123 霓虹鬼故事
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ノックスは宝飾交易 黍炉に投票した。
露蝶は道案内 ノックスに投票した。
黍炉は道案内 ノックスに投票した。
ノックスは村人の手により処刑された。
時は来た。村人達は集まり、互いの姿を確認する。
犠牲者はいないようだ。殺戮の手は及ばなかったのだろうか?
全ての人狼を退治した……。人狼に怯える日々は去ったのだ!
三元道士 露蝶は、メモを貼った。
sakanoka 2013/05/26(Sun) 00時頃
宝飾交易 黍炉は、メモを貼った。
sinotaka 2013/05/26(Sun) 00時頃
道案内 ノックスは、メモを貼った。
いか 2013/05/26(Sun) 00時頃
三元道士 露蝶は、メモを貼った。
sakanoka 2013/05/26(Sun) 00時頃
― それは雨夜が明ける頃 ―
[荒れ狂う雨風も雷もいつしか止み、空は白み始めていた。
早朝の光が照らすのは、雷に焦がされた研究所の屋根と壁。
閉ざされた館の内からは見えないその惨状を
一番に見つけたのは、大人しい隣人といったところ。
驚いてしまった所為か、玄関先を尋ねさえもせずに、
性急に、携帯端末で警察に通信を試みていた。
無能だのクズだのと揶揄されるこの町の警察が
研究所の前に警官隊を向かわせるのは幾らかの時を経てのこと。
玄関扉が堅く閉ざされていると判断すれば、
やがて力づくでそれを破壊するのだが――。]
(#0) 2013/05/26(Sun) 00時頃
[「鬼」を閉じ込めた、おぞましき輩のこの館で。
何も知らなかった彼らが見つけたものは、何―――?**]
(#1) 2013/05/26(Sun) 00時頃
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[黍炉が蹴りを喰らっていたことも、今は目に映らない。 醜い笑みと共に、いざなう言葉掛ける明夜>>3:30の許に、 ただ真っ直ぐに、この身体をぶつけに掛かっていた。
――今の露蝶の血走った瞳の色は、多分。 あの日>>1:22のトレイルの瞳とよく似た色。]
ぁ ぁああああああ っ !!
[黍炉>>3:31が明夜に仕掛けたタックルは叶ったか否か。 何れにせよ、刃を手にした女の殺意は止まることなく――。**]
(0) sakanoka 2013/05/26(Sun) 00時半頃
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三元道士 露蝶は、メモを貼った。
sakanoka 2013/05/26(Sun) 01時頃
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[黍炉のタックルを受け、しかし動じない。けれどその場に縫いとどめられる。
ゆえに、露蝶の殺意は避けられぬ。
しかし、それは受け止めた。 利き手の掌を貫く刃。 ずぶりと深く深く。そして露蝶が刃を持つ手にその手が重なる。]
(1) いか 2013/05/26(Sun) 02時頃
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その顔、アイツにそっくりだぜ?
あぁ聞かせてやりてえなぁ アイツのあの時のすべてが無駄だと悟った時の叫びをよぉ……?
[殺意のこもった刃は受け止めたがなお首元の近くにある。]
(2) いか 2013/05/26(Sun) 02時頃
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[痛みは感じない。 が、先ほど足を切られたときに大きな血管が切れたのだろう。
目の前が少しかすむ。
けれどそれを悟らせるわけにはいかないと表情は変えぬ。]
(3) いか 2013/05/26(Sun) 02時半頃
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衝動に駆られ、人を殺して人を食って それを悔いて苦しんで、そして結局最後は壊れちまった
そんな鬼の末路、傑作だったぜ?
