人狼議事


289 【ペア】風邪引いたあの子ん家に行く村

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視点:






─────…… 稜、

 




…………稜、こんな所で寝るなよ。


[名前を呼んで、その頬を手の甲で撫で付ける。

皆が寝静まったこの時間帯では、
音が暗闇によく響く。

唾を飲み込む音も、荒い吐息も、
全ては幼馴染に向けられて

必死に取り繕ってきた幼馴染の仮面は何処にもない。
そこにあるのは、欲を隠しきれない一人の男の顔だ*]


[覚えている限りの最古の記憶は、あまり良いものではない。
そして、いつまでも忘れられず何度も夢として繰り返した。

それは、未だランドセルも背負わない齢の頃のこと。
玄関に見つけた大きな荷物を抱えた女の人の背中に、
一生懸命に駆け寄り、今よりずっと低い目線で見上げる。

────その顔立ち、容姿は今や朧でしかないが、
父が言うには自分によく似ているとそうだ。]




 「どこにいくの?ぼくもいっしょにいく!」

[何も理解していない小さな子供の声は大きい。
それでももう一人の家族がやって来ることは無かったから、
きっと彼女は彼がいない時間帯を選んだのだろう。
細い足にしがみつくのは、幼子には精一杯の力。
分からないなりにどこか感じるものがあったのかもしれない。]

 『りょうがいいこにしていたら、むかえにくるからね』

[女の人は困ったように吐息を漏らした、気がする。
そうして白い手が頭の上に乗り、優しい声が優しい言葉を告げて。

母さんが帰ってくることは、二度と無かった。]


[自らの名前も正しく書けない幼子には
離婚、その二文字を受け止めるのは難しい。

いつ帰って来るのか、どこにいるのか
ぐずり毎夜のように泣いて父を困らせたのは言うまでもない。
やがて夜泣きのぶり返しのような悪癖が止んだのは、
言い聞かせる言葉を受け入れたわけではなく。

「ぼくがいいこじゃないからおかあさんはかえってこない」
ひとりで考え込み、結論を出してしまっただけ。

成長して正しい事実を受け止めた後も、
人にどう思われているか気にする癖は染みつき抜けはしなかった。]


[何を言われても、笑っていられるように頑張ろう。
頼まれたことは、なんでもしなきゃ。
いじめられていると分かっていたって、それは変わらない。
もう置いていかれたくなくて、変えられない。

でも、守ってくれる子が出来た。
笑っている時も、我慢出来なくて泣いている時も変わらず
いつでも優しい、同い年なのにお兄ちゃんみたいな子
例えばそう、テレビの中のヒーローみたい
そんな例えが似合うような、かっこいい子。]

 とうまくんは、もうヒーローだよ

[大人になった今では少しむず痒くなるような記憶
恥ずかしい言葉に返るのもまた、恥ずかしい言葉。
まだまだ自分を上手く隠せなくて、おどおどとしていた頃
しかし、その時だけははっきりとした口調で言い切った。
だって、それは本当のことだ。]


[彼はもう、友達なだけじゃない、特別になっていた。
この子だけは絶対味方でいてくれる、ずっと離れない
信じられることを、言ってくれたから

とってもかっこよくて、やさしい
だいすきなぼくだけのヒーロー。

でも、あれはいつのことか。
目の前で彼が転んで、怪我をしたことがある
心配して声を掛けたら、平気だって言っていたけれど
その膝はとっても痛そうで、嘘だってすぐに気づいた。
彼も、強がっているだけで本当は痛いことも辛いこともある
自分ばかり守られてばっかりじゃ駄目だって、思ったんだ。]


[でも、どこで間違えたのだろう────高校三年のあの日は来て
繰り返し続く夢も、変質した。

その夜もまた、彼の傍だからこそ必然的に
あの光景を、見てしまう。]


── 夢 ──

[小さいままの自分が、成長した幼馴染を追い掛ける
かつての自宅の内装も、子供として大人に縋り付く状況も
一見すれば、全く同じだ。

登場人物の成り代わりと、展開を除くのならば。]


 「とうまくん、まって!」

[声に反応し振り返った彼は、いつでも何も言わず
────とても、冷たい目をしていた。

きっと、望めばその口を開かせることも出来るだろう。
だけど、夢の中でも現実でも、どうしようもなく怖くて。]


[ヒーローのような男の子、
支えてあげたい大切な幼馴染。

優しい父は、けれど母と同じ家族で
兄弟のようでそうではない彼だけが、
あの言葉をくれた彼だけが、
不安にならずに接することができる相手だった。

初めて嘘をついて、他の人に対してと同じように
顔色を伺ってこれ以上嫌われないように振る舞うようになっても
思い出と想う気持ちは変えられなくて。

自分の恐怖心が投影された表情を、
もし、そんな彼に現実で向けられたのなら。
おれは一体どうすればいい。]


[夢の中の彼は玄関の扉を開き、何処へ向かうのか。
父が彼の母親を迎えに行ったように、
何処かの女の子の手を取りに行くのだろうか。

友人達との会話で、彼に恋人が出来たと知った時も
偶然その彼女と腕を組んで歩くところを見た時も
そんな風に置いて行かれた気持ちになった。

高校時代に告白された時は、悩むこともなく断っていながら
大学に入り女友達の気持ちを受け入れたのも、
孤独感を埋めたい部分は確かにあったのだろう。

何故、おれは戻ることが許されない場所に
何人もの女の子が、立つことが出来るのか。
────どうしておれでは駄目なのか。]




──── ん、 ……

[呼ばれた名に反応するように、ふと漏れる声。
撫で付ける感触に小さく身じろぎする身体。]


[名前を、呼ばれたような気がした。
引き戻された意識、開いた目には暗闇の中に浮かぶ輪郭
ぼんやりと見ていれば、すぐに像を結び。]

 とうま

[ああ、この彼は現実だ。だって、あの目をしていない。
何処にも行かずに、ここにいる。
それが嬉しくて、寝惚けた声で呼び返したのならば
へにゃりと緩んだ笑みが浮かんだけれど。
すぐにそれは消えて、心配そうに眉が下がる。]

 どうしたの、苦しいの?のみもの、持ってくる?

[二人だけの静かな空間、深夜の部屋の中
荒い吐息には寝起きの頭でも、確かに気づける。
覚醒しきらない頭は、口調と躊躇いを鈍らせる
こちらもまた、彼に手を伸ばそうとした。
想像上の冷たい目はどこにも無くても、
知らない熱がそこにあることは、未だ、認識の外。]


[もたもたしていると、岩動の手で前髪を押さえられる。冷却シートを岩動に渡して、空いた手をのろのろ額まで持ち上げて、岩動にして貰ったように前髪を押さえた。
岩動の手が目の前に見えて、目を閉じて待つと、額に冷たいものがへばりついた。]

 う〜〜〜。きもち〜……


 そんだぼんな"んですかね。
 俺は水だけでもわりと簡単に飲め……ゲホ、ズビッ……飲めるんすけど

 でも俺も、”煮るだけ”がでぎなびし。

苦手なものってそんなもんすよねーと、うんうん頷く。
 長い前髪のせいであんまり表情が分からないけど、凜堂さんは薬がそんなに苦手なんだろうか。
 まぁ、あんなものを「好き!」という人は少ないのだろうけど、なんとなくかわいいというか、面白いなって思った。]


 はび、もしあったらでいいんで。

以前風邪ひいた時に使い、少しだけ残っていた冷却シートは、この夏、あまりに暑かったため、寝苦しさ緩和にすべて使用してしまっていた。
 その後、結局買い足していなかったが、こういう事も起きるのだから、ちゃんと用意しておくべきだった。
 今更な反省。]

 あぁロック……ズビ
 勝手にしばっちゃうんで、じゃあ、番号を……

[本当は、あまり他人に教えるものではないのだろうけど、凜堂さんならば大丈夫だろう。]

 710107です。
 そごに、この部屋のナンバー続けでぐださい。


 …………ズズ、げほっ。

 ところで、凛堂さん。
 あの、看病じでもらってて、こんなぼど聞くのもどうかで思うんですが。

 ……なんか、楽じそう、です?

[>>:!41なんとなく、声色が明るい気がして。
 ふと、問いかけてみたのだけど]

 あ、いや、ずびばせん。
 んじゃ、お手数おばべしばすが、よろしくおべがいしばす。

[我ながら変なことを聞いてしまった。
 深くお辞儀しながら、恥ずかしくて、顔が赤くなってしまった。

 ……熱で既にだいぶ赤いと思うけど。]


【人】 放蕩者 ホレーショー

 ……ずぶ、ズズ……っ

[ゴミ箱内のティッシュ山は、順調に増量中。
 鼻の下のガサガサは、鼻貴族のおかげで少しは緩和された気もするけど、やっぱり痛いものは痛い。]

 オドナイン、ぬる……

[凛堂さんが体温計を取りに行ってくれている間に、仕事部屋から軟膏を持ってこよう。
 この仕事に、冬の手荒れは大敵。
 おろないんさんはそこらのハンドクリームよりよっぽど有能だし、こういう時にも役立つ。]

(50) 2018/11/30(Fri) 21時半頃

【人】 放蕩者 ホレーショー

 あ、そうだ……。

[軟膏のついでに、毛糸も少し持って行こう。
 趣味で編んでる毛糸の帽子が、もう少しで仕上がる。

 以前、この話を手芸教室の生徒にしたら、「なんで仕事で編み物してるのに、息抜きで編み物するんですか?」と聞かれた。
 仕事と趣味とは、同じものでも違うのだ。
 でもこれ、説明しても分かってはもらえなかった。
 イタリアンのシェフが休日に中華料理作りを楽しむようなものだと思うのだけど、どうなのだろう。
 物書きをしている凛堂さんなら、もしかしたら、分かってくれるだろうか。]

(51) 2018/11/30(Fri) 21時半頃

【人】 放蕩者 ホレーショー

[寝室に戻ったところで、またベッドに半身起こして、まずは鼻の下にたっぷりと軟膏を。
 残った分は手指に塗り込んでおこう。]

 べほっ。

[あったかい雑炊と薬のおかげか、鼻は少し楽になったような気がする。
 でもそのかわり、喉に鼻水が垂れるようになってきた。]

