231 獣ノ國 - under the ground -
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[フィリップの声に、はっと私は我に返る。
そう、それは、両親を意味する言葉で。それくらいは、私も知っていて。
そして、私には縁のない言葉のはずだった。
だって、私はそんな対象を知らない。そんな風に呼ぶ相手を知らない。知らない、はずだ。
“父”でも“お父さん”でも“お父様”でもなく、“とうさま”
甘えたようなその呼び方。意図せず唇から零れた言葉に頭の中は嵐のようだ]
そんなことは……ないわ。
私には、そんな人……いた記憶が、ないもの。
[そんな返事をしながら。どこかから、訴えかける声がする。本当に? 本当に? 本当に?
胸の奥がぎゅっとするような感覚に襲われながら、私は表面的には平静を装い、無邪気な質問に返事をする]
母親と、父親。両親のことよ。
私たちを、この世界に、送り出した人のことよ。
―― 一間前 ――
[ だれ、と投げる寸刻前だっただろうか。
うたう彼の声 に“りょうしん”、と心中に落とし込みながら。綴りは知っていたかもしれなかったが、馴れない耳にきく発音に鈍く、頭を傾けた。
――だれのことをはなしているんだろう。鳥の2人がしるのだから、“ここ”のだれかだろうか。と勝手な憶測を巡らせる。
もし彼女の意識がそちらへ向くのを確認したなら、最後の問いはただ腹の奥に沈めつつ。
2羽の会話から、そのだれかをしることはできるだろうか、と。声をかけられでもしなければ、以降は黙って、ただ耳をたてていたことだろう。*]
【1:52】/【仕事】働きたくないそんな貴方に【やめたい】part52
52 名前:パズルの暗号は774さん:2XXX/9/A(月) 時間:XX:XX
ID:njsLYrai
ケツ拭いた紙で鼻かんだ奴が今まで最高に優勝な死にたさだけど、罪背負って生きるのって超死にそう
特定怖いから隠して言えば取引先の都合の良い事したら自社に影響ある感じ
>>=XX
(・∀・)カエレ!!半年ROMってろ
【1:53】/【仕事】働きたくないそんな貴方に【やめたい】part52
53 名前:パズルの暗号は774さん:2XXX/9/A(月) 時間:XX:XX
ID:njsLYrai
嫌味な同僚が押しかけてきた、居留守きめこみt
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―― “ ” ――
[ なめらかに肌を舐める感覚。
体に浮力を与え、ひたりと鱗にはり付く感覚の中を縫っていく。腰から足先へとしたがって強く、身をうねらせては奥深くへと。 咽喉のかわきも、空腹も、ここには。 ――やがて“底”へとたどりつけば、そらを滑る軌道ににて、すうと浮きあがる。く、腹のあたりに力をこめては、ばねを弾くようにぐる、と回旋すら。逆らう水を足先でけりあげ、しなる躯はやがて、より深くをめざして、
“ ”
合間に聞こえた声色に、 よばれたそれに、ひたりと敏感なみみを向けては。 ―― ふると頭を振り返らせる。 なじみの声。 どこできいたんだっけ? と、奥底。届いたほうを覗き込んだ。
『 きみの すきに 』
なにを言っているんだろう? 俺は俺のすきに、“いきて”いる。そう今も、こんなにも「満足」して。
――どうして、そんな、まるで、 ]
(151) 2015/07/13(Mon) 08時半頃
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[ 間。
ぐん、と躯が鉛のように重くなる。肌を覆うのはなめらかな水ではなく、かさ付いた何かだった。口許に硬い感触がかぶさり、あまいにおいが充満する。 ――潮のそれでない、“ ”の 、
身動きすら取れない程、躯は重いのに、 ただ視界は上へ上へと、引き上げられていく。
水面が見える。ひかりが差し込むのに目を細めるものの、諦念は水の代わりに躯に浸みこんでいく。あそこにあるのは、]
―― じゃない、
[ そうだった、――俺のいばしょ、じゃない。 ここは、 ]
(152) 2015/07/13(Mon) 08時半頃
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[
……のぞいたいろの――赤さはどこで、みたものだっけ。
気泡が弾けたのは、かわらない姿の彼>>64の、おぼえのある声色にだったか。せりあがる空腹があった。どうあっても、とぐうぐう唸る腹は、それ自体が獣じみている。
