人狼議事


308 【R18】忙しい人のためのゾンビ村【RP村】

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【人】 百姓 ワット

[家に帰れば、腕や服に浴びてしまった血、
 というよりは妙に粘っこいそれを
 井戸の水でしつこいぐらいに丁寧に洗い流した。
 それでも、あの手に響いてきた
 ぐにゃりとした嫌な感触はとれそうになかった。

 今朝、町長は何も言ってなかった。
 ということは、今朝は雷門さんの家と
 連絡がとれていたはずだ。

 あそこは他にも息子と嫁がいたと思うが。

 ほかの二人も感染してしまったのだろうか?]

(81) rinco 2020/10/27(Tue) 21時半頃

【人】 百姓 ワット

[こみるりさんの投稿を思い出す。
 噛まれた、という投稿のあとにも
 しばらく意識があった。
 同じような人が他にもいたようだが
 もしかしたら、個人差があるのだろうか。

 電話帳のページをめくり、
 固定電話から雷門さんの家にかけてみた。
 それほど時をおかずして、ガチャリ、と
 受話器を持ち上げる音が耳に届き、面食らう。]

 も、もしもし?
 あー……
 えーっと、和田、です、けど、

[でた。普通に。いともあっさりと。
 むしろ、こちらの心の準備ができていない。]

(82) rinco 2020/10/27(Tue) 21時半頃

【人】 百姓 ワット


 あの、……実は、さっき、
 雷門さん、と、会ったんだ。

[途端に、電話口の向こうから、
 緊張した息遣いが聞こえてくる。
 たとえ感染していたとしても、
 彼らのかけがえのない家族を、
 俺は、殺してしまったのだ。
 今更ながら、その事実を
 なんと伝えていいものか考えあぐねていれば、
 先に向こうが口を開いた。]

 ……仕方なかった?

[何が?
 俺の行動が?
 そのまま言われたことを口にすると、
 誰にも我々を責める権利などないはずだ、と
 今度は喧嘩腰にわめきたてる。]

(83) rinco 2020/10/27(Tue) 21時半頃

【人】 百姓 ワット

[そこまで言われてようやく、何が起きたのか理解した。]

 …………、そうか。

[口減らしにあったのか。雷門さんは。]

 そうだな。

[わからない。
 何が正しくて、何が間違っているのか。
 少なくとも、責める権利は俺にはない。]

 ……雷門さんに、止めをさしたのは俺だ。

[端的に、それだけ告げて、受話器を置いた。
 雷門からは、ひどくすえた臭いがしていた。
 一体いつから彼は外にいたのだろう。
 そのままずるずると電話台の隣にしゃがみこみ、
 両手で目を覆った。**]

(84) rinco 2020/10/27(Tue) 21時半頃

【人】 百姓 ワット

[その日はどうにも探しに行く気にはなれなかった。
 ゾンビを殺したら、やっぱり人殺しになるのだろうか。
 謎の猫X君が残していた問いかけをぐるぐる自問する。
 もしも健司たちが無事だったとしても、
 どんな顔をして会えばいいのだろうか。
 それに。

『みんな人間だったんだよね。誰かの大切な人だった。』

 今はもう投稿が途絶えてしまったアカウントが
 たくさんあるが、そんな言葉があったはずだ。

 もしも、健司たちがそうなっていたら。
 ――俺は殺せるのだろうか?

 答えの出ない問いを胸に、畑の世話だけして、
 日が暮れる前には家に戻った。]

(121) rinco 2020/10/28(Wed) 23時頃

【人】 百姓 ワット

[本来なら朝陽が差し込む仏間も、
 今は雨戸を閉めきっていて
 朝になっても真っ暗なままだ。
 家の中の空気まで、
 すっかり澱んでしまっているように思う。

 線香に火を灯し、お鈴は鳴らさないまま
 そっと手を合わせる。
 
 日課の美奈子への報告も、何も、話す気になれなかった。
 どうしてこんなことになってしまったのだろう。
 本当なら今頃、健司と美香さんと一緒にここにきて
 チビ達も一緒に泊まっていたはずだった。
 たった二週間ぽっちで、
 世界がこんなにも様変わりしてしまうなんて。]

