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[頬に伸ばされる手に微笑んで厳しかった表情は些か緩む
段々緩急をつけながら、先程体が跳ねた箇所を意識して突く。
跳ねる儚く壊れてしまいそうな体躯がどうも心配事なってしまうけどつい実行に移すことを忘れ、]
んっ、
[潤滑油が接合部体が卑猥な音を立て、昂りが増す。
彼がイッてしまったのなら締りで眉根を寄せながら中から自身を抜いて白濁を吐き出した。]
はぁっ……参休。
[疲れの残る体でその体を抱きしめた。]
ん……
[目を閉じて裡を探る指の感触に集中する。]
慣れてなんか無いよ……あっ、そこ。
[彼の問いに答えた所で指が好いと思う場所に触れ、息の混ざった嬌声で甘く善がった。
少なくとも"頭の内では"お前さんとするのは初めてなんだから、慣れて無いという事にしておくれ。
男と交わるのを愉しむようになったのは故郷でだったか、クランに来てからだったか、其れともお前さんと出会ってからだったか。
兎も角お前さんとの関係に慣れる事なんて無いよ。
何時だって初めての想い人を目の前にしたかのように胸が高鳴る。]
ん……っ?
[下腹部から全身へと這い上る快感に身を委ねていれば、いつの間にか自分の手は彼の下肢へと導かれていた。]
あっ
[彼の其処が昂っているのを目と手とで確認すればまるでうぶな生娘のように赤面した。
自らの物より大きい其れをこれから……と想像すると息が荒くなる。少しばかりの恐怖と大きな期待で。*]
[夢。
だから、四方を距離も不確かな白に囲まれた空間で。
中央には飴色が艶やかな存在感を示す。
白と黒の鍵盤楽器は現在のピアノとは異なるもの]
弾いている、男がいる。
[奏する指は逞しく長い。
どのような恰好であったかはその時々様変わり、また靄がかり、定かでない。
ただ、今より年若い見目で幾分細身なその男は、己によく似ている。
手首は枷で繋がれ、思うように演奏できる風ではない。
それでも男の顔に浮かぶ表情は今よりずっと豊かに見える。
傍らに居るのは誰か。揺れる長い髪は女だろうか]
[気づけば楽器の周りの景色は森。
木々に木漏れ日、小川流れる水音に小鳥の囀り、気紛れに色添える花々。
絵画のような牧歌的な風景]
『ここにいることは秘密』
[咎人である己と一緒にいてはならない、そう謂い聞かされているのだ。
時折の、束の間の邂逅。
黒衣の老婆が唆す言葉で陽が翳る。
『殺して永遠にするのだ』魔女の囁き。
謂われるまでもなく、その衝動は男の裡にあった]
その感触を、よく覚えている。
[絞めた手のひらと潰れた悲鳴と己を見る眸と]
[慣れてないの言葉にふと笑い。
いい返事だね
本当はそんなことどうでもいい
あなたに苦痛がないのが一番だもの
[言いながら、見つけた、甘い声の上がる場所。そこへの刺激で彼の反応は顕著で。ゆるく扱いただけの前のものがだらだらと先走りのものをこぼし、香油に混じりあう。
丁寧に指で慣らしたそこから、いやらしい水音が響く。 いよいよ、自分のほうが危うい。
早く、そこへ埋めたい。自身の熱を]
かわいい…
[彼の手を導いて、下肢へと触れさせたら、彼はびくりと驚き赤面する。
その初心な反応に、目を細め、熱のこもる目元でうっとり笑う。恥ずかしげに彼は手を引こうとするが、それを逃さず掴んだまま、自身のものに添えさせゆるく上下に扱く、]
っ …
入れるよ
[吐息混じりでそう言い、
宣言したのは彼の反応を見たい為。
うつむき、濡れた指を彼の生え際で拭う。両の膝裏を抱え、足を掲げさせると、腰を引き、濡れたそこへ自身をあてがう]
[ぴたりと吸い付く様な錯覚、ふやけた肉を割り、腰を進め。かりの部分が埋まればあとは抵抗はすくなく、肉壁の刺激で吐息が漏れる。そうして、暖かなそこに全て呑まれ。]
っん・・・はいった
[ふふ、と笑って、彼の目を見て。]
だいじょうぶ?
