88 吸血鬼の城 殲滅篇
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[闇の血を持つ心臓がとくりと跳ねた。]
[目を見開き、ジェフリーの顔を見つめ… そこで漸く、光のない場所で、灯りがある時と変わりなく彼の姿が見えていることに気づいた。]
ジェフリー様が異端に乗っ取られた…!?
私…も………??
(125) uyuki 2012/05/05(Sat) 17時半頃
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そんなはずがない… あるはずがない…… そんなことが起こるはずがない…
貴方の魂は間違いなくジェフリー様の形なので…
私も…誰にも入れ替わられたりなどしていない…っ
記憶も、知識も…全て、何も変わりないというのに…!
[例え牙を見せつけられても、何かの冗談と否定してほしかった。 そうすれば、信じることができた。]
(126) uyuki 2012/05/05(Sat) 17時半頃
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―異端の身体には悪魔の魂が入る。
―だから、どんなに生前と変わらない言動をしていても、魔物は、魔物。
―情を移さない。心を許さない。その声に耳を傾けない。
―魔の誘惑に惑わされることなく、 唯、主を冒涜する物を滅ぼせばいい。
…そう、聞いているんですよ? 天の主が…奇跡を司る存在が…偽りを教えることなんて……ッ ある……わけが………
[信じる世界が反転していく。 もし、異端が異端と成り得ない魂を持っていたのなら、自分が断罪してきた魔物達は全て哀れな犠牲者の救いを求める姿であったことになる。 その中には幼子もいた。 少女も、老人も…妊婦も…… そして、仲間であったはずの者まで。]
(127) uyuki 2012/05/05(Sat) 18時頃
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「……俺はドナルドだよ、坊っさん。」
「呪われた存在でも、 ヒトでなくなっても、
誰に赦されなくても、……生きてる。」
[魔物の戯言として聞いていた言葉が、記憶の中に蘇る。>>5:90 魂が押しつぶされそうな絶望感の中、ジェフリーの体にしがみつくき、泣き出しそうな表情を向けた。 ――信じる神に救いを求める敬虔な信徒のように。]
(128) uyuki 2012/05/05(Sat) 18時頃
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修道士 ムパムピスは、メモを貼った。
uyuki 2012/05/05(Sat) 18時頃
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…魔物と化した者の最後は何度も見ました。 目の前で…息絶える姿を。
術で浄化させた者は眠るように灰になりましたが、杭を打ちつけられた者は、暫く消える事なく、人と変わらない赤い色に染まっていきました。 異端だと教えられなければ、救いの手を差し伸べてしまいそうな程、 人らしい…姿で……
[落ち着かせるように背中に手が置かれた。触れる仕草はとても優しく、魔物の牙が存在していることが、この目で見ていても信じられなくなりそうだった。]
…………… [崩れ落ちそうになる気持ちを堪え、次々と告げられる言葉を聞く。 その内容が過去の話に言及するとジェフリーの表情に影が落ち、その表情に酷く心が痛む。]
その方を、「解放」したのも…ジェフリー様…なのですね。 [言われることはなくても、表情で確信できた。]
(156) uyuki 2012/05/06(Sun) 00時頃
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…ドナルド様も…私の、呼び方を…覚えていました…… あの方、今の名前が憶えづらいからって、坊っさん、と変なあだ名をつけたのですよね。 再会した時も、そのまま…呼び方は変わらなくて…… でも…吸血鬼が来ると…目の前で、その…血を……
[捕えられていた時の記憶が鮮やかに蘇る。>>62 あの時、ドナルドはどんな気持ちで自分に相対していたのだろうか。今頃になって、そんなことをぼんやりと思う。]
(157) uyuki 2012/05/06(Sun) 00時頃
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…間違って、ない? でも…それなら……どうして……
私は、神に裏切られたのか。 それとも、この世に存在できないような罪を背負ったのか。 その…どちらでもないと……
[心の刃を振り下ろす先が見つからず、混乱する。
それでも、ジェフリーは、神を否定も肯定もしない。
消してしまいたい。
消え去りたい。
相反する感情の流れる先が示されることはなかった。]
(158) uyuki 2012/05/06(Sun) 00時頃
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………私も…そうなるのでしょうか…… 今はこうして…人格を保っていますが… 血に飢えると……そのような、姿に……