 あ"〜……水分水分。

[二倍希釈ポカリ、こういう時、飲みやすくてすごくいいかもしれない。*]

(55) 2018/11/30(Fri) 22時頃

放蕩者 ホレーショーは、メモを貼った。

2018/11/30(Fri) 22時頃


うらやましい……
いつか飲み方教えてほし――いや、さっき聞きましたね。

苦手、そういうものなのかもしれませんねぇ。

[先に水を含むとか、諸々。
 ためしてみようかというきもちと飲まなくて済むなら飲みたくない気持ちとが合わさって、情けない顔になった。
 煮るだけができないのと同じと言われてしまうと、無理に料理を勧められない気さえしてくる。
 うんうん頷く方徳さんにつられて頷く。]


作業用に置いてあるんで、切れてなければありますよ。

[切れたら基本的に買い足すのだが、缶詰になっているときなど時々やらかすので、絶対保証は出来ない。
 困ったことに前回いつ買ったかも思い出せないのだが、多分、おそらくきっとあるはずだ。]

ああ……勝手にしまっちゃうんですね。
便利だなぁ。

[テクノロジーに感心しながらも、聞いた番号をスマホのメモ機能で記録する。
 部屋番号はしっかり覚えているから、この6桁だけ忘れなければ大丈夫だ。
 人の家の合鍵もらったようなもので、なんだか落ち着かないが、今だけ、今だけと頭に言い聞かせる。]


[さて、それでは今度こそ、と立ち上がりかけたタイミング。
 呼びかけられて、動きを止める。]

……えーと。
楽しくはないけど、嬉しいです。

って、あの! 別に、その、方徳さんが風邪引いてることがとかじゃなくてですね、ええと、
なんか、その、僕でもお役に立ててるんだなって、そういう……

[嬉しい、なんて口からつるっと出てしまったが、いまこんな状況でいう言葉じゃない。
 方徳さんは苦しんでるというのになんてことを、と頭の中身を吐き出してみるが、しどろもどろになってしまった。]


あの、行ってきます!

[このままでは深みにハマりそうだ。
 やることがあるのをいいことに、立ち上がって部屋を出る。]


[男の抱える疼きなど関せぬように、
幼馴染はうれしそうな、緩んだ笑みを見せた。
どうしようもなく焦がれて、どうしようもなく欲した笑顔だ。]


ああ、苦しいよ。
………どうにかなりそうなくらいに。


[言い終わるが早いか、伸ばそうとした彼の手を
すくい上げるように掴んで、力強く引き
そのまま自身のベッドへと引きずり込む。

不意を突いてしまえば、彼に抗う術はなく
怠さを幾分か払拭した男の前では
添い寝には難しいベッドの上に押し倒す事も、きっと容易で]





───…… なぁ、稜。 俺が何したいか、分かるか?


[吐息は荒さを残すまま。
見下ろす眸は、真っ直ぐに幼馴染を捉えていた。

こうすれば、鈍い幼馴染でも
自身の熱に気付くのだろうかと
問う口調には、どこか試すように。]


【人】 放蕩者 ホレーショー

[ぐるぐるとメリヤス編みしてくだけの、簡単な作業。
 寝ていたほうがいいのかもしれないけど、とりあえず眠気がくるまでは少しくらいいいだろう。]

 あ……?

[ややしばらくして、鍵が解除される音がした。]

 おが……

[「おかえりなさい」と言いかけて、そうじゃないなと言葉を切った。]

(61) 2018/11/30(Fri) 23時半頃

【人】 放蕩者 ホレーショー

 すびません、わざわざ。

 あれ……?

[見れば、なんだかだいぶ荷物が多い。
 体温計と冷却シートだけだと思ったのだけど、他にも何か持ってきているのだろうか。]

(62) 2018/11/30(Fri) 23時半頃

[枕元には、空になった雑炊の器と、これまた空っぽのペットボトル。
 気付いたら、水分は全部飲み切っていたようだ。*]


 ッ ……!?

[伸ばした手は、触れる前に相手に掴まれる
力強く引かれたことに驚いた時には、
既に背に受ける感触は柔らかいものに変わっていた。

思考の暇も返事の時間も与えないような、
おれにとっては突然でしかないその行為。
未だ夢うつつに揺蕩っていた頭には、冷や水となって。
見開いた両目が、視界を覆う姿を見つめる。]



 柊真 なんで……、こんな、どうして

[はっきり目覚めたって、こんな状況で冷静にはなれない
理由も意味も知れなければ、整わない言葉も当然のこと。

元通りにはなれていなくたって、
穏やかに過ごせていたと思っていたのに。
またおれは、何かを間違えたのだろうか?]





[────本当に分からないのならば、
寝惚けた相手の戯れだと思わない理由は何なのか。
拒まれずはしゃいだように、どうして喜ばないのか。

何故、こんなにも動揺しているのか。]



 …………、

 君、熱が上がってるんじゃないか

[あんなにも視線を合わせてはくれなかったのに
今は痛いほどに、それを感じる。
まるで立場が逆転したように顔を背け、
“幼馴染”として口にするべきことを正しく選択。

けれど、分かっているんだ。
ぼくのヒーローはいい子の本当の姿を知っているから、嘘はすぐバレる。
それに、そんな言葉で許してはもらえないことも。
────彼の求める答えだって、そう。]

 もう一度、寝たほうが ……

[
  語気は弱まり、言い切ることなく消えた。  ]





 おれたち、男同士だよ

[両手で顔を覆いながら、か細く返す。

さっきよりもずっと近くに感じる荒い吐息を意識して
身体が強張り、掌の下できつく目を閉じた。]


【人】 放蕩者 ホレーショー

 いやすごい助かってばす。
 ……ぅん?

>>63問いかけられ、手を止めた。]

 あぁこれ。
 すびません、おとなしく寝てたほうがいいんだろなとは思うんですが、なんかちょっと眠気がログアウト気味で。
 うん、寝たほうがいいとば思うんですけどね。

 ……手、動かしてたら、眠くな"るかなぁって。

[我ながらなかなか言い訳くさい。]

(66) 2018/12/01(Sat) 00時頃

【人】 放蕩者 ホレーショー

 いやこれは、余った毛糸で、なんとなぶ。
 帽子くらいは編めるかなって。

 ……ズ、ケホッ

[単色で、模様編みも入れていないシンプルな帽子。
 ただ問題は、なんとなくで編みはじめたので、行き先がないことだ。]

(67) 2018/12/01(Sat) 00時頃

[自分用に使おうかなとも思ってたけど]

 …………。

[濃茶の毛糸帽、もしかしたら、明るい髪色の凛堂さんのほうが似合うんじゃないだろうか。
 そう思って、ついまじまじと見つめてしまった。]


……?

[見つめられて、小首傾げる。
 視線の意味を捉えかねてから、はた、と。]

あ、ああ、そうだ、体温計!
と、熱さまし。

[編み物作業の方に気を取られて、つい本題を忘れていた。
 それを咎められたのだと認識して、慌ててPCバッグを置き、トートをあさる。
 はい、とそれぞれを揃えて差し出した。]


[PCバッグを置くときは、どうしてもやや重い音がする。
 他にも何か、の疑問の答えとはならずとも、中身が軽いものでないくらいは察されるだろうか。]

ああ、そういえば雑炊、食べきれたんですね。よかった。
熱測ってる間、片付けますよ。

[言いつつ、空のお椀とマグを重ねて、軽くなったペットボトルも拾う。]


【人】 放蕩者 ホレーショー

 二玉もあれば編めるんで。
 暇つぶしにはいいべすよ。

>>68出来上がりまで、もう少しなんです。
 今ここまでと、凜堂さんに見せてみよう。]

 この編み棒、輪針っていって、ぐるぐる編みすすめられるんべず。
 おぼじ……ズッ ……おもしろいでしょ。

 はい、眠くなったばすぐやべて、寝ます。

(69) 2018/12/01(Sat) 00時半頃



……言ったよな、俺の傍にいないほうがいい、って。


[それは、嘘に重ねるように。
高校三年生のあの日の言葉を繰り返す。

気の迷いなどではなく。
寝惚けた戯れでもなく。

あの頃からなのだと、暗に告げる一言。]


 …………ん?

 あっ。

ついうっかり見つめてしまった。
 なんか気恥ずかしくて、慌てて顔を逸らしたけれど、もしかしてこの行動のほうがおかしいんじゃないだろうか。]

 えっ、あ、そうだ。
 ありばとうございます。

[そうだそれより、肝心なものを受け取らなくては。
 わざわざ、隣まで取りに行ってもらったのだから。]

 じゃ、シートもらいばすね。

[受け取った冷却シートを、一枚、早速おでこに張り付ける。
 ひんやりしていい気持ちだ。]



なぁ、お前は昔も今も俺は俺だって言ったけど
あの頃の俺は、────……


        ………お前のヒーローだった鳴海柊真は
        もう何処にもいないんだよ。
 
 


[顔を覆う両手には触れず。
代わりに、服の上から確かめるようにその脇腹を
幼馴染のそれより大きい手で、ゆっくりとなぞり上げる。]


だって、お前の事を守ってくれるヒーローが
お前にこういう事したいって思うわけ、ないもんな?


[吐息は耳元で。
今にも触れそうになる程に近く、熱い声色が響く。]


 体温計、これ、脇に挟むタイプでいい"んでふよね?

[最近はいろんなのがあるから。一応計る前に、聞いてから。]

 はい、おかげでさっきよりば鼻通じるかんじで……ズズ。
 まだ出ばすけどね。

[それでも、全然楽になったのだと。
 洗い物まで引き受けてくれるらしいこと含め、軽く礼をしておかないと。]


 ところでそれ、なに、入ってんですか?

