42 廃棄人形ーeverlasting love marionetteー
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これ、は。
[ふと、手を止めて。同じ場所を繰り返して再生する。 聞きとった音。若い男と、女の、声。 声を潜めているらしく、薄いノイズの下では聞きとりづらく]
……本?
[聞きとった単語を繰り返して。 若い男の方の声は、どこかで聞き覚えのある気がする。 その夜はテープを片端から聞き探して、軽い仮眠の後に朝を迎えた]
(81) 2011/01/16(Sun) 13時半頃
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―朝―
[黒い外套を着た男が、ふらりとパン屋を訪れる。 いくつかパンを見繕ってレジに向かうと、 出てきた店主に、ソフィアという店員はいないか尋ねる]
帰った? こんな時間に?
[思わず零れた声に、店主は渋面で頷く。 その渋面が心配によるものかどうかは、 常の彼らを知らぬ身にはわからない]
(82) 2011/01/16(Sun) 14時頃
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―朝・喫茶店―
あぁ、やっぱりここにいた。
[喫茶店の扉を開けると、見知った姿を見つけて。 表情を緩め、食事中らしい少女のもとへと近寄る]
相席よろしいですか?
[少女にそう声をかけて。 こちらを窺う店主に、「コーヒーを」とだけ笑顔で告げる]
(84) 2011/01/16(Sun) 14時頃
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手妻師 華月斎は、メモを貼った。
2011/01/16(Sun) 14時頃
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ありがとうございます、それじゃ遠慮なく。
[店主から「持ち込み禁止ですよ」と声をかけられるも、 にっこり笑顔で着席して、紙袋からデニッシュを取り出す]
いや、それは別に構わないのです。 お礼目当てというより、貴女と少し話がしたかっただけですので。
[そう言って、ハクリとデニッシュにかぶりついて。 もぐもぐと長く咀嚼して呑みこんだ後、すこし首傾げて ソフィアの目を覗きこむ]
……何か御悩み事でも?
(87) 2011/01/16(Sun) 14時頃
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ええ、ちょっと人探しをしているのですがね、 名前がわからないもので。貴女が御存知ならいいなと。 御協力を請いに。
[それはそれとして、と。コーヒーをひとくち。 力いっぱいの笑顔でこちらに接してきた今までの姿とはあまりにも違う彼女の様子。
テーブルの上に畳まれた新聞へと視線を落とし、小さく頷く。 俯いて震える姿が、脳裏である人の姿へと重なって]
貴女のせいじゃない。貴女は悪くない。
[それは彼女にかけた言葉か、それとも脳裏の人へとか]
ミッシェルさんは、ええ、違うだろうと私も思います。 けれどこの状況では、彼女が自力で疑いを晴らすというのは、なかなかに難しいでしょう。
[抑えた口調で淡々と言って、彼女の瞳を見据える]
……彼女の疑いを、晴らしたいですか?
(91) 2011/01/16(Sun) 14時半頃
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華月斎は、窓の外、慶三郎に気付くと、にこやかに会釈。
2011/01/16(Sun) 14時半頃
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それは助かります。 ええと、こういう感じの若い男性なのですが……。
[公演前にクレープ屋で会った若い男―サイラス―の特徴を、思いだしつつ彼女に伝えて]
複数犯の可能性がある。昨日事件が起こっても、それだけでは「真犯人が別にいる」という結論には結びつかない。 次々に人を拘束して、事件が収まれば「犯人を全て捕まえた」ということにもなるでしょう。 けれどそれまでに、どれだけの人工生命が犠牲となるか……。
[言い募るうち、男の目に険しさが宿る]
私は、それをただ手をこまねいて見ているつもりはない。
[言い切る言葉は、静かに、強く。 ふと、我に返ったように表情緩めて]
すみません、礼を欠きました。 ……お友達との、約束というのは、どのような?