[特等席でずっと聞いていたのだ。 アイツのそんな様子は俺しか知らない。 それにある種の満足感を感じる。]
(4) いか 2013/05/26(Sun) 02時半頃
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[殺意に任せて突き出した刃が、確かに肉を刺し貫けたのは 黍炉の体当たりによって、明夜がその場に留まったから。 けれど、互いの手が触れる程にまで迫りつつも、 彼の掌を貫いたナイフは、未だその首許に届かない。
――どうして平気で笑っていられるの? 傷の痛みも感じず血も失っていないかのような、 そんな顔をする、鬼の如き男を間近に睨みつける。]
あなたが、……あ んた が っ、
[トレイルに対する明夜の嫌悪は、察していた心算だった。 けれどこの男の言葉が示すものは、まるでそれ以上みたいで。 今の自分のような激情を、そして絶望を彼に与え、 その絶望の叫びを聞かせたいなどと言うような――。]
(5) sakanoka 2013/05/26(Sun) 16時頃
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[――どうしてそんなに、あの人を苦しめたの? ――どうしてこんなに、あたしを苦しめるの?]
(6) sakanoka 2013/05/26(Sun) 16時頃
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[結局最後は壊れちまった、という言葉に、女は悟った。 譬え悍ましい鬼に変わり果てたのだとしても、 せめてもう一度だけでも逢いたかった彼は、もう――。
「鬼」として彼の全てを知るだろう、この満足げな男が、 自分から彼を奪ったのだ、と。]
返せ!
あの人を、かえせ ―――っ!!
[吠える女の目に、微かに返り血の混じる涙が滲む。 明夜の手を貫いた切っ先で首許を突こうと、 ナイフを握ったままの手で、強く、彼の手を押した。]
(7) sakanoka 2013/05/26(Sun) 16時頃
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[露蝶の表情を見て己の欲が満たされるのを感じる。 それは鬼の欲とは違うもの。
ナイフはすでに首に押し付けられつつある。]
やなこった。
──やらねぇよ 何にも 誰にも渡さねえ。
[アイツの狂う姿も、露蝶の憎悪も全て俺だけのモノ。
最後の一瞬、目を伏せ満足気な表情を浮かべる。]
(8) いか 2013/05/26(Sun) 16時半頃
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[そしてその次の瞬間、露蝶の手を抑えていた手の力がふっと抜け、そのままナイフは首元を切った。]
(9) いか 2013/05/26(Sun) 16時半頃
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[じり、と力を籠め、少しずつ進んでいくナイフ。 それでも未だ届き切らない時に、聞こえた明夜の声。
何にも、誰にも渡さねえ、と。 その返答によって、内心でかっと火が付いたのは、 憎悪と――きっと、羨みも、そう。 手に掛ける力が、ぐっと、さらに強まり――。
一瞬、明夜の顔が、満ち足りた表情に見えた。 まるで、穏やかにさえも見えた気がした。 けれど直ぐに視界は、鮮血に、染まった。]
(10) sakanoka 2013/05/26(Sun) 17時頃
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[掌からの抵抗が抜けたことで、刃は瞬く間に進み、 明夜の首許を一息に掻き切っていた。
血飛沫が目に入り、目の前を上手く捉えることができない。 そんなおぼろげな視界に、崩れ落ちる男が映って見えた。]
………は ぁ、
[女は肩で息をして、暫く、ナイフを手にしたまま佇んで――。 身体の力が一気に抜け、その場に両膝を突いた。]
(11) sakanoka 2013/05/26(Sun) 17時頃
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酷いわ。
………ひどすぎる、わ。
[緊張が、殺意が――辛うじての、愛しい人への希望が。 それまでずっと露蝶を支えていたものが、立ち消えた。 ナイフが手から零れ落ち、その両手は、力なく床を突く。 疼く肩だけでなく、全身が、ひどく重く感じられる。]
――――…かえして、 ……かえって、
[血に染まった両目から、堰を切ったように涙が溢れて、 人目も憚らずに、声を上げて、なきだした。]