[そして、ちょっと気になったこと。
 なんか、少し重いものが入っていそうなバッグ。
 中身は何なのかと、どうしても興味の視線が向いてしまう。*]


えっ。

[無言の要求だと思っていたのに、顔を逸らされた。
 もしかして無意識だったんだろうか。
 とはいえ無事に体温計の譲渡は済んだし、結果オーライということにしよう。]

あ、はい、そうです。なんか旧式ですみません。
挟んで、三分くらい待つアレです。

[耳で測るとか額に当ててピッとか、最近の体温計の進歩はすごい。
 水銀の膨張で見ていた時代もまだそれほど遠くないはずなのに。]


薬も効いてるんならよかった。
ゆっくり休めば、きっとよくなりますよ。

[さっきよりは楽というのは、顔色や声の調子からしても事実らしい。
 よかったよかったとにこにこしながら、そのまま快方に向かうことを願う。]


[さて、今度こそ洗いもの、と部屋を出ようとしたが、その前に荷物のことを聞かれれば。]

ああ、それですか?
いやね、さっき方徳さんが僕の仕事は大丈夫なのかーって心配されてたでしょう?
ならいっそ仕事道具持ち込んじゃえば、そんな心配かけずにゆっくり休んでもらえるかなと思って……
あ、め、迷惑ならしないですよ!

[ノートPCを半分出して見せてみる。
 とりあえずはまだ洗い物もあるし、すぐにはしないつもりだが。]


 いや持ってるだけ!
 うちよりすごいです、ばら!

全然フォローになってないなと、言ってから気付いた。]

 さんぷんくらい、はい。

[少し気まずいのを誤魔化しつつ、言われた通り、体温計は脇へと。]

 そですね、身体、ポカポカしてきばしたし。
 背中もあんばし痛くなくなりばした。

本当に、彼がきてくれて助かった。
 もし来てくれていなかったなら、今頃、とりあえずカップ麺食べて、鼻の下痛い思いしながら、魘されていたかもしれない。]


 あぁ仕事の……。
 えっあ、じゃあやっばりお仕事あったんですか。

こんなとこで看病しながら、小説なんて書けるものなのだろうか。]

 いや迷惑なんてのはないんですけど、書けるもんなのかなーって、ちょっと。
 すごいですね、プロって。

[自分なんて、原稿用紙4枚の読書感想文に、丸一日かかってたくちなのに。]


【人】 放蕩者 ホレーショー

 なんからなんばで、お世話かけます。
 今度、なんかお礼しばすんで。

>>70空になったボトル、新しいポカリ水をお願いしつつ。
 キッチンへ向かう背を見送り、暫しおとなしく検温していよう。]

(71) 2018/12/01(Sat) 01時半頃

【人】 放蕩者 ホレーショー

[─────ピッピッピッピッ]

 お。

 …………さんじゅうはちど、ろくぶ。

[思ったより高かった。
 というかここ数年、こんなに上がった記憶はない。

 しまった、これは熱を計らないほうが良かったかもしれない。
 可視化された途端に、急に眩暈がしてきた気がする。
 頭も痛いし、目も乾いてきた。

 おとなしく毛布かぶって、横になっておこう。*]

(72) 2018/12/01(Sat) 01時半頃

あったというか……僕の場合、常にあり続けるというか?
数カ月単位で1スパンな感じですからね。
なんで、1日2日やらないならやらないで、他の日にゆっくりやればいいって面もあるんですけど、気にされるくらいならやっちゃおうかなって。

書けますよー、別にどこでも。

[笑いながらそれだけ言って、あとはシンクで洗い物。]



 …… あ、

[重ねられたのは、あの日から一度も忘れたことはない
関係を変える要因になったあの言葉
夜も眠れず意味を考えて、自分なりに解釈し
彼の元に足を運んでは間違え続けたそれ。

何故ここでその話を、などと思っていたのは数秒のこと
息を呑み、声が落ちたことは伝わっただろう。

傍にいると、こんなことをしてしまうのだと
あの時既に、分かっていたとすれば。

────それで説明がついてしまった。
ずっと、“どうしようもなく苦しい”を抱えていたというのか。]


[幼い頃のように無邪気に駆け回ることがなくなっても
テレビ番組のヒーローを忘れてしまっても。
恥ずかしい言葉なんて、巫山戯てでもなきゃ言わなくなっても。

強くて弱い、誰かの為に────おれの為に戦ってくれる人
おれだけのヒーローは、今でも生きている。
生きていた、のに。
彼に自ら、それを否定されるなんて。

“「お前のヒーローだった鳴海柊真は、
 もう何処にもいないんだよ。」“

大切な思い出を否定するような
置いていかれる夢を現実とするような
きっと、それは恐れていた言葉そのものだ。

なのに、意味が大きく違っている。
ヒーローがいなくなったのは、
もう守ることが嫌になったからじゃなくて。
彼は違う姿でまだここにいる、この身体に触れている。]


   

 っ、 ふ…… 

[なぞるような動きは、けれど服の上からだ。
なのに身体は小さく跳ねて、
漏れた吐息は耳元の彼のそれと近い熱を含む。

そんな大袈裟な反応をしてしまったのは
熱い声色に背筋を這い上がるものを感じたのは、
きっと、異様な状況と思いもよらなかった言葉の雨に
神経が昂ぶっているせい。

柊真に、大切な人にそんな反応をするなんて
羞恥心で顔が少し熱くなるのを感じた。
駄目だ、駄目だ、許されない。
自分に言い聞かせるように、何度も繰り返す。]


[けれど混雑した脳内は、追いやるべき思考も浮かばせる。

柊真の隣に立つ彼女たちが妬ましかった。
その場所を、返してほしかった。

────これは、望んでいたものではないのか?
嫌われてなどいなかった事実と、
本来恋人の女の子と重ねるべき欲望を向けられている状況は。

……違う、違う、そんな筈は無い。
おれはヒーローのヒロインでは無いのだから。
いつかおれ達は誰かと結婚して、離れることが正しいのだから!
連なる否定が頭を埋め尽くして
どうしようもなく胸がかき乱される。]




 駄目だ、 やめてくれ、お願いだから……

[両手の覆いを恐る恐ると外す
僅か頬の血色を良くした顔で、弱々しく首を横に振った。

柊真が同性を好きだなんて、聞いたことは無かった
何よりも、確かに異性と交際していたのに。
何人も言い寄る程人気がある彼に対し、身長も体格も劣っている。
かといって女の子に見えることなど、有り得ない。
何より守られてばかりの逃げてばかりな、情けない人間だ
一体何故、そんな自分なのか。
こんなに強引に求める程に欲を向けられているのか。]




 ちゃんと話そう、こんなのは嫌だよ

[呼び掛けながらも、身体は抵抗を示さない
躊躇いながら、視線が彼に向く。

女の子のように組み敷かれるのは、怖いと思う。
だってそんなこと、男ならされると思わないだろう。
でも、それを行っている人はやっぱり怖くない。
ヒーローではなくても、それと地続きの同じ存在。大切な人。
せめて理解したいと願うのは、ただのこの状況からの逃避なのだろうか。

ずっと怖がって逃げていたから
聞かされても、分からないことばかりだ。]**



[どうしてやるのがいいのだろう。
どうすれば彼は喜ぶのだろう。

自分を頼りがいのある大人だと、思ってくれるだろう。]



……………

[触れれば、彼の身体は小さく跳ねるように応え
唇の隙間から溢れる吐息と、声は
熱を帯びながら男の耳に届く。

もっと、と伸ばす手が止まったのは
行き先を失ったそれが、ぎ、と拳を作るように握られたのは

……違う、違う。
こんな事がしたいんじゃない。

彼を、壊しかけていた自分に気付いたから。
彼が幸せになる為に、これ以上はしてはいけない。]


[やめてと請われて、ひとつ、息を吐く。
僅かに赤みのさす頬を、遠慮がちにすくい、呟く]


………ごめんな。
お前のヒーローになってやるって、言ったのに。

[ヒーローはいない、と男は言ったけれど
おまえだけのヒーローで居ようとしたからこそ
きっと、こんな事になってしまった。

ただ、今溢れるのは
彼の理想のヒーローになれなかった事への、罪悪感。]




なぁ、本当は一人で寂しかったんだ。
だからお前が来てくれて、嬉しかったんだよ。

………他でもないお前が。
俺が一番傍にいて欲しい、って思ったお前がさ。


[ヒーローが守りたかったものは
大勢の人々ではなく、たった一人の幼馴染。

ヒーローに必要だったのは
可愛らしいヒロインではなく、安らぎを与えてくれる居場所。

どちらも、持っていたのは幼馴染ただひとりだった。]




目が覚めたらお前が居て
お前が作った弁当を食べて
くだらねえ事言い合って

そんな日が一生続くわけ、ねえのにな。
………だって俺達は“男同士”だから。


[漏れたのは、僅かばかりの本音。

先程の幼馴染の言葉を重ねたあてつけと
女であるというだけで
簡単に俺からお前を奪っていく誰かに向けて。]



ずっと一緒に生きて来たのに
お前を幸せにするのは、
俺の知らない奴なのが許せなかった。

………けど、もう良いんだ。
お前のヒーローじゃない俺じゃ、
お前の傍で、お前を守る事なんか出来ねえから。

[隣を奪われたくない。

そんな感情が育てたものは、酷く歪で
恋人に囁くようなそれとは違うのだろう。
それでも、きっと、一言で伝えるのならばそれは]






お前が好きだから
誰よりも、何よりも大切だから


───…… だから、もう俺に近付くな。

 




[本当は、近くにいて欲しい。
誰よりも近くで、その笑顔を見ていたい。
俺が、俺の手で幸せにしたかった。

けど、それはもう俺の役目じゃない。
何処に居ようと、お前が笑顔でいてくれるのなら十分だと
自分に言い聞かせ、醜い心を押し殺しながら、そう告げた。

その時の男はきっと
いつかの日、痛む膝を隠して
平気だと、幼馴染に強がっていた時に似た顔をしていて。]




………なぁ、俺が言ったら、何でもするんだろ?

だったら早く
今日の事は忘れて家に帰れ。

俺が、お前の事 無理矢理奪っちまう前に。

[そうしてくれなきゃ
きっと、止められない。
間違っているのに、こんなにもお前が欲しい。]



…………稜、頼む。
お前を、傷付けたくねえから。

お前には、笑ってて、欲しいんだよ。


─────ッ……げほ、 ゴホ、ゴホッ ゴホッ!!!


