人狼議事


296 ゴールイン・フライデー

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【人】 甲板員 デリクソン

[ もう、夕方を通り越して夜だ。
 朝の早い時間や夕方の斜陽が刺す時間なら兎も角
 日差しも強く無いのにサングラスに頼る。
 こんな使い方があるなんて知らなかった。
 偏光の買い換えを面倒がっていたままで、良かった。

 暗い夜の帳と視界を悪くする着色が輪郭以外同化する。
 批難の顔を思い描いて怯え駆け出すのでは無く
 人影に肩を震わせるだけで済む。

 ――――靴先は惑う。

 家に帰ろう、とても飲める気分では無い。
 こんなやり口で視線を避けるような状態なのだ
 人の出入りが多い店なんて向かうべきでは無い。 ]

(0) LARK 2019/05/23(Thu) 07時半頃

【人】 甲板員 デリクソン

[ ―――でも。せめて、そう。
 店の窓から覗いて。
 丸く張った背を眺めるだけはしたい。

 でなきゃ、来週からまた一週間を
 掻きむしりたくなるような寂しさで
 過ごさねばいけなくなる

 窓の前で立ち止まり。
 人影をいくつも探す ]** 

(1) LARK 2019/05/23(Thu) 07時半頃

【人】 甲板員 デリクソン

[ 窓から眺める先に、あの客がいる。

 いつもの様にカウンターに向かう姿を息を飲んで見守り
 店員と何かを話している様子が見て取れた。
 自身が先に訪れる事もあればそうでない事もある。

 だが、いつも心臓の鼓動が煩くて
 直視できるのは合間合間だけだから。
 消えたりしない煙草や身につけた状態から変わらない服装
 頼む食事、口に運ぶ細やかな所作を覗き見れても
 席に座る些細なやりとりまで凝視出来た事は無い。

 誰かを探しているような素振りが見えた気がして
 待ち人でも居るのかとサングラスの内側の目を瞬かせ。
 フレームを少しだけずらし、店内を見守る。 ]

(19) LARK 2019/05/24(Fri) 23時半頃

【人】 甲板員 デリクソン

[ 普段はもっと客足がある筈の時分だけれど
 テーブル席がある程度空いているので
 距離はあるが、視認はしやすく感じられた。
 その背や料理の皿をカウンター越しに受け取る
 一連のあらましを背景と同化しながら双眸で追いかける
  ――ああ、やはりシュパーゲルが好きなのだろうか ]

 ……なんでアイツが食べてると美味しそうにみえるんだろ

[ この店に通い、春を迎えて出回りだした其れ。
 トマトやニンニクみたいに
 野菜そのものの風味が強い食材は好きだが
 缶詰物しか口にした事の無かったシュパーゲルは
 ふにゃっとした食感で薬品の香りが強く、苦手だった。
 それに、昔は貴族の食べ物だったとか野菜の王だとか
 洒落たものを口にするより食べ慣れた野菜や
 好物の肉やチーズのメインにばかり目が行き
 出されたシュパーゲルにフォークを刺しもしなかった ] 

(20) LARK 2019/05/24(Fri) 23時半頃

【人】 甲板員 デリクソン

[ 段々茎が弱り旬の時期を過ぎるなんて話も
 まるで、そう、自分を見ているようで嫌だった。

 旬だ王様だと持て囃されても根っこが萎れたら
 あっという間に見放され――
 無機質な缶詰に突っ込まれるしか未来が無い。


 若ければ、そう、若い頃であれば。

 あちこちに飛んでスタジオに詰めたり
 声優業でヒット映画の吹き替えもして
 イメージに合うと持て囃されたっていうのに。

 最終的にはつまらない仕事なんかしている。
 どうでも良い見ず知らずの他人の恋話を
 盛り上げようと必死になったり
 代わり映えの無いラジオ局で缶詰になって――  ]

(21) LARK 2019/05/24(Fri) 23時半頃

【人】 甲板員 デリクソン

[ アイツが、旨そうに齧り付くのを見てからだ。
 
 お綺麗にすました客でもない。
 身なりを整えて訪れた客でもない。

 油の染みた作業着を腰に巻いているような
 労働階級の代表みたいな肉体労働者が
 野菜の王様に容赦なく牙を立てて食い荒らす。
 
 その横顔は、まるで獲物の息を止める獣のようだった。

 上品な彩のドレスに包まれた無垢な乙女が
 中年男に貪られていく様に目を見張り
 何故か心が震えて、目が離せなかった。
 ソースの染みた茎が消えていく束の間の時間が
 まるで永遠のような長い時間に感じられた。 ]