(12) sakanoka 2013/05/26(Sun) 17時頃
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[莫迦なくらいに優しくて、愛しいあの人は。 飽きぬくらいに厭らしくて、憎らしいこの男と共に。
もう、帰っては来ない。**]
(13) sakanoka 2013/05/26(Sun) 17時頃
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三元道士 露蝶は、メモを貼った。
sakanoka 2013/05/26(Sun) 17時半頃
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[明夜の足止めは成功した。 けれどそれだけだ。
――蹴りつけられた時に肋骨が何本か逝っている。 鬼の力は恐ろしいものだと、その身を持って知ったせいでもあり。
せめてもの抵抗というものだった]
――っ
[明夜と露蝶の間のやり取りには口を挟まぬまま。 手助けなどまっとうにしてもやれずにただ鬼が息絶えるのを見ていた]
(14) sinotaka 2013/05/26(Sun) 22時頃
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……、おわった、か……
[そうして鬼の血を浴びながら崩れゆく身体から手をはなし。 慟哭する露蝶を見やる。
慰めの言葉も無いまま、血を拭って。
――そうして、露蝶が落ち着くまで、屋敷から開放されるまで何も言わぬまま。 痛みをこらえていた**]
(15) sinotaka 2013/05/26(Sun) 22時頃
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―さぁ、な。 実際、俺は死んだぞ。
[肩を竦めながら問いかけ>>3:+29に答える。 何故鷲珈は鬼の研究などを始めたのか。 お伽噺の鬼を作ってみたかったのか、それとも不死を求める研究か。真実は分からない。 ―どっちにしろ、業が深い行為だと思っている。]
気になるのか。 …情報屋ってのは因果な商売だな。
[思考を巡らす佩芳を見ながら。 対価は研究についての情報かもな、などとぼんやりと考えていた。]
(16) 蒼生 2013/05/27(Mon) 12時半頃
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[明夜の首を露蝶の持つナイフが切り裂き、噴水のように紅い血が流れたのに目を眇め。 何処かで見た事がある、と思ったそれが自分の持ち物であった事に気付く。 ―最期に明夜が浮かべた表情は、後方から見ている自分には見えない。
やがて力が抜けて倒れ込む明夜の身体。 ‘仇’の血を浴びた露蝶は返して、と言いながら、泣き崩れる。 それに寄り添う黍炉は深手を負ったらしく、表情には耐えるような色があり。]
…明夜。 お前はこれで、満足か?
[明夜は自分のように、生きたい、とは言わなかった。 不条理なこの状況を楽しんでいるように見えた彼が迎えた結末は、望むものだったのだろうか―…。*]
(17) 蒼生 2013/05/27(Mon) 12時半頃
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― 或る老婦人 ―
[老いたものの、未だ趙家でその力を振るう老婦人。 その名は趙白晶といった。
彼女が早くに死んだ息子夫婦の代わりに育てた黒宵…趙輝秀が死亡した。 定期連絡が途絶えた事もあり、人を使って独自に情報を手に入れた彼女は、すぐさま警察や彼の仕事場から遺品を受け取れるよう手配をした。
そして手つかずだった鞄の仕掛けに気付き、まだ彼が自分の元にいた頃の免許証を見つけ。 顔写真の部分を、皺の出来た指の腹で撫でながら呟く。]
―馬鹿な子。
[普段は揺れる事も少ない褐色の目には、うっすらと涙が滲んでいた。]
(18) 蒼生 2013/05/27(Mon) 12時半頃
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[息子を早くに亡くし、残された輝秀を引き取った。 亡き息子と同じように厳しく育て…、‘いい子’に育ってくれたと思っていた。 だから大学を機に外の世界を知った輝秀の反抗には、只、戸惑い、縛り付けようとする事しか出来ず。―その末に孫は家を飛び出した。
調査の上、スラム街で暮らしていると知った時は何処で間違えたのだろうと頭を抱えた。 しかし自分も家を守る為に汚い事もしてきた。―だからこそ、今の趙家がある。 世間の裏を知る事も彼には必要で、いつか考え直して戻ってくるだろう。 そう結論付ければ、彼の部屋を定期的に掃除をさせ。 輝秀が戻ってきた時には、多少説教はしても迎えるつもりでいた。