それでもしゅこ、空気の漏れ抜けた、その先を思いながら。息を、情動を潜め込む。 ――だってそうだ、きっと彼も。 水底からのぼる間際、聞こえた声は。
どうしてこんなに、ままならないんだろう。聞き返すこともせず、ただ押し黙ったまま。 何度の“ひかり”を見て、閉ざされたのかしれない瞳をレンズ越し、見つめていた。]
(153) 2015/07/13(Mon) 08時半頃
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――回想・プール→――
[ 視線、と。こちらを気遣う言葉>>65に黒目を瞬かせる。 ――ああ、と幾分“マトモ”な頭に彼の立ち場を思えば、あまりつき合わせるのも悪いだろうと。 「観察対象」であれば、どの辺りにまであるのかしれない“監視”を。ちらと面体のした、窺った。]
さみしい、
[ やがて、合成繊維に覆われた自らのそこへ、差し出される手を見つめては。 ――自らも腕を伸ばし、手袋ごし、緩く繋ぎとめる。からからとした空腹が、その間僅かにやわらぐのを感じながら。 もし届かなければ、先ほどと同じに柔く下ろすまま。]
……君も、だったら、よかった。
[ 一緒にいけたなら。彼が己にみる“そと”を、記憶をたどる視線の先を。自分が彼のさみしさを補うことができたら。 ――よかった、と。 「これから」を成せるとして、成せないとして。最後かもしれない、と漠とした意識で思えば。
ただ昔なじみの亀へ、“おわかれ”を告げた。]
(154) 2015/07/13(Mon) 08時半頃
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――回想・→食堂奥――
[ 手が重なっていたなら、彼からか己からか、いずれ一間で離されたのだったか。 ぬれたそれを予備へと着替えては。すり切れてきたな、と鮫肌に触れる手袋を眺める。破けそうに薄まった部分を見つめて、小さく嘆息をしつつ。
―――足を並べ着いた先、ひと目を避けて、食堂の奥手。 いつもどおり、“どうぶつ”に必要な栄養と、甘い味の詰まったチューブを数個受け取っては。 決まった動作で吸水口に突っ込みつつ。手早く空腹をごまかすとなり、亀の彼も“ご飯”をしていたろうか。*]
…、…チェビィ、は、どんな景色がみたい?
[ ――何でも。には、たとえば“しんかい”ってなんだとか。そこからそらはみえるかだとか。はたまた、どうやればそとに出られるといった疑問も、山と浮かんだが。
吸収口から落ちたのは、先ほど、自分に一間もとめた奥。彼のかわきの奥への、興味だった。もし彼がこがれる景色があるなら、しりたいと。――問いには、どう返されただろう。
こたえにいくつか言葉を交わし。やがて、何事もなければその場に別れながら。]
(155) 2015/07/13(Mon) 08時半頃
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―― 自室 ――
[ 目が覚めればいつもどおり、かわらない空腹を腹下に感じている。
――吸収缶も、すり切れた手袋の替えも、そういえば貰っていなかったなと。 人工のひかりを薄ら透かさせる、ひとの手形のそれを眺めては。何かの拍子に破れては堪らない、とパーカーの中にしまいこむ。裸のてのひらに予備を嵌め直し。マスクの吸収口をこんと癖づいて叩き、昨日の事ですこし、効果の薄れたそこを整える。
食欲を“どうぶつ”の好む味に練られたゼリーで誤摩化しながら。 帰り、食堂から持ち込んだ水のペットボトルと、チューブも羽織った迷彩のそこにしまいつつ。]
(159) 2015/07/13(Mon) 10時頃
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――第1棟廊下→――
( …人質、とかいるかな。 )
[ 白亜に不釣り合いにあたえられた“おしえ”に、なじみの亀に、声に。“そと”への乞いは、「満腹」にならない腹の虫の鳴き声と同じよう、留まることなく。
勿論、手段上でほかを死なせるどころか、傷つけるつもりも毛頭ない。動きや音に過敏すぎる器官には、過程、ひとに大人しくしてもらうことも必要だろう。 『処分』と、少なくない可能性を持つ己には、一応の防衛策にもなる。“管理者”に協力も期待できない以上。実際錯乱するよりは、と、思いつつ。
――そんな手をとることにならないといい、と。面体の下、考えを巡らせながら。
