88 吸血鬼の城 殲滅篇
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[手にした棍を突いて床材を揺るがせ、 傷ついた剣士に、視線を投げる。]
ガストン・ワイルダーに敬意を表して、 その技を継ぐおまえに、選ばせてやろう。
このままオレと戦って、あそこの修道士もろとも死ぬか、 オレの血を受け入れて眷属となる代わりに、 あそこの修道士を解放するか、 あの修道士を眷属として差し出す代わりに、 貴様が解放されるか。
好きにしていいぞ。
(115) 2012/05/03(Thu) 21時頃
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ほう? そうか。
[選択肢に無い答えを言った剣士に対し、 上機嫌なままの笑みを向ける。]
確かに。 あいつならそう言うだろうなぁ。
[うんうん、と頷きながら棍を斜め右前に低く構え、]
(124) 2012/05/03(Thu) 21時半頃
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ドナルド。ヒュー。
その修道士を、適当にばらしておけ。
[命じるやいなや、修道士を押さえつけていた影と、 床に縫い止めていた剣を、もろともに消す。
まるで、抗えとでも言うように。 戦いによらぬ死には、価値がないといわんばかりに。]
(125) 2012/05/03(Thu) 21時半頃
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[そして、改めて剣士に視線を向けた。
―――来いよ。
さらに下げられた棍の先が、剣士を誘う。]
(127) 2012/05/03(Thu) 21時半頃
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――― 良い
[並みの人間ならば動けぬほどに傷ついている剣士が 真っ直ぐにこちらへ駆け、飛ぶ。
それでこそ、と笑みが浮かぶ。]
(135) 2012/05/03(Thu) 22時頃
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……が、まだ遅いッ!
[石床の表面が削れるほどに踏みしめ、 身体を横へと逃がしながら棍を引き、 落ちてくる軌道を読んで、突き上げた。
チッ、と音を立てて髪の毛が幾筋か飛び、 首に近い肩を刃が通り抜けて、血しぶきが上がる。 それすらも、心地良いと思う。]
(136) 2012/05/03(Thu) 22時頃
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[棍の一撃で吹き飛び、地に落ちた剣士へ向かい、 半身を赤く染めて、悠然と歩み寄る。 途中、転がった剣の柄を足で踏みつけて、立ち止まった。]
なあ。 なんで貴様が今まで生きていたか、わかるか?
(143) 2012/05/03(Thu) 22時半頃
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それはな。 [問いに答えが返るのを待たず、 自ら、先を明かす。]
最初に"娘"を傷つけたのが、貴様だからだよ。
[この剣で、刺し貫いた。 どれほど洗おうと、どれほど他の血にまみれようと、 微かに感じる"娘"の血の臭いが、それを教える。]
(144) 2012/05/03(Thu) 22時半頃
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だから。
[剣の柄を蹴り飛ばし、剣士の側へ押しやる。]
立てよ。 もう少し、オレを愉しませろ。 最後の最後まで苦しんで血反吐を吐いて死ね。
"娘"のために、最後の一滴まで血を流せ。
(145) 2012/05/03(Thu) 22時半頃
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[剣士が得物を掴み、再び立ち上がって駆けてくるのを、 歓迎するように迎える。
狙いは、こちらの心臓。 軌跡も、勢いも絶妙なその一撃に対し、 僅かに身をひねって、急所から逸れさせる。
逆に言えば、完全には躱しきれなかったのだ。]
(158) 2012/05/03(Thu) 23時半頃
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良い一撃じゃねぇか。
[背中から剣の切っ先を生やしたまま、 血の泡で口角を汚しながら笑い、 剣士を抱きすくめるように牙を剥く。
無防備な首筋が、目の前にあった。]
(159) 2012/05/03(Thu) 23時半頃
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……なんなら、一緒に死ぬか?
[声は、こんな時でさえ喜悦に満ちていた。 血に酔い、血に猛っている。 自分の血に。相手の血に。
拘束から逃れようとあがく剣士を締め上げ、 防ごうとする手首を掴んで引きはがす。 そうして、露わになった首筋に牙を突き立て、引き裂いた。
血を啜る、などという生やさしいことはしない。 噛み裂き、食い破り、引きちぎる。 溢れる血潮を浴びながら、堪えきれないというように笑う。]
(168) 2012/05/03(Thu) 23時半頃
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