―望み虚しく、白晶の手元に戻ってきたのは温度のない遺品。 言葉を交わす事も叶わない。]
(19) 蒼生 2013/05/27(Mon) 12時半頃
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[やがてマスメディアが何処からか黒宵の正体を突き止め、ネット上に流した。 それを知った彼の親族は身内の醜聞を嫌い、輝秀とは家を出た時点で縁を切った事にするよう進言した。]
―そんなに切りたければ切りなさい。 けれどその時は私からの援助もなくなるものと思いなさい。 これで立場が危うくなるのなら、その程度の器という事だわ。
[老婦人は輝秀との縁を切る事を拒否した。 白晶の意思は趙家の意思。 彼女の援助がなくなる事を恐れた親族もそれに従う事となる。
白晶の存命中は体面を保っていたが、この女傑の死後、趙家は零落する。*]
(20) 蒼生 2013/05/27(Mon) 13時頃
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[溢れ、零れ落ちる涙が、床に崩れた明夜の血と混ざる。 けれど頬を伝うその雫も、返り血を落とし切ることはない。 その血を無言で拭う黍炉>>15に、露蝶も何も言えぬまま、 彼も深手を負っていることを気に掛ける余裕も無く――。 痛み堪える彼の傍で、ただ泣きじゃくり続けていた。
やがてその涙も涸れ、呼吸も落ち着いた頃には、 雨音も風音も聞こえない静寂。 その静寂が破られたのは玄関の方からの轟音。 近づく足音と話し声は、警察のそれだった。]
………扉、開いた、の、ね。
[この館からの開放を示すそのざわめきは、 同時にこの館の惨劇に関しての聴取やら何やらが 待ち受けているだろうことも示していたが――。]
(21) sakanoka 2013/05/27(Mon) 17時頃
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[この雨夜の中、一睡もしていないことによる疲弊。 二度の殺し合いで身体は酷使され、 手当てを受けた左肩の深傷も、悪化していた。
誰か居ないか!と呼び掛ける警官の声が聞こえた時、 露蝶はふっと意識を失い、その場に倒れ込んだ。]
(22) sakanoka 2013/05/27(Mon) 17時半頃
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― それから ―
[次に露蝶が目を覚ましたのは、病院のベッドの上。 目覚めてもなお、その目は憔悴したように虚ろで、 担当の看護師に対してもまるで何も答えない。 そんな状態が、数日の間続くこととなった。
閑静な地区の研究所で4人の他殺体が見つかった事件。 犠牲者の一人、無残なその死体は館の主たる研究者。 ――犠牲者の一人の女は明らかに「鬼」に喰われた姿。
事件の生存者の一人である露蝶が警察の聴取を受けるのは、 左肩の怪我と体調の回復を待って、となる。**]
(23) sakanoka 2013/05/27(Mon) 17時半頃
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だって、私はあなたの死に様なんて知らないもの。
[実際死んでいる>>16と言われても、ぴんとこない。 それに―]
そうね―。 いまさら知ったところで、何の役にも立たないけど、気になるわ。
[気になるかならないかといわれたら気になる。 だから、露蝶と黍炉が本当に鬼を殺せるのかと― 二人から目を逸らせなかった。]
――――。
[結論としては。 刃物を使えば存外あっけなく殺せたのかもしれない、と。 そんなひどく冷静な思考が残ることに。 もっとも、生きているときの女にそこまでの余裕もなにもなかったが。]
(24) Cadenza 2013/05/27(Mon) 18時頃
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[鬼は死に、鬼を生み出す薬を作った男も死んだ。 とはいえ、世の中に流出した鬼薬がどのくらいあるのかはわからない。 事件がここで終わりになるのかどうか? しかし、それももう、何もできるわけでもない。 それをもどかしく思うことはなかったが―。
目の前で泣いている露蝶と、その傍の黍炉にかけられる言葉も、 伸ばせる手もないことが、もどかしかった。]
ありがとうって、ちゃんと言えなかったな。 [少しだけ寂しげに目を伏せて、女は体を翻した。 物理的に妨げられることのない体は、ふわりとその場を去っていく。]
