84 戀文村
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[震えるセレストの声。 じゃり。と土を踏む音。
女はセレストに歩み寄る。
細い肩を、両手でそっと包み込み、抱く。]
出来ることなら、お前の代わりに私が行きたかった。 けど、それは難しい、らしい。
[本屋でベネットに言われたことを思い出し、当然だな。と笑って。]
私には身寄りもないし、 お前のように、帰って来る可能性のある家族も、もういない。
[役場がセレストに伏せた、セレストの父の訃報など知らぬ女は言葉を接ぐ。]
だから──…、 もし、ひとりで往くのが怖いなら。
(166) 2012/03/26(Mon) 22時半頃
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私と一緒に、往くか?
(167) 2012/03/26(Mon) 22時半頃
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私が手をかけることになるのかな…
それも…悪くないな…
[そんなことをぼんやりと考えていた]
何も残らないよりは、せめてこの村で安らかに…そう願っただけ
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[腕の中、震える肩を強く抱いた。 見開かれる瞳を間近に覗き込む。
穏やかな、月色の瞳で。]
墓なら、もう信頼出来る二人に頼んである。 彼らなら、きっと約束を守ってくれる。
[だから心配いらない、と。 初めて聞く告白にも、動じる事なくそっと髪を撫でた。]
…───そうか。
辛かったな。 一人で、悩んで、苦しんだのだろう。
もう、一人にはしない。
(188) 2012/03/26(Mon) 23時頃
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[1人になろうと騒ぎから離れて雪で顔を冷やす。
どれだけ時間が経ったか、開いたままの回線から届く声]
………。
[ただ静かにそれを聞いていた]
[一人にしないと言ってくれた。まさか自分に、ダーラとホレーショー以外の理解者ができると思っていなかった。]
[一人にしないと言ってくれた、一緒に往こうといってくれた。
それは嬉しいのだが、自分は戦地に行く心算である。
その間だけ、ホンの束の間だけ、離れてしまうのは…仕方のない事なのだろう。
それは、些細なことでしか…ないのだろう。]
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────。
[セレストの泣き声を胸に抱いて、何度も黒髪をくしけずる。 柔らかい髪に唇を寄せて、瞳は空を仰ぎながら]
やり残した事はないか? 遺したい言葉はないか?
[問いかける声は、あくまでも柔らか。]
(201) 2012/03/26(Mon) 23時半頃
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─ 墓地 ─
手紙か。 それは届けないといけないな。
手紙──…。
[女の胸裡に一人の人物の顔が浮かぶ。 しかし緩く首を振って]
…──柄でもない。
(210) 2012/03/26(Mon) 23時半頃
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どうする、一緒に行こうか?
[手紙を見せるセレストに、腕の力を緩める。]
一人で行けるなら、 私は最期の仕事の準備に一度家に戻ろうと思う。
…──午後からヴァイオレットとハワードの埋葬だ。
どうでもいいっちゃいいんだが、 これも仕事だからな。
[くすり。と笑んで]
間に合ったら、お前も来るか?
[首を傾げた。]
(214) 2012/03/27(Tue) 00時頃
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ヨーランダは、セレストに手紙を書くよう勧められ、少し考えこむ。
2012/03/27(Tue) 00時頃
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…──そうだな。
[頷いて]
なら、一旦家に入ろう。 お茶でも淹れるから、待っていてくれ。
何、すぐに書き終わる。 元々長い文章は苦手だから。
[考え込んでいる様子のセレストの背を押して、すぐ近くの自宅へと誘った。]
(218) 2012/03/27(Tue) 00時頃
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ヨーランダさんが、一緒に往こうと言ってくれたの…
でも…どうやって…?
[疑問はつのるばかり]
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[セレストが己の選択の理由に疑問を抱いているとは知らず、簡素なテーブルに普段は敷かないクロスを敷いて、裏山で摘んだリラックス効果のある薬草に、湧かした湯を注いで淹れた。]
ここで待ってて。
今、便箋と封筒を持って来る。
[そう言い置いて、自分の寝室へと向かった。 ベッドサイドの小さな木の抽斗から、隣村の知人との文通に使っている、白い無地のレターセットを取り出し戻る。]
(234) 2012/03/27(Tue) 00時半頃
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[お茶の鎮静効果が作用してか、少しすると、気を張り続けて疲れていただろうセレストは、こっくりこっくりと船を漕ぎ出して。
向かいに座ってペンを握り、白紙の便箋を前に書き出しの言葉を迷っていた女は、その様子を見てくすりと小さく笑んだ。]
(238) 2012/03/27(Tue) 00時半頃
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[戦争など、恐ろしい報せなどなかったような、あどけない寝顔。 束の間の、現実を忘れたように流れる穏やかな時に身を委ねて、白亜の紙の上を、あまり書き慣れていないたどたどしい筆跡で埋めて行く。
その瞳に、脳裏に、描くのは───。]
(253) 2012/03/27(Tue) 05時半頃
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[────最後に、宛名を書いてペンを置いた。
思いの外長くなってしまった手紙に、くす、と目を細める。]
(254) 2012/03/27(Tue) 07時頃
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[まだ、セレストは寝ていたか。
この瞬間が永遠に続けばいいと思いながら、冷めてしまった茶を一口飲んだ所に、扉をノックする音が聞こえた。]
───…?