文字をしるため、幾度かかよった図書室。 ――あそこなら、地図やらの類いもあるかもしれないと。昨日>>24のそれを確かめようと、自室から足を踏み出した。 ひと目を憚る歩みで、近場の第1図書室へと向かうがてら、誰かとすれ違うこともあったろうか。]
(160) 2015/07/13(Mon) 10時頃
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―― 第1図書室前 ――
[ やがて辿り着いた、見知ったその室前に。以前“おしえ”を与えた長い髪の男>>162の姿はあっただろうか。 自慢げに語ったその通り、足が用向きへと進むのを見れば、ただ見送るに留めようと――
――そういえば。“今度”と「宿題」にひた、と歩みを止める。今日とて変わらず――上の羽織りはなかったかもしれない――“いのり”を身に纏う彼に、やはり奇異めいた意識を向けながら。
ドヤ顔でこたえを出せる程、底も知らなければ。「ほしゅう」は困る、と一先ず宿題は端に置きつつ。]
…ヴェスパタイン。
[ “プール”へは行けない。今日は。――そうして、恐らく結果がどうあれ、これからも。……“そと”で、管理者の彼にあうことも、あっても困るのだろう。 「協力」を求めるつもりもなければ、明かす気もなかったものの。思いがけず、独り言めいて排気口から漏れる声が。
彼へ届くこともなければ、それ以上は避け。 気づいたのなら、誤摩化しぎみに、“どこかへ行くところか”と、問いを投げつつ。 くん、と敏感な鼻を動かし、彼の衣へ――また図書室内に“におい”が残っていたなら、僅かに首を傾げたのだったか。]
(181) 2015/07/13(Mon) 20時半頃
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[ また、こちらへ向かう針鼠>>178の姿がもしあれば、小さく面体の下、視線を動かしながら。 ただ“声”のときは心配がないからこそ、“そと”を、「自由」を知りもとめる彼女へ、憧憬じみた思いはあったものの。 実際問題、と以前数回の騒動を思い返し、ちのけが増えないうちに、と。
今日の日に錯乱でも起こしたら。きっと自分は、とそこまで至って、先ほどの>>160「ひとじち」を思い出す。 ――“管理者”で、大人しくしてくれる相手がいればいいけど、と思いめぐらせつつ。 最終手段的な認識であれば、さほど必要を急がず。
男と会話をしていたなら、小さく別れを告げつつ。 何事もなければそのまま、足早に図書室内へと、その場を去ろうとしただろう。]
(182) 2015/07/13(Mon) 20時半頃
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―― 第1図書室前 ――
[ 直されたこたえと問い>>192に、首肯きのみを返す。平生とのギャップに、腹底で愉快さすら持たれている事には気付かないまま。*]
“ すき ”、って、
[ どんな。と、面食らった声色で反芻する。 すきもきらいも、「いばしょ」でない施設の内、特に感じたことはない。ただその“すき”が空腹じみて、こがれる思いをさすなら。 ――違うんだろうと、レンズ越し、答えめいて瞳を伏せる。身も離れていれば、気付かれもしなかっただろうか。
におわない、“いきている”ハズの花々を模したあの光景を。どこかしらとおくへ意識の向く顔色になぞり映しながら。――“彼処”と告げたそれに、男のすき、こがれる花も“どこか”にはあるのだろうと思いつつ。 それを男の瞳に――いつかと同じように、覗き込み。]
……ならどんな、花が“すき”なの?
[ ――やがて飢えはぐう、と腹を鳴らす。機能の薄れた吸収缶の奥、 僅かに「そと」の混ざった“いきもの”のにおいを流し込んだ。 『処分』 の方が早く訪れないうち、と人工のひかりに視線を落としては。「宿題」のこたえは、結局そのうち、提出出来たのだったか。]
(210) 2015/07/13(Mon) 22時半頃
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―― 第1図書室 ――
[ 地図、と。見当もつけて訪れたのはいいが。やはり大した収穫もなく、 ――本棚を高い背で弄っては、面体の下息を吐く。そもそも、外への扉を見つけたとして、過程“かぎ”やら警備もあるなら。……いざとなれば、留め具を噛むだのなんだのしてはみるつもりだったものの。――手元の吸収缶をいじっては、錯乱のはて、「結果」を思いながら。 やはり「協力」がいるだろうか、と。ぼうと頭を巡らせつつ。くん、と気のせいか、漂うにおいに首をそちらへと回した。]
――……?