(25) Cadenza 2013/05/27(Mon) 18時頃
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―だいたい1ヶ月くらい後―
[女の魂は、アパートに留まっていた。 万が一のときの仕掛けがきちんと動くかどうか、 そこだけが最後の気がかりだった。
付けっぱなしのモニターには、カウントダウンが表示されている。 もう少しで0になるそれをじっと見つめていた。]
(26) Cadenza 2013/05/27(Mon) 18時頃
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[生きている間には街を離れることはできなかったし、 離れようとも―思わなかった。
だがいざ自由になってみて振り返ると、 ひどく退屈な生き方をしていたのかもしれないと思えていた。 だから、心残りがある間にふわふわといろんな場所をさまよったりした。
同じ年代の若者が集う場所や、見上げていたビルの中。 少し離れた保養地なんかも見たりして。
情報だけで知りえていたものの実際をちゃんと見て、 ―大抵は、知っている通りだったのだけど―それでも満足だった。
そうしてまた薄暗いアパートに戻り、 生きていたときと同じように端末の前に座って、最後の時を待っていたのだ。]
(27) Cadenza 2013/05/27(Mon) 18時頃
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[カウントが0で止まる。 モニターに新たにコンソールが開き、仕込んでいたプログラムが動き出す。
はじめに動くのは、情報を流出させるためのプログラム。 スラムをつぶそうとしている政治家の暴露情報や、 その他にも敢えて流出させようとしていたものが、 アンダーグラウンドの情報サイトに書き込まれていく。 証拠となる書類の写しや写真なんかも一緒にアップロードされるのを、 くすくすと笑いながら眺めていた。
書き込み元は敢えて突き止められるようにしている。 窺鼠の仕業だとわかれば多少の信用性もあるだろう。]
(28) Cadenza 2013/05/27(Mon) 18時頃
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[それが終わると、蓄積したデータの削除が始まる。 大量のデータをランダムな値で何度も上書きし、最後に削除する。 プロセスが進むごとに、身を削られるような感覚にもなった。
そうして、長い時間をかけて生きた証が削除され、 最後に部屋中の電化製品のスイッチが入る。 サーバーが意味もなくディスクアクセスを繰り返し、 エアコンは一番電力を要するモードで風を吹き出す。 キッチンでは電磁コンロが見る見る赤くなり、熱を発している。]
(29) Cadenza 2013/05/27(Mon) 18時頃
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[やがて配電盤から火花が飛び、電源のコードが熱で溶け始める。 エアコンの風であおられた帽子がコンロの上に落ち、燃え始めた。 そうなってしまえば部屋の中が炎で埋まるのは早い。]
ふふ。ちゃんと組んだとおりに動いてくれた。 自分で言うのもなんだけど、私すごいかも。
[後に残るのは、コンクリートで囲まれた黒く爛れた空間だけだ。 これでもう、本当に思い残すことはない。 炎の中で、女の魂は揺れながら薄れてゆく。]
もし、生まれ変わったりするなら―
[消え行くままにつぶやく言葉の終わりは、形に成らぬまま―**]
(30) Cadenza 2013/05/27(Mon) 18時頃
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─死の間際─
[身体が倒れるのを感じながら 昔の光景>>81を一瞬思い出した。 裏路地で腹から血を流して倒れていたあの時。 思えば本当ならばあそこで死んでいただろうから充分長生きしたと思う。
倒れて、目が開けられなくなっても まだほんの少し意識が続く。
鬼だから丈夫でまだ生きていられたのか それとも死後の魂の状態だったのかはわからない。]
(31) いか 2013/05/27(Mon) 19時半頃
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[暗い暗い意識の中。 何故か黒宵の声>>17が聞こえた。
満足だ。
そう答える事は叶わない。 真っ暗な中で一人呟いただけ。]
(32) いか 2013/05/27(Mon) 19時半頃
