る。
光差さぬ暗い森の中。懐かしい匂いがする]
『うぅ……うえっ……』
[遠くで少女のすすり泣く声が聞こえる]
誰だろう。この声、どこかで聞き覚えがあるような気がする。
『ぐじっ やだ、やだよ。
ビーくん……しんじゃ、やだよう』
ビーくん?
ビーくんって、誰だっけ。どっかで聞いたこと、ある。
ああ、確か小さい頃、仲のよかった子がそんな名前だったか。
カービーだか、トビーだか……
『ごめんなさい……ごめんなさい……ぐじっ
ごめんなさい……ごめんなさい……』
[声のする方へ、ゆっくりと近づく。
枯れ葉を踏みしめる音はやけに鮮明で、かえって現実感を喪失させる]
……紅葉?
今はそんな季節なんだ。
[一面に広がる、鮮やかな、赤。
その中に時折散らされた彩り、白、桃色、黒。
そしてその中央に配置されているのは、流れるような金色]
[金色の少女は地面にぺたりと座り、
涙が溢れ出る目を、両手で擦っている]
『ごめんなさい……ぐじっ……ごめんなさい
たべちゃって……ごめんなさい……』
[指の間から覗く眸の色は、
血に染まったような、赤。
記憶の遡行は、そこで一度途切れた**]
[男は娘を腕に抱いたまま、その指し示す方へと進む。
何処か不思議な面持ちを持つ建物の中へ入ると、
水盤を覗きこむ赤い髪の後ろ姿が見えて]
……随分と、待たせちまったな。
あの晩、迎えに行ってやれなくて……すまん。
[男の声に振り返る蝶。
特徴的なぷっくりとした唇を数回、動かした後。
飛び込んでくるその身体を、もう片方の腕で抱きとめ]
……ん。
[男は言葉短く。
自分の胸で泣く女の背を、抱きとめた腕で撫でた]
[――……お姉ちゃん、どうして泣いてるの?
幼い口調で、ぽんぽんと。
小さな手が、赤い髪を撫ぜる。
男は口元に苦笑いを浮かべて]
それは……。
父さんがな、約束を守れなかったからなんだ。
約束を守れなくて……それで。
[父さんは悪い父さんだな…と。
自嘲するように続けて。
暫くの間はゾーイと二人、
泣きじゃくるタバサを宥め続ける*だろう*]
[そうしてタバサが落ち着けば、
今しがたまで彼女が見ていた水盤へ沈む視線。
緩く波打つ水盤は、
丁度伽藍堂の眼窩を覗きこむ青年の背中を移していて]
――……。
[彼を信じると謂った、もう一人の青年を思い出す]
たぬき……、間違えるなよ。
お前が本当に世良を友だと思うのなら、
お前が為すべき事は一緒に堕ちてやる事じゃねえ。
世良を正し、救ってやることだ。
人の世界に――……。
[呟く声はきっと届かない。
それでも呟いてしまうのは、願っているから。
彼らが後悔しない選択を選ぶ事を]
[ぴょんっと。
抱きかかえていた男の腕から、ゾーイが飛び降りる]
……ん、どうした?
[その様を見守っていると、
少女は水盤の中に腕を入れて。
そこに映るサイモンの荷物の鉛筆に触れる。
それは、音もなく地面へと落ちて]
―――……ふふ。
あはははははは。
[一瞬の沈黙の後、男は笑い声を上げた]
気づいてくれると良いな。
ゾーイのメッセージに。誰か、そう…誰か。
[男の大きな手が、ゾーイの柔らかな金糸を撫ぜる。
あとは、赤い蝶と娘と三人で。
地上の様子を見守るのみ――**]
― ここではないどこか ―
お、おなか空いた…
[ここにきてから食べ続けてるはずなのに、何故かお腹が空く]
餓鬼道って確かこういう世界じゃなかったっけ…
食べても食べてもお腹がいっぱいにならないっていう…
[ぶるっと体を身震い]
[アオイに力なく手を振りながら]
…うん。お願いします…
[タバサと二人、水盤に映る皆のやり取りを見ながら、
男は酷く重い息を吐いた]
…………盲信ってやつは、怖いな。
[がり、っと髪を一つ掻くと
周りで遊んでいた少女が振り向き、気遣わしげに見上げた。
もう一度さっきみたいにする?と尋ねられて、首を振り]
いや、いい。
もうこれはあいつ等の問題だから、な。
……それよりも、煙草が欲しいな。
[ついいつもの癖で、胸のポケットを探って仕舞うものの、
その指先は空を切るだけで。
何処かにないものかと周りを見渡せど、あるはずもなく。
男はもう一度、溜息を*吐いた*]
……これは、罰なんだ。
人狼の血を持って生まれてきたことへの。
本能に抗えずに、人を殺めたことへの。
……弱い私への。だから……。
[自分を殺した後輩の形相を思い出しては
ひとり膝を抱えて、丸くなっている]
いいよね。ここでずっとこうしてても。
もう、誰も傷付けないから。
何かを、誰かを、望んだり……しないから……
[涙声の合間に、いくつかの嗚咽を漏らす]
……。
……誰?
[幾許かの時が流れた後。
近くで聞こえた誰何の声が、自分に対して向けられたものだと
認識できるまで幾秒か。顔をあげることなく、蹲ったまま]
知ら ない。
[消え入りそうな声を紡いで、首を振る。
頭の後ろで束ねられた黄金の尻尾が、力なく揺れた]
……。
……。
[アチャポに促され、立ち上がる。
目に生気はなく、肩を落とし猫背のまま、足を動かす。
かけられた声に対しては、そちらを見ようともせず
肯定とも拒絶とも取れる、沈黙を貫いていた**]
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