242 【突発誰歓】桜が見せた夢
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ーー 夜は深くなってゆく ーー
[おれは自覚していた以上に汚い存在となっていた。 反対を押しきって進んだ道で勝手に絶望して、何を偉そうに援助はいらないなどと母に語っていたのか。 この学舎で無くしたものを思い出した、それは決してこの手に戻ってやこない。 けれど、けれど、いつの間にか手放していたものが、心に返ってきたような、そんな気がする。]
なあ、…… お前がおれを連れて来てくれたのか。
[桜は何も答えずに、ただ淡く煌めきを届けるだけ。]
(120) 2015/12/17(Thu) 23時半頃
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[この廃校に集う人達はおれに無いものを持っていました、それを見せてくれました。 だけど、だけど。]
[温かさや優しさに触れる毎に身体が冷えていくのです。 まるでお前はもう彼らと違うと語っているみたいに。]
[思うにおれは、 ここに居ながら、あの日の雨の中にもまだいるのでしょう。]
(122) 2015/12/18(Fri) 00時頃
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[先輩、京先輩。]
[何処にいるんですか。約束の時間はまだなのでしょうか。]
[迎えに来てはくれないんですね。]
[先輩、先輩は今辛いのにおれは]
[貴方に会いたくて仕方ありません。]
(123) 2015/12/18(Fri) 00時頃
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[ただ一人を求めて校舎の中をさ迷い歩く]
……寒い
[時折譫言のように呟きながら。貴方を見つけるまで、ずっと。*]
(125) 2015/12/18(Fri) 00時頃
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[困ったな、さっきは真っ直ぐ見つけられたんだけど。 今、何時かな。早く会えたらいいのに。 ああ、寒いな。……ずっと、寒いよ。
迫る最期に求めた声は、後ろから聞こえた。>>145]
あっ…………
[振り返って、おれは思わず京先輩に伸ばそうとした手を途中で止めた。
何だか、思ってしまったんだ。 まるで亡者が生者を連れて行こうとしているみたいだな、って。
]
(152) 2015/12/18(Fri) 07時半頃
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[それに気付かれたかは分からない。 けれどこの人は冷たい手を取って、握ってくれた。それだけは確か。]
もう、どうしようも無いんですよ。
[人の手に落ちた雪の結晶はこんな気持ちだろうか。温かくて、もうこのまま溶けてしまっていいような気分。 諦めの言葉と共に落ちる雫は二つに増えた。]
[それから彼の話>>148を時折続きを促すように、全てを知れるように、相槌を打っていた。]
駄目な後輩だって、知ってたでしょう。
[おれと関わったって先輩の成績は家鴨でしたしね。なんて茶化す声が困ったな、おれまで震えてしまっていた。
それから囁くようにまた、「ごめんなさい」…こんな言葉に何の意味があるのだろう。]
(153) 2015/12/18(Fri) 08時頃
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…先輩、
[男らしく無いですよ、なんて言えるわけもなく。ひゅ、と喉が音を漏らした。 だってこの人の願いは>>149叶えてはいけないもの、なのに。 あの春におれが思ったまま、言えなかったことそのものだったから。]
……そういう言葉は、ここぞと言うときに女に言うものです。
[こんな悲しい言葉をいつか偉人は愛してる、という意味で訳したらしい。 言われる側の身にもなれよ。 なんてぼんやり遠い昔おれが産まれる前から過去になって、歴史になったその男に思った。]
(154) 2015/12/18(Fri) 08時頃
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……幽世の桜
[覚えてますか、問い掛けて。 強く握り返した手。どうしようもなく温かい。]
ねえ、おれはアナタにとってはただの後輩でしょう。 死んじゃった美人の恋人に言うとかならまだしも、ね。男二人じゃ綺麗な七不思議にはなれませんよ?
