199 Halloween † rose
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………が、一緒には、行けそうに無い。 すまんな。 先客が出来た。 折角、匿ってくれるっつったのに。
お前とは、 この街でお別れなんだよ。
[緩く抱いた腕はそのまま。 放したら、彼の泣き顔が、見えてしまいそうで。
甘い香りが近い。 それはあの、小さな砂糖菓子の香か。 それとも彼の香か。]
(@32) mzsn 2014/11/02(Sun) 01時頃
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ボス……!
[時は進み、鐘が鳴った。
ハロウィンが終わらぬが故に保留され続けてきた”解雇”宣告も、いよいよ効力を発揮することになるのだろうか。]
分かったよ、ボス。
[シーシャのことを「ボス」と呼べるのも、もう後ほんの少しの間だけ。
さて、いまシーシャはどこにいるのだろうかと、耳を揺らして気配を求める。]
[顔の前に人差し指。]
この魂使ってもう一回生物として――寿命も姿もただの猫として生きるか
[今度は中指を伸ばした]
コイツを魔力に還元して、寿命も生態もただの猫じゃねぇ――軽く魔物として生きるか。
[以前、他の下等妖魔から聞いた話は、契約を解除しても、まだ多少の魔力は残る、契約者である人間が置いて死ぬまで、ずっと傍にいられるというもの。
けれど実際には、若干の違いがあった。
その妖魔が、また別な契約形態だったのか、それとも、魔として生きることに躊躇いがなかったのか……今更、知ることなど出来はしないが。]
ボス、おれは………
[悪魔との契約を破棄するということは、思っていたより、ずっとずっと、重い事柄だった。
けれど、決断に、そう時間を有することはなかった。]
おれ、ただの黒猫に戻るよ。
[たとえ、どんな永い時を得たとしても、その先にあるものが永遠の別れであるならば、そんなものに意味はない。
ならば、たとえ短い時であっても傍にいて、いつの日かまた、巡り会うことが出来るなら……]
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[>>178>>179今後この街に戻る予定は無いし、数年で居所を変える身。 リーと共に行くならばそれも多少は落ち付きを見せるだろうが、それでも、再びこの男と顔を合わせる可能性はゼロに近いのだろう。 住所を送る気も、あまりない。]
…そうだな。 多分、二度と。
[彼と、リーと。何処が違うのかと問うてみても答えは曖昧で、 それでも選んだのは彼では無いのだと、昨夜と同じような温もりと笑みを強く抱く事はしない。 ただ、彼の笑みだけは昨夜のリーの物と大きく違って居て。そして、それを違えてしまったのは自分だった。
縋る男をゆるりと撫でていれば、差し出されたのは11月の菓子。>>180 恐らく彼のクニの菓子なのだろう。異国の珍しい品で、目にした事はあまりない。
押し当てられた欠片を加えれば、彼の指にカサついた唇が触れたか。]
(@42) mzsn 2014/11/02(Sun) 21時頃
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[人の食べ物は、魔にとっては時に脅威に。
ぐずぐずと、 口内を焼きながら溶け行く砂糖を転がすと、]
…うまいよ
[そう呟いて、閉じ込めていた手を離す。
ハッカは魔を祓う。 砂糖と薄荷と、血肉の味をさせて、星は溶けた。 唇を僅か爛れさせて。]
(@43) mzsn 2014/11/02(Sun) 21時半頃
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[正体を知った人間をこのまま帰すのは、気が引ける。 数日分の記憶を飛ばす薬もあるし、それこそ、殺して今度こそキッチリ幽霊にしてやってもいい。 それでもそれを実行しないのは、特別な情が沸いたからか。]
…――百年か二百年位したら、 その時は匿ってくれ。
運が良けりゃ、まだ生きてる。
[自分は。 しかし、彼はとっくに灰になった頃。
温もりがうつった身体は徐々に冷え、再び冬の外気を纏い始めるだろう。最初から彼の抱擁など無かったかのように。
結局、昨晩別の人間と踊ったダンスフロアに、 彼を招く事は無かった。*]
(@44) mzsn 2014/11/02(Sun) 21時半頃
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悪魔とヤんのはすげぇイイらしいぜ?