[喋り過ぎたせいか、込み上げた咳の予感に
彼の顔を避けて、隣へ顔を埋めながら大きく咳き込んだ。

喉が焼ける痛みを感じながら、卑怯な事をしていると思う。
こんな自身を置いて、幼馴染が帰れる訳がないじゃないか。*]


[方徳さんのもとに戻れば、作業を止めて横になっていた。]

……どうでした?

[すすいだペットボトルに水とポカリを入れて戻るまで5分少々。
 体温計が鳴るには充分な時間かと、結果を問いかける。

 素直に液晶が表示した数字を聞けば苦い表情をするしかないが、かといって眠れるか、回復するかは当人次第なので、あとは見守るくらいしかできない。
 食欲はあるそうだし、薬も飲めているあたりは、不幸中の幸いか。]


何か、他に僕が力になれそうなこと、あります?

[彼が眠ってしまう前に、思い切って聞いてみた。
 どうしたらいいやらわからず、思いつくことも尽きたが、本人はもしかしたら要求を抱えているかもしれないと*]


[寝起きの身体で強引に引きずり込まれて
十数年の付き合いの幼馴染は、知らない姿になってしまった。
きっと、沢山言葉を向けなければ駄目だ
こんな風に関係を歪ませたくないと、伝えなければ。

────そう思ったけれど、
ひとつ、彼が息を吐いたのが合図。状況は変わる。
すくう動きはまるで遠慮しているよう。

呟かれた謝罪とその続きには、罪悪感が込められている。
それは、嫌がられて止めた行為と矛盾しない態度。

ふと思う、先程もそうだった。
触れられたのは、少しの間。手はもう伸びなかった。
ただ服の上から触ることが目的で押し倒したのでは無いだろう。
おれは腕も掴まず無抵抗にただ顔を隠していただけなのに。

ああ、そうか。そもそも────
今まで何もせず、ずっと遠ざけていたのだって。]



 柊真は、嬉しかった
    おれが、一番……?

[唇は拒む言葉を繰り返すのを止めて、柊真の言葉を拾い
内容を解釈し、辿々しく声にする。
動揺は困惑に塗り替わって、
今はそこに理解が広がり始めるようだった。

視覚と聴覚が、至近距離から
「ヒーローではない鳴海柊真」を捉え続ける。]

 っ……

[唇を噛み、表情が陰ったのは
自分で言った否定を、彼が口にした時。

傷つけてしまったような気がした。
そして、これはまるで柊真に拒まれた後
自分が感じていたことそのものだったから。]


[少しの胸の痛みを覚えている間にも、話は続く。
やはり、それもまた────許せなかったと言い切られた内容も
おれの抱えたものに、とてもよく似ている。
だから、直感的に過る焦燥
その続きを聞いてはならないような気がした。

けれど今更耳を塞ぐのは、あまりにも遅すぎて。]

 ……ああ、

[余すことなく、全てを聞き遂げてしまった。
吐いた息と零れた声は、嘆くような泣きたいような響きを持つ。

そんな顔で、あの時の君の姿で、……言わないでくれ。]


[ああ、柊真は変わらない。
こんな状況でも、結局ずっと相手の為に行動している。

それなのに何もかもが間違っている。
幼馴染を帰そうとする彼は
そうならなければ、きっと本当におれを……
傷つけたくないという気持ちが、切実に伝わってくる。

さっきよりもずっと胸が痛い。]

 ッ、柊真……!

[不意に幼馴染の身体が、動く。次いで傍らから聞こえる咳。
隣に顔が埋まることで、身体と身体はより近くなった。

大きい背に向けて、両手が伸びたのは思考より前の行動
そのまま抱き締めるように腕を回して。]



 もういいんだ。
 柊真はヒーローじゃなくても、いいんだよ。
 一人で抱えるくらいなら、傷つけてくれていいんだよ。

 ずっと気づかなくて、ごめんね。
 おれ、やっぱり自分ばかり助けられていたんだね。

[撫で続け、決して離さないまま
ぽつりぽつりと語り掛け始める。
身体に負担を掛ける程に伝えてくれた内容に、
思ったことを一つ一つ、声に変えてゆく。]




 ずっと、嫌われたんだと思ってた。
 でも、……それが何故なのか、聞くのは怖かった。
 直せるようなことじゃなかったら、
 もういいって、やり直すことも拒まれたら。
 そう想像すると、夢にまで出たんだ。

 ……あの日からずっと、辛かった。

[最後の一言は囁くように、か細く落ちる。

いい年をして情けないと、改めて思う。
そんな奴だからここまで追い詰めたのかもしれない。]



 おれ、行けないよ。
 柊真は今病人だからとか、そういうことじゃなくて。
 自分がされたくないことを、君に出来ない。

 柊真がいなくちゃ、ちゃんと笑えないよ。

[だから今は、向き合ってみようと思う。
────それがどれだけ間違っていても。]







 無理矢理じゃなければ、ここにいていいのかな。

 




 するのは怖いけど、……柊真は怖くない。

 ヒーローじゃなくても、柊真はおれの一番大切な人だから。

[思考を声に出すことは、伝える他に自身の頭の整理にもなる。
どういう意味なのか、分からずに口にしているわけではないのだが。

今はその先を言わず、
自ら指摘していた問題から目を背ける狡さは、自覚している。]*


 
[涙で潤んだ目。下を向いていたせいか、頭に軽く血がのぼったかのように顔が若干赤かった。
トイレに座り込んだ体に力は入らず、へとへとだ。腹筋だかなんだかわからないところが疲れている。

手で触ってわかるほど熱があるそうだから、そちら由来の力の入らなさなのかもしれないが。

濡れた睫毛を瞬いた。顔が近い。
ひどく心配させたらしいことは、相手の顔を見れば一目瞭然というやつだった。]


[近すぎることを恥じらうように、少し目を伏せた。

臭いそうだからが6割、産まれてこのかた誰かと付き合ったこともないので、人間との接触にそもそも慣れていないからが4割という恥じらい具合だ。

腕を引っ張られて、驚いて、んく、と喉が鳴った。息をなるべくとめるのを諦めて、細く息を吐いた。
立てるかどうか返事する間もなく、腕は肩に担がれていて、腰に手を添えられる。少しそわそわした。

肩に乗った腕に力をこめるような形で、よたよたと立ち上がり、また小さく咳をした。

きっと一人でも立てたと思うけれど。多分一人でも歩けるとは思うけれど。せっかく焼いてもらった世話を無下にするのもなんだし、ついつい甘えたくなってしまう。] 


 

[流しのフチに手をついて、カップにいれた水を口に含んで濯ぐ。
水を吐き出した。
ねばつく唾液が唇からぷらりと糸をひいている。
それを隠すように手の甲で拭って、また一口。
小さな溜息をつきながら、何度か口を濯いで、冷えた手を洗った。

口を濯ぎ終わった後も、また岩動の肩に腕を回す。
今度は遠慮が薄く、へへ、と照れ笑いのようなものを浮かべた。]


[ふわつく足取りで部屋に戻ってきて、ベッドの傍までくると、肩に回していないほうの腕をベッドについて、片膝もベッドに乗せる。

岩動の肩から腕を離し、四つん這いでベッドの上にのそっと乗って、肉の薄い尻を向けたままふり返る。]

 あざしたw

[と、目を細めてお礼をいった。]


 
 これ美少女にやったりしてもらったりするやつや…


[悲しいかな宇原にとっての頭を撫でるという行為はそういう程度のものなのだ。
親戚づきあいがないため子供と接する機会もなければ、普段摂取している動作やストーリーが描写されたものは漫画やアニメやゲーム。基本的にカワイイ女の子が出ないものに興味はない。]

 ……あ、動物にもするね。

[犬とか。猫とか。
そう言って、頭を撫でられながら、岩動の顔を見た。
どんなに見つめてみても、美少女ではないな……。]


[背に回ったのは幼馴染の腕。
元より近かった身体の距離が、さらに近づくのを感じた。
風邪であるという事を利用した自分に嫌気が差した。
幼馴染のやさしさに、こんな時まで甘えてしまう自分が。

そうして、止まらない咳を何度も繰り返した後
耳に落ちるのは、予想していなかった言葉。]

………は、…………
何、言って………  

[撫で続ける手は、依然そのまま。
呟く声に声量はなくとも、近いせいで、
一つずつ身体に響くように聞こえた。]



………悪い。
俺も、気付かなかった。
俺にまで、そんな事させてたのか。

[嫌われる事を気にして顔色を伺う、なんて
今まで、俺にだけは、そんな事しなかったから。
あいつの初めての嘘に、気付けなかった。]

俺がいなくても大丈夫だって、思ってた。
たくさんの友達に囲まれて笑うお前は
遠くから見てても、幸せそうだったから。

[こいつが笑顔を作る奴だって、
俺は、はじめから知っていたはずなのに。
───それに気付けない程、嫉妬していたのか。]


[こちらからも、抱きしめる形で体重を預ける。
片方の腕は背に回し、壊さないように、けれどきつく抱き寄せ
もう片方は後頭部に添わせ、子供をあやすように
辛い思いをさせた事を詫びるように、何度も撫でつけて]


………


[何でも言う事を聞くと言ったのも
きっと俺に嫌われたくないせいも、あったんだろう。

それを覆す言葉が、今は何より嬉しい。]





馬鹿。

………風邪、移っても知らねえからな。

 




怖いっつっても、途中で止めるなんて
俺はそんな器用な事出来ねえぞ。


[止めるなら今のうちだと言うように。
撫でる手は止まり、その頭が逃げてしまわないよう抑え込んで。]


……… 稜、

[いつしか唇は彼の耳元へ近づいていき
囁きの距離を通り越し、名前を呼ぶ頃には
僅かに湿り気を帯びたそれが、彼の耳殻に触れた。*]




[さっきから思っていたが。

 何やら、よろしくない。]


[何がどうよろしくないと言うと今の岩動には説明が難しいのだが。

体調不良を、弱っていることを思わせるにおいがよろしくない。
力の抜けた弱々しい体がまたよろしくない。
涙で濡れた瞳とまつげに照明が反射しているのが、息を乱して顔を紅潮させているのが、唇から唾液が糸を引いたりだとかそれを手で拭ったりだとかが、疲労と体調不良でかすれた声が、普段にない遠慮がちな甘え方なんかは、更によろしくない。

臭いものが好きだとか、そういう趣味はないはずだ。
そこではない。そこではなく。

これらの事実が、岩動が彼の領域に踏み込んでいるということを、無自覚のままに実感させる。そしてその事実に酔いしれたいような気分は少しずつ、ふつふつと大きくなっていた。]


[ベッドの上で四つん這いになったまま振り向いた宇原を見て思ったことと言えば、尻が小さいとか、めちゃくちゃ見せびらかしてくるな、とかそういうこと。まあ、しっかり見ているのだけど別段、男の尻だな、と言う感じだ。しかし、形がいい。
あまりにバッチリな角度すぎたので、わざとやっているのかとすら思い始めた。]

 ん。

[軽めの礼には軽く頷いた。]



[「これ美少女にやったりしてもらったりするやつや…」

宇原の言葉に声を上げて笑う。]


 俺は息子でも出来た気分かな。
 いや、弟?