(22) LARK 2019/05/24(Fri) 23時半頃

【人】 甲板員 デリクソン

[ 食いつく前の期待や、咀嚼する間の満ちた瞬間
 もう一本と誘われる後味がそこにあるのか
 新たな獲物がフォークの餌食になる――

 ああ、なんて。

 美味しそうなのだろう。
 そんな風に食べる姿を見てしまったら
 苦手だ、格好つけた食物だと鼻で笑えない。
 
 缶詰の中で死んでいた水浸しを食べて
 こんなもんか、なんて分かった気でいたのに
 自分の知っている世界がいかに小さくて
 不貞腐れたものだと突きつけられた気分になる。 ]

(23) LARK 2019/05/24(Fri) 23時半頃

【人】 甲板員 デリクソン

[ 夢を、見てしまった。
 あの客のように、春の風物詩を幸せに食べたい。


 そして、夢は叶った。
 缶詰物は偽物だったのかと驚くくらいに
 ふっくらとしているのにソースを吸い込む其れは
 ありえないほどに美味しくて。

 …いつまでかはわからない。
 再現ビデオのアナウンスの仕事や吹き替えも
 今はもう手が届かないくらい遠くなってしまった。
 この恋も、この感動も、いつかは遠くなるかもしれない

 でも、いくつになっても夢を見てしまうのだから

 あの客が食事を取る風景に出会う限り
 きっと俺は、恋に縛られてしまうのだろう。
 きっと、俺は――――… ]

(24) LARK 2019/05/24(Fri) 23時半頃

【人】 甲板員 デリクソン

 い゛っ………!?

[ 不意に、裾が引かれた。
 なんだと思い身を捻れば、小さな小僧が見上げていた。
 直ぐ後ろで買い物袋を下げて
 話し込んでいる女性が二人、保護者と知人か。

 ――ねえ、おじちゃん。
 ――お店に入りたいんでしょう?ずっと見てるもん ]

 あ、いや……そうじゃない、入らないんだ
 ちょっと見てた……だけさ。

[ 現実に戻されて、
 足元が崩れるような恐怖感が胸を焼き。
 震える手で慌ててサングラスをかけ直す ]

(25) LARK 2019/05/24(Fri) 23時半頃

【人】 甲板員 デリクソン

[ 挙動不審な中年の有様を目の当たりにしても 
 少年は、にっこりと微笑んだ。

 ――しってる?
   ランチがある日にね。
   ラジオを聴きながらこのお店で食べるんだ。
   明るいおじちゃんの声と一緒に食べると
   シュパーゲルが美味しくなるってママが言ってたよ]

(26) LARK 2019/05/24(Fri) 23時半頃

【人】 甲板員 デリクソン

[ 狼狽えてしまった。
 でも、潰れそうな心が少しだけ浮上する。
 どうせまた、深く沈む日はやってくるのに。
 俺はこうして些細な事でまた立ち上がろうとしてしまう

 後ろ姿を見て、そのまま通り過ぎるだけで良いと
 ほんの数分前までは諦めていたのに。
 また、この店に来たいと思える出来事が増えて
 またあの客と同じ時間を過ごしたい願望が膨らむ。

 ああ、馬鹿だ。
 男ってのは、いつまでも馬鹿な生き物なんだ。
 醒めない夢を取り上げられるまで追いかけてしまう ]

(27) LARK 2019/05/24(Fri) 23時半頃

【人】 甲板員 デリクソン


           [ ――――カラン。 ]

 

(28) LARK 2019/05/24(Fri) 23時半頃

【人】 甲板員 デリクソン


[ いつかは子猫に。
 今日は子供に。

 背を押されて、ドアに手を掛ける。

 焦がれる男の背に視線を一度向け、
 泣き腫らした目は、サングラスで隠して。

 夜なのに、普段はかけていないのに
 どうしてサングラスなんて?
 問いかけるウェイトレスに苦く笑う。 ]

(29) LARK 2019/05/24(Fri) 23時半頃

【人】 甲板員 デリクソン


[ 目元を子猫に引っ掻かれて



 ダサいから、――ってさ ]**  
 
 

(30) LARK 2019/05/24(Fri) 23時半頃

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