[ 本棚の奥、過敏な鼻先が男>>162の通ったそれを微か、捉えたのだったか。もしにおいの残滓、かけらすらなかったとしたら、ただ諦めては、緩んだ面体を整えつつ。
――ぐうぐうと迫る飢えは、やがて施設に巡るほかのうごきを。においを。おとを。敏感にしみ込ませては、ひたりと頭の隅、“しんかい”の黒さに……やがては錯乱に、飲み込まれていったかもしれない。]
(217) 2015/07/13(Mon) 23時頃
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―― ? ――
[ 「満腹」をただ、もとめていた。――ぐうぐう、と鳴く腹の虫、奥底は。 たとえば>>201彼の錆びたような瞳に一間、映ったそれと、似通っていたのかもしれない。みずからのレンズに、記憶をもとめて伸ばされた手は拒まず、黙って受け入れながら。
きみにも、と。その先はおそらく、己の「これから」をのぞんでくれるものだったか。 それだけ彼が“こがれる”ものなら、きっと綺麗なんだろうと。もう1度だけその手に、さみしさを一間でも埋めるよう、腕を伸ばし。――「さよなら」も済んでいれば、触れる手前下ろした。
“うみがみたいか”と問われたのには、 ――先ほどの、息の詰まった声色を思えば、ただ眉を顰め、沈黙を返すままだったろう。みたい、ほしい、空腹をどうにかしてほしい。
――かれのいうけしきがみたい。そんなこと、 ]
……うみ、って
[ 『処分』 された先にも、あるんだろうか。と、しみこむあまいにおいが、“ ”のそれが。じわじわのぼる“しんかい”のそれに混ざり合う。 やがては訪れるだろう「錯乱」の予感に1つ、誰にも知れず息を零した。]
(226) 2015/07/13(Mon) 23時半頃
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―― 第1図書室→ ――
[ ひたり、と。しみ込んでくるそれはなんだったか。 『たべたらダメ』 『ヒトになりたいなら』
『ここは――じゃないから』
――どうして、ダメなんだっけ? ほかのにおいと、おとと。微かなざわめきにすら頭が揺れる 。 乾いた服の下でぐうぐうと腹が鳴る。……こんなに、おいしそうなのに。ああ、でも傷つけるのも、傷つくのも。――1度でしんでしまうから。そらが、うたって?自由が、
まざる声はだれの、――“なん”のものだった?]
、
[ 機能の薄れた吸収缶、硬く覆う膜。からを割るように、手袋を外しては、かちりとマスクを取り外す。すうと咽喉奥に入る乾いたそれが、いきぐるしかった。 ただ「かり」にはこんなものいらないだろうと。ここで“いきる”のには必要だった気も、するが。俺はそもそも ここで、”いきて”いるんだろうか。 男の問いが聞こえる。――はなはすきか。におわないそれ。
ああそう、やっぱりここは。*]
(232) 2015/07/14(Tue) 00時頃
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―― 第1図書室→ ? ――
[ かわきはいずれ、自分の息を止めるんだろう。 だから、でも。“いきて”いないなら、どちらにしろ同じ事だと思った。ここで「ホーム」に浸かって、とおくをのぞむのと。いずれ変わらない。だから、]
いきたい、
[ いきていたい。外へ出て、その先がどうあれ。腹奥からの渇望に、ぐうぐうと鳴る空腹の音に。 ――息苦しさに歪む顔の、その露わになった敏感な鼻先に。図書室の奥、暖炉のむこう。“ひとのにおい”のこすれ、しみつくそれに、“しんかい”で岩場の奥を覗き込むよう、先を、 みた。]
(249) 2015/07/14(Tue) 01時頃
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えさ?