撤回する気、ありませんか。
[ほら、連れていけなんて言う相手がこんなのでいいんですか。苦笑いしながら語る。
生きていてほしい、想うのは本当の気持ち。 冷たいまま独りで逝くことになるしても、それでも、って。 長谷透にとって本谷京があっさり道連れにする程度の人間でしかないのなら、変な噂を流された時点で離れていた。
だからこそ、もし彼は本気で死にたいのだと思ってしまったら。……そう考えると、怖い。*]
(155) 2015/12/18(Fri) 08時頃
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その可愛い後輩は背も大して変わらない声が低くなった成人した男なんですが。
[困ったな、困ってばかりだ。 呆れたように言うくせに、この温度を離す気がちっとも起きない。…全部奪ってしまったら、どうしようか。]
ずるいのは先輩でしょうが。 おれを死んでも困らせるんですね。
[実は幽霊には誰かを連れて行くなんてこと、出来ないんですよ? なんて、そうだったらよかったのに。見え透いた嘘はつかない。]
……そんなニーズどうだっていいわ。
[思いっきり顔をしかめてきっぱり。何言ってるのこの人、雰囲気ってものを考えろ。 昔もこうやって先輩の言うことに呆れたりしたな、…今はそれすら取り戻したい時間になってしまった。]
知ってますよ、うちのクラスの女も騒いでましたし。 そんな人気者美男子の貴方がおれとのことを否定しないから、随分と大変でしたよ。二年になっても続いたんですから。
[それでも離れなかった自分は棚に上げた。]
(207) 2015/12/18(Fri) 18時頃
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……
[嗚呼、何を言い続けてもこの男は引かないんだろうな。ため息をつく。 分かりたくなかったのに分かってしまった、本当に困った人。]
とりあえず、廃校になったとはいえ廊下で何言ってるんですか。慎んで下さい。
ほら、約束、まさか忘れてはいないでしょう?
[やっぱりずるいのはおれの方。連れていくって、ここで言ってあげられず先伸ばしにするんだから。
傍の教室まで、手を引いて行こうと。]
(211) 2015/12/18(Fri) 18時半頃
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貴方の心は何処にあるんでしょうね。
[引っ張りながら呟いた。 必要無かったとか、偽装とか、くっそどうでもいいニーズとか。第二ボタンのことを今更持ち出されたのもそう。
思えば衝撃の初対面からこの人に乱されてばかりだった気がする。 …連絡が無くなったときは、本当に悲しかったな。]
…忘れてたな。
[そして、結局どんな気持ちでそんなことを言ったかなんて理解しないまま連れ込んで。 唇を尖らせ不機嫌な顔。いやそんな様子じゃ言わなくたって分かるから。 おれは昔より素直じゃなくなってるんだぞ、京先輩。]
嫌だなー、おれの最期の時間はこんな薄情な先輩と過ごすことになるのかー。
[わざと大袈裟に拗ねたふりをしつつ、教壇に置かれたものを取る。 自然と離れた手、握ったチョークはちっとも温かくなんかない。]
(217) 2015/12/18(Fri) 19時頃
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先輩にマーキングされる黒板が可哀想です。
[実はこの教室は、二年の時にいたクラスだった。三年に進級して杜中で卒業を迎えられなかったおれには、最後の思い出の場所。 何これ、ピラミッドの壁画?相変わらず独創的だ。思い出に上塗りされるある種の芸術。 嫌な気持ちじゃ無かった。たった一年だった一緒の時間、少しだけそれを増やすことが出来たみたいで。]
っ、ふ…… あーもう、本当に面白いです、っ……
[不機嫌はすぐ消え去って、けらけら笑っていれば何か言いたげに顔を見られて近寄っていく。 さて、何を描こうか。]
(220) 2015/12/18(Fri) 19時頃
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[悩んで悩んで、結局隣の困ったさん(25歳男)の顔でも描いてやろうと決めた。 ガリガリと音をたてて白い線が綴る姿。41(0..100)x1点ぐらいの出来かな。]
これでよし
[最後に矢印を向けて「ばか」子供みたいな悪口を書いてやった。 でもいいだろ、これで終わりなんだから。最後ぐらいあの頃に戻ったって。]
(221) 2015/12/18(Fri) 19時頃
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[ああ、人だね。男だね。 それは分かる程度の出来。隣の本人も自分がモデルだと理解出来るか危うい。 おれもこの人と同じで絵の才能なぞてんで無いのだ。]
でも、僅差でおれの方が上手いです。
[張り合う言葉も中学生のように]
(222) 2015/12/18(Fri) 19時頃
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おれも先輩のゲームにマーキングしてたんです。今となれば貴重な生きていた証です、だから……
[そのゲーム、大切にして下さいね。 軽口の最後に言おうとした、言いたかった。言えるわけが無かった。誤魔化しに笑って、笑って。]
あ、自分だって分かるんだ凄い。意外と頭良いんですね。 それ最早小学生レベルの言い返しですよ。
[本当によく理解したものだ。ばかと言われてると思い至る理由が何かあって気付いたのかもしれないが。]
……あのー、これでもおれだってファンには(不本意に)モテる方なんですけど。もっと人っぽいと思うんですけどー。 つーか字違います。
[ダメ出しを返す。 子供に字を教える親みたいにチョークを握る先輩の手を上から包むようにして、正しい我が名前を黒板に刻んだ。]
(224) 2015/12/18(Fri) 19時半頃
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ま、確かに。
[自分のも頑張って良く言って小学生中学年ぐらいじゃないだろうか。 ちっとも個人が持つ特徴を掴んで無い京先輩?をもう一度視界に入れて苦笑い。 それからただ単に下手なだけのおれは、花だとか無難なものを先輩の絵を装飾するように描いて。 結構楽しんでいたりした、主に隣の芸術家の作品を。
手が止まるのが視界の端に見えた時、
ああ、やめてくれ。そんな言葉が浮かんで、けれど口には出来なかった。]
(227) 2015/12/18(Fri) 19時半頃
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[そちらを見る勇気がどうしても出なくて、ぼんやりと弱い線を眺めてふと この人も人間なんだな、なんて当たり前のことを思った。]
先輩は、やりたいことをしていると言ってました。 おれは、…バンド活動が嫌になってたから、そんな貴方に嫉妬したんです。
……でも、もう、先輩のいてほしい人はいないんですね?