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[露蝶の声が聞こえる。泣いているのだろうか。 そういえば泣いているところはまだ見たことがなかった。 見れないのが残念だ。
──あぁ、一つ心残りがあるとしたら 生きていれば露蝶の恨みをずっと受け続けることができたかもしれないのだな。というぐらいか。
惜しいものだ。]
(33) いか 2013/05/27(Mon) 19時半頃
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[そう思ったのが最後。
明夜の意識は真っ暗の中に溶け消える。 魂が狭間をさまよう事もなく 終わりを迎えた。]
(34) いか 2013/05/27(Mon) 20時頃
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─シルヴィオ・ノックスの過去─
[12の頃。 おそらく俺は捨てられたのだろうと思う。
だろう、というのは自身がそうだと認識しなかったからだ。
知らない街で両親に置き去りにされた。 その事実を捨てられたとも感じずに自由を得たと思っていたからだ。
捨てられたという認識は後になって他人に指摘されて得たものである。]
(35) いか 2013/05/27(Mon) 22時半頃
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[最初は文字も全く読めなかった。 言葉も通じなかった。
何とか身振り手振りでやり取りをして少しずつ言葉を覚えていく。
名もこの街では異質な響きであったからたくさんある文字の中から比較的簡単なものを二つ選んで名前にした。
"明夜"
みんいぇ と呼ぶらしい。 簡単でいいなと気に入った。]
(36) いか 2013/05/27(Mon) 22時半頃
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[生きていくための仕事は選ばなければいくらでもあった。 毎日毎日知らない世界を覗いた。
騙されることもある。 全てがうまくいくわけじゃなかった。 それでも生きていけた。 時には汚い地面に溜まった雨水を啜ることもあった。
けれどそれが楽しかった。 どう生きようか、生き延びようか考えるのは飽きないことだから。]
(37) いか 2013/05/27(Mon) 22時半頃
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[そうして生きていくうちに特に考えずとも、安定して生きることのできる生活を手に入れていた。
つまらなくなった。
だから新しい遊びを探した。 生きるよりも、それを脅かすような何かを探した。]
(38) いか 2013/05/27(Mon) 22時半頃
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[そうして得た新しい仕事でその欲は満たされる。 同時に、報酬として得る金で生きることには困らなくなる。 だからさらに身を危険に置く。
頭がおかしいんじゃないかと言われたこともよくあった。
なるほど、俺はなにか落として生まれてきたのかもしれない。 けれどそれが幸せなんだから不満はない*]
(39) いか 2013/05/27(Mon) 22時半頃
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[明夜からの返事はない。 期待をしていたわけではないので、肩を僅かに竦めた。 去っていく佩芳の後ろ姿を見ながら、どうしたものかとその場で首筋を掻く。]
[―やがて通報を受けた警官隊が屋敷に突入し、其処で起きた惨劇が明らかになる。
鬼に喰われた無残な遺体を見て、嘔気を催した者も少なからずいた。
傷付いた生存者は救急車で病院に運ばれ、惨劇に居合わせた者は誰もいなくなり。
それを目に収めればようやく動き始め、屋敷を後にする。]
(40) 蒼生 2013/05/27(Mon) 22時半頃
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― 惨劇の後 ―
[警官たちがやってきたときに見たものは、死んだ男と倒れた女と踞った男。 無残な姿がのこされた洗面所や、殺された男が地下と二階にと別れていることから警察の追及は激しく。 露蝶ほどに消耗していなかった黍炉は手当てを受けて落ち着いたと判断されたあとは延々事情聴取と言う名の取調べを受けた。
それに対する返答は「鬼」とそれに纏る「薬」の話。 その薬ができた詳細などは知らぬ存ぜぬで押し通したけれど。
腐った上層部に配下の者が袖の下を送った事でようやく開放されたのは発見され、処置が終ってから9日後のことだった]