[舌なめずり一つ、彼に言い訳を与えて−−−深く深く、ベッドに沈み込む。
運命を共にする影二つ*]
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―11月1日:???―
[その店が開いていようが閉まって居ようがお構いなし。 どうせこの時間なら店主は居るだろうと目星をつけ、勝手に店内へ入って行った。
店主の名前を呼びながらズカズカと侵入して、寝て居たら起こしてやる勢い。 居なかったら、もうひとつの候補先である愛人の家まで出向くつもりで。]
(@49) mzsn 2014/11/03(Mon) 00時頃
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―11月1日:ニコラエの店―
[その顔色の悪いアンデットは、招かれたから来てやったと。そう言うだろう。
要件は特になく、しいて言えば「この街を出る」と、それだけ。 と言ってもこの街に住まない吸血鬼には、あまり関係の無い事だっただろうが。
後は――、]
…次の新しい店は、 少々雰囲気を変えたくてな。
[要望はそれだけ。 特に何を買うかも決めて居ない。 何が置いてあるのか、何がいいのか。イマイチ興味の薄い面倒な客だっただろう。 品物の種類もチョイスも、店主の吸血鬼に全て任せた。]
(@50) mzsn 2014/11/03(Mon) 00時頃
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[薬屋に騒がしい店員が増えるなら、店の空気も変えなくては。…と言うか、どうせ弄られるに決まってる。 次の店はスペースを広く取って、あの忙しない青年が動き回れるようにしてやろう。 一所にじっとして居られない、リアクションの大きい、煩い店番。 薬屋の番としての働きぶりはまだ見ていないが、きっと明るめの店になるのだと思う。
肝心の代金は、支払いは要らんと伝えた筈の輸血パック代と、人の店で素っ裸になった迷惑料と、人の家の前で盛って居た迷惑料と。 それで勘弁してやると言って商品を強奪して帰って行った。
多い出したように、ドナルドのレポートの催促を言付けて。]
(@51) mzsn 2014/11/03(Mon) 00時頃
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[偶に爛れた唇を噛むのは無意識に。 肉の味がしても、別段気にする事は無い。*]
(@52) mzsn 2014/11/03(Mon) 00時頃
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研修生 キリシマは、メモを貼った。
mzsn 2014/11/03(Mon) 00時頃
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―11月18日、出発の日―
[荷物はたった一つだけ。 その中に店の道具を、この街で過ごした10年を全て詰め込んで。 防寒具なんて必要ないが、人間の振りをして若干カビ臭いコートなんかを着込んでみたり。
列車のチケットは二人分。 目的地までは距離がある。まずは大きめの駅に行って、そこから寝台列車に乗り変えよう。 次の街は、やや遠い。
待ち合わせたのは何処だったか。 どこであろうとその大きなトランクに腰をかけて、コートと同じように汚い帽子をかぶって同行者を待っている。]
(@55) mzsn 2014/11/03(Mon) 01時頃
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…おせぇ。 行くぞ。
[>>224>>225>>226夜を歩かせる事に迷いはない。 こいつが自分で飛び込んだんだ。責任も、悲しみも、自分で処理するだろう。 自分はその隣で、今まで通り在るだけ。
ただ、今までの100年とは随分違った生活になりそうだと、騒がしい声に目を細めた。*]
(@56) mzsn 2014/11/03(Mon) 01時頃
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―その後の、 ―
[酒場の近くの大きな十字路を左に曲がって、暖かい頃は変わり者のピエロが佇んでいた角の更に奥の、細い横道。 少し薄暗い道を歩き、突き当りを右。
街の奥の奥。深い裏路地。 深い緑色をしていたであろう扉は木製で、腐ってその役割を果たして居ない。 真鍮製のドアノブはすっかりくすんで回りもしないし、強引に扉を引けば木片が剥がれ、ガランと、ぶら下がって居た鐘が落ちた。
扉をこじ開ければ内部は埃と蜘蛛の巣で満ちて居て、カビの香りが鼻を突く。 木製のカウンターも扉と同じように朽ち果てて、触れれば簡単に破片を散らせた。 壁に並んだ棚も、同じこと。
店内にはそれ以外に何も無く、足を踏み入れる毎に埃が宙を舞う。 地下と二階への階段もそれぞれ朽ちて、階を覗いたとしてもこの部屋と同じこと。 酷く暗い店内は、ずっと昔からその姿だったかのようにそこにある。
近所の住人に店の詳細を聞いても、ここは10年近く空き家だと言うだけ。 薬屋があった事など誰も覚えていない。 一部を除いて。*]
(@57) mzsn 2014/11/03(Mon) 01時頃
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いっしょだ……グレッグ。
”ずっと”一緒にいよう、な……。
[向けた笑みには、小悪魔の片鱗が*]
いいのかよ?
そうそう真名なんて呼べねぇんだぞ。
[そろそろ聴こえるだろう、と囁く甘言。
胸に刻んだそれを、契約完了の証として求めた]
なぁ、 和希 ?
