231 獣ノ國 - under the ground -
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ここから出られたら……?
[誰かから投げかけられた質問に、考える。
聞き慣れない声だった。私はここに10年いるのに、聞き慣れない声だった。
けれど私は、ついさっきまで独房の存在も、知らなかったのだ。
知らない誰かがいたとしても、多分不思議なことではないのだ]
……わからないわ。私は外の世界を覚えていないから。
でも……そうね。思い切り空を飛んでみたいとは、思うわ。
[大きすぎる私の翼で。本物を知らない、夜の、空を]
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[戸惑いの表情>>72を見せるノアに、しまったと顔を顰めた。 入ってはいけない場所に。 土足で踏み込んでしまったのかもしれない。 やがて、ぽつりぽつりと紡がれるノア言葉に。 ズキリと胸が痛むのを感じた]
……好きな子が。そう。
[どこかで聞いた話だと思った。 自分の場合、それは兄であったが。 身近な者が獣人であることの苦労は、容易に想像ができた]
(81) 2015/07/10(Fri) 22時頃
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私なら意地でもその薬を作って、試すわ。
[きっぱりと、言い切った。 目の前の男は、果たしてどちらを選んだのだろうか。 過去形で語られる重さを分からぬほど、彼女は愚かではない。 どちらにせよ、幸せな結果を生まなかったことを察した]
例えそれが、魔法の薬か毒か分からなくとも。 可能性が少しでもあるのならば。
[それでも、今の彼女はそう答えるしかない。 自分の行いを否定するわけにはいかないのだ。だから]
……お話は。終わりって。
[ノアの言葉に視線を前に向ければ、獣二人が目に入るだろうか]
(82) 2015/07/10(Fri) 22時頃
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あら、もう薬が切れちゃったの。 量が足りなかったのかしら。
[減らず口を叩くジリヤ>>77に、眉を顰めた。 思ったよりも回復が早い。薬量を誤ったか]
殴るとは穏やかじゃないわね。 いい加減、私たちに反抗するのをやめた方がいいわ。
[その口調は、あくまで冷静で。諭すように]
大人しくしていれば。 少なくとも“あそこ”に入れられることもないのよ。 どっちの方が得か。分からないあなたじゃないでしょう。
[言ってから、じろりと隣のノアを見遣った。 だいたい、荒事は苦手なのだ。 やっぱり少しは罪悪感を覚えてほしいとは思う*]
(85) 2015/07/10(Fri) 22時半頃
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私は自分の仕事をこなしているだけよ。 それをあなたに批判される覚えはないわ。
[お前のやってる事振り返れ>>86。 ジリヤの言葉に、罪悪感と共に小さな憤慨を覚えた。 彼女には、彼女なりの正義があるのだ。 それを否定されるのは、やはり気分がよくない]
……痛いじゃない。
[咄嗟にジリヤの攻撃を避けようとしたが。 頬に一筋、朱が走った。たらり、と血が一滴流れる。 ジリヤの髪が掠めたのだ。大丈夫。傷は深くない]
(92) 2015/07/10(Fri) 23時頃
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助かるわ、ノア。
[自衛用の拳銃を取り出すノア>>89を見て、安堵する。 それでも表情は引き締めたまま。 自分ひとりでは、やはり手に負えない。 同僚が一緒にいてくれたことを、珍しく感謝した]
……っ。
[再び迫るジリヤの攻撃>>91に、軽く舌打ちする。 ああ、だから荒事は苦手なのだ。 その攻撃を避けようと、ヒールで地を蹴った*]
(93) 2015/07/10(Fri) 23時頃
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あ、う。
[ジリヤの拳を避けようとして、思わず尻餅をつく。 今まで勉強ばかりやってきた彼女は、その御多分に漏れずあまり運動神経が宜しくなかった。 体勢を崩しては、今度こそ次の攻撃は避けられないだろう。 思わず眉を顰めたところで]
……ヴェスパタイン、助かったわ。
[騒ぐジリヤの腕を掴んだヴェスパタイン>>98を、安堵の表情で見上げた。油断なくジリヤに銃口を向けるノア>>101を見遣って、当面の危機は去ったと感じる]
また恥ずかしいところを見せたわ。
[立ち上がり、スカートの埃を払った。 白衣に隠した鎮静剤は、まだいくつか余裕がある。 必要ならば、また使うつもりで*]
(103) 2015/07/10(Fri) 23時半頃
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……ノア。あなた素直じゃないのね。 足は大丈夫よ。心配いらないわ。
