84 戀文村
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− 宿屋 −
[静かに眠りに就いたダーラの身体を寝台に横たえて その髪を撫でる。 ヨーランダと同じと思って欲しいだろうかと「酒」を 片付ける事はしない。
ただ酒場の酒、皿や鍋、椅子等を片付けて。 全て店仕舞いした後にして。 隅に置かれたピアノに触れて、先日まで音楽を奏でていた 若者を思い出す。 もうピアノが鳴る事はない。 酒場が、宿が開く事はない。 もう、自分がここに来る事はない。
カウンターに残されたブローリンのメモ>>4:141を じっと見つめ寂しそうに笑みを浮かべた]
(0) 2012/03/30(Fri) 02時頃
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………。
[ポケットにメモを押し込んで宿舎に密かに戻る。 だが一睡もする事無く夜明けを迎えて、 新しい招集と、ダーラの死を聞く**]
(1) 2012/03/30(Fri) 02時頃
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− 朝 −
[眠る事無く色を変える空を静かに見ていた。 この不気味なほど赤い空の下をセレストやエリアスは どう見ているのだろう。
恐らくセレストは昨日、エリアスは今朝にも前線に着いている筈だ。 そしてその最期は……。 もしかしたら今日、明日と立て続けに役場に届くかも知れない]
哀しみを突き付けられて眠る方がいいのか。 微かでも希望を持って眠る方がいいのか。
[朝陽に照らされた手は赤い。 自分のやろうとしている事は間違っている。 そう指摘されれば、そうだな、としか答えられない]
(2) 2012/03/30(Fri) 08時半頃
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[赤い手を見つめた後、首を振って寝台に潜り込む。 僅かでも仮眠をと朝食までの間の一瞬の現実逃避]
夢でも逢えやしないだろうからな。
[最近ずっと戦地の夢を見る。 降格処分の原因となったあの地]
(3) 2012/03/30(Fri) 09時頃
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[敵兵の骸が、母を呼びながら散華した少年兵達の骸が 焼かれていく夢。自分は拒否した筈なのに。 そして炭と化した亡霊が戦場を彷徨い続ける夢。 戻りたくとも道標を見つける事も、迎えに来る者も無く。 ただ身体の痛みと嘆きと憎悪を訴えながら彷徨い続ける。
ああ、あれがこの戦争の罪の証。 国の為と大義を掲げて、望まぬ者を死に追いやった罪の証。
その亡霊が自分に手を伸ばして来る。 還りたいと、死にたくなかったと、 痛くて苦しくて悲しくて眠れないと縋って来る。
そしてその手を振り解く事も出来ないまま、自分も 亡霊たちの重力に引き摺られるまま地獄に堕ちた]
(4) 2012/03/30(Fri) 09時頃
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うわっ!……ゆ…めか……。
[思わず跳ね退け、飛び起きると全身に嫌な汗を掻いていた。 ほんの一瞬の安らぎも与えられず、 精神を削られる夢に溜息を1つ]
ま、ろくな死に方しないのは承知の上だが。
[これも天罰かと自嘲する。 もう寝直す事はないと身体を拭いて部屋から出た後。 ブローリンが前線に復帰する事を聞いて悔しそうに唇を噛んだ]
(5) 2012/03/30(Fri) 09時頃
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なんで俺じゃねえんだろうな。
[ブローリンがこの村を何より大切にしている事は知っている。 大切に思う者もいる事も薄々は察している。 そして…自分の事まだ抱えて苦しませている。
何故自分では無いのだろう。これも天罰なのだろうか]
……ブローリン、お前は望むのか?
[彼を見つければ、祝福も励ましも羨望も口にせず問う。 彼は自分とは違う。答えも予想が付くが。 その予想と答えが違っても自分は満足気に笑うだろう]
ブローリンらしいな。 俺は天罰てきめんのようだ。 お前は……悔いの無い様に生きろ。
[そう伝えて残された貴重な時間を彼に返し、 自分は村の中に消える**]
(6) 2012/03/30(Fri) 09時頃
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− 回想 兵舎 −
[ブローリンの返答>>7に笑みを返す]
ああ、お前はそんな奴だよ。 俺のせいでいらん事まで抱えさせて悪かったな。 上も人がいなくなれば嫌でも俺も呼び出されるだろうし。 そん時があればまた話をしようぜ。
[二度とそんな時は来ないだろうと理解している。 総動員しているこの戦局で、再会する可能性も、 生き残る可能性も]
軍人なら戦えるんだから幸運だろうな。 人なら…不幸。
(19) 2012/03/30(Fri) 16時頃
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俺か? 俺は不幸を振り撒いている悪魔、に見えるだろう?