[慰めと、希望の意味を持つその花が。
春を連れてきてくれたのだ
―――其処に肌寒さは、もう、ない。]
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―旅立ちの日―
…知るか。 次からお前が手入れしろ。
[>>250身の回りの事に気を使う文化は消えてしまったし、そうまで言うんならお前が気にすればいい。 カビ臭いと文句を垂れる同行者に面倒事を押しつけて、それでこの話はお終い。 近づいた顔には制裁を。ぺちりと額を叩いても、それは対して痛くも無い力加減。 丁度、子供がじゃれあうような。
次の街>>251は、元々自分の候補先には入って居なかった。
街自体の大きさと、住民の数、外部の人間の出入りの加減。 今度の目的地はその条件を満たしてはいるものの些か観光地寄りで、一言で行ってしまえば騒がしいに尽きる。 普段はベッドタウンのような場所が気に入りであったのだが、これは到底それには当てはまらない。]
…さぁな。 別に、適当だ。
(@61) mzsn 2014/11/03(Mon) 15時半頃
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[街から出た事のない彼に、精一杯の外を見せてやろう。 旅の出だしは華やかな方がいい。 静かな街に住むのはまた今度でもいいのだ。どうせ機会は何度も来る。 らしくない店員を雇ったのなら、ついでにらしくない土地に移住してやる。
これから何度も、辛い別れを経験させる事になるのだろう。 その度に次の街への希望と高揚で悲しみを吹き飛ばして、そういう風であったらいい。 それ位しか自分にはしてやれそうに無いのだから。
きっと、次の街のハロウィンも盛大だ。 お前を飽きさせない生活がそこにある。 巡る生活を彼中心に組変え始めた事に、彼は気付くだろうか。気付かれたからと言っても、特に礼を言われる筋合いもなし。 言われてもお前の気のせいだと返すだけ。
放られた玉>>252を器用にキャッチして、俺を狙うなんていい度胸してると、冗談混じりの制裁を。 心底うれしそうな、悪い顔をして。*]
(@62) mzsn 2014/11/03(Mon) 15時半頃
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―いつか来る未来のはなし―
[その身長はとうの昔に止まっていただろうが、体格や顔立ちの変化はずっと続いて行く。 幼さの残る彼はあっという間に過ぎ去り、直凛々しい青年へ。 そして逞しい壮年。この頃になれば何やら力量関係は反転していた気もするが、それはまあ、別の話。
歳を重ねる毎に変わって行く彼を何度も愛し直し、それでもその内面は変わらず彼のままで。 自分の時は止まったまま。 重ねた彼の手にシワが増えても、自分の手は、ずっと色の悪い細い手で在り続けた。
それでも、それなりに楽しくは過ごしていたと思う。 少なくとも先の100年の様に孤独では無かった。]
(@63) mzsn 2014/11/03(Mon) 15時半頃
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[人の一生など一瞬の事。 彼と共にあると決めた時から、ずっと覚悟はしていた。つもりだった。
彼が弱り始めてから、街を転々とするのを止めた。 その土地に腰を添えたまま、薬屋はずっとそこに。 流石に不振がられ手は困る為自分は店の奥に引っ込んで、話相手は店番の老人だけ。 買い出しの為の外出は顔を隠して、歳を取らぬ存在と悟られぬよう。
彼がさらに弱ってからは、店を開けるのを控えた。 薬屋の内情を探る者を殺したりもしたが、それをリーには話さない。 きっと、彼が親しくしていた人物も含まれていただろうから。
彼の死期が見え始めた頃、薬屋は彼に服薬を命じる。 それは死期を早める訳でも、引き伸ばす訳でも無い。
彼が死んでも遺体はそのまま。 幾日立っても腐らぬ遺体に満足そうに手を這わせ、漂う彼の魂にも秘密にしたまま、 ガラスの棺と薬液に彼の身体を横たえると、ようやくその街を後にした。
店の中に、複数の他殺体を残して。]
(@64) mzsn 2014/11/03(Mon) 15時半頃
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[さあ、魔女を探そう。 身体も魂も此処にある。
今までのように逃げ回る旅では無く、明確な目的を持って。 もう一度、お前と踊る為に。*]
(@65) mzsn 2014/11/03(Mon) 15時半頃
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逸れンじゃねぇぞ、和希。
[それでも、隣に”彼”が在る。
唯一の心安らげる場所。永い生も何もかも預けられる存在。
相手を思う時、悪魔の心に芽生える想いは愛に等しいのだろう
いつか口にした砂糖菓子のように甘く優しい *それこそが*]
……私は、変わらず君の友人だよ。
何が変わろうと、変わらなろうと。
ねぇジェレミー。
だから、――…いつか店に遊びにおいで
虹の架かる橋の下で、待っているよ。
[虹を冠る店は、あの街にはもう無い。
あるのはただの、空き地のみ。
店に訪れた住人は首を傾げる
此処には雑貨屋があったはずなのに、と。]
……───餌を、くれよ。
[巣くった闇が、もっと深くに根を張って、いつか深紅の魔華を咲かせるまで。
グレッグの魂が、闇の眷属に相応しい、罪の色に染まるまで………*]
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