(122) rinco 2020/10/28(Wed) 23時半頃

【人】 百姓 ワット

[不意に、電話のベルが静かな家の中に鳴り響く。

 ああ、町長だ。
 そういえば、雷門さんのことを
 何にも伝えていなかったが、
 一応、伝えたほうがいいのだろうか。

 ……なんて言おう。
 彼らの、息子さんや嫁さんのことも
 伝えるべきだろうか。
 思考を巡らせながら、のろのろと立ち上がり、
 緩慢な動作で受話器を持ち上げた。]

(123) rinco 2020/10/28(Wed) 23時半頃

【人】 百姓 ワット





『―――親父か?』



(124) rinco 2020/10/28(Wed) 23時半頃

【人】 百姓 ワット

[その、声に。
 思わず息をするのを忘れた。
 聞き間違えるわけがない。
 わなわなと震えだしそうになる唇を
 一度ぎゅっと引き結んで、ようやく声を絞り出した。]

 ……け、健司か?

[どもっちまった。
 向こう側で、安心したような吐息が
 零れるのを受話器が拾い上げる。
 ああ、と確かに聞こえてきて
 その場に膝から崩れ落ちた。]

(125) rinco 2020/10/28(Wed) 23時半頃

【人】 百姓 ワット


 よかった……っ、
 あぁ、よかった……!
 生きてたんだな……、

[こみ上げてくるものを抑えきれずに
 肩口でぐいっと頬を拭う。

 今まで、たいして信じていなかったが、
 今日ほど神に感謝した日はない。

 向こうの言葉を聞き漏らすまいと、
 嗚咽が漏れる口を手のひらで覆いながら、
 受話器を耳に押し当てた。]

(126) rinco 2020/10/28(Wed) 23時半頃

【人】 百姓 ワット


『親父、手短に言うからよく聞いてくれ。
 山の中で事故が起きて、車は捨てた。
 スマホも圏外で、歩いてそっちに向かってたんだが、
 ゾンビに襲われて、川を泳いで逃げた。
 おかげでスマホも壊れたけど、
 アイツら、泳げないみたいなんだ。
 少しずつ川沿いに移動して、
 ようやく生きてる公衆電話を見つけたんだ。
 ……迎えに来てほしい。
 住所は――』
 

(127) rinco 2020/10/28(Wed) 23時半頃

【人】 百姓 ワット

[慌てて健司の言う住所を、メモに書きつける。]

 わかった。
 ……全員、無事なんだな?

[力強い肯定を聞けば、すぐに受話器を置いて、
 準備に取り掛かった。

 大丈夫、健司たちがいる場所まで、
 どの道が通れて、
 どの道が通れなくなっているかは
 もうすでにわかっている。

 赤印と付箋がたくさんついた地図を片手に、
 武器代わりのスコップと懐中電灯。
 それから、きっと腹もすかせているだろうから、
 おにぎりと水筒をもって。]

(128) rinco 2020/10/28(Wed) 23時半頃

【人】 百姓 ワット


 ……まるでピクニックみてぇだな。

[用意した荷物を前に場違いな感想を零し、
 リュックにそれらを詰めていく。
 それから一度スマートフォンを取り出した。
 今はもうすっかり手慣れた調子で、
 一つぽつりと投稿する。

 今はもう、どれぐらいの人が
 見ているのかわからないけれど。]

(129) rinco 2020/10/28(Wed) 23時半頃

【人】 百姓 ワット

[この町で、世界中で、
 まだ戦っている人々がたくさんいる。
 きっといる。
 それぞれの戦い方は違うとしても。

 大丈夫、大丈夫。

 こんな世の中になっちまったけど、
 それでも俺たちはまだ生きている。
 あきらめてなんかやるものか。
 この命がつきるまでは。]

(130) rinco 2020/10/28(Wed) 23時半頃

【人】 百姓 ワット





[―― さぁ、迎えに行こう。**]



(131) rinco 2020/10/28(Wed) 23時半頃

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