[問わずとも、苦痛はなさそうに見えたが労わる言葉を。]
[主の声で止まる腕。
触れる事は叶わない。
蜃気楼を抜けた先
掴むことは許されない]**
くつっ、ふ、あっ
[だから丁重に扱わなくとも良いと言ったじゃないか。
確かそんなような事を訴えようとした筈だが、見つけられた好い所を立て続けに責められてただ淫靡な囀りを齎す小鳥となる。
とろりと身体が溶け出しそうな心地。
彼は態々あっしの手を引いて下肢を上下させるものだから、その雄の部分の温度が直に手に伝わる。]
やらしい人。
[彼の宣言にはくすりと余裕ぶって唇で上弦の月を描いてみせる。赤い空に浮かぶ月に説得力なんてありゃしないだろうけれどね。
菊の花は指を引き抜かれてからというもの口を開けたり閉じたりを繰り返していて、彼の鈴口が押し付けられれば悦びを伝える。]
嗚呼……あっしの奥まで来ておくれ、好い人。
[いっその事愛しい人と言っちまおうか。
言っちまったらどうなるのだろう。
其れでもあっしは此の人の事を忘れちまうんだろうか。
此の人もあっしの事を……?]
ああんっ、
[自らの裡を満たしていく肉が寸の間好い所を擦り、思考を断つ。
すっかりオンナの悲鳴を漏らすようになった己の喉に、また羞恥の気持ちが這い上ってくる。
彼の言葉によって彼の其の大きさをあっという間に呑み込んでしまったのだと知って、本当によく馴染むものだと驚く。
自分の知らない間に実に淫乱な事を覚え込んできた己の肉体に束の間恐怖を抱く。
でもそれよりも、]
大丈夫だから、早く……
[自ら腰を揺らして彼を誘う。
恐怖や驚愕よりも、渇望が勝るのだ。
渇望は鈴の音が何時鳴ったのかすら忘れさせる。*]
[語られる話の、何割を脳裏に描けたか。
ピアノは知っている。音色も知っている。
けれど触れたことはない。
奏者が、その鍵盤をたたきながら、どんな表情をするのかもわからない。
けれど、眼前の彼に似ているというのならば。
そこを起点に、乏しい材料から想像を重ねていく。
その言葉で、穏やかに描かれていた景色。
それが急変したのは、黒衣の姿が登場してからか。
覚えていると、確かに口にしたその声に、こくりと生唾を飲み込む。]
……殺し、た、の?
[比喩をなに一つ含まない言葉で、真っ直ぐに問うて。
何故、とは聞けなかった。]
[彼は「やらしい人」と笑うが、頬は染まり、声は端的で。濡れたそこに、自身をあてがった時、その体はびくりと震えた。]
好い人?
それは、どういう意味?
[はあ、と吐息とともに、肉を押し分けながら問うが、ただの反芻みたいなもの。熱にうかされ、頭をさげる自分の視線は熱を帯び。
掲げた足、組み敷いた体。結合部を指で撫で、うっそりと笑う。彼の前のものも主張を強くして触れたらそれだけで達してしまいそうだ。]
好い声…
[女の様な声を上げる彼に、そう言って。
大丈夫だからと、自分を求める言葉。
身を倒し彼の唇へ口元を寄せ。
深まる結合と、腹に触れる彼の屹立。]
て、まわして
[彼の腕を着物から引き抜き、自分の方に回す様に促ししがみつかせ。ゆっくりと前後に腰をゆらし、ぎゅっとその力が強まり声が上がりだしたなら、速度を速め。
彼が指で良いと言った場所を探りながらも、自身の熱を追うことに執心して。]
っ、 は、ぁ
もうすこし…
[あと少し、もう少しで、達することができる。
そう浮かされた様に、彼の体をゆすって
思い出した様に彼の、ものに手で触れ愛撫を施す。
中と前への刺激は、彼にどの様な反応を齎すのか]
[りんりんりんと鈴の音は遠く
薬を飲まなければと、不思議な焦燥
──吐息と共に彼の中で果て*]
─部屋の中─
薬、のまないと…
[彼の体に覆いかぶさり、荒い息をつき、そう呟く。この部屋に、それがあることを知らない。]
覚えていない。
だが、恐らく。
[覚えているのは指に絡む金の髪。
それと、死の淵にあって己を嗤っているような顔。
おとなしく話を聞く様子見せた後の問いは、思いのほか直截なもので。
髪触れる指先の動きが止まる。
その目を覗くよう見返したが、己を見る目に変わりあっただろうか]
好い人は……好い人だよ。
[ただそう繰り返すのみ。
愛しいなんて口に出す勇気は結局無い、忘れられるのが怖くて。
屹度此れまでもそうして言って来なかったのだろう。
言った事など一度も無いと信じたい。
汗と性との臭いが部屋に満ちていく。
彼の視線が自分の物の辺りに注がれればこの体勢になった事を少しばかり悔いる。
だって彼の物に比べれば些か自分のは……
次が有るなら、そして忘れなければ、後ろからを所望する事にしよう。
彼の言葉に従い抱擁するように彼の身体に手を回す。]
ね、脚も回すから……
[脚も彼の身体に絡みつかせて接合を深めようと脚から手を離すように頼む。
望みが叶えられ全身で彼に密着したのなら、穿たれた楔が運動を開始し、]
あぁっ、あっ、あ…っ!