 ……甥? いや…犬…


[これらは普段感じている彼への印象。
でけえ小学生とか、人型の犬とか。懐き方が大味で、疑いの余地のなさがシンプルに心地よいと思えるところが共通していると思う。

すべすべと形の良い頭をなぞり、最後に指先で少し後頭部をなぞるようにして、手を離した。]


 
[頭を撫でられながら、すこし怪訝そうな顔をする。]

 息子が出来た気分とか…
 突然のスタイリッシュスーサイドじゃないすか…
 童貞パイセン…なんなんすか……

 ンフッ…… や、くすぐったかったw

[耳近く、頭を撫でられて小さく笑いながら、むず痒さに身じろぎした。]

 おれ弟属性あるしな〜…リアル弟だから…

 マ…?いぬ感ある…?
 はあ、犬に産まれて白いワンピースの少女に飼われて
 海岸線を散歩したい人生だった…


[もそもそと腹側から体温計をもった腕を入れる。
セイカちゃんTシャツがめくれ、腰骨やへそが出る。
細いお腹まわりがひんやりとするが、姿勢を直すのも面倒で、体温をはかり終えるまでは出しっぱなしで放り出しておく。]

 つめてwww
 っっっ・・・ぶしゅっ・・・ ぶしっ

[冷たい体温計を脇に挟めて、くしゃみが出た。]

 あっっっ……

[拍子に、なんか鼻の奥につまった米がとれた。
ありがとう奇跡。]


[そう、童貞なのだ。童貞であり、なおかつ童貞の先輩でもある。]

 親戚の子供とかとたいしてかわんねえっつってんの。

[負け惜しみにそう言うと、ふん、と鼻を鳴らした。]


 犬っぽいね〜 猫でもいいけど。豚でもハムスターでもなんでもいいんだけど。
 そういうのっぽい。
 白いワイシャツのおっさんならここに居るから我慢しなwww

[飼ってやっている。願望を口にする宇原に、そう言わんばかりの口ぶりで笑った。]


[童貞先輩に親戚の子供変わらないと言われても、とくに悔しくもなんともない。ガキ扱いには慣れているのだ。]


 犬でも猫でも豚でもハムスターでもいいって
 なんでも、げほっ、いんじゃんwwwww

 え〜?……スピ……
 メイさん飼ってくれんすかあ?

[飼ってやっていると言わんばかりの口ぶりに、存外悪くない提案だというような声で言った。]


 
 飼い主にならたぶん
 さっさと帰るとかつまらんこといわれんしぃ……

[懐いていることも、もっと構われたいことも、とくに隠す気がない。]

 明日しごとでしたっけえ…?
 ……

[結局、帰るのだろうか?
熱っぽくてひりつく目で岩動の表情を伺った。]


[飼ってくれるんすかあ?と鼻をスピスピ鳴らしながら言う声色は弾んでいた。]

 何で嬉しそうなの。

[変態か?変態だった。と自己解決しつつ怪訝な顔をしてみせるが、どうやら帰ろうとしていたのを気にしているらしい。
本当に、随分懐かれたものだなと貧弱な表情筋なりに表情を綻ばせた。傍目には僅かな変化だろうけれど。]


[日中から酷かった咳を、何度も繰り返す相手を
気遣い、慈しんで撫で続けた、その最中のこと
密着していても伝わるよう、緩やかな動きで首を横に振る。

それは、打ち明け話に対する彼の反応に対する答え
謝罪と、幼馴染がいなくても大丈夫だなんて言葉
両方を否定したつもりだった。

友達が何人出来たとして、彼の代わりなど一人もいない。]


[彼がそうしてくれているように、
自分もまた、与えられるものを受け止める。

夢の中の登場人物には無い重みも、
きつく抱き寄せられる感覚も、
あやすような撫でつけと同じくらいに心地良くて。
一時だけ、子供の頃に戻ったような気分で目を閉じていた。

いつまでもそうしていたい、なんて浮かぶ
成人した同性の幼馴染となんて、きっとしてはいけないことなのに。]





 移したほうが、早く治るんじゃない?

[笑みを含む声色で、呟いた軽口。

君のように強がってみたかったのだけれど
散々狼狽え、触れられて反応した後だから
かっこよく見せることは最初から諦めている。]



 
 止めなくていいよ。
 いや、……止めないでほしい、かな。

[幼馴染らしい言い草が、何を言いたいかは分かる。
それでも、もう答えは決まっていたから。
抑え込まれても、おれの態度は変わらない。

いつしか動きを止め、相手を抱くに留まっていた両の手は
その力を弱め、するりと解けて脇に落ちた。
一方で、身体は固くなり少しも緩まらないのはどうしたらいいのか。

可愛い少女ならまだしも、170を越えた成人男性。
あまり情けないところを見せたくもないのだけれど。

まさか自分の初めての相手が同性で、
……幼馴染になるとは思わなかったのだから。]


[二人の声と呼吸しか聞こえない暗闇の中、
抱き締められる距離で触れ合っていれば、
近づく気配も過敏に感じるようだ。
ずっとずっと、傍にいた筈なのに。
こんなに近くで声を聞いたことは、きっと無い。]

 柊真、柊真……

[呼び返す声には余裕の欠片もありはしない。
それも、昼間はまた呼ばれたいと思っていた名前を
こうして“無理矢理”じゃない形で、なんて。
心臓の鼓動が、気づかれるのではないかと思う程、早まる。]


[耳殻にどこか湿り気を帯びたものが触れた時
身体が引こうとしたのを堪え、少しの身じろぎに留めた。

徐々に上がっていった熱は、未だ停滞に至らず。
むしろ、吐息を感じた時のように強まるようだった。

……ああ、多分。これは宜しくない。]


 それ、嫌だ……

[空いた手の片方で、口許を覆う。
出来たら別のところに触れてくれたらいいのに。]*


[鼻水だ咳だは、冬場はわりと年中出るし、関節が痛いだの怠いだのは、疲労でなることもあるし。
 だから、わりと甘く見ているというか、まぁどうにかなるだろうという気分にもなる。
 ただ、熱だけはだめだ。
 なんか熱っぽいとかならともかく、こうして数字が出てしまうと、精神的になんかだめだ。]

 ア"……。

凛堂さんが荒いものに向かってから、そう時間はたってないはずなのに。
 やけに心細さを感じた。]


 すばせん……なんか、熱あるってこう、はっきりわかると……。
 なんていぶか、意識しちゃって……。

[結果、必要以上に弱ってしまう。
 よくない傾向だなとは思うのだけど。]

 ……えと、あの……。

[凛堂さんをちらと見て、それから、ノートパソコンの入ったカバンを見て。
 どうしようかなと、少し悩んだけど。
 どこでも書けるらしいこと、言っていたし。]


 お仕事、差し支えないよう、なば。
 ズズ

 ……しばらく、ここ、いてぼらってぼ、いい、でうか……?

多分、いま独りになったら、淋しくてしょうがない。
 そばに、誰かいてほしい。]

 忙しいなば、ちょっどだけでも、いいんで。

[せめて、眠りにつくまでは。
 お願いできるだろうかと、控えめに、片手を伸ばしてみた。*]



[自身を真似るような幼馴染の軽口。
続く言葉も、全てが男の行為を煽るもの。
男の躊躇いを、幼馴染を自分の手で穢す事への罪悪感を
洗い流してくれるようで、こいつは敵わないと、小さく笑う。

しかしならば、返すのもまた彼に合わせた軽口のようなもの。]


……こんなに身体ガチガチにしといてよく言うぜ。
童貞じゃねえんだから。

[抱かれる経験はさすがにないだろうが
いくらなんでも、と続けるのは
恋人が居れば、そういう経験はあっただろうと思っての言葉。]




[自身の名前を呼ぶ声には、余裕がない。
男が一番心地良いと思い、求めた、幼馴染のそれだ。

既に、普通の幼馴染としてのスキンシップをこえた触れ合いも
身体をますます熱くさせる一方で。


いくらその行為自体の経験はあれど
同性と───ましてや、男にとって一番大切な幼馴染と、となれば
こっちだって、早まる心臓の鼓動を気にしている程の余裕はない。]


[だから彼が嫌だ、と口を覆えども]


………止めないで欲しい、んだった よな。

[は、と断続的に溢れる吐息は、風邪の熱から来るものに加えて
隠せない興奮を示すには十分な程に、耳元で響いて。]


──── ……稜、 稜


[逃さないように、また彼の後頭部を抱き寄せながら
リップ音を一つ、名前を呼んで、また一つ。
そうしてそこに顔を埋めるように求めれば
舌が耳殻をなぞって、さらに奥まで*]


おつらそうですね。

[帰ってきて最初に抱いた印象が、そのまま口から出た。
 作業をやめて布団をすっかり被って、弱った様子で声を上げたのが、どうにも苦しそうに見えた。

 膝を折って視線を合わせるようにして、様子を伺う。]


ああ……やっぱり、そういうの、ありますよね。
すみません。

[余計なことしてしまったな、と、今度は口に出なかったのはよかった。
 事実が事実でないかは別問題で、そんなことないですなんて、病人に言わせる言葉じゃない。]

はい?