[どんな想いがあれ、自分は人殺しなのだから。 本人の哀しみを消す為に他人に哀しみを振り撒く。 ダーラは村人皆何処へもやりたくないと言っていた。 出来ればその願いも叶えてやりたい。 けれど本人がそれを望まないなら…。 どちらを優先したいのか、どちらがより本人達にとって 幸せなのか。どれ程考えても答えは出ない。 出ないまま、時だけが残酷に進む]
少なくとも…お前の気持ちは…判ったつもりだ。
[へらっと笑った後で、一瞬真顔に。 そして静かに敬礼を送った]
(20) 2012/03/30(Fri) 16時頃
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必ず……還って来いよ。 「村」はお前を待ってるだろうから。
[敬礼から降ろした手を差し出して最期の握手を求めた]
(21) 2012/03/30(Fri) 16時頃
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[他にも多くの同僚に命令が来ているようで、 兵舎の中は慌ただしくも物々しい雰囲気に包まれていた。 ヒタヒタと忍び寄る敗戦と死の気配に苛立つ者も多い]
見張りなら俺がやるから。
[勤務調整にも頭を抱えている兵士に、そう声を掛けて。 いつもブローリン達が立っている場所に]
(23) 2012/03/30(Fri) 16時半頃
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お? 悪いな、ブローリンじゃなくて。
[珍しいものを見る様な村人に混じって、犬の鳴き声が聞こえた。 いつもブローリンの足元で甘えていた犬。 ブローリンでは無い事に気付いて近寄らない犬に、 おいでおいでと声を掛けたが、犬は彼を探す様に走り去った]
嫌われたねぇ。 それとも血の臭いがしたのか。
[胸ポケットに入ったブローリンからの手紙を思い出し、 自分の手を見つめて苦笑する。 そしてそのまま静かに佇んで。 誰かに話しかけらればそのまま時間まで見張りを続けた**]
(24) 2012/03/30(Fri) 16時半頃
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− 見送りの時 −
[乗り込む兵士達は皆凛として誇らしげに見えた。 それが本心なのか虚勢なのか自分の心根のせいなのか。 旅立つ者達に敬礼を送り、その顔を見つめる中、 ブローリンがほんの僅か、微笑んでいた様に見えた>>37 その笑みを贈られた人物を見つければ、 彼女にそっと近寄り声を掛ける]
(47) 2012/03/30(Fri) 22時頃
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クラリッサ…ブローリンの見送りに来てくれてありがとう。 ……ブローリンの笑顔を…ありがとう。
[ブローリンが愛したこの村で、 何より大切にしたいと思う者だろうと確信して感謝を示す。 余計なものを抱えさせてしまった彼を癒してくれた クラリッサに本心の感謝を述べて]
クラリッサ…あんたは…ここで待ち続けるのか?
[もう、還って来ない。 判っていると思ったが、その言葉だけは飲み込んだ]
(48) 2012/03/30(Fri) 22時頃
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我慢してたんだな、えらいえらい。 女の涙に男は弱いからな。
[一度だけポンと頭を軽く叩きながら彼女の答えを考える]
…互いがどうなっていても…か。 クラリッサ、あんたは「生きて」待つんだな?
[ブローリンの選んだ答えは自分とは違う。 だから後は彼女の答え次第。 どんな結末でも受け入れると言うなら]
(57) 2012/03/30(Fri) 22時半頃
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そうか…生きるんだな…。
[寂しげな笑みを浮かべたクラリッサの頭にもう一度手を置いた]
なら…生きろ。
[クラリッサの言葉を噛み締めながら目を閉じて。 少しの自問自答の後、短く返した]
今だけ好きに泣くといい。 ブローリンが戻って来たら、 泣くのも忘れる位…楽しい日だろうから。
[戻って来る筈も無いブローリンを彼女は待ち続けるのだろう。 少しでも早く2人を逢わせてやる方が幸せの様にも思える。 けれど……そのいつかを生きて待つと言うなら]
(68) 2012/03/30(Fri) 23時頃
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ナタリアさんのとこの薪減ってないか? 明日辺りまた薪割り行くわ。
じゃ、暗くならないうちに帰れよ。 じゃないと俺が襲うぞ。
[ダーラの墓を掘らないとな、とは口にしなかった。 クラリッサの口から名前が出ても、誰の死についても何も言わず。 明日の話をする自分を空々しいと思いながら 手を振って彼女に帰宅を促した]
(72) 2012/03/30(Fri) 23時頃
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[クラリッサがそこを離れるまで遠巻きに見ていたが、 彼女が動き出せば安心して自分も動く。 本来世話し、守る者が眠っている墓所へと足を向ける。 次々と作られる真新しい墓石を1つ1つ見つめながら 自答を繰り返す]
何も残らない墓と……身体だけでも残っている墓…。 残された者はどちらを望む? 残して逝く者は…どちらを望む?
[生きていられる確証があるなら、こんな事を考える筈も無い。 希望を信じて…明日招集されれば…]
あんたは…どちらを…選ぶんだろうな。
[人気の無い墓所で独り佇み自答を繰り返していた]
(80) 2012/03/30(Fri) 23時半頃
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ありがとよ。 そん時はクラリッサの胸借り…たら ブローリンに撃たれるから止めとくわ。
[クラリッサの気遣い>>78にへらっと返して、 明日ナタリアの家に行くよ、と]
(82) 2012/03/30(Fri) 23時半頃
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[恐らくダーラの為に掘られた一番新しい墓穴の前に立ち、 静かに問い掛ける]
ダーラ…俺はお前の望みを叶えてやりたい。 けれど彼女にとって、家族にとって。 どれが幸せなのか。
[返る事の無い答えを待ちながら、目を閉じて風の音を聞く]
もしかしたら…明日には誰かの戦死の通知が届くかも知れない。 その時、幸せの考えは…変わるかな。
[村人に与えられる任務は特攻による確定の死。 それが届いた時、皆何を思うのだろう。 知らぬまま眠らせてやれと囁く声と、 それでも生きると言うなら生きていた方がいいと言う声と。 相反する声に苛まれながら]
(90) 2012/03/31(Sat) 00時頃
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…悪い、ダーラ……俺は直接答えを聞きたい。 だからもう少しだけ待ってくれ。
……ほんと、弱い奴で悪いな。 俺はお前の願いを叶えてやりたい。 そして同じ位…他の奴らの願いも叶えてやりたい。
[悪魔だと自分で言っておきながら、 この体たらくだと苦笑する。 十字を切り掛けて自分には似合わないとまた苦笑を。 そしてそのまま人の少なくなった宿舎へと]
(93) 2012/03/31(Sat) 00時半頃
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