[手伝えることがあるなら、と。優しげな微笑みを彼女に向ける]
(93) 2011/01/16(Sun) 15時頃
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そうですか、この喫茶店の……。
[そこまでわかれば、あとは見つけることは難しくないだろう。 理由は一旦告げぬままに、彼女の言う『約束』に耳を傾ける。 それがそのサイラスという青年に関わりあると分かると、指でそっと自分の米神を抑えて]
そうでしたか……。彼の、力に。
[小さく息を吐く]
お友達との約束なら、そうですね、大切なものでしょう。 私に手伝えることがあるなら、これも何かの御縁、遠慮なくお申し付けください。……ただ、
[言い澱む。責めるでなく、どこか物憂げな声色で]
彼が道を誤っていたとしたら、貴女、どうします? 貴女が言う「力になる」は、それを匿うことでしょうか、それとも……。
[何を言いきるわけでもなく。 曖昧な言葉を苦い珈琲とともに呑みこむ]
(96) 2011/01/16(Sun) 15時半頃
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[疑っているのか、と。問う声に頷きはせずとも、否定をせぬことで応えて。 彼とはよほど親しいのだろう、彼女が捲し立てる彼への弁護。 それに頷きながらも、男の眼差しが揺らぐことはない。
ただ、「もしも」の先を考えての、彼女の結論に。 男の表情はいくらか和らぎを見せる]
それを聞いて安心しました。 貴女にとって酷な選択を強いられることもあるやもしれません。 けれど、御友人が約束の奥に込めた想いを、貴女がそうして汲み取ろうとしている限り。貴女が道を誤ることはないでしょう。
[そう言って、柔らかく微笑んで。 冷めかけた珈琲を飲みほして、少しの間の後、ぽつりと呟く]
彼と、もうひとり、恐らくは若い女の声でした。 その女性が事を成し、彼はそれに手を貸した。
[その声は、信じろと強制することもなく、 ただぽつりと落とす独り言のように]
(99) 2011/01/16(Sun) 16時半頃
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[微笑み返す彼女の表情をじっと見れば、 無邪気な少女の顔の奥に、しなやかな強さを見るようで。 困ったような顔で彼女が挙げた「ケイト」という名前。 それを聞いて、思い出すように微か、天井を仰ぐ]
ケイトというのは、あの細身の、眼鏡をかけた女性のことでしょうか。
[サイラスと共にいた女性といえばその少女しか見たことはなく、ともに観劇に行くくらいだから仲は良さそうに見えたものだが]
その人の声とは、違うように思えました。 さほど元から親しい間柄だったようにもあまり……。 いえ、彼の方からは親しげな調子で話していたようですが。
[とはいえ、この街に知った人が少ない身であるこの男。 音だけの情報が、どれだけあてになるものか]
(105) 2011/01/16(Sun) 16時半頃
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華月斎は、ソフィアに声をかけた女性の方へ視線を流す。……たぶんこの声も、違う。
2011/01/16(Sun) 16時半頃
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[ソフィアがこちらへと向けた、困ったような表情を見て。 彼女に声をかけた女性と、ソフィアの顔を交互に見る]
お知り合いのようですね。 お邪魔なのはむしろこちらの方かと。
[その女性に会釈をし、必要ならば席を外そうかと椅子から腰を浮かす素振り]
(107) 2011/01/16(Sun) 17時頃
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[関係なんてあるはずがない、と。 力強く言い切るソフィアの言葉を否定はしない。
彼と話していた女の声は聞き覚えのあるものではなく、故に伝えられる情報はあまりにも曖昧。 ソフィアにとっても有益にはならぬ様子で、それも想定の範囲であれば、小さく頷くに留める]
(111) 2011/01/16(Sun) 17時頃
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[席を外そうとしたところで、首を横に振るソフィアを見て]
……お邪魔でないなら、いいのですが。 それなら、御一緒に朝食でも?
[ソフィアに声をかけた女性の方へと視線を流し、 空いている席を手で示してみる]
(113) 2011/01/16(Sun) 17時頃
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華月斎は、珈琲のおかわりを店主に頼み、ソフィアと芙蓉の会話にそれとなく耳を傾ける。
2011/01/16(Sun) 17時頃
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ソメヤと申します。巡業中の芸人です。
[芙蓉の名乗りに、笑みと共にそう返して。 ミッシェルが拘束されたことに対して憤る二人の会話に、 口は挟まずに耳を傾ける。
慕われていたのだな、と。小さく口の中で零す。 あの夜サイモンの隣にいた、世話好きそうな物腰と、屈託ない笑みを持つ彼女]
……、
[ふと、物思いに沈みかけた意識を、ソフィアの声が呼び戻す。 奥から出てきた青年は、あの時の]
おはようございます。 先日はありがとうございました。
[表情は崩れない。 愛想の良い笑みで、劇場に足を運んでくれたことへの礼を]
(119) 2011/01/16(Sun) 17時半頃
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楽しんでいただけたようで何よりです。
[サイラスに笑みを返しながら、彼の表情の変化を眺める。 先日よりもどこか疲れた様子の表情。ソフィアの言葉を聞いて、それがいくらか揺れたようにも見えた。
互いに既知であるらしい三人の会話に口は挟まず、 ただ目の端でサイラスの様子は窺い続けて。 しかし芙蓉が溜息とともに零した言葉には、思わずそちらを振り返る]