[異端の存在…吸血鬼になる。 それは、今まで世界の全てだと思っていた聖なる世界と断ち切られる存在になるということ。 何よりも恐ろしく思っていた事。 それでも、不思議とジェフリーを恨んだり嘆きをぶつける気持ちにはなれなかった。 彼の言葉はどこまでもゆるぎなく、変わらない]
(159) uyuki 2012/05/06(Sun) 00時頃
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……もし、これから先、理性を保てぬ吸血鬼として 永遠に、私でない存在に成り果ててしまったら その時は、お願いです。ジェフリー様の力で、止めて…下さい……。
その願いにそこまでの価値があるものだとは、とても私には思えませんが… それでも……望まれるのなら…
異端として存在していても…神の世界に行けなくなった身であっても… 私は、貴方についていくことにします。ジェフリー様。 私が、私として在る限り…
(160) uyuki 2012/05/06(Sun) 00時半頃
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(最初に与えられる血は 力と渇望 を生み)
(二度目に与えられる血は 忘却と服従 を強い)
(三度目に与えられる血は ―――)
――― 与えるのはな、
いつだって、親なんだよ。
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[考えるように伏せられていたジェフリーの顔が上がり、 視線が交差する。 心の奥底まで見透かされそうな真っ直ぐな眼で、 光を見失い、どこにも戻れなくなった自分に新たな道を示す。]
……はい。その言葉を頂いたからには…
神に定められた戒律からではなく……私の意思で…
[服の袖で顔を拭い、ジェフリーに笑顔を向ける。
喪失の記憶、絶望感は、きっと忘れることはできないだろう。
それでも、それ以上に、自分にとって大切になるであろう言葉を 記憶の中に刻み付けることができた。]
(242) uyuki 2012/05/06(Sun) 20時頃
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ジェフリー・ハリソン様、 修道士ムパムピスは…… [言いかけて軽く首を振り言い直す]
…マティアス・デイヴィースは、貴方を唯一永遠の主として お仕えすることを誓います。
貴方の為にも…私はこれからも生き続ける。 吸血鬼として。 ――この、世界で。
[隠し続けた本名と共に、誓いの言葉を口にする。]
「ムパムピス」は、聖務につく者が精神支配を避けるための通名なのです。勿論普段はその名前で呼んで頂いて構いませんから。
(243) uyuki 2012/05/06(Sun) 20時頃
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[ジェフリーが立ち上がり、剣を拾い上げている。 自分も杖を拾おうと手を伸ばすが、聖別されたそれは近づくだけで熱を持ち、手にすることは叶わなかった。]
…さよなら。今まで、ありがとう。
[目を伏せ、心の中で聖なる杖に別れを告げる。]
「 では行こうか。」
はい…っ!どちらの部屋を通っていきますか? 吸血鬼が、下のエリアに移動しているのは確かなのですが、気配を探るには…
(244) uyuki 2012/05/06(Sun) 20時頃
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――えぇぇぇぇっっ!???
[不意に抱き上げられると、ジェフリーはそのまま走り出し、 躊躇いもなく、建物の屋上から身を躍らせる。
浮遊感。冷たい風が頬を撫でる。
思わず肩に手をかけ、しがみついた視線の先で 屋上が、城が、見る見るうちに遠ざかっていく。]
(245) uyuki 2012/05/06(Sun) 20時頃
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…今、気づきました。 ジェフリー様って、堅実派に見えて意外と… 大胆な行動をされますよね。 [思わずぽつりと呟いた。]
[恐怖感はない。跳べると、確信しての行動だとはわかっていたが、それでも何も試さず屋上から飛び降りることは 自分にとっては予想外過ぎる。]
――いえ、何でもありません。 独り言…です。
[怪訝そうな表情を向けられ、笑いながら答えると、この変則的な空中散歩を楽しむことにした。]
[行き着く先は深い森。 新しい、「道」の始まりがそこにあった。**]
(246) uyuki 2012/05/06(Sun) 20時頃
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[楽しそうな…晴れやかな、初めて見るジェフリーの表情に自然と視線が吸い寄せられる。 そうしてじっと見ていると、耳元で伝えたばかりの真名が囁かれた。]
え…それ、が、命令なのですか? ジェフリーさ……… [言われた直後に早速噛んだ。常に相手を様づけする習慣がついていた為、意外とこれが難しい。]
………はい、ジェフ。
……これから、そう、呼ばせて頂きます。
[返事をしたのと空中散歩が終了したのは、 ほぼ同時のことだった**]
(264) uyuki 2012/05/06(Sun) 22時頃
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