[全てを聞いてから、好きだよと告げられてから。口を開き打ち明ける暗い感情。 やりたいことは出来ているのに人間関係は上手くいってないのか、はたまた…… そこを確認はせずにいられなかった。いる、そう言ってくれたらいいなって。相変わらず儚い夢を見ている。]
(229) 2015/12/18(Fri) 19時半頃
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……そうだったんですか。
[事実は思っていたものとは大分違っていて、おれはもしかしてこの人に理想を押し付けてたのかもしれないな、と思った。 強くて優しくていつも明るくて、皆の輪の中心にいて、やりたいことをしている自由な人。 一年坊主が見上げた憧れの先輩はそんな人に見えていたんだ。あの頃はそれを何も疑わず、今もそうだと思い込んでいた。]
先輩は、弱い人ですね。
[黒板から、貴方に視線を移しておれはそう口にする。]
(232) 2015/12/18(Fri) 20時頃
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ごめんなさい。 一緒にいてあげられなくて、支えてあげられなくて……死んでしまって。
[その弱さは人間である以上きっと誰もが持っていたもので、彼は何も悪くはなかった。 もしあの時引っ越すことがなくて、同じ高校に追いかけられたら何か変わったのかな。
絵空事はもうやめよう、理想を追い掛けるのはやめよう。おれは深呼吸をして。]
先輩、おれは……
(233) 2015/12/18(Fri) 20時半頃
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[けれどとてもじゃないが目を見て言うことなど出来なくて、下を向いた。 悪いことをした子供みたいな小さな声で、答えよう。]
それが先輩の幸せなら、 ずっと一緒にいてあげたいと思っています。*
(234) 2015/12/18(Fri) 20時半頃
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悪かったですね。割と性格悪いんですよおれ。 女に愛想振り撒いてでもそれは人気の為でしかない、そんなクズになったんです。
[本当は、苦しかったのだ。だからそんな言い方に逃げた。 自分の意思で貴方の未来を絶つと、言うことが。]
でも、勘違いしないで下さい。 貴方がただの先輩の一人なら二度も探したりしませんし、それ以前に散々噂で迷惑かけられた時点でバイバイですよ。 あー、そういやカラオケに付き合うのも拷問みたいだったな。
[そこで一度、言葉が途切れ 何故だか視線はうろうろさ迷った。]
(240) 2015/12/18(Fri) 20時半頃
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つまり、要するに……
おれも京さんのことが好きだってことです。 一緒にいたいんです。もう置いて行きたくないんです。
[ぷいとそっぽを向き、また唇を尖らせれば癖がある髪をくるくる指先で遊び始める。 可愛がってくれた先輩だから、その筈だ。しかし酷く気恥ずかしい。 好きなんて人に言ったのが、何年ぶりか分からないから。…きっとそのせい。]
(241) 2015/12/18(Fri) 20時半頃
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うるさい知るか何が地雷だ
[大人のおれは恥ずかしいと怒り出すらしい。まだ残ってる冷静な部分が勝手に分析している。 思いっきり眉を吊りあげて大事な先輩にため口を利いた。嫌われたらいやだな、そう思ってるくせに。]
……はあ。あんなこと言っておいて自分だって張り合ってるじゃないですか。
[仕方ない人、困った人、迷惑な人 でもそれ以上に大切な人。]
(245) 2015/12/18(Fri) 21時頃
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残念ですね、 おれのほうが貴方のことが好きですよ。
[二度目の好きと共に抱き締めた。酷く濡らしてしまうだろう、けれど離したりしない。もう哀しませない。
この好きは、何だろうか。 死者の国までこの人を連れていくと決めて、こんなことをして。
やっぱり久しぶりのせいなんかじゃなくて……最早先輩後輩の枠を越えているような、そんな気がした。 ならば、何と呼べばいいんだろう。]
(249) 2015/12/18(Fri) 21時頃
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ねえ、京先輩。
本当は、生きて一緒にいたかったです。 酒を飲んだり、昔みたいに遊んだり、貴方の結婚式に、出たり…?