あとひとつ、材料、ですか。
[彼女の言う「コネ」が何か知らぬ故、 何なら足りるかわからぬままに。興味深げに芙蓉を見る]
(126) 2011/01/16(Sun) 18時頃
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[ソフィアの言葉が、いちいち胸に刺さる。
苦しい。息が、できない]
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[お前のせいじゃない。サイラスがソフィアにかける言葉。 その声と、かつての自分の言葉が重なる。 届かなかった言葉。届かないからこうして、人形を蘇らせる方法を探している。
――…目の前の男は、どのような想いを込めてその言葉を言うのかと、その横顔を見る]
(133) 2011/01/16(Sun) 18時半頃
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完全な、アリバイ。
[芙蓉の言葉に、何か思い耽るように口元に手を当てて]
あの、変なことをお伺いするようですが、 彼女の日頃の行動範囲は御存じでしょうか。 自宅の場所や、よく行く場所とか……。
[不審に思われるのは覚悟の上で、声を低くして芙蓉に尋ねる]
(136) 2011/01/16(Sun) 18時半頃
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華月斎は、ソフィアが目に涙を溜める様子に、責任を感じないでもない。
2011/01/16(Sun) 18時半頃
手妻師 華月斎は、メモを貼った。
2011/01/16(Sun) 18時半頃
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わかりました、それは尤もな話です。 手がないとわかっただけでも僥倖としなければ。
[今日会ったばかりの男に、うら若い女性の自宅の場所までは教えられないだろう。それは問う前から覚悟の上であったため、強く喰い下がりはしない]
いささか危ない橋を渡ることにはなりますが。
[かすかな呟き。何か思い決めたように。 しばらくはその場でかわされる会話に耳を傾け、ふと思い出したように]
あぁ、そろそろ戻らなくては。 それでは皆様、お先に失礼させていただきます。 よき一日を。
[愛想よく告げて、勘定を済ませると喫茶店を立ち去った]
(144) 2011/01/16(Sun) 19時頃
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―???―
[それからどれほど後のことだろうか。 芙蓉が他の者と別れてひとりになったころを見計らい、 声をかける黒い人影]
芙蓉さん、
[声を立てぬようにと、人差し指立てて己の唇の前に置き]
ひとつ頼みがあります。 貴女が世話になったというその人に、これを。
[袂から取り出す紙袋。中で小型のテープがざらりと揺れる]
(145) 2011/01/16(Sun) 19時頃
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一般に出回るものではないが、 警察ならこいつの解析も可能でしょう。
……まだ事件が起こる前だから私の準備も周到でなかった。 犯人に繋がる証拠は見つけられなかったし、 彼女の疑いを晴らすに十分であるかはわかりませんが。
[中にあるのはサイモンが襲撃された当夜のテープ。 その時点での設置の数は十分でなく、そこにサイラスの声も、 『もう一人』の声も入ってはいないが]
すみません、これが私にできる精一杯です。 あとの判断はあなたと、あなたにご縁ある方に委ねます。 ――…どうか、くれぐれもご内密に。
[芙蓉は紙袋を受け取っただろうか。 強く強要はせぬままその場を*立ち去った*]
(146) 2011/01/16(Sun) 19時頃
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手妻師 華月斎は、メモを貼った。
2011/01/16(Sun) 19時半頃
・・・・・・そんな事が・・・
[サイモンの事は知っていたが、知らぬ振りをする。しかし、主人に嘘をついていると思うと胸が痛んだ。ケイトの話を聞くと昨日のサイラスの事を思い出したが、それも主人に告げることはなかった]
手妻師 華月斎は、メモを貼った。
2011/01/16(Sun) 20時頃
『――漆塗りの手鏡さ。正真正銘東方の島国産だぜ』
[ゾクリ。鏡という言葉に寒気が走る。そっくりだけどまったく違う人形を見ているようで、鏡は苦手なのだ。]
・・・・・・いや・・・
[鏡を見ていると、自分が誰なのか分からなくなる。人形なのか、人間なのか。]
・・・・・・私は・・・人間だ・・・
[自分に言い聞かせるように呟き、ひたすら逃げるように喫茶店までの道を走る]
…昨日のは、俺。
ちょっといろいろあって……
[ぼそぼそ、夕顔の耳元で囁く]
大丈夫。迷惑はかけない。
・・・やっぱり貴方でしたか。
[ココアを受け取りながらサイラスの言葉を聞く]
いえ、気にしないで下さい。
私だけ手伝ってもらうのは不公平ですから
・・・・・・私も手伝える事があるなら手伝います。
…そうだな、そう言ってくれると助かるよ。
[ひとつ頷いて]
今のところ、俺は他に誰が人形なのか分からない。
「次」があるなら、それが分かってからになる。
・・・残念ですが、私も誰が人形なのかは分かりません。
[サイラスに答えて微かに視線を伏せる]
・・・・・・「次」・・・ですか。私は・・・あの時はただ必死で・・・・・・
「次」があるかは・・・まだ、分かりません・・・・・・
そうだ。私は人間だ。
・・・・・・人形なんかじゃ、ない・・・
[自分に言い聞かせるように小さく呟く]
…そうか。
俺は、また恋がどーたらうるさいのがいたら……多分、また。
[それは既に目的ではなく、昨夜の自分を正当化するための手段に成り代わっているけれど]
[夕顔の呟きが耳に届くと、何か言いたげに口を開いて]
……。
[結局、何も言わない。
こちらにも詮索されたくない事情がある。それはきっと彼女も同じだろう]
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