[別に心配しているわけではない>>110。 そんな不遜なノアの物言いに、くすりと笑って。 ヴェスパタインの提案>>107には、思わず目を細める]
任せていいのかしら。 私がいると彼女の興奮が収まらないのは、分かるけれど。
[ジリヤを一瞥したのち、やれやれと肩を竦めた。 ヴェスパタインがジリヤを連れていくと言うのならば、 特に反対はしない]
あら、やっと反省の色が見えたわね。
[ノアの発した「失敗」>>110という単語に目を丸くして。 どうもこの同僚には口を開くと嫌味を言ってしまう。不思議だ]
(116) 2015/07/11(Sat) 00時頃
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…………かあさま。
[夢見る私が零した寝言。
きっと目を覚ませば、忘れてしまう]
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やっぱりフェミニストじゃない。
[ノアに差し伸べられた手>>111を、しっかりと握って]
ありがとう。
[ノアと、ヴェスパタインに。頭を下げた。 素直に礼ができぬほど、彼女も捻くれてはいない 実際、ひとりでは危なかっただろう]
(117) 2015/07/11(Sat) 00時頃
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― 寸刻 ―
[ ――― ”ぼくら”の声が聞こえる。
ヒトという生き物に諦めを抱く梟に
僕よりも強く激しく外と自由を希う針鼠
呼吸器で覆われた鮫の声を聞いた時は
普段聞くより幾許か 鮮明に聞こえて
彼の難儀な重装備ぶりを思い出す。
……それまでは、よかったのだけれど。
”彼”の声に 僕は押し黙る。
( だって そいつは )
どうしても 脳裏にちらつかされた「鍵」が過って
ジリヤに「鍵」の話なぞをしたらと考えたら
ふるりとひとつ 背筋が震えた。 ]
……そとを飛ぶきみは
きっととても綺麗だと おもう。
見たいな そんな日が来たのなら。
[ 暖かな月夜も 冷たい雨の夜も
僕はどちらも知っているけれど
きっと彼女が飛ぶ空は 星に包まれている。
繰り返すことも
喉を詰まらす事もなく出た想いの言葉は、
誰に聞かせるでもなく、零れた。*]
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……クラリッサ。 いま、ジリヤはかなり興奮しているみたいだから。
[激昂して暴れたのち、泣き出したジリヤ>>114。 そんな彼女に不用心に近づくクラリッサ>>113に対して、 管理人として一応注意を促しておく]
私って、そんなに憎たらしいのかしら。
[「アマル先生が居るから興奮状態になるんだぞ」>>118というノアの非難めいた口調。自由になるや否や、死も厭わず何度も自分に襲い掛かってくるジリヤ。 先程の出来事を思い出し、思わずそんな声が漏れた。 クラリッサのように扱いやすい“被験体”ばかりなら、どんなにいいかと考えを巡らせて*]
(126) 2015/07/11(Sat) 00時半頃
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[本物の空は、青いのだという。
本物の夜空は、月が光り、星が瞬くのだという。
空から雨という水の雫が降ることもあるのだという。
どれも私は知らない。知らないけれど]
……ありがとう。
[フィリップが翼を羨んでいることは知っている。
色を持たない私が、夜を飛んでも、きっと闇に溶けてしまうだけだと思うのに、フィリップはきっと綺麗だと言ってくれる。
モノクロの私より、フィリップの方がよほど綺麗だと思うのに]
そんな日が来たら、いいと思うわ。
[来るとは思っていない。けれど、来たらいいと思う。
外の世界に出て、私が夜の空を飛ぶ日。
そんな日が来たら、フィリップに見せてあげよう。
そう、それに……]
私の翼は大きいから。
一人くらいなら、連れて飛べるかもしれないわね。
[空に憧れているフィリップを連れて、飛ぶことだって、できるのかもしれない。
もしも、そんな日が来るのなら]
[ 夜は梟が思うほど暗くはない。
月があって星があって
人里が放つひかりは 空の雲が反射して
山に雪があれば空まで青白く照らすんだ。
その中じゃあ、僕の持つ色は意味を持たず
空を切り取って飛ぶ 彼女の闇は
どれだけ映えるだろうと 思う。]
そうだね、そんな日が来たらいい。
[ 誰にも見つからず 兄と2人見上げた夜空を浮かべて
僕はそこに彼女の影を重ねあわせる。
夜空を渡す、白鳥の十字の上へ重なるように
彼女の翼が 伸びた気がして。]
きみが居てくれたら …僕も鳥になれるね。
[ そらへ、と 憧れを乗せた瑠璃の目が 細く笑った。*]
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あら、薬ならお安い御用よ。
[クラリッサに向かって、ふんわりと微笑んでみせた。 先程ノアやジリヤに向けたような言葉の刺は、もうそこにはない]
クラリッサ。一緒に、医療室へ来てもらえるかしら。 薬もそこにあるし。爪の具合も見ておきたいの。