(41) sinotaka 2013/05/27(Mon) 23時頃
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|
――
[ふ、と一息をついたのは病院の庭にあるベンチでのこと。 経過観察の診療ではあと3週間は安静にとのことだった。
まあ肋骨は治りにくい箇所であるがゆえにいたし方がないとため息一つ。
露蝶への見舞いにはまだいっていない。 行かぬ方がいいだろうとも思うのはあの惨劇を思い出したくないからでもある。 怪我したこと以外、あの館で追った傷など何もない男は、そのまままた日常へともどっていった**]
(42) sinotaka 2013/05/27(Mon) 23時頃
|
|
[屋敷を出れば、暫く繁華街をふらふらとさ迷い歩き。
仕事場の方に向かった時には、屋敷の一件を知った仲間達が自分の死を悼んでいた。
けれど喪に服する期間もそこそこに彼らは仕事を始める。生きていく為なのだから仕方がない。]
―馬鹿やるんじゃねぇぞ。
[仕事に向かう彼らの後ろ姿に向かって声をかける。 はめを外しがちな仲間達にあれこれ言ってやる事はもう出来ない。
―祖母の使いがやって来た時、彼らは驚きつつも仕事場にあった自分の遺品を渡してくれた。 引き換えに渡された金には、更に驚いたようだったが。]
(43) 蒼生 2013/05/27(Mon) 23時頃
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[遺品が実家に渡ってから、何となく実家の自分の部屋に戻ってみた。 出ていった時そのままにしてある事が、僅かに胸を焦がす。
やがて自分の事がネット上に流れ、それを知った親族が進言するのを見れば、祖母は当然了承するもの、と思った。 けれど毅然と拒否する祖母の姿を見て親族と同様に瞠目する。
今後を考えれば、縁を切った事にしておいた方がいい事は自分にも分かるのに。 ―祖母の目に灯る光は強く、揺るぎない。]
…は…、やっぱ敵わねぇわ。 あんたに迎えが来る時には、俺が向かうとしますかね。
[そう言った瞬間、不意に実体を持たぬ身体が揺らぐ。]
…っ、あぁ。時間切れ、ってとこか。
[それに対しては何の感慨も浮かばない。 死んだのだから、消えるのは当たり前の事。むしろ今までいた事が不思議なくらいで。
この世から自分が消え去るその瞬間を、何処か穏やかな気持ちで待った。*]
(44) 蒼生 2013/05/27(Mon) 23時頃
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― 病院 ―
[事件後、まるで魂が抜けたようになっていた女は、 ある日の朝になってから、看護師たちに対しても、 ぽつり、ぽつりと声を掛けられるようになっていた。
病室のテレビは、点けられることなく壁に掛かっている。 今頃はおそらく猟奇事件のこと、それに研究所の事件のこと、 そうしたものがワイドショーで扱われているのだろう。
事件に関わった露蝶が勤めていた土産物屋にも、 興味本位でマスコミが来ていたりしなければ 好いのだけれど――と、女はぼんやり話したりもした。]
(45) sakanoka 2013/05/27(Mon) 23時半頃
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――…そうね。ちゃんと動けるようになったら、 先ずは、黍炉さんに会わなくちゃ。
[噂話好きの気がある若い看護師に向けて、 ベッドの上の露蝶は、ゆっくりと話を続けた。]
初めの応急措置をしてくれたのも彼だったの。 それに……彼だって酷い怪我していた筈なのに、 それでもずっと、泣いてたあたしの側に居てくれた。
[あの時手を貸してくれた彼も傷つき、 苦痛を堪えていたじゃないか、と。 落ち着いた今だからこそ、その時のことを思い出せた。]
あの時、何のお礼も言えなかったのよ。
[――なんて話は、当の黍炉には無論聞こえてはいまい。 結局今に至るまで、彼が見舞いに来ていない訳も 知ることなく、女は小さく苦笑いを浮かべていた。]
(46) sakanoka 2013/05/27(Mon) 23時半頃
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[この黍炉の話で、もう一つ思い出されていたのは、 黒宵を返り討ちにして殺してしまった時のこと。
あの時の様子から「見つかる」と拙かったのは明白。 けれど相手が「鬼」であれば受けていた筈の傷は、 肩の刺し傷以外、特に受けていない。 少なくとも、黒宵の「力」は明夜程では無かったのでは。]
……あの人は、「鬼」だったのかしら?