[莫迦みたいに鳴いた。]
い、好いっ、ぃ、そこっ…!
[彼のが好い所を刺激する度にどろりどろりと頭の内が溶け出していくようで、声を抑える事も出来ない。
彼に回した手と、肉壁とがぎゅうと彼を締め付ける。]
もっと、もっと、ね、もっと…ッ
[声が涸れるかと思う程感じる侭に嬌声をあげていれば、前に手が伸びてくる。
内部を穿つ刺激だけで善がり狂っていた身体は、自らの雄の部分を愛でられ堪らず弾けた。]
ああッ……くっ…
[白い。
白い液が二人の身体の間に零れてその下のシーツ迄汚している。
白い液が満ちているのは自らの身体の内も同じこと。]
薬なら、貰って来てあるよ……
[息を整えながら彼に教える。]
終わったんならさっさと抜かないかい。
[冷静になると先程の痴態が恥ずかしくてぶっきらぼうに言った。*]
[瞬く。]
……殺して、永遠、……
[呟きながら、息を、吐く。
合わせられる瞳越し、揺らぐ遠くを見る。
“友人”の濁っていく瞳が、自分を捉える。
裂けた傷跡から血液の流れる出る速度が、次第に緩んでいく。
喉が、渇いていた。
どうしようもなく、喉が渇いていたのだ。
だから、躊躇いなく、自分は、]
……っ、……すみま、せん、
[首を数度横に振れば、視線はその瞳へと戻るか。
跳ねた心臓を落ち着けるように深く呼吸を繰り返した。]
[死にたくないと、懇願しながら。
殺したと、暗に断定しているその身体から離れようとは、しなかった。
それは、その殺意が自らに向いていないと薄ら、感じたからか。
少なくとも、背に触れる指に、恐怖は感じていない。
布の一枚も身につけず、眼前に背中を晒せたのは、簡単に人を信じる性質が故。
内の想いを、知らないが故。]
…、
[誰かの気持ちが欲しくて、愛を囁いて
だけど得られたことはこれまであったのか
どうせ忘れるのなら騙して
嘘でも良いから
そしたら満たされるのに
今だけでも]
[肉を打つ音と、卑猥な水音が部屋に満ち、上がるお互いの吐息と、彼の嬌声。
ぎゅっと、しがみつく体を快楽を追って揺さぶる。自分を締め付けてくる下の刺激は目がくらむ様で。
もっと、と求める声は
己のもう少しで行けるのにという
心中にも重なって]
…っあ、
[はたりと、腹に溢れる熱い液体。それが自分にも触れ。彼が達した瞬間、奥も狭まり]
っ、は、ぁ はぁ…
[瞬間、中に己も精を吐き出す
そして疲労で彼に崩れ落ち
荒い息を整え。 ]
つれないな…
[呼吸が整い、吐精の余韻も半ばに、終わったなら抜けという彼に、少し寂しげにそう言い。
ずるりとそれを引き抜く。
その刺激で彼の体がびくりと跳ね。]
結局、シーツまで汚れちゃったか
[彼の着物を下に敷いたままの行為だったが、
伝わり漏れたものがシーツまで汚していた
身を清めるものを探すが、彼の下着が目に入ったので、勝手にそれで自身と、彼の下肢を拭い。
額にうっすらと汗がにじむ。]
あんたの服どろどろ
[くすりと笑って。]
もう一度風呂にもいかないと
薬? 用意周到だね…
あなたの、俺への執着と
思っていいの?
[目を細めて笑い。*]
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