[優しい口調で言葉を紡ぐ。 ここで働いているうちに、本当の自分が分からなくなってくる。 気の利く女医か。はたまた気の狂った研究者か。 どちらが、自分の本当の姿なのだろう]
(143) 2015/07/11(Sat) 02時頃
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[自分が“被験体”にしていることは、 傍から見れば非人道的なことなのだろう。 それをある意味、楽しんでやっていることも。否定しない。 でも、彼らはヒトではないのだ。 ―――だから、私が彼らを“幸せ”にしてあげなければならない]
痛いわね。
[先程ジリヤに傷つけられた頬が痛んだ。 彼女は独善的な自身の考えに気付かない。気付こうとしない]
医療室、へ。
[どちらにせよ、自分の頬も消毒したい。 クラリッサが着いてきてくれるのなら、連れ立って医療室へ向かうだろう。もしも断られたのなら、「後で医療室へいらっしゃい」とでも微笑むだろうか**]
(144) 2015/07/11(Sat) 02時頃
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[返ってきた同意の言葉に、私は来るとは思わない未来を思う。
そんな日が来るとは思っていない。けれど、願う自由だけは私にも許されているはずだ。
願うことは、人間にだって止められないはずだ]
……フィリップは、鳥だわ。
[私が居なくても、と言外に滲ませて。
私は、私たちはこういう生き物なのだと思っている。だから、フィリップが自分のことを欠けた生き物だと感じることは……それは、悲しいことだと思った。
百科事典によると、飛べない鳥もいるらしい。
フィリップは鸚哥だけれど、夜明け頃、第二図書室から自室に戻る時に聞こえるフィリップの歌声は、金糸雀のようだとも思うのに]
フィリップは、鳥だわ。
[だから私はもう一度、そう言った]
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―→ 第一棟 医療室 ―
[医療室に到着すると、 手早くアマルテアは“薬”の準備を始めた。 毎回サンプルの配合を変えてクラリッサに投与、記録している。 今のところ、彼女で過剰反応が起きたことはない。 クラリッサはアマルテアにとって、優秀な“被験体”だった]
……クラリッサ。 あなた、ここから外に出たいって思わない?
[先程の喧騒とは打って変わって、静謐な時が流れる医療室に。 アマルテアの声は穏やかに響き渡った。 白いカーテン。白い壁。窓から差し込む柔らかな人口光。 ここは、すべてがニセモノめいていて。 でも。クラリッサはここしか知らないのだ、と。 独善的なアマルテアは。それを、ただ不憫に思う]
(167) 2015/07/11(Sat) 14時頃
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[この問いを、“被験体”にするのは何度目だろうか。 あるいは、クラリッサには初めてだったかもしれない]
外には自由があるわ。
[棚から注射器と、遮光性の薬瓶を取り出しながら。 アマルテアは思いを巡らせる。 自分が仕事に行き詰った時。悩んだ時。困った時。 つい口から零れ落ちる、懇願にも似た問い。 自分の信念は間違っていないと、確認したいがための問い]
興味は、ない?
[もしも、“実験”が成功をして。 あなたがヒトになることができれば。あるいは、と**]
(168) 2015/07/11(Sat) 14時頃
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……そう、ヒトに。 させてあげる。私が。絶対に。
[クラリッサの口から零れ落ちた言葉>>169は。 アマルテアが最も望んでいた答え。 にっこりと満足げに微笑むと、注射器を手に取った。 彼女は気付けない。クラリッサの真意に。気付こうとしない]
外の世界を。見させてあげる。
[いつか。必ず。 注射器の中で、禍々しい色の液体が煌めいた]
(170) 2015/07/11(Sat) 15時頃
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痛くないわ。大丈夫。
[穏やかな声音の中に、微かな狂気が混じっていた。 この“薬”を投与したとき、 果たしてクラリッサはどういう反応を示すだろう。 成功するだろうか。それとも]
少し我慢してね。
[クラリッサの腕を取り、注射器を刺した。 知的好奇心と、興奮が。自身の中に渦巻いているのが分かる。 薬を投与しを得ると、じっとクラリッサの様子を伺った。 アマルテアにとって“実験”の結果を待つこのときは、 何にも代えがたい瞬間だった**]
(171) 2015/07/11(Sat) 15時頃
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……あら、大変だわ。
[アマルテアの声は、あくまで落ち着いたものだった。 突如として苦しみ始めたクラリッサ>>173を、冷静に観察する。 薬への過剰な反応だ。効果が強すぎたのかもしれない。 とはいえ、想定の範囲内の反応ではある。 “実験”にはままあることだ]
クラリッサ、大丈夫かしら。 私の声が聞こえる?