[ 合間、>>241 ちらと立ち止まった人影すら見れば、“管理者”だか。“同胞”だかもわからないまま。 頭をぶるりと振って、「協力」してもらわないと、と理性の断片で歩み寄った。
みるからに「どうぶつ」じみていれば、逃げを打たれる事も。また“管理者”として連絡を回されることもあったかもしれない。されたとして、構う余裕もなくただ、においを辿り踵を返しただろうが。
彼が自らの姿に逃げる様子がなければ、脅すようからを破った掌を見せ、じっとしてほしい。そとへだしてほしい 、 ―― いきたい。と投げつつ。
すがるそれは、彼にどう映ったろう。「協力」を受け取れるなら、その首もとに鱗の掌を、すぐにも当てられるようあてては。鼻を動かし、上へ同行を頼みすら。]
(250) 2015/07/14(Tue) 01時頃
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―― → 第3棟 ――
[ いずれ、その奥、はしごのふち。掌はひとの、水面のひかりを辿るよう、握っては上へと足を動かしていく。 ――先ほどの彼は、ついてきてくれていたろうか。単なるおどしと、案内だけを頼もうと、思っていたが。 乞いをのぞかせ、鳴る腹をただ抑えて、「ありがとう」と小さく、理性を残す事すら。
―― 間、 その顔をゆるく 、ヒトの住処――第3棟へと覗かせることが適ったとして。 監視の目もあったかもしれないその先、『処分』や、 かわきの「結果」もみえていたけれど。]
(251) 2015/07/14(Tue) 01時頃
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―― → ? ――
[ たどりついた先、腹の虫はやはり、おさまらないまま。 “しんかい”と、“そら”となじみの彼がもとめた黒を、ぐうと鳴く本能に飲み込ませながら。 やっぱり、ここで「おわかれ」なんだろうと。多少“マトモ”な頭の隅が 空腹にないた。
のぞんだ先、――乾く意識に足下すらふらつかせては。監視の目は、自らをとがめただろうか。 “そと”にでたところで、錯乱になく頭はそとのぜんぶをたべて、たべて、「満足」することは? ]
…うみ、
[ いばしょ。 “いきられる”ところ。 ただ亀の彼がみずからに、一間だけもとめたそれを、たどるように。 大扉には、ただ取り残された空の鎖があるのみだったか。 ――わずかに漂う、“しお”のにおいに、躯をすべらせることは、外へは果たして。
もしただ閉ざされるだけならば、 ――明日のその先。ただ“いばしょ”を失った鮫が、留め具を噛み切る力もなく。その場に息絶えるのみだったろうが。]
(254) 2015/07/14(Tue) 01時頃
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[さみしい、と声が聞こえた。
少し前までなら、理解できなかっただろう。私は、何よりも孤独を愛していたのだから。
からからに乾いた心では、自分がさみしいことにも気づけない。
さみしいというその声の主は、きっと願いがあるのだと思う。
満たされない何かがなければ、さみしく思うことは、ないのだから]
どうか、したの。
[返事をしてから、気づく。
この声の主は「鍵」を持っているという獣ではなかったか]
―――……、
[ あれ? いま僕は、なにと言ったのだろう?
同じものにしか聞こえない声が届いて、僕は眉を顰めた。
「 さみしい 」―――僕はもう一度そう言った。
しくりと、胸中蟠るなにかが頷いた気がする。
「 さみしい 」 『 どうして? 』
―――どうしてだろう 。クエスチョン。 アンサー。 ……それは、 ]
どこかへ、 行ってしまうから
[ 『 誰が 』と、『 なにが 』と。
僕は続く言葉を並べることは、できなかった。
ただひたすら、 ” ” 。 ]
―――君も何処かへ、行ってしまうの?
[ 「 いきたいの、 」 なあんて。 僕は平生と同じ錆色を灯して、声を奥に投げ込んだ。 ]*
|
―― ? ――
…、なんで
[ 開かれる扉に、>>260その男の首もと、光る石を覗き込むよう。 ――「しおき」が、彼に下されるかもしれないのに、と。鱗の肌をびくりと震わせ、小さくその身を解放する。
なんで、おれをいかせてくれる? どうして、と。 問うそれに、こたえは果たして、あったろうか。 それでも小さく、目を細めてはぐるぐると空腹を叫ぶ奥、ありがとう、ともう1度、枯れた声に乗せながら。
その足を一歩と、そとへ踏み出す。*]
(271) 2015/07/14(Tue) 02時頃
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[ どこへ? 何処かへ。 とおい空へ?
チェビィのことばはどこか 遠くにあって
無言の隙間から 「鍵」がちらついて見える。
『 だれが 』 とも 『 どこへ 』 とも聞かず
( だって、ここでない何処かなら
それだけで十分なんだ。 そら、さえあれば )]
ぼくは 行きたい。
………… きみは、 行かないの。
|
―― → ――
[ ふみだした先。潮のにおいに目一杯と、息を吸い込みながら。 届いたなじみのその声>>263に、――もうひとつの“こえ”に、腹の底がぐう、と。 「満腹」になるはずの、そとへと向かう躯でないた。ふるさと。と、反芻して、かれのいきるばしょ、だろうかと。
それならそこにもし、行ったなら。……いずれ彼にであうことは? いついつ、なるのかも分からないけれど。]
きみも
[ 一緒に、と。手をのばしては、ああ。と、傷つけるだけの鮫の鱗をただ、下ろし込んだ。 ――いつか、すきにいきる君をどこかで。見れたらいいのに、と。足を“そと”へ踏み出しながら。こえを、*]
(273) 2015/07/14(Tue) 02時頃
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