[まだ、埋葬までには少し時間があった筈だが、もう誰か来た者があるのかと、カップを置いて扉に向かい]
…──ダーラ。
[そこに人影はいくつあったか。 内開きの扉を引いて、見えた人物に淡い色の瞳を見開いた。]
(255) 2012/03/27(Tue) 07時頃
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[その表情から、既にセレストの事を聞いているのだと知れた。]
入って。 今、お茶を淹れなおすから。
[一歩引いて中へと通す。 今まで自分が座っていた席にダーラを座らせ、もう一人いるようなら寝室から椅子を持って来て席を用意する。
手紙はさっと、籠にしまった。]
(256) 2012/03/27(Tue) 07時半頃
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…─────。
[しばらくは、湯を沸かす音、ポットに湯を注ぐ音、それだけを響かせて。人数分の茶を淹れなおすと、自分は立ったまま火の消えた暖炉に凭れて、誰かが口を開くのを待った。**]
(257) 2012/03/27(Tue) 07時半頃
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ヨーランダは、そこで漸く、指の付け根に血が滲んでいるのに気付いて、カップを握ったまま舌を伸ばしてちろりと舐めた。**
2012/03/27(Tue) 07時半頃
[ヨーランダがセレストと魂を共に逝く約束をしたと
知ったのは何時頃か]
ヨーランダが、きっと目印で導いてくれるから。
必ず、2人でこの村に還って来いよ。
[ヨーランダの優しさと深さに感謝しつつ、そう告げて]
俺には乱暴な事しか出来ない。
[一息で終わらせる事は出来るが、
やはり女性に対しては暴力的過ぎて気後れする。
だがダーラやセレストに任せると言うのも酷な気がする。
それとも大切だからこそ2人に任せるべきか]
どうしても無理なら、呼んでくれ。
[2人の意志を優先すると、
悩んだ末それだけしか伝えられなかった**]
私の我儘を聞き入れてくれたのだから、私が…―さないと。
[二人に甘えてばかりはいられない。そんな思いから]
必ず、帰ってくるよ。
私の大好きな場所だから。
[こっそり、こっそり伝えた]
[自分が手を下すにしても考えてしまうのは、]
どうすれば不自然にならないか。…よね。
何か…いい案…ある?
[ほとんど自分で手を下したことはない。どうすれば
ヨーランダが苦しまなくて済むかも分かってはいなかった。]
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─ 自宅 ─
[ダーラの訪いによってセレストも起きたらしい。 女はカップを持ったままセレストに笑いかけた。]
…──おはよう。 安心して。まだ1時間ちょっとしか経っていないから。
このお茶には気分を鎮める効果があるからな。 きっとそのせいだ。
───…?
[救急セットと聞いて、不思議そうに見るが]
…──あぁ。 そうか、ブローリンが。
[セレストの手が伸びれば抵抗する事なく両手を差し出した。]
(272) 2012/03/27(Tue) 19時半頃
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[傷ついた手が手当されて行くのを見ながら目を伏せる。]
奴にも悪い事をしてしまったな。
今思えば、私を助けてくれたんだろう。 あのままホレーショーに食って掛かっていたら、 軍に捕まっていたかもしれない──…。
(273) 2012/03/27(Tue) 19時半頃
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…──あぁ、そうだな。すまない。
[微笑むセレストと視線を絡め]
(一緒にいってやれなくなる所だった。)
[と、耳元に唇寄せて小さく囁く。
ダーラが質問するか、或いは問うような視線を向けて来るなら、朝方起きた事をかいつまんで伝える。 勿論、セレストとの間に交わした会話は省いてだったけれど。
それにダーラが何か言う前に、再び扉が叩かれ、次いで村長アルフレッドが自分を呼ばわる声がした。]
(275) 2012/03/27(Tue) 20時頃
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