[「大丈夫です>>173」と弱々しい声が返ってくれば。 とりあえず意識レベルはしっかりしているようだ。 医者として冷静に判断を下す。 クラリッサの手を、そっと握りしめた。“患者”を安心させるように。 ヒトのものではないそれは、ひどく歪なものに思えた]
(181) 2015/07/11(Sat) 17時半頃
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どこが痛むのかしら。
[苦しげに床を這うクラリッサに、穏やかな声をかけた。 “彼ら”はなんて弱い生き物なのだろう、と思う。 自分たちに管理されなければ生きられない存在。 ヒトにも動物にもなれない、中途半端なイキモノ。 だからこそ、自分が“なおして”あげなくてはならない]
痛みが治まらないようなら、いま鎮痛薬を―――。
[独善的な考えに身を委ねながら。 あくまで、女医として優しく振る舞う。 事実、ある種の嫌悪感と同時に愛おしささえ感じているのだ。 “彼ら”の存在に。 それは兄に抱いていた感情と同じであった**]
(182) 2015/07/11(Sat) 17時半頃
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[ 僕を鳥だと 祈るように願うように響く声は
いつもの彼女には珍しい 力が篭められていて
朝靄の図書室で 彼女の羽を羨ましがりながら
その翼が本来拡がるべきだった
外の世界の夜空の話をしたときにも おなじように
彼女は、僕も同じ鳥だと 言ってくれた。
あの時伸ばした手は 彼女の羽に届いただろうか。
瑠璃の目に憧憬ばかりを乗せてしまうのは
彼女には少し迷惑だったかもしれないけれど]
僕も夜空に行けたら、唄うよ。
………鳥だからね。
[ それでもやっぱり彼女が居なければ夜空は行けないから
小さな声には ちょっとの苦笑が混ざった。]
―― 一間 ――
[ ひとが羽や鱗を生やせばいい、という針鼠には小さく息を漏らし笑った。獣人に獣を足すのも可能なのだろうか、それこそ“ ”みたいだ。
――体はともかく、その実験体の心は今度はどこにいくんだろう。獣かひとか。新たに宿った獣だろうか。
心、と梟の告ぐそれに1つ、首を傾げた。まざりものの体に宿るのは、果たしてどんな心なんだろう。
同じになれるわけがない、という2人の声に淡く頷く。どうしてもわかりあえないのなら、いっそ領分を分けてしまえばいいのに。]
ああ、…あそこ。ありがとう。
[ 返る返事に秘密棟、と面体下を歪めつつ、礼を告げる。“イカレ”と称される女医の姿を見たいわけではなかったが、獣を人にするなんて考えには興味があった。*]
[ 2羽の“とり”の声をききながら。
ひたりと水に浮くよう、“よぞら”に映るその姿を描く。
夜のそらを縫う彼女の姿は。彼がうたう姿は。きっととても、冴え冴えとはえるのだろう。
合間、漏れ聞こえた微かな声色には、首を傾げ微かに、かあさま、と反芻する。“かあさま”って、なんだろう。*
――やがてぐるりと頭を回し、声の正体を探りながら。
これなら、ひとに見つからずこっそり相談事もできるんじゃないだろうか。――例えばそう、「自由」を得るための。
実際反抗を図っている針鼠の彼女へと、(離れてる以上意味があるのか知れないが)視線を向けつつ。]
……誰かと出て行こうとか、思わなかった?
[ 首を傾げては、小柄な体を思い返す。針があるとはいえ、少女めいた体躯では限度があるだろうにと。
――そういえば、同じくらいの“猫”の少女もいた気がするけれど。ここでの声は聞こえているのだろうか、とぼんやり思い巡らせながら。]
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