[言い淀むのに、どうかしたかと少し顔を近づける。
 音を、声を、聞き逃さないように注意を向けた。]


ああ。

[そして、告げられた希望を聞けば不謹慎かと思いながら笑ってしまった。
 差し出された手を取ると、ひどく熱い。熱の高さを物語るようで、その手をいたわるように両手で包みこむ。]

もともとそのつもりでしたから。
お安い御用です。

[そのためのPC持ち込みだし、仕事もそれほど差し迫ってない。
 大丈夫ですよと何度か言い重ねて、そっと手を離した。]


ここにいますんで、大丈夫ですよ。
僕のことは気にしないで、眠れそうなら眠っててください。

コンセントだけ、お借りしてもいいです?

[コンセントの場所だけ聞いて、ノートPCを開いた*]


たかが風邪で、いい歳して何を言っているんだと、自分でも思う。
 けれど、なまじ熱出して寝込むことが少ない分、どうにも不安で仕方ない。
 対処法が分からない、とでもいえばいいのか。]

 すばせん、なんか……。

やっぱり、笑われてしまった。
 買い出しに看病、体温計まで取ってきてもらって。
 そのうえこんな頼み事とか、図々しいですよね。
 だから、もうさっさと手を引っ込めて、毛布をかぶって隠れて、眠ってしまおうと思ったのだけど]

 あ"…………。

[握り返してくれた手は、ひんやりして気持ち良かった。]


 …………ありがと、ござます……。

[もう片手を、ぎゅっと添える。
 なんか情けないような恥ずかしいような、嬉しいようなで、少し涙が滲んでしまった。]


 グジッ、ズズ……。

 はい……。
 コンセント、ドアの横と、足元の本棚のとこに……。

[寝室のコンセントはあんまり使うこともないから、ほぼ空いてる。
 そんな広い部屋でないから、多分コードも届くはずだ。]

 あ、よかったば、本棚の脇に、ちっちゃい折り畳み机あるんで。
 つかってくだばい。


[くだらない軽口の言い合いは、彼とでなければ出来ないこと。
「馬鹿」は言い負かされることが多くても、それすら楽しんでいた。
だが、今言われたその言葉は────]

 …………、

[もごつき、何かを言おうとし、結局返せたのは沈黙だけ。
そういう行為をするのは、ちゃんと彼女を好きになってから
自分なりのあの子の恋人としての誠意は
見切りをつけられたことで、いや、そうでなくてもきっと。
果たされることなどなく。

間違いでは無かったと信じているが、
今のリードされ求められている状況で
実は異性とも未経験だと知られるのは……
男として少し悔しいような、
恥ずかしいから秘密にしておきたいような。]


 はい、寝れそうなったら、寝ばす。

 でも……他人の仕事してるとこ、見ることって、そうないばら。
 すこし、なんか……たのしいです。

[慌てて、ちゃんと寝ますよ、と言い添えたけど。*]





 ちが、……

[確かに言ったけれど、でも。
ああ、言い訳なんて考える余裕は生まれない。
きっと未だ熱に浮かされる相手への気遣いなんて、尚更

確かな興奮を示す声が耳元に響き、小さく身を震わせる。
こんな状況ではリップ音も、可愛らしいなんて思えない。
聞こえる、もう一度。とうまがよぶおれのなまえ。
それすらも腰に、下腹部に痺れが下りていく要因。]




 ん っ  ……ぅ

[掌の内に籠もる吐息と声は、弱い部分を這う舌に反応し
何度も、とめどなく、意志に反して漏れ続ける。
抑えることも出来ず、奥へ向かう程に
反応を大きくしてしまうくらいだった。
体温も伝わりそうな距離じゃ、隠すことなんて出来ず。

男の自分の声が、甘く熱を含むのが聞くに堪えない
堪えようとするけれど、無意味な抵抗に近いのが現実。
気づけば強張っていた筈の身体は、力を失って。
何一つ自分自身が思う通りにならないなどと。]





 は、…… ぁ 
    も、 こんな……っ

[浅く荒くなってゆく呼吸にも意図せず混じる声
聞きたくなくても、抑えられて逃げられず。

近すぎる水音と初めての感触を、
与えられるままに受け止め続ける。

続いていても、許され彼が離れても
やがて起こした行動は、同じだった。]




 柊真、ねえ……頼むから

 ────……他のところも、触って


[────それは果たして
弱点を執拗に責められたまらない故の懇願だったのか。
欲で火照る身体が、“その先”を求めた結果なのか。

自分でももう、分からない。]*


[なにせ固定が終わってから駆けつけてくれたのだ。既にとっぷり暮れていた。]

 wwwww なんか……
 さみしー気がしたからめっちゃ引き留めてるけど
 迷惑だったら無視していいからね。

[と、少し弱気に泊りをよろこんだ。]


[諦めきれぬ宇原は、顔をあげる。しょこらちゃんがせっかく台詞つきで三次元にきたのだ。(本当か?)
それでも、これはもとは抱きまくらなのだから。元の用途っぽくつかえば美少女感を堪能できるのではないかと、そうっと腕をまわした。

しかし生まれてこのかた童貞の萌え豚であるところの宇原には、人の抱き方がわからぬ。

人間と触れ合う力加減が全く分かっていない気持ち悪いほど遠慮がちすぎる異様なソフトタッチで、そ〜っと腕を伸ばし、壊れ物に触れるように、あまりにも優しく――抱いた。

この――176センチ28歳会社員オタクが抱き枕の布をかぶったものをだ。]


[抱けば抱くほど――然程柔らかくはなかった。
幻想の中の美少女の触り心地など性格に想像なんて出来ないのだが、聞けばそれは柔らかいという。だが現実は違った。(もちろん現実にはこれは男だった)

骨ばった感触と、ぱつぱつに張り詰めた布。そして先程ベッドまで運んでもらった時傍らから感じた服のにおい。あとは自分のいつもの抱き枕を抱いている時に感じるにおいが、まざりあっている……ただ、若干あたたかい……。

宇原は176センチ28歳会社員オタクが抱き枕の布をかぶったものを羽根のように背後から優しく抱いていた。※1

フェザータッチ(人間の触り方がわからなすぎて遠慮している)で腕まわりや胸元をそうっと形を確かめるように撫でもした。 触れど触れど、美少女性を確かめることは叶わなかった。]


[※1 背後からといったが、「ベッドの脇に腰かけている」岩動だが、「しょこらちゃんはこちらを向いている」つまり、岩動の背面にしょこらちゃんの顔がついているのである。
被る過程と都合上、こうなってしまったが、かぶりきれていない腰から下は美少女ではないので妥協している。]


 

[抱きしめたまま、話し声をきいている。]


[洗い物していた手は、体温の差以上に冷たい。
 温度差に声上げるのを聞けば、どこか微笑ましかった。]

いいんですよ。
看病しに来たんだから、好きに頼って、好きに使ってください。
僕でよければ。

[お礼を言われるほどのことじゃない。
 でも、言われること自体は悪い気はしなくて、添わったもう片手に目を細めた。]


[涙滲ませたのを指摘すべきか迷って、結局何も言わなかった。
 そんなこと、自分が言われたら気恥ずかしくて逃げ出したくなる。
 代わりに癖のある髪をくしゃりとやりたい気にもなったけれど、年上の男性にすることではないかと、離した手はそのまま自分の頭にくしゃりとやった。]

じゃあ、動くとき足にかけたりしないように、本棚の方お借りします。

[コードをバッグから出して、プラグを差し込んだ。]


……ふふ、なんにも楽しいことなんてないですよ。
キーボード打ってるだけですし。

きっと見てるだけでも眠くなりますから、よく寝れると思います。

[言われた通りに本棚脇の机を借りることにして、脚を開く。
 天板にPCを乗せて、ベッドの傍らに座った。
 液晶が明るい光を放つ。]


 
 迷惑だったらそもそも来てないからね。
 さみしんなら泊まっていくからそれでいいじゃない。

[宇原の弱気は少し居心地が悪かった。気を使わせたいわけではない。迷惑そうだと思われるのが嫌で、ややぶっきらぼうに放たれた言葉の後に手をひらひらと揺らし、この話題は早々に打ち切られた。]


 いや、もうじゅーぶんに……ごはん作ってもらって、体温計ばでとりいってぼらって……ズビッ

本当にいい人だよなぁ、って思うと、じーんと胸の奥が熱くなった。
 熱っぽいせいだけかもしれないけど。
 撫でられた頭が擽ったい。
 もそもそ身じろいで誤魔化したけど、案外、悪い気もしなくて、少し口元が緩んでしまった。]

 はいどっぢでも好きなほうを。


淡い光を放つ液晶には、なんか文字が見えたけど、熱のせいか視界がぼやけて、何が書かれてるのかは全く分からなかった。
 元々、目はあんまりよくないし。]

 そういえば、子どもの頃って、こんな熱さばしのしーとなんてなばったから、氷枕とか、あとおしぼり濡らして乗っけてばしたよね。

[ゆっくりと話しながら、ごろんと横を向いて、執筆風景など眺めてみる。]

 横向いても落ちないし……。

[便利だなぁと、しみじみ。]


 …………。

 そういべば凛堂さん、それっていま、なに書いてるんべすか?

[すごく、ものすごく今更だけど。
 隣人が執筆業をしてると知りながら、自分はその本を、一冊も所持してなかった。]

 今度、読んでびたいです。

[謙虚で優しい人だなというのは、前から思っていたことだけど。
 そんな彼は一体、どんな物語を綴るのだろう。
 今更で、失礼かとも思ったけれど、気になりだしてしまったから。
 聞いてみた。*]


[返ってきたものが沈黙だけならば
余裕を持たない男に、その真意を知る術はなく。

この行為の先にある未来、二人の距離が埋まっているのなら
男が、その秘密を知る時も来るのだろうか。

その時が来てもきっと、笑うこともなければ
馬鹿にすることもないのだろう。]


雑炊作ったのは偶然ですけどね。
ちょうど買い物中に連絡してよかった。

[いやもしかしたら、別のタイミングでやってきても結局買い物に出て作った気もするのだけれど、ちょうどよかったのには違いない。
 たいしたことはできないが、力になれたのならよかった。]

少し寝て落ち着いたら、林檎も食べま――

あっ。

[林檎で思い出した。自宅に帰った時、ペティナイフも持ってくるつもりだったことに。
 まあ包丁で剥けばいいかとすぐに思い直したが、不自然に出てしまった声はもう戻らない。]


[直接視界に入れずとも、伝わってくる震え。
その身の反応が示す昂ぶりは、同調するように、男にも痺れを齎した。
──他の誰でもない、俺の手で、声で、こんなにも稜が。

掌で覆っても漏れ聞こえる、甘い熱を帯びた声。
水音が増すのと比例して、下腹部の痺れは熱へと変わり、質量を持ち始める。]


…………稜、……その声、俺すげー好き


[聞くに耐えないという彼の内心知らず、熱に浮かされたように、零す。
掌に些か邪魔をされているのが、勿体無いくらいに。
もっと聞きたい。もっと。]


[とうに反応しきった下腹部のそれを
寝着ごしに、強く幼馴染の身体へ押し当てながら]


ん、……他のところって?