『え?』
あ、ううん。 なんでもないの、その――…
[いくらあんな警察とはいえ、研究所のデータくらいは しっかりと見つけて押収していることだろう、と思う。 あの場の遺体から遺伝子を採取して調べることもあろう。 故に、黒宵が「鬼」であると見做されてしまうかも、と 思いはした。だから――。]
(47) sakanoka 2013/05/27(Mon) 23時半頃
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孫を殺した女と、顔を合わせてくれるのかしらって。 赦しを請う訳じゃ無いの。 ただ、謝罪と――それに、伝えたいことがあるからって。
[彼にはおそらく近しい人が――祖母がまだ居る。 あの時の反応>>0:73が思い出されれば、 なんとなくそんな気がした。 譬え警察やらネット上の誰かやらが何を言おうとも、 彼は本当の「鬼」になった訳では無かった筈だ、と、 その人にだけでも、伝えておきたいと思ったのだ。]
(48) sakanoka 2013/05/27(Mon) 23時半頃
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『それは……っていうか露蝶さん! やっぱ …――い、いえ、まさか』
ええ。身体がちゃんと治ったら、警察には言う心算よ。 あたしがあの日やったことも――。 この目で見て聞いた限りのことも、全部話す心算。
[黒宵と――明夜を殺したのが自分だということ。 明夜が鷲珈を殺し、佩芳を食べたこと。 初めに殺し合いを言い出したのが鷲珈その人だということも。]
あいつ――を殺したことで、真相を話す事で、 あの子にも報いる、なんて言ったら勝手だけど、ね。 確り抱き締められなかったの、少し後悔しているの。
[とはいえ彼女――佩芳もただおどおどとしているばかりの 女では無かったはずだ、と露蝶は思う。 あの洗面所の爆発の原因が結局何だったのかは未だ知らないが、 それが明夜の為したことでないならば、おそらくは――と。]
(49) sakanoka 2013/05/27(Mon) 23時半頃
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[――「あいつ」、と。 そう口にした時、ふっと目を伏せていたのだけれど。 またすぐに、弱弱しい顔ながらも、気を取り直していた。]
『それにしても露蝶さん――、 いや、本当に元気になられて良かったですけどォ……』
[何か言い淀むような若い看護師の顔を見て、 露蝶はなんとなく、この若造が言いたげなことを察した。 ――如何して急に立ち直ったのか、などということだろう。]
あたし、気づいたのよ。 残された――託されたものがあるじゃないって。 あたしの愛しい彼から、ね。
[ベッドの枕元には、あの日嵌めていた指輪が置かれていた。 黍炉の店でトレイルに選んで貰った、翡翠の――婚約指輪。 正確には「婚約指輪の代わり」であるそれを手に取り、 露蝶は緩く微笑んでいた。]
(50) sakanoka 2013/05/27(Mon) 23時半頃
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この指輪もそうだし、それに、あの人の部屋には――、 あの人が、人を救う為に積み重ねてきたものが、 沢山残っている筈だから。
[「鬼」を見つける薬を手に入れ、自分なりに検証していた彼。 「鬼」と化して、狂い、悔やみ、壊れたという彼。 そんな彼だからこそ、「それ」を望んでいた筈だと。 つまり――鬼薬を飲んだ人を治す薬、を。]
あたしには医者や薬屋になれるだけの学歴はないけど、 彼の遺したものは無駄にさせたくないのよ。 自分でももっと、確り勉強しておきたいし、ね。
(51) sakanoka 2013/05/27(Mon) 23時半頃
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それに――。 まだきちんと検査した訳じゃないんだけど。
[ぺたんこのままの下腹を、ふっと見下ろして]
……あいつには彼のこと、奪われちゃったけど。 彼から託されたんだもの。 死んだように生きてなんて、いられないの。
[零した独り言に、またこの看護師が浮かべた疑問と興味。 それをまた、露蝶は苦笑いと共に軽く流したのだった。**]
(52) sakanoka 2013/05/27(Mon) 23時半頃
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サミュエルは、皆さんどうもありがとう!(深々)
蒼生 2013/05/28(Tue) 00時頃
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