きっと楽しかったんでしょうね。
[答えを出すのが少し怖かったから、そんな風に有り得なかった未来を語って、背を撫でる。 昔はもっと大きく見えたな、なんて思い出しながら。
もう少し、生きたこの人を感じていたい。窓の外が終わりを示すまでは、貴方をおれと同じにはしない。
ーーずっとこのまま朝が来なければいいのに。*]
(251) 2015/12/18(Fri) 21時頃
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ああ、でも、屋上で慰謝料は払いましたね。美味しかったです。
[あの時間は先輩に酷く辛い思いをさせて、とても楽しく一緒に飲んだなんて言えるものじゃなかった。
だけど、二人で酒を飲むなんて本当は有り得ないことだったんだ。 大人になった長谷透はもう二度と本谷京に出会えない筈だった。
だからおれにとって、あの酒は何より美味しかったんですよ、京先輩。]
……そういうことばっかり言ってるから誤解されるんですよ、最期に自覚して下さいね。
[冗談っぽく言うから、言葉の奥に見つけたものが本物なのか分からなくて。 ふん、って鼻を鳴らして。乱れた心で平静を装う。酷く意地っ張りで臆病な男。
……本当にこんなのに連れて行かれて、いいんだろうか。おれが察するのは女の感情だけ、自分以外の男の心なぞ分からない。]
(293) 2015/12/18(Fri) 22時半頃
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[時計なんか見ていない、ずっと先輩だけを見ていた。 ……だけど、やがて理解してしまう。ああもう、逝かなくちゃ、って。]
……そうですね
[苦しませも痛くもしたくない。…殺したくない。 曖昧に濁す相槌、目を逸らさなかったことは褒めてほしい。]
あ、……
[いい年してキス一つで動揺してしまう。小さく声が漏れて瞳が揺れた。見ないようにしていた答えを貰ってしまった。
困った、嫌じゃない。おれは女が苦手なのであって、それは異性愛者ではないという意味じゃ無かった筈なんだけど。
口許に触れた唇は温かくて、けれど自分のせいで少し冷たくなっていたかもしれない。
いい加減先輩に甘えるのはやめて、心を決めなくちゃ。 でなければどこにも逝けやしない。]
(299) 2015/12/18(Fri) 23時頃
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大丈夫、
[抱き締めたまま囁いた声は酷く優しくて、我ながら普段とは別人みたいだった]
痛くもないし、苦しくもないです。 そんな思いは、おれだけがすればいい。
[何故だか言い切ることが出来た、何をするのか分からない癖に。
身体を動かしたのは、何だったんだろう。
おれは最期にもう一度強く強く抱き締めてーー]
(301) 2015/12/18(Fri) 23時頃
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先輩、
月が綺麗ですね。
[片手を濡らしてしまった頬に添え、冷たい唇を二つ重ねた。 それは月なんてもう、見えやしない時間のこと。]
(304) 2015/12/18(Fri) 23時頃
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[
生前は歌を紡ぐ為にあった亡霊の唇は、死の息吹を本谷京へと吹き込む。 それはこの男が死んだ二月に降っていた雨のように冷たく、唇を通り肺を満たして、毒のように身体を回っていくだろう。 やがて、心の臓までも凍てつかせ、寒さを感じながら眠るように全てが終わる。
亡霊は全てを理解して、その身体から力が抜けてしまうまで、終わったのだと理解するまで。
ずっと、唇も身体も離さずにいただろう。 ーー温かい雨を降らせながら。*]
(306) 2015/12/18(Fri) 23時頃
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トレイルは、マドカは幸せになるだろうか。考えたのは終わりを始める前のこと。
2015/12/18(Fri) 23時頃
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