[何処だろうな、と勿体ぶるようにゆっくりと
強張りから開放された身体を、男の手が這う。

そうしてその手は下腹部に至る道を辿り、
しかし熱の中心は避けて、触れないまま
意地悪そうに腰や、太腿のラインをなぞるばかりで*]


[直接液晶から文字を読もうとされているとは気づかないまま、手をキーボードに乗せた。
 アウトラインエディタでいくらかに章分けされたテキストを開き、かたかたと打鍵音をさせる。]

そうですねぇ、今は便利になりましたよね。

氷枕って、タオルに包んだりするじゃないですか。
でもそうするとなかなか、冷たさが弱いっていうか。
もっと冷たいほうが気持ちいい気がして、タオル取っちゃったりして。
でも氷がゴロゴロして寝づらいしすぐ溶けるし、冷えすぎて寒気するしで親に叱られたりしたなぁ。

[口を動かすと、キーを打つスピードは遅くなる。
 それでも別に焦る仕事じゃないから、気にもせず。]


今は、ライトノベルですね。
何冊か出させてもらってる、連作の。

[読者も出版社も拾ってくれた編集さんにも感謝のしきりだ。
 これのおかげで、ほそぼそでもやっていけている。]

他にも時々、単発で記事のライターやったり、ゲームのシナリオの手伝いとかしてますけど。
小説として本になってるのだと、単作のやつもあるんで、そっちなら今度、持ってきますよ。

[献本を受けて、一度読んだあとそのまま本棚にしまわれている文庫本。
 読んでもらえるのなら、本もそのほうが嬉しいだろう。]


[今書いているのは、扉シリーズと題された連作の小説。
 記憶を失った青年が、無数の扉のある奇妙な空間で目を覚ますところからはじまる。
 扉の先はそれぞれ全く違った場所に繋がっており、扉の先に出ても、事あるごとにこの空間に戻ってきてしまう。
 青年が自分の記憶を、そして扉空間がどんな場所なのかを探し求めるのを主目的に、扉の先での人々との出会いと別れや、様々な事件に巻き込まれるのを描いたライトノベルだ。

 今回の青年は、扉の先で口の利けない少女と出会い、不思議と導かれるように霧立ち込める街へ迷い込んでいく――という導入になっている。
 この先の展開ももちろん考えてはいるが、そこは秘密だ*]



[さて、目的も果たしたし狭いし息苦しいし、そろそろ脱ぐか、などと考えていた頃だ。

宇原がそっと、とても優しく…背後から抱きしめてきた。

28年。
岩動が女性とお近づきになれなかった時間だ。
同性の友人とは、じゃれて接触したこともあった。
だがもちろん、慣れるほどの経験はない。
それも男同士ということもあってもっと乱暴なふれあいだ。

ところが、今回はどうだ。
優しく、慈しむように。恐る恐ると抱きしめられた。

他人にこんなに優しく触れられたのは……初めてだった。]



[あまりにもふわふわと、優しく触れる手付き。そして塞がれた視界…
次にどこを触れられるか予想がつかず感覚が研ぎ澄まされる…
この感覚、我々は知っている。


──目隠しプレイ…!!]

 ウツギくんこれ目隠しプレイみたいになってる!!

[さすがにもう、笑いを堪えられなかった。
病人を捕まえて一体何をしているんだ、と思いながらもケタケタと笑い転げた。]


 りんご、はい、食べ……、……ん?

急に途切れた言葉に、なんだろうと首を傾げた。
 けれどその後の言葉も特になさげなので、気にしないことにした。]

 そう、ごろごろして寝づらいんですよね。
 俺、ちっちゃい時、ごろごろして気持ち悪いばばってキャップ開けぢゃって、布団べじょべじょしで怒られたことありばすよ。

 あと高熱出たとき、母親が、一晩中あたばのタオルかえてくればび。
 大変だったぼなって、思いばすよ。

懐かしい話をしながら、そうか、どこも同じだったんだなぁって。
 少し、ほっこりした。
 凛堂さんのキーを打つスピードが遅くなってることには、気付けなかった。]


 あー……らのべってやつ。
 あで普通の小説となにが違うんべす?

聞いておいてなんだけど、普段どんだけ本を読んでいないのかバレバレなような質問だった。]

 へー、記事のライ"……ベフッ……ライターっていぶと、お店とか作品紹介びたいな、です?
 そぶいうの考えて書けるの、すごいですよね。

 はい、ぜひ。
 あんばし本とか読んでないんですけど、なんか気にばるんで。
 読んでびたいです。


 あ、そだ。

 あの、かわりて言ったばなんですが。
 そこの編みかけの帽子、出来上がったば、凛堂ざんもらってくだばい。
 たぶん俺より、似合うと思うんで。

[帽子は、あとはてっぺんの編目を少し減らし、絞れば、完成する。]

 ……ボンボン付けばしょうか?

[白くて、おっきいやつ。
 それは冗談だけどと、笑っておこう。*]


ん……、ああ、いや、林檎剥くのにナイフ持ってこようと思ってたんですけど、忘れたなって。
包丁で剥くんで大丈夫です。

[口から出てしまった音は戻らないから、あははと苦笑い。
 気にしないでくださいと締めくくって、大丈夫と何度か頷いた。]

ああー、僕は開けまではしなかったですねぇ。
あの、たぽたぽした感じが好きだったのもあって、開ける発想がなかったのかも。

[布団が濡れるのは大変そうだと、顔も知らないお母様に同情する。
 懐かしい話は気が休まって、手が止まっても気にならない。]



 め、いさぁん…… く

 くるしぃ……

[と押し付けられた姿勢で、布団に顔を少し埋もれさせたまま、苦しげに口を開けて、はあ、はあ、と息をした。]



 ねー、メイさんさー……。
 ベッドで寝ない……?
 


厳密な定義はないですけど、普通の小説よりテーマが軽いというか、うーん……読みやすいっていうのも語弊がありますけど、コミカルだったり気軽に読める感じですかね。

[自分の話がコミカルなのかどうかはよくわからないが、世の中の認識的にはそのあたりだろう。
 ]

あー、お店紹介とかはあんまり、そんなに知識ないんで。
モニターテストとか多いですね。会社から新作の商品が送られてきて、感想とか口コミとか書く代わりにその商品が先に使えたりもらえたりするっていう。

[モニターテストは貧乏人にはたいへん助かるシステムだ。
 化粧品なんかは女性限定だったりするのだが、家電や日常小物系は結構回ってくる。

 本が読みたい件については、また次回と約束する。]


えっ、いいんですか?
でも悪いし、代金お支払いしますよ。

僕のは献本分ですけど、方徳さん材料費も手間もかかってるし。

[似合うと言われたのは嬉しいが、なんだか申し訳ない。
 ちなみにボンボンは丁重にお断りした**]


[強く押し当てられた、彼の腰の位置にある主張
同性であり、こうして求められているただ一人として
それが何か分からないわけが無い。

柊真が、欲情している。
あの女の子たちではなく、自分に。

喉を鳴らしたおれには、嫌悪も怯えも少しだって無かった。]


[────それなのに。

おれには余裕なんて最初から無くて
自分だってそんなにもなっているのに。
こんな時まで意地悪を発揮するなんて。]




 ッ、…… 馬鹿

[昔から何度も柊真に言われていた
向ける側になることは殆ど無かった、たった二文字。
拗ねと羞恥を含み、声になる。

元より、外出も過度な寒冷も想定されていない
安全で快適な寝具の上で眠る為だけの衣服は
固い生地を持つジーンズよりずっと薄く柔らかく
より直接的に感触を伝えるようだった。

対する、その手が這う自分の下半身は
意図的な動きだけじゃなく、布の隔たりもまるで相手の味方。
齎される痺れを少しでも拾おうとしてしまう身体は、
それでも満たされはせずもどかしくて仕方なくて、
もぞもぞ腰を動かしてしまう。]



[そして、そう時間は掛からない内に
焦れる熱に任せ、行動を起こす。

意地の悪いその手を取り、動きを止めさせ
確かに主張する中心に導く。]

 ……、 ここ

[なんてことをしているのだろう。
耳まで熱い。きっと、赤くなっている。

熱に浮かされたような相手の言葉
何を言っているのかと、そう思ったけれど。
口に出来ないなりに彼に従った短い声にも
似た響きが、確かに含まれていた。

押し上がる部分に触れさせた手、その甲を
導いた手で撫でる動きは、背を摩り労った時と違い
むしろ、彼の触れ方に似ている。]*


 え……?
 林檎わざわざナイフでむくんですば?

キッチンにある包丁は、ホームセンターで500円で買ったステンレス万能包丁一本だけ。
 なので当然、リンゴをわざわざ果物ナイフで剥くなんていう発想は、なかった。]

 たぼたぼ、耳のそばでうるさぶて、だべでした。
 ……ズーーーーッ


[順調に増えてゆくティッシュ山は、そろそろキャパオーバーになりそうだ。
 けれど押し込めば、まだいけるだろうと。
 手を伸ばして、ぐいぐいと押し潰しておこう。]

 気軽に……ああ、いいすね。
 小難しいのば多分、だべなんで。

 もにたーて、それいいでふね。
 あぁでも、俺やったば「使いやすいです」とか「ちょうどいいです」とかしか書けなさそう。

文章力は、こういうところでも大事なんだなと、しみじみ。
 本については、軽く頷いて了承を示しておこう。]


 ……あー……いや。
 それ言ったば、これも、残り物の毛糸で、暇つぶしべ編んだもんだし。

 いつもおかず、御裾分けしてもらって……あ、テシュとば、ポカリのお金……!

むしろそっちのが大事だろう!
 とはいっても、今この状態じゃ、払えないし。]

 あの、金額だしといてぶださい。
 あとで渡しばすんで。

[失念していた気恥ずかしさに、またちょっと、顔が赤くなった気がする。]


[キーボードが、カタカタと優しい音をたてるのを聞きながら、他愛のないことを話していると、少し、眠くなってきた気がした。]

 ……ふぁ、ズビ……

 ぁ……。
 あの、凛堂さん……。

[瞼が重い。
 そろそろ眠れと、身体がサインを出している。]

 ひとつ……お願いして、いいべすか……?


 ……手、もっかい……。

  握ってもらって、も……、……

[さっき、とても気持ち良かったから。
 きっとよく眠れそうな気がして。

 控えめに、毛布の端から右手を出して……]


[布団をぶつけると、宇原が苦しげな声を上げたので咄嗟に押さえつけていた手を離した。]

 うわ、ごめん。

[相手は病人なのだった。いつもの調子で接するのは荒すぎる。
もう一度布団をゆるく掛け直すと、布団の上からぽんぽんと優しく叩く。]


【人】 放蕩者 ホレーショー

 …………z、……

  ……ズピ……zz……

[そのまま、おだやかな眠りに、いざなわれていった**]

(156) 2018/12/02(Sun) 03時頃

[「ベッドで寝ない?」つまりそれは…]

 えっ…と…
 そ………っれは…狭くない?


[なんとなくどもってしまった。

 よろしくない。]


 ああ〜〜〜、そうだ。
 ウツギくん寝る前に布団敷いちゃうか。
 起こすと悪いしね?!


[椅子から立ち上がり、布団のありそうな方へ向かう。少し挙動不審だったかもしれない。]


放蕩者 ホレーショーは、メモを貼った。

2018/12/02(Sun) 03時頃


 
 ……抱き枕よけたらそんなに……?
 ……

 あっ、

 そう、そう。そうそう。 げほ
 おれが布団で寝る的な……意味で。
 いやまあ、めいさんが、窓側なら
 ここでもいいはいいんだけど……

[素っ頓狂なことを言って驚かせてしまったらしい状況と宇原本人も分かってきて、理由を説明しはじめる。]

 ……夜中おれ、ほら吐きに起きる可能性が……
 もしかするし……?

 めいさん布団だと、踏むかも……
 ってだけ。

[しかし生憎と宇原の寝るベッドは欲望ベッドだ。]



 あ、ああ!
 ベッドってそういう。

[なるほど、なるほど、と頷く。どうしてこんなに慌てたのかは、よくわからないけど。

なんとなく隣で寝るのはよろしくない。
むさいし。男同士だし。気持ち悪いだろうし。それに病人だし、狭いし、なんか悪いし。]



[そしていざベッドを使えと言われたのだと思うと、ゆっくりと眉間にシワが寄る。]

 いやあ、嫌だね。

[眉間にシワを寄せたまま、乾いた笑いが出る。
さすがにここで寝ろと言われるのはかなり嫌だ。
シーツに裸の美少女がいる時点でもうお察しというところがあるのではないだろうか?すごくいやだ。]

 俺は床で寝るから。踏まないように気をつけてね。


 ……うん。

[眠そうな目で、けれど眠いのを誤魔化したくて、岩動にやんわりと微笑んで頷いた。
じゃあ起き上がらないと…と考えていたら、かなりハッキリ断られて少し目が覚めた。]

 おう……?
 そんな……おれのかわいい美少女たちが
 気に入らないとでも……!?

[宇原がこのベッドの上でサルのようにオナった回数なんて勿論数えていない。おまえは今まで食べたパンの数を憶えているのか?というやつだ。]

 まあ、あー?
 ……。そうですね。

 じゃあ、気い付けますけど、
 寝ぼけて踏んでもゆるして……。


 
[まくらの代わりに手の上に顔をのせている。頬や唇が柔らかく手に押し付けられていた。
眉間に寄った皺。寝息にあわせて上下する背中。
冷却シートの端は、またすこし剥がれはじめていた。

寝苦しそうな息が、ひう、ひう、と漏れて、詰まった鼻が時折音をたてる。

クラフター作業の単調さに、何度も何度も瞼が滑り落ちてくるのを堪えようとしてみたが、何をやっているのかもいまひとつわからない宇原には難しかった。

眠る直前は口数も減って、目を閉じて体の力を抜いてみたら、そのまま眠気に抗えず、寝返りでうっかり落ちそうな場所にてすとんと眠りに落ちた。]


[深夜、ここまでフラグが立っていたら当然、


―― どすん。

宇原は岩動の寝る布団におちてきた。

幸い宇原の部屋は一階。
下の階の人は存在しない。**]




 君の美少女たちが気に入らないとかじゃなくて
 ……なんかいやだ。

[オナニーなんて自分だって当然していることだし気にはしないのだがどうしてもこのベッドはシーツにこすりつけたのだろうかとか枕にしゃぶりついたのだろうかとかそんな下世話な想像が脳内を巡る。

生理的に受け付けないと言う理由と、もう一つ深刻なのが万が一あのベッドで寝ていてエロい気分になってしまったら目も当てられない。ということだ。
なので今回は丁重にお断りしたというわけだ。]


 あ、いや。踏んでもいいけど。
 転ばないようにね。

[ただでさえ足元は覚束ないだろうし。こんなに物が多い部屋で転んだら大惨事だろう。]


[ベッドの脇にしゃがみ、眠る宇原の様子を覗き込む。
落ちるって忠告してやったのにもかかわらず、彼はベッドの端にうつ伏せで、寝苦しそうに眠っていた。

寝息はやはり、普通と比べて少し荒いような気がしたし、寝顔も険しい。]


 (苦しそうだなあ。かわいそうに。)


[短い髪が汗に濡れて乾いた跡が見てとれる。今日は疲れただろうから、このまま無事にゆっくり眠れるといいが。

また、宇原の頭をゆっくりと撫でる。額のシートは、また頼りなげに端から剥がれかけている。なんだかそのどれもが痛々しく感じられた。]


[ちっとも規則正しくない寝息を立てている体に、再び布団を掛け直して。どれだけ弱っていても本当に顔が良い。憂いの要素がプラスになるのはわかるとして、体調不良と疲労は自分の場合ただただ老いるだけだ。まったく生態が違うのだと再認識する。

それがなんだか不思議な気分になり、鼻が詰まって口で寝息を立てる宇原の頬を指で押してみた。本当に同じ生き物なのだろうか。彼の生態を探る指はそのまま下唇を押し上げる。

自分と宇原が今、ここに居ることがなんだか作り話のような、宇宙空間にたった二人放り出されたような。

静かで意味のない時間は、少しの間続いた。]


―ド深夜―

[このフラグ回収力は、さすがというべきだろう。]


 う……っわ……
 ………びっくりしたあ……


[宇原が岩動の布団に落ちてきた。
当然起きたものだと思って声を上げたものの、驚いたことに宇原はいくらかのリアクションをした程度で、また眠りについてしまった。]


 うっそ…よく寝れる…

[本当に驚いている。そして困っている。
岩動は空いている方の手のひらを、額に叩きつけた。]


 動けねえ………


[宇原が落ちてくる瞬間、なぜか彼の落ちてくる予兆で目がさめた。

「落ちる!」そう思った瞬間咄嗟に伸ばした腕は彼の下敷きになっていた。]



 …うっそでしょ。

[腕枕状態だ。呼吸が近い。触れた部分が温かい。
ちらりと目線を送ると、整った顔が直ぐ側にあった。

迷惑だ、そう思うより先にどぎまぎと心臓がざわつくのを止められなかった。]


[自身は口癖のように、幼馴染に浴びせていた二文字。
それが、今は彼の口から音になった。
その音に含まれた感情と、
自身にしか向ける事はないだろう独占欲を覚えれば
言い返す気になどなれない程、愛おしくて。
彼の身体を這う手付きは、いっそうもどかしく、優しいものに。

しばらくの間そうしていれば、
痺れを切らした幼馴染の手が自身のそれと重なって、
導かれるのは、確かに主張を示す熱の中心。]


…………稜、俺でこんなにしてくれたんだ。

[予想外の大胆な彼の行動に、驚いたのは一瞬。
耳まで赤くなっている顔をじっと見つめ
浮かべる表情は、純粋な嬉しさと、抑え切れない欲が
混ざり合ったような熱っぽさを残すもの。]




[どう責めてやろうか、と熱を持った脳が思考したその時だ。]
 


─────…… ッ くしゅ !!!


[幼馴染の熱を残したまま、唐突に手は離れ、
くしゃみの衝動で、虚空を彷徨った。]


あ゛ーー……… 格好つかねえ


[この風邪のおかげで、現在の行為に至れた事もあり
その悪態は控えめではあるが。
幼馴染の身体を越え、ベッド脇にあるティッシュを一枚、二枚。
鼻を鳴らす音と共に、その中に鼻水を吹き捨てると
早く続きを、と言わんばかりに投げ捨てた。]


[驚いたことにベッドから落ちてなお眠っている宇原は、なにをまくらにしているとも知らず、眠り続けている。

平熱よりも二度ほど高い体温は、ぬくぬくと毛布を温めていた。**]




……ほら、脱がせてやるから。


[恥ずかしかったであろう行為を乗り越えた幼馴染に
もう“意地悪”なことはしない。

向き直った身体は、彼の腰を掴んで軽々と引き寄せ
纏う下の、ジーンズを躊躇いなく脱がせて、
ティッシュと同じようにベッドの外へ投げ捨てる。
ついでとばかりに下着も同じように捨ててしまえば
彼の熱を隠すものは何もない。]


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フィルタ

注目:ホレーショー 解除する

生存者
(5人 75促)

ホレーショー
30回 注目

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